【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ   作:ラットマンΣ

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厄災の森へ

———アリスの旅立ちから1ヶ月、大陸西側 イ=ス地方の村にて

 

「ふぅ、今日も何とか依頼を達成できましたね。ジニス!」

 

「おおそうだな……じゃなくて! 何で厄災の森いかねぇんだよ!」

 

「それは、この村が人手不足で困っているのですから助けているのです。当然でしょう?」

 

「あのなぁ! そんなん後回しにしてさっさと厄災の森行くべきだろ! 俺らの目的は魔皇討伐なんだぞ!」

 

「その通りです。ですが、困ってる人を助けないで何が勇者ですか! それに、この村の依頼は今日ので全て終わりました。明日には厄災の森へと向けて出発しますよ」

 

「マジか……あの量やり切ったの俺ら?」

 

「ええ、やり切りましたよ。達成感があるでしょう?」

 

「あーあーわかったわかった、ドヤ顔いいからさっさと宿に戻ろうぜ。こちとらクタクタだ」

 

「そうですね、最初は馬小屋でしたが今は宿に泊まれるくらいには路銀も貯まりましたし良い事づくめです」

 

「お人好しめ……いつか痛い目みるぜ?」

 

そんなことを話しながら夕暮れの道を歩んで私とジニスは宿へと戻り一夜を過ごしました。

 

 

 

———翌朝

 

「勇者様、今までお世話になったお礼です。せめて厄災の森まで馬車で連れていかしてください」

 

「良いのですか? ならばお言葉に甘えるとしましょう」

 

「はい、どうか良い旅を」

 

そうして村の人々に見送られながら私達は馬車に乗って厄災の森へと向かう。

 

「……これが目当てだったのか?」

 

ジニスが私を見て呟く。

 

「目当て? 何がですか?」

 

私は目を丸くして答えた。

するとジニスはケラケラと笑う。

 

「何だよ、マジの善意かよ! ……はぁ、そう言う奴もいるんだな」

 

「?」

 

「何、こっちの話だよ。まぁ、お前に対する好感度は上がったかな!」

 

「私信頼されてなかったんですか?!」

 

「そりゃ初対面の奴を信頼する訳ないじゃんか。とは言え、お前はいい奴だってのはわかった。だから信頼する、それだけさ」

 

「むぅ……何か引っ掛かりますが良いでしょう。仲間に信頼されないなんて勇者として有るまじきことですからね!」

 

「……アリスよぉ、お前の言う勇者って何なんだ?」

 

「それは———」

 

不意に馬車が止まる。

 

「お二方、着きました。ここが厄災の森へと続く一本道です。ここから先は厄災の獣が現れる可能性があるので馬車では連れて行けません……申し訳ございません……」

 

「気にしないでください。それより帰り道、お気をつけてください。それと、ここまでありがとうございます」

 

私は御者に礼を言い、ジニスと共に厄災の森へと続く一本道を歩む。

昼間だと言うのに漆黒の闇に包まれた森を目指し私達は行く。

 

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