【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ 作:ラットマンΣ
遺体を全て埋葬し、祈りを捧げる。
そうして私達は天を睨む。
脈動する黒白の太陽、そこで待つ千貌道化、そして魔皇を打ち倒さんとする為に。
「ジニス、お願いできる?」
「任せろ。複合魔法展開! 大地よ、我らの行く道となれ!」
ジニスの複合魔法で大地が隆起する。
それはすぐさま形を変え、魔皇城へと続く巨大な階段となった。
「……さぁ、この階段を登り切れば最終決戦になるわ。私達は千貌道化に惨敗した、そして魔皇はそれよりも遥かに強いでしょう。無理強いはしない! それでもついてきてくれる人だけついて来て!」
「当たり前だろ! 負けたまま逃げるなんざありえねぇぜ!」
「ジニスに同意だ。何より魔皇だけでも倒さねばならん」
「……ボクは皆さんとの旅路が1番短い、ですが当然最後までついていきます! 何よりあの道化を生かしておくのは危険ですからね」
「分かったわ、皆んな。それじゃあ魔皇城に突入するわよ!」
私の声を合図に皆で魔皇城へと続く階段を登る。
道中旅の記憶が一つ、また一つと蘇る。
始まりの日、ジニスに出会った日、フェロウと戦い仲間になった日、レストと出会った日、そして……エデに願いを託された日。
たくさんの旅の思い出が蘇る。
私にとっては辛く、そして楽しかった7年間の旅路。
それがどんな形であれ今終わろうとしてる。
例え様のない気持ちが溢れ出す。
だけど、ここで終わらせる。
魔皇を討ち取り、千貌道化を倒し、世界に平和をもたらすために。
そうして階段を登り切ると目前には黒白の太陽があった。
時折脈動し、生暖かく不気味な空気を放つ。
私は息を呑む。
瞬間、黒白の太陽が切り割れて入り口が現れた。
私達は意を決し、中に入る。
するとすぐさま入り口は閉ざされた。
もう戻ることはできない、ならば後は進むだけだ。
内部は宮殿の様になっており様々な巨大な像が鎮座していた。
タコの様な頭と蝙蝠の様な羽を持った巨人、まるで生きているかの様な巨大な火の玉、黄衣を纏った異形の人型、燃え盛る三つ目の巨獣……
そのほかにも無数の悍ましく生き生きとした像が鎮座している。
その中で唯一三つ目の巨獣の像だけが一部欠落しているのに奇妙な違和感を感じながら私達は前へと進む。
道中、魔物はおろか千貌道化も現れる気配すらなかったが私達は警戒しながら道を歩んだ。
そうしてようやく私達は辿り着く。
魔皇が微睡む玉座へと……
そこに居たのは怪物などではなかった。
瞳を閉じて微睡むのは長い銀の髪と左右が歪に伸びた角を持つ女性だった。
彼女は黒い鎧を身に纏い、身長ほどある大剣を床に刺し微睡んでいた。
「あれが、魔皇……?」
「ええ、そうです。我が魔皇でございます」
不意に千貌道化の声が闇から響く。
コツコツと言う足音と共に千貌道化は魔皇の玉座の後ろから現れた。
「さぁ、お目覚めを我が魔皇。よき殺戮を」
その一言で魔皇は目覚めた。