陰実の世界に転生したら武神だった件 のんびりしたいが姪っ子が活動的で何だかんだ手伝う内に組織で母と慕われるようになった。   作:生徒会長月光

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今回はシドたちサイドで聖域の中心へと向かいます。

その道中はまさかの出来事の連発で退屈しないこと間違いないでしょう。

主にイータが色々とやらかすというか…

それではどうぞごゆっくり!


のんびり娘は小さい災厄の魔女を餌付けし陰の盟主はいつものことかと呑気に構え災厄の魔女は驚愕しつつも聖域の中心へと誘う。

アルファたちが聖域の記憶を垣間見ているより少し前。

 

シドたちは扉を開けた先は早朝の森だった。陽の光が木々の隙間から降り注ぎ、朝露に濡れた草が輝いた。

 

そこは僕には見覚えのない場所で、辺りを見回した。

 

「記憶の中よ」

 

ヴァイオレットさんが言った。

 

「君の記憶?」

 

「見覚えはあるわ」

 

「記憶の世界を見るのは…二人目…余程記憶に…残っている風景ってことなのかしら…?」

 

「記憶の世界を見たことがあるなんてどんな体験をしたの?まぁいいわ。付いてきて」

 

アウロラは先に進んでいく。シドとイータは置いて行かれないように後に続いた。

 

静かな森の中をしばらく進むと、突然視界が開けた。朝日がさんさんと降り注ぐその広場に、小さな女の子が膝を抱えて座っていた。

 

黒髪の女の子だった。

 

「泣いているみたいだね」

 

「そうね」

 

僕らは女の子に近づいた。

 

屈んで顔を覗くと紫色の瞳から涙が溢れていた。

 

「昔の君?」

 

「そっくりさんよ。」

 

「なんで泣いてるのか覚えてたりは?」

 

「さぁ?昔のこと過ぎて覚えてないわ。」

 

とシドとアウロラが言っている間にイータは

 

「…うん、触れている感覚はある…涙の温かさもある…やっぱり記憶というよりは魂の解離…分身…?そこはまだ未知なこと…興味深い…」

 

と女の子の頬を触ったりと感触の違いを観察していた。

 

「貴方のガールフレンドさん積極的ね。」

 

「ガールフレンドではないよ。悪友さ。イータは興味のあることはとことん追求する発明家なんだ。」

 

触ったりしているイータだったがずっと泣いてばかりだった少女がいつの間にか顔を上げてイータを見つめていた。

 

良く見ると少女の肌には青アザが目立っていた。

 

「記憶の世界とはいえ胸くそ悪いわね…」

 

そう言いながらイータはスライムを少女の肌へと纏わせる。

 

数十秒してスライムを離すと不思議なことが起こった。

 

「これは…!」

 

「イータが改造したスライム。スライムの補食本能を改造して傷や痣といった部分の傷んだ細胞を吸い付くして新しく健康な細胞をスライム内で増殖、培養して移し変えることで傷を治せる優れものだよ。」

 

先程まで泣いていた少女は傷がないことに驚き泣き止んでいた。

 

「記憶の世界の存在が……食べれるか分からないけど…いる?」

 

本当なら夜食分で用意していた自分用のおむすびを取り出して一つ差し出してみるイータ。

 

少女は恐る恐るといった感じでそれを掴む。

 

「記憶なのに掴めるんだね。どういう理屈なんだろうか?ヴァイオレットさん分かる?」

 

「流石に分からないわ。普通記憶だから触れない筈なのにいったい全体どうなっているのか…それともあの娘が特別なのかしら…」

 

と思考の波に入るアウロラ。

 

アウロラも聖域の中心の核となっているものを壊せば良いことは分かっているがそれ以外は分かっていないことが多いのだ。

 

だが一つ言えるのは今のところ聖域に拒絶されていないことだろう。

 

そうして口に含んでみた少女。

 

その味はとても温かいもので感じたことのないような気持ちだ。そうしてペロリと平らげた少女。

 

「美味しかった…?」

 

コクンと頷いた少女はニコッとイータに微笑むと世界がパリンと割れ暗闇が辺り一面に広がった。

 

「これって次に進めるっぽい?」

 

「何回驚けばいいのかしら。本来なら世界を終わらせなければ進めない筈なのに。」

 

とアウロラはイータの行動に何度目かの驚愕を露にする。

 

「終わるにしても…痛い思いで…終わるより…幸福に終わった方が…良いものもあるわ…さっきのは食べたものが素晴らしくて夢から覚めた…ってところ?」

 

「何はともあれ先へ進みましょう。」

 

再び歩きだす三人。

 

シドは上下感覚のない場所ならと反対に立って歩いてみることにした。

 

「何してるの…シド。」

 

「何って逆さまになって歩いてるのさ重力に逆らって歩くのもロマンだよね。」

 

「確か前に…シドが話してた宇宙…は重力がないんだったわね…」

 

「そもそも重力だって惑星の引力によるものだからそれがなくなれば重力はそもそも働かないからね。」

 

「重力って?そもそも惑星ってなにかしら?」

 

「惑星は僕らの生きているこの地面の着いた大地のこと。重力は地面に向かっている力みたいなものかな?」

 

「厳密には惑星で物体が…地面に近寄っていく現象や…それを引き起こすとされる力…

人々が日々物を持った時に……感じている…重さを作り出す原因となる力…

物体が他の物体に…引きよせられる現象って…ベアト母様は言ってた…

 

惑星はシドの言った通り…私たちの住んでるこの大地のこと……でも空を見上げれば星があるようにもっと大きな世界が空の先…宇宙にはある…

 

それは私が生きている間に解き明かせないほどに膨大なもの…ディアボロス教団を壊滅させたら宇宙のことを調べたい…」

 

「…貴女たち二人を見ていると時の流れを感じるわね。昔は人もエルフもいがみ合っていたというのに。時代の移り変わりは早いのね。」

 

アウロラは二人の話しに感心しながら先へと進んでいく。

 

「確かに時代が進むのは良いこと…でもそのために…過去を切り捨てるべきではない…過去のことがあるから…今があって…今があるから未来がある…特に教団が歴史をねじ曲げたせいで……過去のことを知るものはいない…アウロラさえ良ければウチにくる…?失われた魔法技術の復興に……大助かりなんだけど…」

 

「考えておくわ。」

 

と嬉しげに話すアウロラ。

 

そうして歩き続けていると漸く景色が変わった。

 

頭から落下しそうになって、僕は咄嗟に受け身をとった。

 

「遊んでいるからよ」

 

ヴァイオレットさんが地面に転がった僕を見下ろし、手を伸ばした。

 

「どうも」

 

僕はその冷たい手を掴んで立ち上がる。

 

そこは、夕日に染まった戦場だった。血のように赤い太陽が、地平線の上で輝いている。

 

「今度は戦場みたいだね。」

 

「えぇ、昔はどこもこんな雰囲気だったのよ…いきましょう。」

 

とアウロラは歩きだしそれに連れてシドも歩きだした。

 

そうして歩いていくと無数の屍の上に座り込んでいる先ほどの少女の姿があった。顔は隠れていて分からないがきっとそうだろう。

 

「また泣いてるね。」

 

「昔は泣き虫だったのよ…泣いたって何も変わらないのに…今楽にしてあげるわ。」

 

アウロラは魔力を操作して血を固め鎌へと変形させる。本来なら魔力を練れない環境だがこれもイータの魔力阻害防御装置のお陰である。

 

そうして呆気なく少女を貫いたのだが一向に景色が変わる気配がない。

 

「可笑しいわね。しっかりと刺した筈なのに…」

 

「ねぇヴァイオレットさん、それ…偽物じゃないかな?」

 

「え?」

 

とアウロラが刺した筈の己を見ると顔にへのへのもへじと書かれたダミーが

 

「やられたわ…!まさか聖域がここまで拒んでいるなんて。本物を探すのも一苦労ね。」

 

「案外近くにいたりして。」

 

「そう願いたい………ねぇあの娘は?」

 

「そういえばイータがいないね。」

 

と一先ず来た道を引き返すことにした二人。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

肝心のイータはというと

 

「…ん…まだあるからゆっくり…食べると良い…温かい…飲み物もある…」

 

ミニアウロラと座りながらおむすびを食べていた。

 

何故こうなったかというと先を歩いていくアウロラたちにイータも続こうとしてどこからか袖を引っ張られたのでそちらを見ると

 

「あら…?どうしてここに…」

 

袖を引っ張ったのは小さいアウロラであった。

 

ミニアウロラはイータをキラキラした目で見つめながら歩きだす。

 

「取り敢えず…付いていく…」

 

ミニアウロラに付いていくイータ。

 

それほど歩いたわけではないが目的地に着いたからかミニアウロラが止まる。

 

「もしかして…ここが中心…?」

 

これまた良い笑顔で頷くミニアウロラはイータに手を伸ばす。

 

「…成程…道案内した対価に…またおむすびが…欲しいのね…もしかして…気に入ったの…?」

 

コクンと頷くミニアウロラ。

 

「それじゃあ…一緒に食べましょう…」

 

スライムを敷物に変形させイータが座ったのを見てミニアウロラも座る。持っていた包みを広げイータはミニアウロラに聞いてみる。

 

「どれにする?さっき食べたしゃけ…魚の味のするやつかおかか…カツオの魚肉を煮熟してから乾燥させたものか……焼おにぎ…焼きおむすび…醤油を塗って炙ったものか…明太子…梅干し…はまだ早いでしょうからそんなところ…

 

の前にちょっとまって…」

 

イータは特製の少し大きめの保温タイプの水筒を取り出しカップに中身を注いでいく。その間に持ち歩いているお手製のマイクロ波発生装置を簡易的な電子レンジのようにしておむすびを温める。

 

「食べる前に少し飲んで…温まる…」

 

カップを受け取りミニアウロラは始めてみるそれを飲んでみる。

 

それはとても濃厚で深い味だ。

 

温め終わったおむすびを再び広げすかさず悩みながらもミニアウロラはおかかを指したので別に持ってきていた真空パックにいれたのりを巻き手渡しそれを一口。

 

パリッとしたのりの感触に中のおかかの味がマッチしたそれにミニアウロラの表情は微笑ましい笑顔を浮かべる。

 

もう一度カップをイータは手渡して飲むと米がほどけ一粒一粒の味が楽しくなってくる。

 

イータもその笑顔に癒されながら二つ目を差し出す。

 

二つ目に焼きおむすびは直接食べその外側のカリっとした感触と中のふっくら感、醤油の少ししょっぱさと中の甘さに口が楽しいミニアウロラ。

 

「漸く見つけたわ!…って何をしてるの!?」

 

「いないと思ったらミニヴァイオレットさんと食べてたんだ。イータしゃけまだある?少し小腹空いちゃった。」

 

「まだある…はい」

 

と合流したアウロラとシドたちは散々探した幼少のアウロラが餌付けされている光景になんとも言えない表情をするが疲れていたので取り敢えず座りイータにしゃけをリクエストし受けとるシド。

 

「アウロラも…オーソドックスにしゃけ…のが良い…」

 

「なんだが予想外のことで疲れたからなんでも良いわ…」

 

「イータ分かってるね。のりはパリパリじゃないと。それに味噌汁もあるならもらうね。」

 

そうして二人も食べ始めるが

 

「何これ!?海の味にこのほんのりとした塩加減と甘さ!この汁物が更に味を引き立てているわ!」

 

「焼おにぎりも良い味してるね。醤油を作ったのはベアトさんだったっけ?」

 

「そう…ベアト母様から教わった…調味料…美味…」

 

「モグモグ…グッ!」

 

全員から大絶賛され持ってきたものを全て平らげた一同。

 

「それにしてもどうして貴女の前に現れたのかしらね。最初に見つけたのはダミーだったもの。」

 

「多分最初におにぎりを手渡したからじゃないかな?美味しくてもう一度食べたいからイータの前には素直に現れたんじゃないかな?」

 

と予想するシド。

大体合っている。そう、ミニアウロラは最初に優しく接して食べ物を分けてくれたのでもう一度食べたいとイータの前に姿を現したのである。

 

そしてまた風景が割れる。

 

今度こそ彼らは聖域の中枢へと辿り着いた。

 

「どうやら辿り着いたみたいね。ってどうして消えずにいるのかしら?」

 

「…さぁ…?まぁ良いんじゃない…後は脱出するだけ…」

 

ミニアウロラが消えずにイータに抱きついているのを見ながらも目の前にそれらしい扉を発見する。

 

「この鎖を斬れば開きそうだね。」

 

「そうね。その後ろにある如何にもな剣で斬ればいけるでしょう。」

 

と台座に刺さった剣を見て言うアウロラ。

 

「(さてこういうのはお約束で)…!やっぱり…これは選ばれし者にしか抜けない…」

 

「そんな…!?これは…聖剣は英雄の直系にしか抜けない……確かに書いてあるわ。よくあの一瞬で暗号化された魔術文字を読み取ったわね」

 

と台座に書かれた古代文字を見ながら言うアウロラ。

 

「フッ……テンプレはすべて網羅しているからね……」

 

「魔術文字の暗号パターンをテンプレ化し網羅していた……そういうことね」

 

「きっとそういうことだ」

 

(また当てずっぽうで言ったわね…というかこういうのシドのいた世界では物語的に多いのね…直系というとアルファ様だけど別行動してるから…ものは試し…)

 

途方に暮れ台座に座り込むシドとアウロラを尻目にイータはスライムスーツの中に仕舞っていた血液パックを取り出す。

 

スライムを擬態させ肌へと張り付けていき指紋も完璧に真似ていき血液パックの血液を注いでいく。

 

「…出来た…アルファ様なりきりセット腕だけバージョン…よいしょっ…」

 

と気の抜けた声とは裏腹に台座に刺さった剣はすぽんと簡単に抜けた。

 

その光景を見ていた二人は口を開けてポカンとしミニアウロラは拍手する。

 

「案外セキュリティが甘いのね…!」

 

と剣を扉に二振りする鎖は全て砕け散った。

 

「なんで普通に引き抜けて…!まさか彼女は直系の子孫?」

 

「成程、スライムスーツでアルファそっくりの指紋にして更にアルファの血液を注いだまさにアルファなりきりセット腕だけバージョンだね。

 

生体コードみたいなものを掛けてたんだろうけどそれも手からの認証だから本物と遜色ないものなら突破出来ちゃうってことか。確かにガバガバセキュリティだね。」

 

「扉の先のやつ…回収してるから…少し休んでいてちょうだい…」

 

とイータは扉の先に剣を持ちながら歩いていきミニアウロラもそれに付いていく。

 

「ホント規格外過ぎるわよ。ここまでぶっ飛んだ人たちが来るなんて聖域も思っていなかったでしょうね。一人は魔力を扱うプロフェッショナル…もう一人は幼い私を餌付けして科学的に聖剣を引き抜くし…今の時代の者たちはこんな感じなのかしら?」

 

アウロラさんや、それはこの二人が規格外なだけなので今の人類皆化物ではないですよ。

 

「まぁ運が悪かったってことだね。さてここを出たら温泉入って牛乳飲んで寝て起きたらスタミナ丼を食べるかな。君はどうなるの?」

 

「そうね。消えるでしょうね、聖域と共に。」

 

「良いの?」

 

「少し惜しいかしら……あんなに美味しいもの食べたことないし貴方の言う温泉やあの娘の発明したもの、見たいものは多いけど…仕方のないことだもの。」

 

「まぁそこはイータが、なんとかするよ。だからヴァイオレットさんは外に出た時に何するか今の内に考えておきなよ。」

 

とシドは言いイータの作業が終わるまで待つことにしたのであった




今回はここまでになります。

シドたちサイドでアウロラの記憶の中を見ています。

原作では森の中、戦場にいたミニアウロラを引っ張たく、刺し貫くなどで進んでいました。

しかしここではイータが興味本意で触ったり物を食べれるか試したりしたせいか最初の段階は美味しい物をくれたので夢から覚め次はアウロラ、シドたちの前にはダミーが現れるがイータの前には素直に姿を現し聖域の中枢らしきところへ案内し、その対価におむすびをねだりました。

なんだこの可愛い生物…

イータも悲しい終わりよりも楽しい終わり方のが良いかと本来夜食で、食べる予定だった物をミニアウロラと共に食べました。

伸縮自在の改造した収納スライムの中には色々と入るので様々なものが入っております。

そうして幸せ一杯に頬張るミニアウロラを眺めつつ合流した、二人も一緒に食事し英気を養うことに。

物を食べれるのは聖域の不思議パワーという名のご都合主義なので突っ込み満載ですが御容赦ください。

そして中枢に辿り着き原作同様抜けない聖剣ですがまさかのイータの掟破りの行動であっさりと抜けました。

実際生体コードでの、認証ならスライムで擬態させればいける気がします。

そうして扉を開けてイータがディアボロスの左腕と対面することに。

アウロラに、シドはどうしたいか尋ねつつ細かいことはイータが何とかすると信頼しているシド。

果たしてどうなっていくことやら

さて意外にも早く書けたことに作者自身驚いております。

やっぱりシドサイドの方が書きやすい気がしますね。

さて次回はアルファたちの方にするかベアトリクスの方か迷いますね。

マスターオブガーデンではエリザベートがアタッカーで登場し七陰列伝も更新されました。

ウィクトーリアはこのSSではどうしようか迷いますね。
主に助けられ方が…ベアトリクスに助けられたら聖教の女神の生まれ変わりと狂信的になるか原作同様シャドウ崇拝か…

そこはまた未来の自分がどうにかすると信じましょう。

いつもお気に入り登録、感想、評価ありがとうございます。

次回も遅くならないよう投稿していきたいと思います。

今回も読んでくださりありがとうございました!

異世界食堂続編するなら 七陰+クレアなどで誰が先か?どの料理にするかはまた決めます…(イータは大体付いていくので除外します)

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