【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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小さくても陰陽師です!

「ここが京都……!」

 

 アキルの口からそんな言葉が漏れる。

 人生初の京都、と言うのも手伝い既にテンションはMAXだ。

 

「喜んでもらえて何よりです! ですが観光はまた後で、先に私の友人と合流しましょう」

 

「コホン、そうね。我ながら少しはしゃぎすぎたわね……」

 

 そうして二人は友人との待ち合わせ場所である駅前広場に向かう。

 周囲を見回すと小学生くらいの少女と目が合う。

 こちらに気づいた少女は手招きしながらぴょんぴょんと跳ねる。

 

「お、居ましたね」

 

 そう言うと雪奈はアキルの手を引き少女の元へと向かう。

 

「久しぶり、光美(ミツミ)!」

 

「久しぶり、雪奈(せつな)!」

 

 しゃがんだ雪奈は光美と呼ばれた少女とハイタッチをする。

 

「えっと……」

 

 名乗るタイミングを逃したアキルに気づいた光美はハッとした顔をしたのち改めて自己紹介を行う。

 

「失礼しました。わたし、神代光美(かみしろミツミ)って言います! アキルさんのことは雪奈から聴いてます! よろしくお願いします!」

 

 そう言って屈託のない笑顔をアキルに向けた。

 

「これはご丁寧にどうも、改めて、私は蒼葉(あおば)アキルよ。よろしくね光美ちゃん!」

 

 が、光美はムッとした表情をしている。

 

「わたし、これでも雪奈と同い年なんですよ?」

 

「へ?」

 

 予想外の返答にアキルは一瞬混乱した。

 無理もないなぜなら光美の外見はどれだけ高く見積もっても普通の小学三年生と同じくらいなのだ。

 

「まぁ、色々理由があるので構わないのですが……」

 

 ただ……と付け加えた後光美は叫ぶ

 

「絶対にちっちゃいって言わないでください!」

 

 両手を上げて目を瞑り口を大きく開くポーズをとる。

 が、その姿はどう頑張っても小動物の威嚇にしか見えない。

 

「……」

 

「……」

 

 しばしの静寂の後光美が口を開く。

 

「えっと……もしかして滑っちゃいました?」

 

 あれぇ? と言わんばかりに首を傾げる光美。

 

「おっかしいなぁ……割とこれやればいい感じになるんだけど……」

 

「えっと、私を気遣ってくれたのよね?」

 

 アキルが光美に尋ねる。

 うん、と光美は頷いた。

 

「ありがとう、その……本気でコンプレックスにしてたら失礼だと思って……その、後で大変なことになっても嫌だし……ね?」

 

 自身の横にいる雪奈に目線を向けながらアキルはそう答える。

 

「大変なこと……あっ……」

 

 光美はアキルと雪奈の胸部を見比べた後、確かに雪奈ちゃんは()()関連は激おこになるからなぁ……などと思った後、それ以上は言及しなかった。

 そんな光景を見て雪奈は少し不思議そうにしていた。

 

 そんなこんなで一行は宿泊地でもある光美の自宅まで向かったのだが……

 

「デッッッカ……」

 

 思わず声に出てしまうほどの厳かでそれでいて歴史を感じさせるお屋敷、アキル達が住む屋敷とはまた違った威圧感にも似た雰囲気を放つソレにアキルは圧倒されている。

 

「私先に行って部屋の準備しておきますね! 光美もアキルさんとお話ししたいって言ってましたし、二人はまったりしていてください!」

 

 わたしの家なんだけど⁈と光美が言い終える頃には雪奈の姿は見えなくなっていた。

 とアキルを尻目に雪奈はそそくさと屋敷の奥へと行ってしまった。

 こうして二人っきりになったアキルと光美だが、いかんせん初対面の相手同士で何を話したものか、とアキルは思考を回し始める。

 そんなアキルに対して不意に光美は話し始める。

 

「アキルさんって陰陽師だったりします?」

 

「……何のことかしら?」

 

 あまりに脈絡のない質問。

 しかし、その眼差しは真剣そのものだ。

 

「違ったらごめんなさい。でも、霊力の回り方が普通の人とはあまりにも違うので、もしかして同業者だったりして……なんて思って」

 

 霊力とは聞き慣れない言葉だ、とアキルは思ったが一つ思い当たる節があった。

 その一言を聞いてアキルは右手に魔力を回す。

 副王(ヨグ=ソトース)の拳を再現する大魔術とまでは行かないものの、彼女にもこれが視えているなら……

 

「……‼︎」

 

 光美の目の色が変わり、右手に視線を向ける。

 なるほど、彼女の言う霊力とはどうやら魔力を指しているらしい。

 納得の行ったアキルは先程の光美の質問に答えた。

 

「私は陰陽師ではないわ……私はね、魔術師よ」

 

 嘘偽りなく誇らしげにアキルは告げる。

 本来なら、アキルは自ら魔術師である事を馬鹿正直に答えたりしないだろう。

 しかし、この短い時間の中でアキルは光美に親近感にも似た感情を抱いていた。

 何より、魔力を光美が視認できている以上隠したところで意味が薄いと言う理由もあるが……

 一方、光美の反応はと言うと。

 

「へ……へぇ……」

 

 あっ、この人ちょっと痛い人かも知れない……と言わんばかりの反応。

 表情はなんとも言えない状態だ。

 

「本当よ! 本当に!」

 

 想定外の反応にぶざ……必死になってアキルは訴える。

 が、そんなアキルの反応を見て思わず光美は笑いをこぼした。

 

「ふふふ冗談ですよ、ちょっと意地悪しちゃいました」

 

 無邪気な笑顔でそう答える。

 

「むぅ……まぁ、いいけど」

 

 口を少し尖らせながらアキルは不貞腐れた様に言う。

 

「拗ねないでくださいな、久しぶりに雪奈以外の人が来たのでわたしも浮かれちゃったんです」

 

 その後も二人は話を続けた。

 雪奈のことや他愛もない日常の話をする内にすぐに二人は仲良くなっていった。

 そんな二人を遠目に見守る雪奈、そんな光景を見てふと笑顔が溢れる。

 部屋の準備はできたけれど、もう少しだけあの楽しそうな二人を見ていよう。

 何せ、アキルも光美も心から楽しそうに笑っているのだから……

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