封印のカード【アリアの物語】   作:デアウムウス

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鉄の門番【シールドメイデン】

 アリアが森を抜けたとき、そこにあったのは高い岩壁とその表面の簡単な木製の門、そして…そこに立ち塞がる女性型の彫像だった。

 

「これが……霧の元凶のありかなの?」

「ソノトオリ」

 

 その質問に答えたのはブレスレットではなく、彫像──のように見えたモンスターだった。

 

コノ先ハ我ガ主ノ領域、許可無ク通ル者ナラバ、汝ニ死ヲ与エン!」

 

 そう言うなり彫像はその身に刻まれた魔法陣を輝かせ、全身から冷気の刃を放った! 

 

「きゃっ!?」

 

 咄嵯に身を捻って回避したが、僅かに掠っただけでその部分は凍りつき始めていた。

 

「くぅ……っ!! ねえ、待って! 私達は戦いに来たわけじゃないの。そこを通してもらえれば…」

「ココハ通サヌ、問答無用!!」

 

 アリアの説得にも聞く耳持たずといった様子で、氷の魔人は大きな盾を両手でそれぞれ構えつつ、左手の盾を振り上げた。

 

「……仕方ないか。」

『だろうな。あれは…あの両腕の盾はシールドメイデンか。この手のモンスターは主に忠実だ。ということはやはり、この事件は人為的なものだろう』

 

 勝手に呟いているブレスレットをよそに、アリアはカードを取り出す。

 

「……おねがい、ゴブリン! グリムリッパー!」

 

 アリアの召喚した二体のモンスターが地上と空中からシールドメイデンへ突撃する。

 

「フンッ!!」

 

 しかし、彫像の持つ巨大な盾によってあっさり弾き返されてしまう。

 だがそれは想定内だったのか、アリアは次のカードを素早く取り出す。

 

「続けてお願い! スノージャイアント!」

 

 次の瞬間、地面に出現した魔法陣から飛び出した白い巨人が、シールドメイデンに拳を叩き込んだ。

 だがそれも、大盾によって容易く防がれてしまう。

 

「ムダナコト……。」

「そうかしら? 皆、一斉にかかって!」

 

 アリアの指示に従い、前方から殴り続けるスノージャイアントを助けるべく、シールドメイデンの背後と頭上から襲いかかる。だがその瞬間、三体の中心から彫像の姿が消えた。

 

「!? ……上か! まずい、グリムリッパー!」

 

 アリアが叫んだ瞬間、目標を見失って困惑していたグリムリッパーが地面にたたき落とされた。次の瞬間にはゴブリンの背後に落下音が響き、振り返る間もなくゴブリンが薙ぎ払われる。

 

「え……!?」

 

 一瞬にして仲間達を倒され呆然としているアリアだったが、目の前に現れた彫像の姿を見てハッとする。

 

「そんな…。あんなに速いの…!?」

『個体によるがな。ここまで速いやつはワシも知らん。それより、あの速さはやっかいだ。あいつ、門を守ることを優先して高速移動を使う気はあまり無いようだが、もう一度囲んでも同じことになるだけだ』

「それじゃあどうすれば……」

『そうだな……』

 

 戦況は膠着状態、だが殴り続けるスノージャイアントの側は疲労が見え始めていた。グリムリッパーはすでに消滅しており、ゴブリンはいまだ起き上がれていない。一方でシールドメイデンは盾を構え防御したまま、微動だにしていなかった。

 

(このままだと、押し切られちゃう……)

 

 その時、ふと自分の手に握られたままのカードを見た。そして、あることに思い至った。

 

「……これなら、なんとかなるかも?」

『何か思いついたみたいだな?』

「うん。このカードなんだけど。あいつにばれないように使えないかな?」

 

 アリアが見つめるカード。それは──。

 

『ちょうど良い。()()()()使い方も教えよう。良いか──』

 

 その言葉を聞いてアリアは頷き、すぐに宝玉にかざし、地面に押しつけた。すると腕輪をつけた右腕から茨の束が飛び出して地中に突き刺さって突き進み、シールドメイデンの足下から飛び出す。

 

「ナニッ」

 

 突然の攻撃に対応しきれず、全身を拘束されるシールドメイデン。これこそ新たなカードの使用法、能力の部分発動だった。

 

『よし、今だ!』

「わかった!」

 

 即座にアリアはもう一度一斉攻撃の指示を出し、自らも茨の束を引き上げた。なんとか起き上がったゴブリンとスノージャイアントがそれぞれに渾身の一撃を浴びせる。対してシールドメイデンは盾で防ぐことも躱すこともできず、まともにそれらを受け片方の腕の盾が落下する。

 

「今!」

 

 すかさずスノージャイアントがとどめの一撃を放とうとしたとき、シールドメイデンの両目がギラリと青い光を放った。周囲が冷気で満ち、背後のゴブリンは吹き飛ばされて消滅し巨人も体勢を崩す。

 戦闘前にも放った、このシールドメイデンの奥の手であった。半壊する規模で魔力を使用すればせめてこの侵入者たちを道連れにはできる、そのはずであったが──。

 

「ガッ…」

 

 冷気がアリアに到達する前に、巨人の拳がシールドメイデンの胴を砕いていた。

 

「危なかった…。ローズヴァインの茨も凍り付いて砕けてる。スノージャイアントが氷の属性で助かったわ…」

 

 冷気が消えたのを確認し、アリアは近づいて封印を行う。

 

『しかしこれで中に入れる。おそらく中にいるのは元来無属性のシールドメイデンに氷の魔力附与を行えた魔術師だろう。用心するがいい』




コモン:【ゾンビ】【スライム】【ホーンラビット】【ゴブリン】
アンコモン:【スケルトン】【グリムリッパー】【フローラル】
レア:【スノージャイアント】【ローズヴァイン】NEW→【シールドメイデン】


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