【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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魔薬の売人は……勇者?!

「ふあぁ……」

 

 鳥の鳴き声で目が覚める。

 ここ数週間何にもないや。

 けど、平和なのは良いことだ。

 あー本当に……

 

「動くな! 王国兵だ! 貴様ら全員ついてきてもらうぞ!」

 

「へぇやぁ?!」

 

 静かな朝は一瞬にして幕を閉じた。

 私達の部屋に入って来たのは王国兵、この国最大の武力組織だ。

 

「えっと……何かの間違いじゃないかなぁ?」

 

「黙れ! 悪き勇者め! 貴様らは全員投獄する!」

 

 王国兵達が殺気立つ。

 多分ジニス達の部屋もこうなっているんだろう。

 事情はわからないが下手に抗戦して事態を悪化させる方が愚策だ。

 

「分かった、分かったから」

 

 そのまま私達4人は手枷をつけられて王都にまで連れて行かれた。

 

 

 

 ———王都地下牢にて

 

「で、なんでこうなった訳?」

 

 私は面会に来た大司祭に問う。

 

「何故って、貴方達が魔薬を売り捌いていた犯人だからですよ。勇者アリス」

 

「は?」

 

「まぁ、正確に言えばもう時期そう言う事になると言うだけですがね」

 

「……嵌められたってわけね。どう言うこと! 大司祭!」

 

「魔薬は救いなんですよ勇者アリス、あなた方の様に秀でた者でなくとも力を手にすることができる。これほど素晴らしいものはない! ……だと言うのに貴方達は私の魔薬を根絶しようとしている。いけない、それはいけない! せっかく死に体のニャルラトホテプを捕まえて作り出したこの魔薬、これを全人類に与えなくてどうするのですか!」

 

「……それがあんたの本性ってわけね。ならさっさと止めなくっちゃ!」

 

「牢に入れられて何ができる。その牢は特別性、内部の人間の力と魔力を極限までゼロにする。貴方達はすでに出ることができないのですよ。その中で今日という祝いの日を眺めていなさい」

 

 そう言って、大司祭はその場を後にした。

 祝いの日って一体なんだ? 

 いやそれよりも今はここから出るのが先決! 

 

「……いるんでしょ! 早く出して!」

 

 その声に反応してシズハが姿を現す。

 

「静かに! 警備が厳重なんですから! それとかなりまずい状況ですよ!」

 

「移動しながら聞く! みんな出るよ!」

 

 そう言って全員で脱獄した後、警備を掻い潜りながら場内を駆け巡る。

 

「単刀直入に言うとこの国の国民全員が魔薬を服用しました! 街は大パニックですよ! 全く、いつの時代も教会は……」

 

「はぁああ?! なんでわざわざそんな事……」

 

「私にも訳が分かりませんよ! とにかくまずは街に……ッ!」

 

 瞬間、城が地響きと共に倒壊を始める。

 間一髪のところで私達は外に出ることが出来たがそこで見たのは悍ましい光景だった。

 街を跋扈する白い巨人達、悲鳴。

 そして倒壊した城からは痩せ細った顔のない城ほどの大きさがある白い怪物がいた。

 

「はは、ははは、ははははは!!! 遂に遂に遂に辿り着いた! 神の領域へと辿り着いた! 私が! 私こそが神だ!」

 

「その声! 大司祭か!」

 

「ん? あぁ、勇者ですかちょうどいい世界の終わりの前に貴方達に終わりを差し上げましょう!」

 

 瞬間、白い閃光が放たれ身体中に激痛が走る。

 何が起きてるのかわからない。

 しばらくして意識を取り戻すとみんなが倒れていた。

 ジニスもフェロウもレストもシズハも誰もぴくりとも動かない。

 大地は焼け果て、白い巨人がこちらに向かってくるのを這いつくばって見ていることしかできない。

 

「なん……で……」

 

 立たなきゃ、私が立ってみんなを助けなきゃいけないのに! 

 けど、もう限界だ。

 身体が動きやしない。

 このまま私達は死ぬ……のか。

 

「その程度か勇者? ならば其処でのたれ死んでおけ!」

 

 瞬間、カァンと言う音と共に無数の斬撃の嵐が飛んだ。

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