【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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一章-3 機神同盟
プロローグof機神 同盟結成!ロマンの誓い!


 京都市内のとある病院にて。

 白衣を着た目の下に深いクマを作ったボサボサの銀髪の少年が病室へと入る。

 病室には三人の少女がベッドで横になっており、他に患者はいない。

 この三人の少女……蒼葉(あおば)アキル、不知火雪奈(しらぬいせつな)神代光美(かみしろミツミ)は先の大災害の関係者であり、尚且つアキルと雪奈はこの少年とは面識がある。

 

「んで、実際どうなのよグレン?」

 

 アキルが疲れ切った声で少年……グレン・フォスターに問う。

 

「とりあえず、率直に検査結果を伝えると、命に関わる様なものはないが当分は三人とも安静な? 正直、生きてるのが不思議なくらいだぜ? 聞いてた話じゃ全員ほぼ死にかけだったんだがなぁ?」

 

「それについては私が」

 

 グレンの話に割り込む形で光美が説明を始めた。

 

「確かに私たちは死にかけていました。より正確に言うなら私とアキルさんはほぼ死んでいました。ですが、私の式達がその身を削って回復してくれたんです。式神は生命エネルギーそのもの、要は私達は彼らに命を譲渡された結果生きながらえることができたんです」

 

「なるほどねぇ……」

 

 グレンの口から言葉が漏れる。

 

「あまりにもオカルト的で信じてもらえないですかね?」

 

 光美は少し困った顔をしてそう呟いた。

 

「いや、確かに信じ難いが結果として治っちまってるんだ、信じるしかねぇだろうよ。それに俺は案外オカルトとかも信じてるんだぜ? 何せそこでベッドに横たわってる我が家のご主人様がオカルトの塊みてえな奴だしな!」

 

 そう笑いながらグレンは話す。

 

「まぁ、生きててよかったじゃねぇか。死ななきゃそれが一番さ」

 

 優しげな顔でそれでいて真面目な声でグレンはそう説いた。

 

「とにかく、後のことは俺たちにまかしときな! 日本国異能研究所(へんじんども)の奴らの対応はクリス達が引き継いだし、ケイトも明日にゃこっちに来るとよ。事後処理とか気にせずお前らは回復に努め……」

 

 グレンが言い切る前に何もなかったはずの床へと落ちていく。

 グレンが立っていた場所には光の見えない漆黒の円だけがあった。

 

「「「……‼︎」」」

 

 三人がベッドから立ちあがろうとした瞬間、床の黒円から一人の赤い瞳を持つ女が現れた。

 そして、その女はアキルと雪奈にはよく知った人物……シェリー・ヘイグであった。

 

「あらあら、もしかしてタイミング不味かったかしら?」

 

 シェリーが三人を見ながら呟く。

 

「良くわないわね。てか、その登場の仕方やめて。ニャルラトホテプ(イカれポンチ)かと思って焦るから」

 

 アキルは呆れた様に答える。

 光美は状況を理解できていない様だが、少なくともアキルの言動から敵ではないと思い、式達を呼び出すのを止めた。

 

「あはは、確かにアレと似た登場の仕方だったわね! それはさておき、グレン借りていくわね! 用事終わったら返しにくるから!」

 

 やたら嬉しそうな声でシェリーが喋る。

 病室にアルコールの匂いがほんのりと充満する。

 どうやら相当飲んでいるらしい。

 

「酒臭ッ! あー、もう! 分かったから! さっさと帰んなさいな!」

 

 アキルがシッシとジェスチャーしながら訴える。

 

「ちぇー、アキルちゃんったら冷たーい。シェリー泣いちゃう」

 

「うっさいわ、酔っ払い! はよ帰れ‼︎」

 

「はーい、ま、その様子なら大丈夫そうね。それじゃまたねぇ!」

 

 そう言って手をブンブン振りながらシェリーは円の中に消えていき、シェリーが消え切ると縁も完全に消えた。

 

「……なんて言うか、台風みたいな人でしたね……多分人間じゃないですよね?」

 

 光美がアキルに質問する。

 

「さぁ? 人ではないでしょうけど、本人曰く吸血鬼(ヴァンパイア)らしいけどそれも本当かわからないわ」

 

 大きなため息をついた後アキルが呟く。

 

「……寝よ」

 

「ですね」

 

「同意です」

 

 アキルの呟きに光美と雪奈が答え三人は先程の出来事は忘れて眠りにつく事にしたのだった。

 

 

 

「……ロー……ハロー! ……起きたまえ、君!」

 

 頬をペチペチと叩かれる感覚と誰かの声でグレンは目を覚ますと。

 

「っ……あったまいってぇ……」

 

 グレンが目を覚ますと見覚えのない豪奢な部屋とそこに居る二人の女性が視界に入る。

 片方はグレンも見知ったシェリーだがもう一人の黒い大人びた服装の長い金髪の少女……見立てでは小学校4〜5年生ぐらいの身長をした少女がその顔をグレンの顔間近に近づける。

 

「おい、シェリー? 本当にこの男で合ってるのかい? 私にはどうにも頼りないモヤシ男にしか見えないが?」

 

 合ってるわよーとシェリーが答える。

 どうやらこの少女は見た目に反してかなり毒舌な様だ。

 

「んだと! だぁれがモヤシ男じゃい!」

 

 そう言うとグレンは勢い良く立ち上がった。

 

「おっと失礼、つい本音が出てしまったよ。すまないね」

 

 少女はそう言うと簡単な謝罪をしたのち自己紹介を始めた。

 

「初めまして、グレン・フォスター殿。私の名はリリス。シェリーの旧友にして永き時間を生きる者さ」

 

 少女……リリスはそう答えた。

 グレンは頭を軽く掻きながらため息をついたのち答える。

 

「俺はグレン・フォスター、で? なんで俺はこんなところにいる? 要件はなんだ? 兎に角全部説明してくれや」

 

 ふむ、と呟いたのちにリリスはその口を開いた。

 

「まず場所だが、ここはアメリカ合衆国のある地域の地下だ。ここは私が以前から使っている住処で名前を『ノア』と言う。まぁ、施設の詳しい話は後にしよう。次に君を呼んだ理由は、君に私の夢……ひいては君自身の夢を叶えるためだ、その為にシェリーに協力をしてもらった」

 

「ほう、で、アンタの夢ってなんだ?」

 

 グレンに問われたリリスは得意げなドヤ顔でその言葉を発した。

 

「巨大人型ロボットを作るのさ!」

 

 その言葉を聞いてグレンはしばしの間固まったのち答える。

 

「巨大人型ロボット作りか! いいねぇ! 馬鹿丸出しだな! 金も材料も機材もなしでやるのか! 馬鹿め! 俺は帰るぞ‼︎」

 

 リリスは捲し立てるグレンに対し静かに答える。

 

「あるよ、機材も材料も資金も! 全て必要以上に!」

 

 リリスは得意げに答える、その瞳に嘘偽りはない。

 

「……仮にあるとして、お前は完成したロボットで何をする気だ? そもそも作るなら俺じゃなくてもいいんじゃねぇか?」

 

 グレンの問いに目を輝かせながらリリスは答える。

 

「君を呼んだ理由は一つ、君は異星の科学さえ掌握する天才であり、何より君も! 私達と同じ同志! すなわちロマンを追い求める者だからさ‼︎

 完成後に関しては基本的にノア最下層で動かして遊ぶ予定だ。万が一、万が一だぞ? もし万が一巨大怪獣や宇宙からの侵略者が来たら……わかるな?」

 

 リリスはその瞳に信念の炎を宿らせ力説する。

 それに対しグレンは……

 

「アンタの言ってることは今の時代ガキでさえ言わない様な馬鹿げた話だ。リスクはあってもリターンは殆どない」

 

 淡々とグレンは語る。

 

「だからこそ……だからこそ気に入ったぜ! その話乗った! 同盟締結だ!!!」

 

 グレンとリリスは熱い握手を交わす。

 こうして、リリス、シェリー、グレン三人の大馬鹿者による私利私欲とロマンを満たす為だけに一から巨大ロボットを作る奮闘記が始まるッ!

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