人類最後のマスターには好きな人がいる    作:永久冬眠

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第1章
第1話


 

 男、古谷真純には幼馴染がいた。

橙色の髪をサイドテールにして、学校では分け隔てなく笑顔を振り撒き、道端に困っている人がいれば問答無用でお手伝いしてしまうコミュ力お化け。

 

 巻き込まれ体質な真純はそんな彼女に十数年間振り回されながらも、その生活にどこか心地よさと安心感を覚えていた。

 子どもながらにこんな日々が永久に続くのだと心の底から思い願っていた。

 

 ある日、幼馴染ー藤丸立香が消えるまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人理焼却を阻止した英雄、藤丸立香には幼馴染(すきなひと)がいた。

ご近所同士で同い年だった彼とは記憶もないほど昔からずっと一緒だった。少しだけダウナーで気怠げな雰囲気を持ち、なかなか人前に出たがらない彼をいつも持ち前の明るさで引き摺り回した。

 

 いつから好きだったのかは分からない。此処(カルデア)に来てから自覚したのか、学校生活の中なのか、或いは初めて会った時からか。時期はともかく藤丸立香は異性として幼馴染、古谷真純のことが好きなのだと自覚している。

 

 炎上都市冬木に始まり、冠位時間神殿ソロモンに終わった人理修復の旅。

その中で何度も躓き、泣いて、折れそうになって、その度に彼の顔を思い出し、もう一度会って想いの丈をぶつけるのだと心を叩きあげ、苦難を乗り越えた。

 

 人理修復を終えたものの世界は過ぎ去った一年の混乱の最中にある。しかし全てを成し遂げたカルデアにおいては(対応に追われる職員を除いて)その限りではなかった。

 

 「お願い!!ダヴィンチちゃん!!」

 

 「うーん、そうしてあげたいのは山々なんだけどねぇ」

 

 南極大陸に鎮座するカルデアの一室、英霊 レオナルド・ダ・ヴィンチの工房で、今やカルデアの指揮を取る万能の天才に頭を下げ、何かを懇願する藤丸立香の姿があった。

 

 事は人理修復を終えた直後、カルデアに集った全ての英霊、職員で祝勝会と称したパーティをしていた頃に遡る。長尾景虎に飲まされた酒の影響もあり、立香は宣言した。

 

 「わらしぃ!日本に帰って真純に告白しゅるぅ!!」

 

 「先輩!?」

 

 「誰だマスミって?」

 

 「さぁ?」

 

 「立香ちゃんも年頃だし、好きな人の一人や二人はいるでしょうよ」

 

 なんとも可愛らしく情けない宣言をみんなに聞かれた立香は恥ずかしさから逃げたい気持ちも相まって、翌日にはいざ、有言実行と言わんばかりにダヴィンチに詰め寄り、日本に帰りたいと申し出た。

 

 そんな立香に困り顔で対応するダヴィンチには理由があった。

数多くの特異点を修復し、人類の英雄となった藤丸立香は事情を知った魔術協会から格好の研究対象として付け狙われている。

 

 (現代を楽しみたいと退去せずに残ったサーヴァントも多くいるし、立香ちゃん自身に危険はそう無いけど……彼はそうもいかないんだよねぇ)

 

 藤丸立香にはサーヴァントがいる。外に出るにしても四六時中誰かしらが霊体化してついていれば大抵のことは何とかなる。

 一方で立香が真純に会うのを協会の連中に見られていた場合、立香へ手出しできない奴らはその幼馴染である真純に魔の手を伸ばす可能性が大いにあり、ダヴィンチはそれを危惧していた。

 

 (此処まで来てなんのご褒美もあげられてないし、会わせてあげたい…でもその前に)

 

 ダヴィンチは立香が真純に会う事の危険性を説明した。それを聞いた立香は、じゃあもう一生会えないのかと涙目になってしまうが、そこは万能の天才、対応策もバッチリだ。

 

 「だからさ、呼んじゃおうよ」

 

 「へ?」

 

 「真純くん?だっけ。彼をカルデア職員にしてしまおう!うん、これで万事解決だー!」

 

 「えぇぇ!!」

 

 天才はヤケクソだった。素人ではあるが魔術的素養のあった藤丸立香の幼馴染だ、なんらかの魔術的要素を持ち合わせているかもしれないという一縷の希望に賭けることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続くかも
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