【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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教導国サクル

「と言うわけで、私たちが次に目指す場所は教導国サクルです」

 

 シズハがみんなに告げる。

 

「教導国って『教会』が運営してる南の方の国だっけ?」

 

「はい、その通りです」

 

「何で教導国なの? あそこ平和そのものだよ? 他宗教にも寛大だし……」

 

「教導国は魔皇の時代からずっと『安全圏』にありました。魔皇側からして無理に攻め入り価値がないからです。何せ魔皇の領土は北、教導国は南、根本的に距離が離れすぎている。故に他ニ国、ヨクドとジニムほどの侵略は受けずにいた」

 

「まぁ、はい」

 

 私は頷く。

 実際、ジニムもサクルも旅の途中に寄らなかった。

 ジニムはともかくサクルは完全な安全地帯、魔物が仮に出ても街の聖職者達で太刀打ちできるからだ。

 ジニムは国家の武力が強く、同様に自力で魔物を退けられていた。

 だから私達はできるだけ最短のルートで魔皇城攻略ができたわけだ。

 

「さて、なぜ教導国を目指すかと言うと正直勘ですね。()()()()の『教会』は結構碌でもないことをしていたので、その性質を引き継いであわよくば神の奇蹟の再現でもしてようものなら国ごと潰します」

 

 シズハは冷徹に語る。

 いくら何でもそれはやりすぎだしそんなことないと思うけどなぁ……

 

「と、まぁこれは私怨が混じってましたね。実際問題現在の大陸事情を考えると犯人が身を隠すならサクルが1番ですから。ヨクド領内は既に魔薬の売人は見つけ次第確保の方針ですし、ジニム領内はまだ魔薬が入ったと言う情報こそ無いですが警戒しています。対してサクル領内は以前不明。他ニ国との連携も取れていないのが事実です。なので直々にこちらから出向く必要があるのです」

 

「なるほど、だいたいわかったわ! みんなも異論ないよね!」

 

「なし」

 

「同じく」

 

「俺もだ」

 

「じゃあ全員同意ということで教導国サクルを目指して旅しますよ! だいたい一ヶ月はかかるからそのつもりで!」

 

 シズハはそう言うと荷物の整理を始めた。

 私達も荷物をまとめよう。

 それにしてもサクルか、初めて行く場所だからワクワクするなぁ! 

 ちょっとした旅行気分だ。

 世界の緊急事態だって言うのにこんなにうわついちゃダメなんだけどみんなとまた旅ができるのが楽しくてしょうがない! 

 また、あの頃みたいな旅が出来るのかな……

 そんなふうに考えてた時期が私にもあった。

 この先に待ち受けるのは苦痛と困難に塗れた地獄の旅路。

 そこに救済(救い)はなく、あるのは果てしない絶望だけの旅路。

 正直、私は腑抜けていたんだと痛感させられた……

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