【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ 作:ラットマンΣ
「さて……黒白の太陽は木っ端微塵になったわけだが……」
リリスはそう言いながら、黒白の太陽があった方角を見る。
「やはり無傷か」
リリスがそう言うと同時に空間が裂け、チクタクマンと1人の少女が現れた。
「ンンン、不意打ちとか卑怯じゃないですか?」
チクタクマンはそんな台詞を吐きつつ、その少し後ろから少女は現れた。
リリスに事前に教えられていた人物……この世界の敵、魔皇がそこにいた。
頭部の右側に生えた歪な一本角、漆黒のドレスとその上から身に纏う軽度の鎧。
煌々と輝く銀の髪の毛と深淵を切り取ったような蒼い蒼い瞳。
例えるなら戦う姫騎士、或いは私と同じ様な鎧を身に纏う魔皇からは全く殺意を感じない。
武器すら持たず、ただ"そこにある"だけ。
だが、実態は人類を脅かす超災害。
今の彼女から殺意を感じないのは、封印している人物のおかげだ。
「チクタクマン!それに魔皇!今ここで全てを終わらせる!」
星剣を握りしめ、2人を睨む。
「ワタシは戦う気は無かったが……気が変わった。未来は変えられると教えられたのでね」
リリスはチクタクマンを睨みながらそう呟く。
「師匠、いいのかよ?魔皇は師匠の———
「バカ弟子、だからだ。彼女を倒すためではなく取り戻す為にワタシは戦う。少し手伝え」
「なるほどねぇ……それが師匠が欲しい未来なら、弟子なりに手伝ってやるよ!」
「ジニス……リリス……」
「アリス、最終決戦だ。俺も世界のため命を賭ける……と言いたいところだが、正直勝手に胸が高鳴っている。圧倒的な力を前にして怯えるどころか、だ。故に全力で戦う!」
「フェロウ……」
「私はただ人々の安寧のために戦いましょう」
「レスト……みんな覚悟はいいみたいだね!なら、始めましょう!」
私のその一言が戦いの火蓋を切った。
◇◆◇
「ンンン!4対1とは卑怯では?!」
「バカも休み休み言いやがれ!チクタクマン!」
開戦と同時にアリス以外は全員チクタクマンに攻撃をして魔皇からチクタクマンを分断した。
コイツ、放っておくと何し出すかわからないし何より不死臭え……
だから、全力でコイツを抑える!
「とりあえず凍ってやがれ!」
「なんと?!」
……この反応、凍ったが効いてねえな?!
「なら、斬ってみよう」
そう言って、フェロウは凍りついたチクタクマンを叩き斬る。
「足りんな、虚数空間に食わせる!」
斬った半身を師匠が魔法で別の空間に転移させる。
これだけやれば時間稼ぎくらいにはなるか?
「ンンン、なるほど。それが人類の抵抗ですか、まぁまぁですね」
最悪だ、効いてねぇ。
チクタクマンは虚数空間に消えた自分の身体を無理やり現実空間に引っ張り出して分たれた身体ごとくっつける。
ご丁寧に凍りついた身体も、元通りになってやがるし。
「ははは!いやぁ、愉快ですねぇ!原生生物の足掻きというやつは!ははは、ははは!ははは!」
「おっと、慢心するのもいいですが、後ろがガラ空きですよ?」
「ははは、は?」
レストが奇蹟で自己強化し、背後から心臓を素手で貫く。
……と言うか、お前僧侶だろ?!
そんな荒事できるのかよ?!
「ゴフッ?!……羽虫如きが!」
チクタクマンが手刀でレストを攻撃しようとするが、すでにそこにレストはいない。
……コイツ、前回より弱くなってないか?
不死なのは変わりないが……
「クソ!原生生物の分際で!あまり調子に乗るな!」
「無様だなチクタクマン、どうやら
「黙れ!」
「当たりだな、チクタクマンは今が1番弱い!全力で畳み掛けるぞ!」
どうやら、チクタクマンは力の殆どを魔皇に奪われたらしい。
なら、ここからは俺の出番だ!
◇◆◇
「行くぞ!魔皇!」
「…………」
私の声に対して魔皇は無反応だ。
だが、関係ない。
全力で倒す!
「
リミッターを解除した
しかし、それでも魔皇は動かない。
「…………」
魔皇が光の本流に飲み込まれる。
その刹那、魔皇は瞳を閉じる。
そして……
「え?」
「…………」
何も起きなかった。
魔皇は無傷でその場に立っていた。
……なら、次は物理で斬りかかるのみ!
「行くぞ!」
脚に力を込め、大地を蹴り上げ距離を一気に詰める。
そうして
貫いたはずだった。
「ぐぅぅぅ?!私が貫かれてる?」
魔皇に間違いなく攻撃したのに、私がダメージを受けている。
何かがおかしい!
とにかく、距離を取らなくちゃ……
「…………」
魔皇は動かない、ただ私を虚な目で見つめている。
「……ッ!」
どうにかもう片足で飛び退いて距離は取れた。
今の2回の攻撃から察するに、魔皇には攻撃そのものが効かないようだ。
……どうする?
チクタクマンが4人相手に遊んでいるのは魔皇が倒されないからだ。
魔皇さえ……正確には魔皇を封印している彼女さえ
そうすれば、本当の魔皇が世界を塗り潰す。
だから彼女が魔皇を封印しているうちに倒さなければならないのに、手がない!
「…………」
魔皇は動かない。
ただ虚な瞳でこちらを見ている。
攻撃は意味がない。
対話もできない。
そしてチクタクマンの余裕を見るに時間もあまり残されていない。
どうすれば……
◇◆◇
「おい、ジニス。魔皇の方見る余裕はあるか?!」
リリスがジニスに向かって叫ぶ。
「はぁ?!このバカみてえな攻撃捌きながら見る余裕なんてねえよ!」
ジニスの言う通り、チクタクマンは虚空から漆黒の刃を生成し、それをジニス達に向かって弾丸の如く乱射して攻撃している。
「そうか……やはりチクタクマンのやつ、ワタシ達を魔皇の処理に行けなくするのが目的か!」
リリスはチィと舌打ちをする。
「二手に分かれて個別に討伐するのは元々の作戦通りだろ?確かに魔皇の方は案の定手こずってるみたいだが……」
「根本的ミスだな、
「ンンン!よそ見をしている余裕があるとは!もう少しギアを上げましょうかね!」
その言葉を聞いてチクタクマンは上機嫌に刃を増やした。
「……つっても、チクタクマンもこっちを逃す気はないみたいっすねぇ……」
ジニスの額に汗が流れる。
「全く、面倒なやつだ……アリスだけじゃ魔皇の突破は無理だ……なら!」
リリスはパチンと指を鳴らす。
「うおっ?!なんだこれ?!」
瞬間、ジニスは漆黒の穴……次元の裂け目に落ちていく。
「空間転移だ。ジニス、アリスのサポート任せたぞ!」
「させるものか!」
チクタクマンがジニスに向かって弾丸の如く刃を乱射する。
しかし……
「おっと、お前の相手は俺たちだぞ?」
フェロウがその大鎌で乱射された刃を撃墜する。
「くっ……野蛮なエルフ風情が!」
「悪魔もいますよ!」
続け様に、死角からレストが現れ、奇蹟で強化した拳でチクタクマンの胴体を殴り抜く。
「ぐっ……僧侶のくせにここまで肉弾戦が得意だとかなんなんですかアナタ?!」
チクタクマンは虚空から漆黒の刃をレストに向けて乱射するが、レストは全てを避けて距離を取る。
「あばよ!チクタクマン!」
そう吐き捨ててジニスは次元の裂け目の中に消え、裂け目は閉じられた。
◇◆◇
「うおっ?!魔皇!!!……何もしてこないな」
「ジニス!」
次元の裂け目が開きジニスは魔皇の目前に現れた。
「アリス!足大丈夫……じゃねぇよな。とりあえず縫合する」
「ありがとう……で、魔皇なんだけど……」
「ありゃめんどくせえな、何重にも現実改変の魔法が張り巡らされてやがる」
「現実改変の魔法?」
「ああ、師匠と研究段階だった魔法だ。言っちまえば自分の思い通りの結果を出す魔法だ」
ジニスの話を聞いて理解した。
そんな魔法が相手じゃ私の攻撃は通らない筈だ。
だけど、そんな都合のいい魔法を持っていながらやるのが防御だけ?
何か嫌な予感がする。
「ジニス、あの魔法どうにかできる?」
「時間かけりゃなんとか。だが、"時間が足りない"だろ?」
私の心を読んだようにジニスが言う。
その通りだ。
時間がない、彼女の
彼女が自滅して仕舞えば全てが無意味だ。
だから……
「ジニス、どんな手段でもいいから魔皇に私の攻撃を当てることはできる?」
「無茶な注文しやがる……ああ!やって見せるさ!」
「オーケー!じゃあ……行くよ!!!」
これで彼女を終わらせる!