【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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光満ちる新世界へ

1人の魔法使い(えいゆう)によって最後の柱は砕かれた。

後は私が倒されれば、術式は発動し邪神の世界(神話世界)の侵略は無かったことになる。

後少し、ほんの少しでいい。

意識を保て、かの白痴盲目の最高神を拘束して時間を稼げ。

意識を……

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

あぁ……また守れなかった!

大切なものを守れなかった!

だけど、泣いてる暇なんてない。

ジニスがその身を贄としてチクタクマンを倒したんだ!

だから、私はあの少女を……魔皇を倒して全て終わらせなきゃならないんだ!

立ち上がりなさい、私!

剣を持って、突き進んで、この悲しい物語に決着をつけるんだ!

 

「え?」

 

立ち上がった瞬間、世界が黒く塗りつぶされる。

何が起きたのか理解できない。

しかし、ある一声で状況を理解する。

 

「はぁ……はぁ……アリス!無事だな!フェロウとレストはワタシの近くに居たから間に合ったが、キミはわからなかった!」

 

賢王様(リリス)が声を荒げて確認する。

 

「賢王様、ここは……」

 

「ワタシが作り出した虚数空間の中だ。今、外の映像を見せてやる」

 

そう言って賢王様は外の世界……私達がさっきまでいた場所の映像を空間内に映し出した。

 

「何……これ……」

 

そこに映し出されたのはあ(・)り(・)え(・)な(・)い(・)光(・)景(・)だ(・)っ(・)た(・)。

地表は焼け溶け、宙はひび割れ、星の一部が消し飛んでいた。

 

「一体何があったんですか?!」

 

賢王様に問う。

 

「……魔皇が我々を攻撃した。その結果がこれだ」

 

「でも、魔皇は少女に封印されて動けないんじゃ……」

 

「多分、主導権が魔皇に移ったんだろう。もう封印も限界みたいだ。だが———

 

賢王様は少し沈黙した後に続けた。

 

「今がチャンスだ!もう魔皇も後がないから主導権を奪ってまで攻撃を始めたんだろう。ワタシの未来視で曖(・)昧(・)だ(・)が(・)魔皇が倒れたビジョンが視えた!だが、この未来は揺らいでいる。ワタシ達が全滅するビジョンと魔皇が倒れるビジョンが常に移り変わっている!こうなってしまっては未来視は役に立たん!まぁ……つまりは運命の分岐点に我々は居る!勝って世界を救うか、負けて世界を奪われるか、そのどちらもあり得る状況だ」

 

その言葉を聞いて私の覚悟が決まる。

 

「勝ちますよ、絶対!あの少女も!ジニスも!みんなが全てを賭けて作ったチャンスなんですから!」

 

「わかった、フェロウとレストは限界だ。この空間で安静にしてもらう。アリス、ワタシと共に戦ってくれ!」

 

「はい!必ず勝ちましょう!」

 

そう言って私と賢王様は虚数空間から通常空間へと戻った。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「来るぞ、アリス!」

 

通常空間に戻って早々に星を焼き尽くすほどの魔力が込められた光線が降り注ぐ。

 

「なっ……」

 

「結界を張る!30秒だけ時間を稼ぐ、その間になんでもいいから魔皇を倒せ!」

 

無茶苦茶なことを言ってくれる!

けど、やるしかない!

私は魔皇に向かって突進する。

光線はめちゃくちゃに放たれ、地表を貫き、星を破壊し尽くす。

考えてる暇はない、星剣(ノーデンス)のリミッターを完全解除し、ありったけの魔力と生命力を込める。

私は死んでもいい。

だけど……

だけど、世界は救う!

70億年の悲しみの歴史を今、断ち切る!

 

「星剣(ノーデンス)解放!星の光よ!邪悪を断て!」

 

極光を纏った刀身から光のエネルギーが放たれる。

星を焼く光線すら吸収し、魔皇を光が包み込む。

 

「———」

 

それでもなお、魔皇は倒れない。

消滅した箇所からすぐさま再生し私に近づいてくる。

 

「ぐっ……あああ!!!」

 

更に魔力と生命力を込める。

サタンとの契約で得た魔力も全て。

それでもなお魔皇は崩れない。

そして……

 

「———」

 

私の頬に魔皇の手が触れた。

瞬間、全身の力が抜ける。

星剣(ノーデンス)の光は消え、私は地に伏せた。

 

「あぁ……クソ!動いてよ!」

 

そう叫ぶが、体は動かない。

 

「———」

 

魔皇はただ立ち尽くしていた。

そして、私を見つめていた。

 

「———」

 

魔皇は私から星剣(ノーデンス)を取り上げる。

あぁ……ここまでなのか……

 

「———」

 

そして、魔皇は星剣(ノーデンス)で自らの胸を貫いた。

 

「え?」

 

魔皇の身体は光の粒子になって少しずつ消えていく。

同時に、星が光に包まれる。

眩い光が世界を覆う。

そうして———

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ここは……」

 

私は光満ちる世界に立っていた。

そうして目の前には1人の少女が立っていた。

70億年の間、魔皇を封印していた少女が。

 

「ありがとう、名前も知らないあなた。あなたの……あなた達のおかげで世界は救われた。光満ちる新世界に祝福を———

 

そう言って少女は消え、視界は光に包まれる。

次の瞬間、私は美しい緑の平野にフェロウとレスト、賢王様と共に倒れていた。

宙は美しい青色で世界は色彩に満ちた美しいものになっていた。

 

「……どうやら、終わったらしいな」

 

賢王様がそう呟く。

 

「そう……みたい……です、ね」

 

あぁ……なんだか眠いや……

生命力を全て注いだから当たり前か。

けど、これなら悔いはないな。

そうして、私の意識は闇に消えた。

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