【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ 作:ラットマンΣ
あれからどれだけこの岩穴で暮らしただろうか?
幸い人は来ない。
腹は減るが死んでる以上関係ない。
私はただ、無意味にここに居続ければいい。
そう思っていた。
「よう、アキル。久々じゃねぇか!」
あの荒れたマントの
「で、いつまで引っ込んでるんだよ魔皇サマ?」
「その呼び方やめて……」
「まぁ、そうだろうな。大体の話はクリスから聞いてる。お前もバカだよな! 自分で苦しめた連中が許してくれるとでも思ったわけ?」
「…………」
「マジか……ちと能天気すぎるぜ? ま、アタシも似たようなもんだ! 十万殺しのケイトちゃんは恨まれまくってたぜ? 全員嬲ってやったけど」
「…………」
「…………ヘイ、会話しようぜアキル? 68億年ぶりの再会だぜ? 楽しく行こうじゃねぇか?」
「そう言う気分じゃないのよ……」
「暗いねぇ、良い顔が台無しだ。別に十王街いきゃ良いじゃんか? 恐れられた所でお前はお前、だろ?」
「私が行けば彼らは怯えるでしょう。死後まで怯えて暮らすなんて理不尽だわ」
「んー、別に良いんじゃね?」
ケイトの予想外の言葉に呆気に取られる。
「最初は怖がられるだろうけど、お前から何もしなけりゃそのうち落ち着くと思うぜ? と言うか、一応世界を救った英雄様だろ? 好きに生きろよ! いや、死んでろよが正しいか?」
「……そんな事できないよ、私には」
「だぁぁぁぁ! めんどくせぇな! とりあえず来いや! その後は
「でも……」
「でももだってもクソもないんだよ! アンタはどうしたいんだ? ずっとひとりぼっちがいいのか?! あ?!」
「私は……私は、昔みたいにみんなといたい!」
「ならついて来い!」
言われるがままケイトに引っ張られて岩穴の外に出る。
久しぶりの日差しは酷く眩しく目が痛い。
けど、悪くない。
「ほら、行くぞ! バカみたいな辺境の地選びやがって! 一週間は歩くからな!」
そう言いながらもケイトは笑っていた。
私はケイトと一緒に天獄の砂漠地帯をひたすら歩き続けた。
そうして一週間後、『十王街』に到着した。
「また魔皇が……」
バンっと銃声が轟く。
『十王街』の住民は皆黙る。
「よう、紳士淑女にクソ野郎ども!
静寂が訪れる。
誰もが皆黙り込む。
その中をケイトに引っ張られ、私は後ろから続いていく。
人々は皆道を開ける。
感じるのは恐怖と畏れ。
無理もない、私は魔皇だったのだから。
そうして私は『十王街』の一番奥にある見覚えのある屋敷に連れて行かれた。
「さて、と。久しぶりに全員揃ったな!」
ケイトはそう言って私に語りかける。
あぁ……あぁ!
見間違えるはずがない!
この屋敷はみんなと過ごした、あの屋敷そのものだ!
「とりあえず、メンツ揃える前に一言だけ。おかえり、アキル」
ケイトは慈しむような顔と声で私に語りかける。
「うん……うん! ただいま!」
私の表情は涙でグチャグチャで、でも、それでも!
私はやっと帰って来れたんだ。
みんなの元に!