あべこべで人外娘達が跋扈する世界に転生した様です   作:八雲ネム

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第6話 ハーレムは中々にキビシイ

「彼に対して、最初に目を掛けたのは我々の娘である事を忘れないでほしい」

「貴国の法律では、本妻と結ばれた婿殿は側室を何人作っても問題ないと聞いてますが?」

「側室が公認であれば是非、我らの娘を送らせていただきたい」

(モーレツに気まずい!)

 

 雪菜とのエッチをした後、1ヶ月は何も起こらなかったので雪菜達の実家同士で水面下の交渉をしてるんだろうなぁ、と気楽に考えていたのだがそんなある日の帰宅時に雪菜に誘われてホイホイついていくと、あっという間にとある高級ホテルの一室に通された。

 いやまぁ、その道中で彼女の家族に学生の制服からちゃんとした服装にした方が良くない?と聞いてみたのだが、とある家族がありのままの姿を見たいと相当困惑した。

 人は見た目8割とか、9割とかって誰かが言わなかったっけ?と思いながら制服のネクタイを締め直してから、案内された部屋に入るとエルフのリサと戦乙女のエルザ、そして雪菜も含めた彼女達の家族が勢揃いしていたので察した。

 

『あぁ、結婚時における取り合いか』

 

 正直に言って、俺にそこまでの価値があるのかと言う疑問は未だにあるのだが、ここまで来たんなら腹を括って話に参加するしかないのだがそれにしても気まずい。

 何しろ、雪菜達の親御さんはそれぞれの種族でも上流階層の人達と言っても過言ではない為、俺からすれば場違い感が尋常じゃない。例えるなら、新人の平社員が会社の株主総会に参加する様なものだ。

 その結果、完全に縮こまるしかないのだがそれでも話し合いは続いていて誰を俺の妻にするのか、側室を設けるとして国籍を移すにはどの種族にするのかと言った内容が決まっていった。

 

「それで、貴方はどうなのかしら?」

「どう、とは?」

「重婚に関してよ。貴方の国は一夫一妻制でしょう? あまり好きではないかしら?」

「あー、確かに」

 

 そして一通り、話が決まった段階で雪菜達の親御さん達が俺に話を振ってきたので返答に困った。

 何しろ、個人的にはハーレムはありだと思っているし、実際に体験できる状況だったら体験したいなぁと思ったりもしたのだが、現実問題としては複数人の女性を囲った際に彼女達を満足させられる器量がぼっちで陰キャだった俺にはない事だ。

 前世では、会社の仕事で関わる事はあってもそれ以上は踏み込まなかったし、プライベートにおいては現実よりも二次元にしか興味がなかったので、そう言ったスキルが育っていなかったのも大きい。

 

 その結果が、今の答えに窮する状況なので下手に誤魔化すよりも本心で語った方がやりやすいと判断して話を続ける事にした。

 

「制度上の問題は、国籍を変えるなどをして回避すれば問題ないと考えています。ハーレムに関しても苦手意識等はありません。しかし、問題なのは文化の違いによる認識の齟齬ですね」

「それは種族間も含まれるかしら?」

「はい。自分は日本で生まれ、日本人として育ってきましたので私生活において怪異な行為を取るかもしれないと考えてしまうのです」

「確かに、それは困った問題ね」

 

 基本的に彼女達、人外娘達はかなり寛容だ。

 彼女達から見て、人類の文明や文化の中で良いと思ったものは取り込んでいくし、それによって彼女達の常識や価値観は常に流動していくので日本人としての固定観念がある俺が、彼女達からすれば変な行動を起こすかもしれないと危惧している。

 これが庶民的な人外娘であれば、そこまで気にしなくても良いのだろうが王族や貴族といった上流階層の人達にとっては、致命的な行為になりかねないので予め注意事項として挙げさせてもらった。

 

「まーとは言え、そこまで問題じゃなかろう?」

「そうね。私達の価値観などに合わせてくれるだけで充分よ」

「と言う事で国籍を移した上で重婚すると言う事で話を進めよう」

(え、えぇ〜〜〜!? 即決ぅ!?)

 

 しかし、そんな俺の気遣いを軽く流されたので『アイエエエエエ!?ニンジャ!?ニンジャなんで!?』と思わず、叫びたくなるのを堪えながら内心でかなり驚いたのだが、驚きの表情を浮かべる俺を無視しながら話が進んでいき、今回の話し合いで決まった事は下記の内容になる。

 

・雪菜が本妻でリサが第一側室、エルザを第二側室にする事

・雪女の家系に婿入りする際、俺の家系において俺だけを爵位持ちに格上げする事

・俺が学校を卒業するまで日本国籍を変更しない事

 

 この話を聞いて、遂に戻れない所まで来ちまったなぁと思いながら話し合いが行われた部屋とは別の部屋に通され、そこで少し休む様にと言われたので気が抜けた様に豪華な椅子に身を委ねていると雪菜達が話しかけてきた。

 

「大丈夫ですか?」

「大丈夫な様に見えるか?」

「ふふ、国籍変更があっさり決まった時の驚きっぷりは見ものでした」

「ふむ。確かにほぼ決まっていたとは言え、こうも簡単に決まるのがそんなに意外だったのか」

「まぁね。もっと気にするものかと思ってたからさ」

 

 更に言ってしまえば、雪菜と結婚できれば問題なかったのにいつの間にか、彼女達と重婚をする前提で話が進んでいたので戸惑いすらも感じている。

 

「しかも君らとの重婚をするんだろ? いいのか、俺みたいなボンクラを結婚相手にして」

「私は幼馴染として好きだからいいし」

「私達で嫁の枠を埋めちゃえば逃げないだろうし」

「打算あり、恋心ありの関係なんだ。あまり気にする事はないと思うぞ?」

「………分かったよ」

 

 正直に言って、全力で逃げ出したい気持ちになったのだが『当然、自分ん所の娘とも結婚するよね?』と言う相手方の無言の圧力により、拒否権はあってもそれを行使する勇気はないので頷くしかなかった。

 いくら、彼女達が寛容と言っとも種族的な強さに加えて実家が権力持ちの上流階層ともなれば、俺の両親や親族も含めて何をされるか分かったものじゃないし。

 その為、訳も分からずに連れてこられた行きに比べて帰りはやや項垂れながら実家が寄越してくれたタクシーに乗って、自宅の最まで送迎された後は自分のベッドで不貞寝する事にした。

 

(あーあ、夢に見た幼馴染との結婚は達成できたのにここまで酷い結果になるんだったら、雪菜と深く付き合うんじゃなかった)

 

 そんな事を考えながら、深い眠りについた。

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