「くっ……なんて強い香り……!」
『アリア、モンスターを早く出せ!』
ブレスレットがそう言うと、アリアはカードを取り出し最も強力なモンスター、スノージャイアントを呼び出す。
「来て! スノージャイアント――」
だがその時、突然ブレスレットが叫んだ。
『しまった! ヤツはまずい!!』
「え、どういうこと?」
アリアの前に立ち塞がるスノージャイアントの巨体を見た瞬間、ブレスレットが叫んだ。
『アイツがなぜレアモンスターと呼ばれているか知っているか?』
「えっと……。確か……すごく強すぎて封印できないからでしょ?」
『相性だ!ローズヴァインの餌はまさに――』
まさにその瞬間だった。咆哮を上げて襲いかかろうとしたスノージャイアントの白毛の上を瞬きのうちに緑の茨が縛り上げてしまう。途端、力を失ったかのようにスノージャイアントはそのまま地面へと引き倒されてしまった。
「な、なにこれ!?」
『やつの茨は獲物の血液を吸い取る能力を持っているのだ。開花している間だけだがな。そして、吸われた者は当然のように力を失ってしまうのだ、怪力の持ち主だろうともな…!』
「つまり、この状態だと私の召喚獣は力を発揮出来ないってこと?」
『そういうことになる』
アリアは必死で考えを巡らせる。だが、いくら考えても打開策は浮かんで来なかった。
(このままじゃ……。)
「そうだ! スライムを呼べば!」
『無駄だ。スライムは確かに草を喰う。だが奴にはほぼ効かない。スライム一匹程度じゃ焼け石に水だろう』
「そ、そんなぁ~」
アリアは焦りを覚える。だが、この状況を打破する手段は思いつかない。
「ど、どうしよう……。何か手はないの?」
『……一つだけある』
「ほんと!?」
『ああ。だが、もし失敗すれば一気に追い詰められる。今のお前ではかなり危険な賭けだ』
「ど、どんな方法なの!?」
『……もう一度スケルトンを。召喚ではなくスノージャイアントに上書きするのだ』
「う、上書き!?」
思わずブレスレットを見ると、宝玉からはいつの間にやら光線がスノージャイアントへ向けて放たれていた。
「な、なにしてるの!」
アリアは慌てて止めようとするも、光は止まることなくそのまま体を貫き続けている。
『早くしろ!ヤツが消えたらおしまいだぞ!』
アリアの目の前には、全身を茨によって巻きつかれ血を抜かれて干乾びていくスノージャイアントの姿があった。
「わ、分かった!スケルトン!」
アリアはその光線へとスケルトンのカードをかざした。すると一瞬スノージャイアントに同じくらいの体格のスケルトンが重なるようにアリアには見えた。それはすぐに消えたが、巨人の姿は変化を始めていた。
まずは肉体が細くなり、次には骨が浮き出るようになっていく。そして、スケルトンの骨とスノージャイアントの肉体が一体化したような形状に変わり、見るからに異様な存在になった。
『合成モンスター、アイスボーンジャイアントだ!』
合成された巨人は自身に絡みつく茨を引きちぎり始める。合成による力の上昇もあっただろうが、その動きには先ほどまでの虚弱さは全く見られなかった。
「そうか…。身体が骨だけの相手からは血液が吸い取れないんだ…!」
『そういうことだ。これで勝てるはずだ。行け!アリア!!』
アリアは立ち上がり、ローズヴァインの方へ駆けていく。スノージャイアントはアリアを守るように立ち塞がった。
「アイスボーンジャイアント、あいつの動きを止めて!」
アイスボーンジャイアントはローズヴァインに飛びかかり、その茎を掴んで抑え込む。逃れようと茎を反らし茨でとどめようとはしていたが、血を吸われることのなくなった巨人はアリアの想像以上の力で抵抗を退け、あっという間にその根を引き抜いてしまった。
「やった……!!」
あっという間の決着。アリアがローズヴァインの元に辿り着いたときにはすぐにブレスレットをかざし、封印することができるようになっていた。
コモン:【ゾンビ】【スライム】【ホーンラビット】【ゴブリン】
アンコモン:【スケルトン】【グリムリッパー】【フローラル】
レア:【スノージャイアント】NEW→【ローズヴァイン】
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