ダンジョンにメイドが居るのは間違っているだろうか   作:taimanman

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最近毎日書いている。しかし、しかしだ諸君。何度も言うようで悪いが私は別に毎日投稿しようとはしていない!
そもそも私はそんなにポンポンと話を書いていける人じゃないんだ。そんな私が毎日投稿なんてしてみろ。
死ぬぞ。

変な脅しをかけ微妙な空気になったところで今話です。


いざ行かん、約束の地へ

 おねえさんにティアという名前をつけて一緒に暮らし始めた日。

 あれから一年の時が経っていた。

 僕はおじいちゃんとティアの二人と楽しく暮らしていた。

 毎日農作業をし、村の人と話をして、家に帰る。

 その後はおじいちゃんに絵本を読んでもらったり、ティアが作ってくれたご飯を食べてその美味しさに顔をとろけさせたり。

 おじいちゃんと二人で暮らしていた時とそう変わらない、普通の日々を送っていた。

 基本家事掃除はティアがやってくれているのだけれど、流石に全部頼りっきりは申し訳なかったので手伝おうとしたら「私の生き甲斐を取らないでください!」と泣きつかれ、折衷案として僕も手伝うことで手打ちにしてくれた。

 ティアが居てくれると色々と世話をしてくれてとても助かるけど、自堕落な暮らしにならないようにだけは気をつけなくてはいけなかった。

 おじいちゃんは平然と頼り切っていたけれど。

 それとこれが一番問題だったのだけれどおじいちゃんが事あるごとにティアにちょっかいをかけようとして大変だった。

 その度に僕が必死で止めようとしていたのだけれど、ある日僕が止めようとしているのを見て、僕の手を煩わせるわけにはいかないからと言って、ティアが自分でおじいちゃんのセクハラを防御し始めるようになって事なきを得ることになる。

 

 そんなこんなで、三人での暮らしになれ始めていた頃、その暮らしに変化が訪れようとしていた。

 それは、僕がいつものように畑の見回りと雑草の除去、それに作物の余分な実などをとって、一日の仕事を終えた頃に起きた。

 ティアから水筒を受け取り水分補給をしていた時、突然に彼女が僕の後ろに回って身構えだしたのだ。

 

「何者です!?」

 

 そう叫ぶ彼女の声色は逼迫していて、なにか途轍もなく焦っている感じがした。

 もう一年間同じ家で一緒に暮らしてきたのに、僕は一度もそんな声を聞いたことがなく、ただ事ではないというのをすぐには理解する。

 そして彼女が何を警戒していたのかは、後ろを振り向いてすぐにわかった。

 村で見たこともない人が、僕の方を向いてそこに立っていたのだ。

 そしてティアが警戒している理由も、すぐに分かった。

 だってその知らない女性は、僕の方を、いや僕だけを見ていたから。

 僕以外にもおじいちゃんがいるし、何よりも今まで他に見たことがないと言うほどキレイなティアがいるのに、この場で僕だけを見ていたのだ。

 どう考えても僕に用があるに決まっている。

 緊張が走る。

 喉が渇いて唾を呑む。

 そうしているとすぐに、知らない誰かはこっちに歩きだしてきた。

 

「くっ」

 

 当然ティアが僕を守ろうと身構えるのだけれど、次の瞬間、ティアの少し前にいたはずの女性が、僕の目の前に居た。

 

「なっ!?」

「え?」

 

 ティアが全く気づくことなく、その横を一瞬ですり抜けて僕の前に来た。という事実を脳が理解したときにはもう遅かった。

 その女性の影が僕を覆い尽くす。

 ティアが後ろを振り向いて女性に気づき、衝撃と絶句、そして絶望の表情を浮かべているのを視界の横に移しながら、僕は目を瞑った。

 

 そして、すぐに衝撃が来る――なんて、そんな事は無かった。

 代わりになにか温かいものに、包まれているかのような感覚がして、僕は恐る恐るその目を開いた。

 ――そこにあったのは、僕を襲っていたはずの女性の横顔だった。

 僕は彼女に抱きしめられているのだと、遅ればせながら気づく。

 その彼女は、なにか失ったはずの大切なものを見つけたかのように、僕のことをとても強く、けれどとても優しく抱きしめてくれていた。

 どうしてこのひとが僕を抱きしめているのか、その理由がわからず混乱する。

 同じように僕のすぐ前でどうしたらいいかわからずに当惑しているティアが立ち尽くしていた。

 ふと彼女の横顔を見る。

 どうしてかわからないけれど、この女性(ひと)は泣いているような気がして、自然と僕はその背中を撫でていた。

 少しでも安心するように、落ち着けるように、僕はここにいるからと手を通して彼女に伝える。

 そんなことをする必要は、義理は無いはずなのだけど、この人からはなにか懐かしい気配がして、気づけば僕の腕は勝手に動いていた。

 そのまましばらく彼女と抱き合っていると、落ち着き出したのか僕から離れていく。

 そこでやっと、ティアが僕のそばに駆け寄ってきた。

 

「あの、ベル様? こちらの方とお知り合いなのですか?」

「いや、違うけど」

 

 言葉にすることが難しい。けれど確かに感じた彼女の温もりは、僕にそのひょっとしてを教えてくれていた。

 

「もしかして、ちがっているかもしれないけど、あなたはぼくのおかあさんですか?」

 

 それを確かめるため、僕はそうやって尋ねていた。

 果たして彼女は、それに簡潔に答えてくれた。

 

「いや、違う。が、おまえの母親の姉ではある」

 

 つまりはお前のおば、ということになるな。そう言って彼女は話すことをやめる。

 だけどもその言葉は僕の涙腺を勝手に緩めていた。

 名前も知らないお母さん、その姉に当たる人がいて、僕に会いに来てくれた。たったそれだけで僕はお母さんとの繋がりが生まれた気がして、そして家族の繋がりが戻ってきた気がして、気づけば僕がわんわん泣いていたんだ。

 

 その後気づけばもう一人いた鎧姿の大きなおじさんとともに、僕は家に帰っていった。

 帰ったあと驚いたのは、新しく来た二人がおじいちゃんと知り合いだったということ。

 なんでも僕のお母さんとこの三人は知り合いだったらしく、僕が生まれた時に亡くなってしまった際に、お母さんに僕を託されたのがおじいちゃんだった為僕はこの村でおじいちゃんと二人暮らしていたんだとか。

 そんな三人は久しぶりに出会った筈なのに全く嬉しそうな感じをしていなかった。

 おじいちゃんとおじさん、ザルドさんと言うらしい人は、まだ仲良さそうに話していたのだけれど、おばさんはおじいちゃんを見るなり何故だか凄く嫌そうに顔をしかめていた。

 何故だろう、どうしてか普段のおじいちゃんを見ていたからなんとなくその理由に心当たりがあるけれど気のせいだろうか。

 うん。気のせいであってくれることを祈ろう。

 

「ところで、えっと、おばさ――ヒッ!?」

 

 僕がおばさん、アルフィアさんと言うらしい彼女に話しかけようとすると、すごい勢いでこちらを睨んできた。

 その目だけで十分人を殺せそうで、凄く怖い。

 

「これから共に暮らしていく身としてお前に一つ言っておく、私のことはお義母さんと呼ぶように」

「ひゃ、ひゃい」

「もし間違えればどうなるか、分かるな」

 

 僕は全力で首を縦に振っていた。

 それと同時に直感的に理解していた。この人に逆らってはいけないと。

 後日、その勘がこの上なく正しいものだったと、僕は身を持って実感することになる。

 

「ところで、わたしに用があるのか?」

「いえ!?なんでもありません!」

 

 世の中には、触れないほうがいいものもあるのだと、幼い僕でも理解することができるようになっていた。

 間違ってもなんでおじいちゃんと話したがらないのかなんて、お義母さんに聞くことはできなかったのだ。

 

 こうして、不安の残る中僕らの生活に新たな二人が加わることになる。

 この後、おじさんの料理の腕が凄すぎて土下座してティアがその技術を教わったり、お義母さんに簡単に横を素通りされたことが悔しくてティアが闘いを習っていたり、黒い神様がやってきて曇ったおじさんとお義母さんの顔を晴らすために英雄になることを誓ってその日中に後悔することになったり、本当に色んな事があったけど、五人で暮らす日々は僕にとってかけがえのないものになる。

 ちなみにその中で最もキツかったのは、とある理由により家を何度も新築にすることになった時、諦めたような顔をして木材を運ぶザルドおじさんを見た時だった。

 

 

           *

 

 

 その数年後――。

 

「水筒はある。お金も持ってる。弁当も入ってるよしっ!」

「準備はできましたか?」

「うん!」

 

 スッキリと晴れた日の朝、僕は生まれ育った村を出ようとしていた。

 隣にはもちろんティアが、見送りにおじさんとお義母さんが来てくれていた。

 

「悪いなベル、俺達も一緒についていってやりたい所なんだが、諸事情あってあそこには堂々と入ることができないんだ」

「私達もしばらくすればこいつの伝手で都市内に入るが、それまでは二人でなんとか過ごしていろ」

 

 そういう二人の後ろには、旅人の服に身を包み羽付きの鍔広帽子を頭に被った橙黄色の髪をした神が満面の笑みを浮かべながらこちらを向いている。

 

「大丈夫だよ、準備はちゃんとしてるし。何よりティアもいるんだから」

「お前の場合ティアに頼りすぎないようにしろよ」

「い、いやそんなに頼ることにはならないって。……たぶん」

 

 そう言いながら苦笑いをして、道の先を見る。

 どうせまたすぐに会うのだから、長々とした別れの言葉はいらないだろう。

 

「それじゃ、行こっか」

「はい。どこまでもお供いたします」

 

 目指すのは英雄。

 最後の厄災を倒す最強の存在。

 そのために今から向かうのは世界の中心地オラリオ。

 数多のモンスターが湧き出す世界で唯一の大穴ダンジョンを有する、はるか古代から英雄の生まれる地だ。

 いつの日にか憧れていた存在になる為、義母との誓いを果たすため、僕はかの地に向かう。

 見渡す限りの青一面の空に見守られながら、僕は最初の一歩を踏み出した。

 

「行ってきます!」




前の話でアルフィアも出す気だったんだけど区切りの問題で二話に分けることになったわけです。
そんな訳で夜になってまでカタカタキーボード打っている私を想像していただければと思います。

さてようやくベルくんがオラリオに出発しましたね。
これまでで四話。馬鹿みたいに話数稼いだものだと思います。
この後は流石にゆっくり投稿になりますが飽きずに読んでいってもらえたら嬉しいです。
それでは次回の作品で、ゆっくりしてってね。
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