【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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天獄からの使者

 ———翌朝 アリスの家にて

 

 ……何で生きてるんだ私? 

 昨日死んだんじゃなかったっけ?! 

 

「あ、起きましたか? なら貴女も席につきなさい」

 

 声の方を見ると昨日の少女がシスター服で佇んでいた。

 

起動・破壊剣(スイッチオン・ブレイカー)

 

「アリス、ストップ!」

 

 ジニスが不意に止める。

 

「昨日はすいませんでした」

 

 少女は礼儀正しくお辞儀をして謝る。

 

「……敵意は感じない。いや、昨日も感じなかった。アナタはなんなの?」

 

「申し遅れました。私は天獄からの使者、名を神手(かみて)静葉(しずは)。どうぞよろしくお願いします」

 

「カミテシズハ、シズハ……シズハ?! 二大聖女のシズハ?!」

 

「あら、今そんな感じになってるんです?」

 

 驚くのも無理はない。

 何せカミテシズハと言えばこの世界で最も信仰されている宗教、『教会』に伝えられる神話に登場する英雄だ。

 神話では二人の聖女、クレアとシズハは魔皇と戦いあと一歩の所まで追い詰めたとされている。

 そりゃ化け物みたいに強いわけだわ。

 

「でも、昨日襲ってきたのはなぜ?」

 

「あぁ、言ってしまえば力試しです。私の力が現代に通じるのかと貴方達勇者パーティーが此度の異変を解決できるに値する力があるかを見定めるためにやらせて貰いました」

 

「なるほど……それで結果は?」

 

「合格です! いや、正直アリス(貴女)は別の意味で難ありですが……」

 

「むぅ……1番善戦したのに!」

 

「本当に昨日のクレイジーな勇者ですか貴女? 大分まともそうですけど……」

 

「なにおう! 私はマトモです!」

 

 いくら何でも失礼だ! 

 私は至ってマトモです! 

 シズハは絶句してるけど! 

 

「ま……まぁ、それはそれとして作戦会議を開きましょう」

 

 シズハは手をパンパンと叩きテーブルに皆を座らせる。

 と言うか、みんなの傷が治ってる! 

 あれか! 

 昨日やってたやつか! 

 

「さて、皆さんには私が調べた結果を公開しましょう」

 

 そう言ってシズハは資料をマドホから出した。

 と言うかマドホ持ってるんだ……

 

「私が調べた限りだと、魔薬は世界全土に広がっています。主な材料はミ=ゴの脳髄、ショゴスの目玉、シャンタク鳥の羽、その他多数の薬品と魔術、そして……ニャルラトホテプの細胞です」

 

「……ッ! ニャルラトホテプ! けど、アイツは魔皇と倒した筈……」

 

「おそらく別個体でしょうね。魔皇……アキルによってアザトースの神話(世界)と私達の物語(世界)は完全に切り離されました。しかしながら少数ですがこちらの世界に残ったものもいます。暫定的に『薬』のニャルラトホテプと呼称しますが、それが今回の主犯と見て間違いないでしょう。ただ……」

 

 シズハは難しい顔をして少し考えた後話し始める。

 

「目的がまるでわからないんですよね」

 

「どう言うことだ?」

 

 ジニスがシズハに問う。

 

「ニャルラトホテプは()()()()の神です。故に退屈凌ぎに好き放題人類(私達)を道具にして遊ぶのです。ですが今回は明らかに違う。魔薬の製造、流通ラインをわざわざ確保して少量流すのは余りにもしょうもない。アキル的に言えば『派手さが足りない』」

 

「それ含めての遊びなのでは?」

 

 レストがシズハに問う。

 

「その線も考えましたが。何だかしっくり来ないんですよねぇ。アレ、やる時は徹底的にやるタイプですから」

 

 みんなして頭を抱える。

 ニャルラトホテプ……魔皇が狩りきれなかった残党……うーん……

 

「うん! わかんないや! とりあえず『薬』のニャルラトホテプ見つけてぶっ倒せば解決だ!」

 

「いや、それはそうなんですが……」

 

 シズハが困惑しながら答える。

 

「まぁ、とりあえずシズハもご飯食べよ! そしたら冒険だ!」

 

 シズハは困ったような笑顔をしながら納得する。

 そうしてみんなで朝ごはんを食べて冒険の準備をするのだった……

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

「やっと動き始めましたか。では、そろそろ次のフェーズに移行しますか」

 

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