【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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成長する厄災

 ———ホテル『カイン』地下3階BAR『アベル』にて

 

「ここで仕事を選ぶ、か」

 

 薄暗い大部屋の中にはカウンターテーブルで仕切られた調理場と大小様々な机と椅子が設置されており、さながらRPGゲームの酒場のダークバージョンといった感じだ。

 部屋には数人の大人が座っている、同業者だろうが休憩中か? 

 ただでさえ見た目で悪目立ちするのだ、さっさと仕事を選んで部屋に戻ろう。

 渡された資料に書いてあった通り、掲示板に貼り付けられた依頼書から仕事を選ぶ。

 ……マフィアの殲滅依頼か近場だし料金も悪く無い、これにしよう。

 後は依頼書を取って調理場にいるスタッフに渡すだけだ。

 

「ケイト・リード様ですね、ただ今を持って正式に受理しました。それでは良い仕事を」

 

「ええ、ありがとう」

 

 そう言葉を交わし一旦部屋に戻る。

 と、言っても仕事道具の類はナイフ数本程度と雨ガッパくらいしか無いのだが。

 流石に毎度返り血で服を汚して洗濯するのも面倒になってきていたので購入したちょっと高めの雨ガッパを鞄に入れ、ナイフを太ももにつけた手製の皮ベルトにセットして仕事に赴く。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 歩いて数分経ったところで違和感に気づく。

 どうやら二人ほど後をついてきてるらしい。

 ……なるほど理解した。

 ホテル外なら宿泊客同士の殺しは合法、初心者潰しかそれとも……

 まぁ、仕掛けてこないなら無視でいいアタシには仕事の方が優先だ。

 路地裏のさらに奥にある寂れたビルの近くまで来て雨ガッパを着る。

 路地から少し覗くが入り口には一人の門番がいる。

 武器は携帯していないがいかんせんゴツイ、体格差的に不利か。

 加えてさっきの二人もまだ近くにいる、挟まれるとマズいなら()()()()()()()()

 地面を蹴り上げ跳躍しさらにビルの壁を蹴りついで上へと上がる。

 そのままビルの最上階に着地し素早くビル内へと侵入する。

 こうなればこっちのものだ。

 

「なんだテメェ?!」

 

 まずは一人跳躍し、勢いを乗せて首を折る。

 そのまま真っ直ぐ飛んで壁を蹴り上げ加速する。

 アタシの戦い方(殺し方)は室内でこそ脅威になる。

 後は同じことの繰り返しだ、折れそうに無い相手にはナイフで首を切りつけ殺す。

 そうして30分ほど経った辺りでビル内は静かになった。

 二つの足音を除いて。

 

「いやぁ、たかがガキだと思ったらとんでも無い化け物じゃ無いか!」

 

「ねぇ、けどごめんねお嬢ちゃん? アンタは今ここで私達に殺されるの!」

 

 男女の殺し屋コンビか、確か報酬を横取りする為に仕事終わりの殺し屋を殺す殺し屋殺しなんて言うのがいるってメイナードが言っていたな。

 その端くれか。

 

「アタシ、疲れてるのよね。帰ってくれない?」

 

 パァン、と銃声が響きアタシの頭が撃ち抜かれる。

 

「馬鹿かよ? んなわけねぇじゃん!」

 

「と言ってももう死体よ? とりあえずホテルに

 

 女の方の首を捻り切る。

 

「は? 

 

 続けて男の方の口を無理矢理開かせ引き裂く。

 これで追加の死体の完成だ。

 案外上手くいくものだ、銃の弾が当たる瞬間に頭の角度をずらして弾丸を滑らせる。

 ただ……

 

「ちょっと抉れた上に髪の毛も持ってかれたぁ……サイアク」

 

 その後アタシはホテルに戻り依頼の報酬金を貰いついでに傷の治療をしてもらった。

 あー、にしてもまだまだ技術不足だな。

 あの程度の相手に苦労してたらダメだな、それ以外にも色々とスキル不足だ。

 幸いこのホテルには大抵のものは揃っている。

 今回の依頼報酬で追加で三ヶ月は滞在できる。

 スキルを磨くには十分だ。

 もっと強く、もっと悪辣に、そうすればきっとこの胸の空虚な感覚も無くなる筈だ。

 

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