ダンジョンにメイドが居るのは間違っているだろうか   作:taimanman

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前作より十倍ぐらい反応良くて笑っちゃった。
まあ頑張って書いてきます。
ところでひとつ言っておきますとこの作品の主人公はベルです。
メイドさんではないということをご了承ください。

今回の話は、何書いてるんだろうと思いながら書きました。
自分って思ってるよりバカだったのかなぁ、って思いました。
なんか、書けば書くほど自分がバカに思えてきたんですよね。
そんな二話です。
知能指数十下げてお読みください。
ではどうぞ。


おねえさんはエッチなメイドさん

 その日はいつもと特に変わりの無い普通の日だったと思う。

 なのにその日は多分一生忘れることはないのだとも思う。

 だってあなたが来てくれたから。

 

 

           *

 

 

「つかえる? ってなに?」

 

 いつものようにおじいちゃんの頼み事を聞いてお使いに出かけようとしていた時、村で見たことのない不思議なおねえさんが家の前に立っていた。

 ――とってもキレイな人だった。

 だけどどこか寂しそうな人で、気づいたらこの人を抱きしめていた。

 だって一人は寂しいから、よくわからないけれどこの人はとても哀しそうだったから、おじいちゃんに言われた事もあったようにその人に大丈夫と教えてあげたかった。

 ちょっぴり恥ずかしくはあったけど、その後おねえさんがぽろぽろと涙を流し始めたのを見て間違ってなかったんだと誇らしい気持ちになった。

 やっぱりおじいちゃんの言っていたことは間違っていなかったんだと、他に縋るものが無いかのように僕を苦しいほど強く抱き締める彼女を見てそう思った。

 それは良かったんだけど問題はその後だった。

 泣いて泣いて、疲れきったかのような顔を、けれどどこかスッキリしたかのような顔をしたおねえさんは、僕に向かってとんでもないことを言ってきた。

 

「仕えるというのは貴方に私の全てを捧げるということです」

「ええ!? すべて!? おねえさんのすべてぇ!!」

「はい。私は貴方に救われました。貴方に全てを貰いました。なので今度は私がその全てを捧げるのは当然のこと」

 

 僕何もあげてないけど!?

 ていうかさっき会ったばっかりだよね!?

 このおねえちゃんが言っていることが全くわかんないよ!

 さっきまでの姿はどこへ行ったのやら、いきなり凄まじいことをキリッとした顔で言ってくる。

 ひょっとしてこのおねえさんっておじいちゃんの言っていたヤバい人なのかな?

 いきなり現れては意味不明なことを言ってきてこっちを騙していろいろしてくるのだとか。

 おじいちゃん曰く身ぐるみ全部剥がされて『ひんぴょーかい』とか言う場所に裸で連れて行かれて色んな人に品定めされるんだって。それでその中の誰かに買われていって一生涯その人の言うことを聞かされるエッチな専属メイドさんにされるんだって。

 ひょっとしてこの人が!そのゆかーいはんさん!?

 いやでもおじいちゃんは女の人だけが連れ去られるって言っていたし、違うのかな。

 

「ねえねえおねえさん?」

「はい、なんでしょうベル様」

「さ、サマじゃないよ。ぼくはベルだって」

「いえ、私にとってはベル様です」

 

 ???どういうこと?僕はベルだよ?あれ、ベルだよね?そうだよね、ずっとそうだったし違うはずがないけど……。

 は!ひょっとしてこれがどんでん返しっていうやつなのか!

 最後の最後で実は自分が思っていたのとは違う世界が待っているっていう!

 僕はベルじゃなくてベルサマだったんだ!

 今日から僕の名前はベルサマ・クラネルなんだ!

 

「そっか!ぼくはベルサマなんだね!」

「はい。そのとおりです」

 

 やっぱりそうだったんだ。

 しょーげきの事態だ。これがどんでん返し!

 今までずっと僕を騙していたなんて、恐るべし――!

 

「ところで僭越ながらベル様は先程なにか私に尋ねたいことがお有りだったように見えたのですが」

「え? あ、うん! あのね、一つききたいことがあるんだ」

「はい。なんでも聞いてください」

「おねえさんはゆかーいはんさんじゃないの?」

「ゆ、誘拐犯!? いえ真逆私がベル様にそのような不敬を働こうなどとは断じて考えておりません。確かにいきなり現れてこのようなことを申しているのですからベル様の目には怪しく写られていてもおかしくはありませんが私は命に掛けても貴方様に危害を加えようなどということはいたしません!!」

「あ、う、うん」

 

 なんかものすごく焦っていた。

 すんごい焦っていてビックリするぐらい早口ですごいいっぱい喋ってた。

 正直ちょっと何を言っているのか分からなかったけどおねえさんがゆーかいはんさんじゃないらしい事は分かった。

 だとするとおねえさんは一体なんなんだろう?

 

「じゃ、じゃあおねえさんってなにをするひとなの?」

「は、はい。誠に僭越ながら叶うなら私はベル様のメイドになりたく存じます」

「め、メイドさん!?!?!?」

 

 め、メイドさんだって!じゃ、じゃあやっぱりおねえさんはエッチなメイドさんで『ひんぴょーかい』に僕を騙して連れて行く人でゆかーいはんさん!?

 いやでもまさかこんなキレイな人が僕を騙しているなんて信じられない。

 やっぱり世界は不思議世界(ワンダーランド)なんだ!

 

「やっぱり、おねえさんはあやしい人――!」

「はい!? いえ、違います。本当に違うのです私は貴方に仕えたいというだけで決して、決してそんなおおそれたことをしようなどとは考えていないのです! どうか信じてください!」

「だ、だっておねえさんはエッチなメイドさんでぼくをだまして連れていくゆかーいはんさんなんだ!」

「え、エッチなメイドさん!? い、いえベル様がそれをお望みならば私としてはこの身を捧げる所存ですが。いえそれはともかくとしてメイドと誘拐犯になんの相互関係が!?」

「だってエッチなメイドさんはゆかーいはんさんなんだっておじいちゃんが……」

 

 あれ?ゆかーいはんさんが騙して連れて行くんだっけ?

 それでその先で連れて行かれた人がエッチなメイドさん?

 だとしたらこの人はゆかーいはんさんじゃない?

 は!そうか!

 

「ご、ごめんなさい! ぼくてっきりおねえさんがゆかーいはんさんなんだと思ってて……」

「い、いえ。誤解が解けたのなら幸いです」

「おねえさんがゆかーいはんさんにだまされて連れていかれてたなんて知らなくってごめんなさい!」

「……ん?」

 

 このおねえさんはきっと今までずっとエッチなメイドさんにされてつらい思いをしてきたんだ。

 だからあんなに悲しそうな顔をしていたんだろう。

 それなのにそんなことを思い出させてしまうなんて……

 

「いやなこと思いださせてごめんなさい。でもだいじょうぶだよおねえさん! ここにはおねえさんがいやな人はいないから! あんしんしてね!」

「え、いや、あの? べる様?」

「もしわるい人がやってきてもおじいちゃんといっしょにぼくがやっつけるから!」

「いえ、だからベル様、違います」

「え?」

 

 そうやって悪者退治を意気込んでいると、おねえさんは衝撃の事実を教えてくれた。

 

「私は誰かに攫われたことなどありません」

「…………」

 

 え?

 

「なにをご想像されていたのか私には分かりませんが少なくともこの身が誘拐犯にどうこうされたことは一度もありません」

「そ、そんな」

 

 おねえさんはエッチなメイドさんにされたことはなかった。

 それにゆかーいはんさんでもなかった。

 どういうことなのか全く分からないまま、僕はこの後も暫く悩み続けることになる。

 

 

           *

 

 

「それじゃあおねえさんはエッチなメイドさんじゃないんだね」

「はい」

 

 なんだぁ、心配しちゃったけど違ったみたいだ。

 ほっとしたけど勘違いしちゃってたことはちょっと恥ずかしい。

 でもおねえさんがあぶない人じゃなくて良かった。

 ってああ!

 

「おじいちゃんにおつかいたのまれてたんだった!」

「え、ああ、そうでしたね」

「え、なんで知ってるの?」

「いえ、先程家の中から聞こえてきましたので」

 

 なるほど、僕とおじいちゃんの家はあまりしっかりした作りじゃない。確かに外に音は漏れるので聞こえていても不思議ではない。

 

「あ、だからちょっとようじがあって、ちょっと村にいかないといけないんだ。だからおねえさんごめんなさい。ちょっといってくるからここでまっててくれない?」

「わかりました。百年でも二百年でもここで待っています」

「いやそんなにかからないよ!」

 

 ――おねえさんやっぱりおかしい人みたいだ。

 

 それから暫く時間がかかったけど村のおばさんから野菜をもらって帰ってきた。

 途中でおねえさんが僕の姿を見つけたのかすごい勢いで近づいてきたので一緒に家まで帰ってきた。

 

「じゃあ、ちょっとおじいちゃんにきいてくるね」

「はい、お手を煩わせてしまい申し訳ありませんがよろしくお願いします」

「ん」

 

 お手をわずらわせる。おねえさん難しい言葉ばっかり使うなあ。

 そう思ったけどそれよりもおじいちゃんにおねえさんのこと聞いてこないと。

 

「ただいまおじいちゃん!」

「おおベル。随分遅かったのう。なにかあったのか?」

「うん、あのねおじいちゃん。ちょっとおねがいがあって」

「ん? なんじゃ改まって」

「じつはおねえさんがぼくのメイドさんになりたいって言ってきて」

「……は?」

「だからおじいちゃんにきょかをもらいにきました!」

「………………」

「お、おじいちゃん?」

 

 おじいちゃんが黙ってしまった。

 おねえさんはやっぱり駄目だったんだろうか。

 そう思っていると、おじいちゃんはふるふると震えだした。

 そしてグワッと顔を上げたあと思うと

 

「メ、イ、ド! フォオオオおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 すごい勢いで腕を空に突き出して叫びだした。

 えぇぇ。

 おじいちゃん、ちょっとどうかと思うよ。

 

「よくやったベル! 何があったか全くわからんがベリーグッド! 儂がメイドさんを拒む訳ないじゃろうが!」

「え、ほんとう!」

「ああ、当たり前じゃ。誰だか知らんが最高よ! 今すぐ連れてくるんじゃ!」

「うん! わかった!」

 

 やっぱりおじいちゃんは優しい。おねえさんのことを許してくれた!

 これでこれからはおねえさんが家族に増えるんだ!

 

「おねえさ〜ん! おじいちゃんがいいって言ってくれたよ〜!」

 

 するとすぐに扉が開いておねえさんが家に入ってきた。

 そしてすぐにおじいちゃんの方に向かっていく。 

 

「はじめまして、ベル様のお祖父様。私は先程ベル様に救われました。そのためこの命をベル様に捧げる所存です。ですからこの度はこの家に滞在することを認めてくださり真に感謝しております。本当にありがとうございます」

「……」

 

 おねえさんがおじいちゃんに話している。

 やっぱりおねえさんの言っていることはよくわからないなぁ。

 それにしてもおじいちゃんがおとなしい。

 いつもきれいな人を見たらすぐに叫んで話しかけるのに。

 そう思っておじいちゃんの方を見た。

 そして、びっくりすることになる。

 だって今までずっと一緒に暮らしていた中で見たことのない顔を、おじいちゃんがしていたから。

 おじいちゃんは、あんなにも美人さんなおねえさんが目の前にいるのに、信じられないものを見る目でおねえさんを見つめていた。

 

「お、お主、まさか」

 

 そうしておねえさん震える指で指しながらこう言った。

 

「精霊、か」

 

 え?

 この時僕はおじいちゃんの話を聞き間違えたかと思った。

 だって精霊だ。

 精霊とはいつも英雄譚の絵本にしか出てこない伝説的な存在。

 英雄に寄り添い、その人に力を与え、助けてくれる物語の中心人物。

 エルフやドワーフ等様々な人種の中でもとりわけ強力な力を持ち、そして圧倒的に珍しい。

 この世で最も神に近い存在とまで言われる種族だ。

 そんな存在がおねえさんの正体?

 驚くなという方が無理な話だった。

 

「……驚きました。まさかそれに気づかれるとは」

「伊達に歳を食っとらんからの。それにただの精霊でもあるまい。お主相当上位の、というか下手をすると最上位の……」

 

 そうやって僕を置いて二人は話していたけれど、おじいちゃんが途中で話すのを止めていた。

 

「まあなんでもいいわい。お主が何者でもこっちは構わんよ。ベルのメイドになりたいというのならそれでも構わん」

 

 僕としてはものすごく気になっていたけれど、おじいちゃんがおねえさんはおねえさんだと言ったのを聞いて確かにと思った。

 ひょっとしたら話したくないことなのかもしれないし、おねえさんには何も聞かないほうがいいかもしれない。

 なんにせよ今日からおねえさんが家族になったというだけで、僕には十分なのだから。

 

「これからよろしくね! おねえさん」

「はい。こちらこそよろしくお願いしますベル様」

「うん!」

 

 大切な家族が増えた。

 おじいちゃん以外の、かけがえのない存在。

 だから僕は、今日この日を忘れることはないだろう。

 

 

           *

 

 

「そういえばおじいちゃん、ぼくのなまえはベルじゃなくてベルサマなんだよ!」

「何を言うとるんじゃ? ベル」

 

 あれぇ。




はい。今回もお読みいただきありがとうございました。
ちなみに実はこの話まだ本編ではなくプロローグみたいなものです。
だってベル幼少期の話だし。
オラリオ行ってないし。
オラリオで冒険者になってからが本編みたいなものですね。
ところで幼少期の話書くの楽だし楽しいしでいい事づくしですね。
本編に入りたくない。
嫌だなあ。
次回もよろしくおねがいします。
あ、毎日投稿じゃないですよ。そんなのしたら私死んじゃいます。
オリジナルの方もあるしね。
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