陰実の世界に転生したら武神だった件 のんびりしたいが姪っ子が活動的で何だかんだ手伝う内に組織で母と慕われるようになった。 作:生徒会長月光
果たして勝負の行方はいかに…
それではどうぞごゆっくり!
シャドウとイータは何度目かの斬撃を打ちながら斬り結ぶ。
イータは言葉よりも剣で語ろうとした。下手な言葉よりもこっちの方が分かりやすいと思ったからだ。
シドとしてもその方がありがたかった。
シドとしては闘いとは、対話であると思っている。
剣先の揺れ、視線の向き、足の位置、些細なことすべてに意味があり、その意味を読み取り適切な対処をすることが闘いなのだ。
些細なアクションから意味を読み取る力、そしてそれに対してよりよい回答を用意する力こそが、闘いにおける強さであるといっても過言ではない。
だから、闘いとは対話なのだ。
互いの対話能力が高ければ高いほど、先を察し、それに対処し、さらにそれを察し、さらにそれに対処する、そうやって終わりなき対話が繰り返される
シャドウの機動力を奪うべく放たれた一閃をイータは受け流しそのまま手首に狙いを定めたそれをシャドウは更に反らし突きを放つ。
面よりも点での攻撃の方が攻撃する部分は狭くなるが速く何より次に繋げやすい。それを敢えて突きに飛び込み余計な間合いを狭くするが魔力で強化したシャドウの左ストレートが迫る中でイータも魔力と波紋で強化した膝で受け止める。
その威力に顔をしかめるイータだがそれでも負けられない思いを背負い頭突きを繰り出す。
それも避けて一度離れる二人
気付けばカゲノーの庭よりも離れた場所におり木はなぎ倒され二人の周りは更地のように広く広がっていた。
「マザー以外でここまで滾るのは初めてだな…こうして対話できるのは楽しいね。」
「良くいうわよ…付いていくのでこっちは精一杯よ。全く…あんた…こうやって対話できる相手いなかったわけね。拗らせる…う~ん…吐き出せなかったのが正しいかしら…?」
「…そうだね、陰の実力者なんて前の世界じゃ狂人…悪の組織なんて常識的に考えて存在するわけない、そう何度も思いそれを奥に隠して鍛練に集中した。
そしてこの世界で魔力を知った。なら今度こそ…なれるんじゃないか…でもね、悪の組織なんてそんな陳腐な物が本当に存在しているのか?まぁマザーのいうような武装集団はいるみたいだけど
それだってマザーの敵ってだけで僕が過度に関与するのも無粋じゃないか?
僕は僕の誇りのために陰の実力者になることを譲れない…譲ることはできないんだ。」
「シャドウ…あんた」
「それは間違ってるわよ。」
イータが言い放つと音が死んだ…………
「…それは僕の陰の実力者が間違っていると…そう言いたいのか…!」
その言葉を皮切りにシャドウの剣戟は更に苛烈になっていく。いや苛烈という言葉も正しくはない。何故ならシャドウの剣からは予備動作がなく殺意も、淀みも、力もなく、ただ自然のままに振るわれるのだから。
対話すら放棄した殺意も気配も感じさせぬ自然な一撃をイータが避けられたのは奇跡といえる。
前にベアトリクスからある意味究極の体系の一つと言われ体感してなかったら首と胴が離れていただろう。
「容赦ない…ってよりも本気になったってこと…良いわ…それでこそよ…あんたを倒せるぐらいにならないとベアト母様は越えられない…越えられなきゃ死んだ方がマシ…!」
イータはその自然から放たれる無の挙動を敢えて受ける。
身体の重要な部分を魔力でコーティングして強靭にしてなおシャドウの剣はイータを斬り裂く。
肩から鮮血が…脇腹に鮮血が…頬から鮮血が…胸から…足…太もも…腕…
全身から出血をおこしボロボロになりながらもそれでも倒れない。むしろどんどん感覚が研ぎ澄まされていく…
もう何度目かの一閃をキィンと防いだイータ。
イータはシャドウとの死闘で急速に成長していた。
無駄に動く必要はない…胴を狙った一撃を防ぐ
目で追う必要もない… 眼前に迫ったものを防ぐ
自然な動作…でも今のシャドウからは怒りを…感じる
ザシュ…とシャドウの頬からスーッと血が流れた。
「…まさか…これに対応できるというのか!?」
そうして全く反応できなかったイータの剣がまたシャドウの剣を捉え対話し始める…
疲れ…腕が上がらなくなってきた…足元も…
だがその代償にイータは限界へと近付きつつあった。波紋で止血していても流し失われた血は戻っていない。
…まだ倒れられない…これは譲れない…それに…この大馬鹿に伝えてない…!
イータは気力を振り絞りそして更に集中する。
そして視力を一時的に閉じ意識を更に使わない器官を閉じた…まだ、未熟な波紋を主要器官へと流した。
そうすると見えていない筈なのに…シャドウの一個一個の行動が見え始めた…
筋肉が…血管がまるで……透き通るように…
イータはベアトリクスの記憶で読んだ本を思い出した…それは透き通る世界と呼ばれるもの…
本来ならまだ未熟なイータが辿り着くにはまだ時間の掛かる筈のそれはシャドウとの剣戟でのやり取り…イータの背負う思い、感覚を超集中させた偶然によって到達したもの
長くはないとイータも理解しシャドウの剣戟を掻い潜る。まさか自身の剣戟を平常の道を歩くようにかわし続けるとは流石のシャドウでも驚きを禁じ得ず一瞬思考が遅れた。
その遅れを見逃さずにイータは剣閃を浴びせる。
あまりの一撃にお互いのスライムソードが形を崩すがイータはそのまま拳をシャドウへと叩き込む。
「これは七陰皆の分!」
と顔へと炸裂する
「これは…ベアト母様の分!」
すぐさま体勢を立て直すシャドウだがその一撃はどの攻撃よりも重かった…
「そして…これは…自分で自分を否定する…大馬鹿の分よ!!!」
と吹き飛ぶシド、対してイータは満身創痍で透き通る世界も解除され呼吸も乱れているためか波紋で止血していた傷も開き始めた。
吹き飛んだシドだが傷らしい傷も先ほどの殴られたことや斬り傷も大したものではなくまだ戦闘することが出来た…
だが
「どうして立てる…さっきの僕の攻撃を掻い潜ったものももう使えない…全身から出血している波紋だって乱れている…なのにどうして…そんな強い目が出来る!」
優勢なのはシャドウの筈だ。それはまちがいないそれでもイータは諦める気配がない。
「簡単なこと…私は私の譲れないもののために戦ってる…アルファ様たちの…思いも全部背負ってる…」
「それなら僕だって…!」
「あんたの夢が間違ってるなんて言わない…でもあんた自身分からなくなってるでしょ…そうじゃなきゃ誇りのためになりたいなんて言わないでしょ…」
「……」
「譲れないから誇りっていうんじゃないの?陰の実力者になりたいっていう譲れないもののために修行してるんでしょ?」
シドは気付く。いつの間にか自分は誇りのために陰の実力者を目指そうとしていたのか…
違うそうじゃない…僕がなりたいのは…カッコいいと思った…主人公でもないラスボスでもない…そんな憧れのために目指していたのではないのか…
明確なこれだっていうのは確かにない…でもいつしか自分だけの憧れる陰の実力者になりたい…!!
「まずい…全身の力が入らない…でも…負けられない…」
「…イータ…僕は…間違ってたのか?」
突然の問いかけにしかし重要なことだと思いイータも答える。
「…少なくとも他の七陰を救ったのは間違ってない…でももっと関心を持つべきだった…」
「…陰の実力者って何だろうね…」
「…さぁ?でも…そんな不確かでもなりたいって決めたんでしょ?」
「…なれるのかな?…僕に…間違ってしまったというのに」
「…ベアト母様も良く言うけど間違っててもそれを間違いと認めて活かすんだったら問題ないでしょ…それに…もし間違っても…こうやって…殴ってでも止める…何度だって…」
「…正直ディアボロス教団とか眉唾物だと思ってるし三英雄とか悪魔憑きとかも何でそうなるのとか全然分からないし…言うほど僕は頭は良くない…悪いわけでもないけどアルファやガンマには及ばない…幻滅させちゃわないかな…」
「少なくとも幻滅なんてしない…だって助けてくれたその思いは本当だし…頼ってくれるってすごい嬉しいことなんだよ…」
「…こんな僕でも…付いてきてくれるのかな…?」
「それはこれからのあんた次第でしょ…でも付いていってあげる…私の夢を手伝ってくれたお礼もあるし…」
「はははっ……そうか…」
「まずは削ぎ落としていったものを少し拾い集めてみたら?…そうすればもっと陰の実力者に近付けるでしょ…」
「…僕は僕の言うディアボロス教団を信じることは…出来ない…」
「あんた!」
「でも!…それでも…君が言うディアボロス教団を信じてみたい…不甲斐ないし普通とかあんまり分からない…それでも…イータが…理解者としていてくれると…助かる…」
「そう…それでどうするの勝負…?」
「そうだね。参った…僕の負けだよ。」
「…はぁぁぁぁ~」
とイータはその場に仰向けに倒れる。
「私ももう動けないし…引き分けってことにしない…?」
「なら賭けはどうする?」
「それならあんたの夢を手伝うから他の七陰にもっと歩み寄って…彼女たちはあんたのこと好きらしいし。」
「う~ん恋愛感情とかあんまり良く分かってないんだよね。」
「それならそれも含めて拾いなさい…ケホッ…身体痛い…」
「全く…二人とも激しく喧嘩したわね…」
「ベアト母様…!?」
「…マザー…その」
「良いのよ。私もシドにあまり深く踏み込めなかったのもあるから…それで吐き出してみてどう?」
「そうだね…なんていうか…スッキリしたのかな?」
「なら良いわ。それにしてもイータは透き通る世界に入ったみたいね…」
「やっぱりそうだったんだ…でも身体ボロボロ…」
「極限状態だったのもあるからかもね。」
「透き通る世界…?それが僕の剣戟を凌いだやつなのかい?」
「えぇ、多分シドと同じ領域に踏み込んだのでしょうね。」
そうして動けないイータにシドは自分のできる限りの波紋を用いて傷を塞ぐ。
「ごめんイータ…かっとなったとはいえこんなに…」
「ホントよ…まったく…傷残ったら…どうするの?」
「傷が残らないようにするよ…でも残ったら…責任取ろうか?」
「別にいらないし取らなくていいから…まったく…もう」
「それじゃあ戻りましょうか」
「イータありがとう…それとこれからも宜しく!」
「まったく…仕方ないわね…」
そうしてシドとイータの喧嘩は終わった。
後日怪我などベアトリクスの波紋とイータ自身の波紋で治り深かったお腹あたりのものはうっすら残ったものの良く見なければ分からず服で隠せるからと気にしていないイータ。
それ以降シドは交代で来る七陰たちと少しスキンシップを取るようにし分からないことなどあったら無駄にスタイリッシュに細かく書いたメモをイータに見せて助言をしてもらうようになり
呆れて普通に本人に聞きなさいと言うものの彼女らのイメージを壊したくないと言うシドをジト目で見ながらもイータはちゃんと教えるのであった。
イータとはなんだかんだ言い合える悪友のようになり時々彼女の研究に協力したり手伝いで漫画を出版し影武者としてサイン会でサインをする仕事をして給料をもらったりと持ちつ持たれつな関係を気に入ってる。
時々彼女が男と話しているとその場から遠ざけさせたりしているが本人としては悪友との時間を知らないやつに取られるのも気分が悪いとのこと。
陰の実力者は改めてこの世界のことを知ろうとし自分の思うディアボロス教団ではないものが存在していることを認識し彼だけの…真の陰の実力者へと至るための修行が始まるのであった。
そうして二年後のミドガル王国で物語は進んでいくのであった。
というわけでシドとイータの勝負は引き分けという形になります!
何度もシドとの対話を試み放棄しようが関係ないとばかりに再度対話に持ち込みました。何度斬り刻まれようとも痛みを堪え前へと進むイータ。
目標のためなら死ねるといえる辺り狂っていると捉えられますね。
まぁ満身創痍なイータと余力のあるシドですがそれでも彼の中のディアボロス教団の存在ともっと人と関わるようになろうと変わろうと決意させたことを考えるとイータの勝ちでしょうかね。
二人の戦いを影から見守っていたベアトリクス
危なくなれば介入しようと思っていたもののその必要もなく更にイータは透き通る世界へと入門をしたことを嬉しく思うのでした。
子供の成長は早いものだと感慨深くなりました。
そしてシドはシャドウとしてのアルファたちからのイメージをなるべく壊さないように分からないことなどスタイリッシュにメモして後程イータに聞くようになりました。
そういうことは早めにアルファたちへ言ったらいいんじゃないかと思いつつもイータはシャドウへと教えるのであった。
シドが学園へ行くまでにイータの仕事の手伝いで漫画家の先生のフリをしてサイン会などして報酬をもらったり盗賊退治などは引き続きしている模様。
イータへの感情は信頼しているパートナー兼悪友…悪友に寄り付く虫は悪即斬する気迫で追い払っている。
イータが転生ベアトリクスの記憶を元に作った漫画などは陰の実力者に不要と切り捨てていたのでいい機会に読むことにして戦闘系の漫画などにすぐに嵌まった。
そのせいか漫画のカッコいい台詞をどう決めようか迷ってたりとイータも頭を悩ましている。
こち亀など見てなんでこれで生きてられるんだやどんだけ借金してもめげずに金を集めるがめついところなど参考になるなと思っている。
配役として両さんがシャドウで部長がイータとかですかね…イータにシャドウのバカはどこに行ったとかでラストのオチをやらせてみたい…
ジョジョとか見てジョジョ立ちとか無駄にカッコいいと思って事件の際にやりそうだなと思いました。
それでは次回は……番外編挟んで学園編へと向かいたいですね。アンケートボンゴレスパゲッティとストロベリータルト拮抗してるので二つとも出そうと思います!
少し番外編は時間掛かると思いますが宜しくお願いします。
感想、評価、お気に入りありがとうございます!
それでは今回も読んで頂きありがとうございました!
異世界食堂続編するなら 七陰+クレアなどで誰が先か?どの料理にするかはまた決めます…(イータは大体付いていくので除外します)
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