【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ 作:ラットマンΣ
新たな旅の始まり
永久に思えるほどの時が経った。
分断された大陸は一つとなり、巨大な円を描いた。
その北半分は邪神が犯した狂った世界、南は退行した人の世界。
微睡の中でなんとか殆どの邪神は封印できたけどまだ足りない。
魔皇をと千の貌を持つ邪神を殺す術が足りない。
私1人じゃなし得ることができない。
けど、それも五分五分の賭けだ。
あぁ、また意識が遠のいていく。
私の微睡はもう長くは持たない。
後継者もいない。
だから、どうか早く私を殺してください。
◇◆◇
———南の大陸最大都市 王都ヨクドにて
「では、聖剣に選ばれし新たなる勇者、アリスよ! 魔皇の居城たる黒白の太陽を打ち滅ぼす旅に出よ! 賢王の未来視ではもう我々に時間は無い、其方が最後の勇者だ。 だからこそ世界を救ってくれ」
恰幅の良い男、王都ヨクドの王が私にそう告げる。
もう人類に次はない、私がどうにかしなきゃならない。
その重荷が私を奮起させる。
「はい」
私はそう言って宮殿を後にした。
私、……アリスは10歳の頃に古の聖剣に選ばれ長い修行の果て勇者となった。
なったのだが……
「最初にくれるのが銅貨5枚と鎧って……ケチくさい王様だなぁ……」
旅の始まりからすでにつまづきそうだ。
と言うか一応世界救いに行くんだからもう少し色々くれてもいいじゃん!
はぁー、しょうがないとにかく動かなきゃ始まらない!
私は颯爽と王都の外を目指して走る。
何せ時間がない。
私の身体の体に合わせた鎧は問題なく稼働している、動きの邪魔には微塵もなってない!
そうして走ってしばらくすると王都の外、大平原へと辿り着いた。
と言ってもこの南の大陸には殆ど
古の時代、二人の巫女が作り上げた大結界によって人間界に入れる怪物は限られているからだ。
そう言えば、たまに怪物達は銅貨や銀貨を持っていることがあるらしい。
それらは殺した相手から奪った物として持っているからだ。
怪物達はその量で強さを他の怪物に誇示する習性があるらしい。
過去には竜種を退治したら金銀財宝が湯水の如く出現し、勇者を引退したものもいると言う。
まぁ、銅貨5枚で死地に行くくらいなら妥当な判断だと思うが……
それはさておき目的地に向かって進もう。
南の大陸の一番南、絶対の安全圏、賢王の書庫。
私が最初に目指すべき場所。
古の戦乱で戦った者達の魂の眠り場にして今なお生きる歴史の生き証人に会う為に。
今から三日もあれば辿り着くことは可能だ。
問題は道中にある鉄巨人の墓場に住まう衛兵代わりのゴーレム。
奴を倒せる者でなければ賢王の書庫へは行くことができない。
修行をしたとはいえ果たして私にゴーレムが倒せるだろうか?
「いや、考えてばっかりは私らしくないな。みんなの為にも私は魔皇を討たなければならないんだ!」
少し大袈裟に笑ってみる。
目指すは鉄巨人の墓場!
そして、その先に待つ賢王の書庫
打ち倒すは衛兵ゴーレム!
世界を救う為、困ってる人達を助ける為に!
私の冒険はまだ始まったばかりなのだから!