【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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鉄巨人の墓場

———大陸最南端 鉄巨人の墓場にて

 

「さて、あれが例のゴーレムだろうけど……デカすぎない?」

 

私が驚くのも無理はない、本来ゴーレムとは人より二回りほど大きなサイズがせいぜいだ。

だが、あのゴーレムは全く違う。

遥か天空にまで届きそうな巨体、全身を覆うのは厳ではなく鋼鉄の鎧。

明らかに異常だ。

 

「正攻法で行けるか? アレ、絶対ヤバいやつじゃん!」

 

そう喚いているとふとゴーレムが停止し、その赤い一つ目がこちらに向く。

……バレた、最悪だ。

ゴーレムはその鋼鉄でできた巨大な腕を振り下ろし攻撃してくる。

私はギリギリでそれを回避する。

やはりデカい分動きは鈍い、これならなんとかなる! 

 

属性付与・焔(エンチャント・フレア)! 神炎よ、我が剣に栄光を! てりゃぁぁあ!!!」

 

聖剣の性質、属性の付与によって強化された一撃でゴーレムの関節目掛けて切り付ける! 

しかし……

 

「え、切れない!」

 

想定外の状況に焦る、思考を巡らせる数瞬のうちにゴーレムの拳が迫る! 

せめて防御を———

 

「がッ! うぇ……」

 

ギリギリ防御は間に合ったが岩盤に勢いよく叩きつけられる。

幸いまだ身体は動く、とにかくこの状況を変えなくては私は死ぬ。

身体が熱くなる。

死への恐怖が身体を奮起させる。

 

「はぁ……はぁ……舐めるな!」

 

聖剣を大地に突き立て立ち上がる。

 

「我が名はアリス! 貴様を打ち滅ぼしいずれ魔皇さえ打ち倒し世界に平和を届ける者! 即ち勇者なり!」

 

思いついたことを全部言って自らを奮い立たせる。

痛いのは怖い、戦うのは怖い、けど、それ以上に誰が傷つくのは一番嫌だ! 

だからこそ聖剣の力を解放する! 

 

「是なるは星が生み出した黒白の太陽を打ち滅ぼす聖剣! 我が生命(マナ)を糧とし勝利の光を照らせ! 起動せよ! 星神剣! ノーデンス!」

 

自らの生命を焚べて聖剣ノーデンスの制約(リミッター)を外す。

煌々と輝く星の神が残した聖剣による一閃はあらゆる防御を切り崩し必ず破壊する神の権能の再現。

故に———

 

「はぁ……見たかゴーレム……私の勝ちだ……」

 

天を貫く程巨大なゴーレムは見事に両断された。

しかし、代償は大きい。

ノーデンスの制約(リミッター)解除には文字通り命を使う。

そう易々と使えるものではないのだ。

まさかこんなに早く使うことになるとは思っていなかった。

全身の感覚が鈍くなり地面に膝をつく。

意識が朦朧とする、あぁ……これは少しまずい……かな……

消えゆく意識の遠くで声が聞こえた気がした。

 

「まさか正攻法でアレを倒す者が現れるとはねぇ。おもしろい! 死なすには勿体無い! ジニス! 彼女を書庫に運べ!」

 

「分かりましたよ、ししょー。たく、弟子づかい荒いんだからなぁ……はぁ……」

 

この声は賢王……なのか? 

わからないけど……今の私にはできることはない……な。

そうして私の意識は一時、闇に落ちた。

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