【本編完結済みと言ったな、あれは嘘だ 本編改稿中】 混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ 作:ラットマンΣ
———今から18年前 アリス10歳の時 勇者の隠れ里にて
勇者の隠れ里では10歳になった時聖剣を引き抜けるかの儀式を行う。
聖剣……星の神の剣は過去の勇者達が戦いに携えていったものが戦闘を経験、学習し、村の中央の大岩に突き刺さる形で復活する。
そうしてその年には私ともう一人儀式を行なったものがいた。
エデだ。
私は……私は聖剣を抜くことができなかった、聖剣に選ばれなかった。
けど、エデは違った。
聖剣を引き抜き煌々たる光を放った。
今まで歴代のどの勇者でも起きなかった現象だった。
それだけじゃない、エデは魔力量も身体能力も異次元だった。
幾億と組み手をし続けた私が断言する、エデは間違いなく歴史上最強の勇者だった。
そしてその人間性も高潔な人だった。
誰にでも優しく、自分より他者を常に優先する。
御伽話に出てくる勇者そのものだった。
……私はそんなエデを死なしてしまった。
ある時隠れ里に一人のいや、一柱の邪神が現れた。
自らを千貌道化のチクタクマンと名乗る道化師姿の女。
チクタクマンは魔皇の為にこの隠れ里を滅ぼしにきた、とだけ告げて殺戮を開始した。
老若男女、大人だろうと子供だろうと関係なくみんな……みんな殺された。
そんな中エデはチクタクマンと戦った。
終始エデの優勢で戦いは運んだが、チクタクマンは不意に私に攻撃を仕掛けてきた。
そして、エデはそれを庇って死んだ……
私に聖剣を託して。
私も死ぬんだと思った、だけどチクタクマンはつまらなそうに私を見てその場を後にした。
……あの時死ぬべきなのはエデじゃなかった!
なのにエデはッ!
隠れ里の人間はほとんど死んだ。
もう次代の勇者は現れない、だから私は
この肉体を器にエデを蘇らせるために!
それが私にできる唯一の償いなのだから……
◇◆◇
「それが冥界に来た理由か」
ジニスが静かに呟く。
フェロウは何も言わない。
当然だ、私は二人を騙し続けた。
最低な女なんだから。
「「馬鹿だな」」
「は?」
二人が揃ってそう言う。
あまりのことに理解ができない。
だって私なんかよりエデの方が勇者の素質がある。
彼女こそ世界を救うべき人間なんだ!
「ま、そのエデの魂に会えばわかるだろうよアホアリス。とりあえず下りるぞ。……あぁ、後それとあんまり自分と他人を比べんなよ」
「たまには良いことを言うではないかジニス。後で酒を奢ってやる」
「いらんわ!」
「けど、私は二人を……」
「はいはいそう言うのいいから早く下る! お前が先頭なんだからな!」
そう言ってジニスは私を急かす。
……わからない、私には一つもわからない。
けど、冥界にさえつけば
そこからは