【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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二章-2 天獄編
永き微睡の果てに


 永い、永い刻が経った。

 私は魔皇として君臨し民を、友を、愛する人を殺し尽くした。

 幾星霜待ち続けた。

 魔皇(わたし)を倒す勇者が現れるその時を。

 そうして現れた勇者によって魔皇(わたし)は打ち倒された。

 後は、そう、地獄に落ちるだけ。

 魔皇(わたし)の罪は許されるものでは無い。

 魔皇(わたし)は裁かれなければいけない。

 友を殺し、愛する人を殺し、無辜の民を殺し尽くした魔皇……蒼葉アキルは裁かれなくてはならない。

 68億と幾千年、人類を脅かした大罪人には相応しい結末だ。

 ああ……けれど、それでも願って良いのなら……こんな大罪人に許されるなら、もう一度みんなに会いたかったなぁ……

 そうして私は黒の螺旋を落ちていく。

 地獄へと繋がるであろう道の最果てを目指し、ただ落ちていく。

 果てがあるのかすら分からない黒の螺旋。

 誰もいない孤独な一人旅。

 処刑台へと続く道を一人落ちていく。

 一体どれほどの時が経っただろうか、不意に身体が叩きつけられる。

 どうやら終着点についたらしい。

 

「お久しぶりですね、お嬢様」

 

 懐かしい声が響く。

 忘れもしない声、私が愛した声が。

 すぐさま声の方向に顔を向ける。

 そこには()が立っていた

 

「……クリス」

 

 当時と変わらない姿でクリスはそこに立っていた。

 優しい笑みを浮かべ私の名前を呼ぶ。

 

「お疲れ様、アキル」

 

「うぅ……あぁ……」

 

 上手く言葉が出せない。

 涙が溢れ、膝から崩れ落ちる。

 こんなことあるはずが無いのに……私みたいな罪人にこんな……

 

「さぁ、涙を拭いて。みんなが待ってますよ。さぁ、手を」

 

 そう言うとクリスは私に手を差し伸べる。

 あぁ、例えこれが嘘や罠でも構わない。

 私はクリスの手を取りゆっくりと立ち上がる。

 そうしてクリスに連れられるまま白い光の方へと向かっていった。

 長い道のりの中、クリスと言葉を交わす。

 

「忘れていてごめん。アキル」

 

「クリスが謝ることじゃ無い! 私の……私の責任だ、私のせいでみんな……」

 

 脳裏に戦いの記憶がフラッシュバックする。

 68億年の間殺し続けた記憶。

 そしてクリスを貫いたあの時の記憶も……

 

「……アキルは優しいからきっと辛かったでしょう。だけど……だからこそ真に魔皇(アザトース)に犯されなかった。おかげでこの世界はアザトースと完全に切り離された。もう誰かが怯える事はないんですよ」

 

「……それでも私は許されるべきじゃない。こんな結末を迎えて良いはずが無い」

 

「アキル……いや、これ以上の事はこの先で考えましょう。さぁ、そろそろ着きますよ」

 

 光がより一層強くなる。

 その先に見えたのは本等に書かれている天国と呼ばれる場所そのものだった。

 いや、語弊がある。

 天国と地獄が混ざり合ったような場所というのが正しいか? 

 それにしても地獄の要素はだいぶ薄く感じるが。

 

「それでは改めまして。ようこそ()()へ」

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