人類最後のマスターには好きな人がいる    作:永久冬眠

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第12話

 朝食をとり終えた真純はメリュジーヌと合流し魔術訓練のため、立香のサーヴァントであるメディアを魔術指南役として引き連れ、彼女の日課(種火周回)に同行していた。

 

 

 「…よく見てて…手をこう前に突き出して……ガンド!」

 

 そう言って手を手刀の様に前に突き出した立香の礼装が起動して、目の前の"叡智の業火"と呼ばれる何かに魔術を行使する。すると輝く剛腕は時が止まったかの様に一瞬、動きを止めた。

 

 「今のがガンドっていうんだけど。私が撃つとこんな感じで相手の動きを一瞬止められるんだ」

 

 

ーーーガンド

 北欧に伝わるルーン魔術。

対象の身体活動を低下させる呪いであり、魔力の密度が高いものは弾丸並みの威力を持つと言われるが魔術師としては未熟な藤丸立香が扱うと対象の動きを一瞬止めるだけの魔術となる。

 

 しかし、人間とは隔絶した英霊の戦いにおいて、場数を踏んだ彼女の作り出す一瞬は、致命的な隙を作り出す。

 

 「ほら、真純もやってみて!」

 

 「……こう、か?」

 

 立香の真似をして手を前へ突き出し、かなりの量の魔力を込める。真純の突き出された右手の指先へ赤黒い魔力が集まり、塊となって剛腕へと解き放たれるーーが

 

 

 「……あの……何ともなさそうなんですが」

 

 「え!?何で!?私より凄そうなの出てたのに!?」

 

 「うぉ!?なんか撃ってきた!?」

 

 ガンドによる硬直が発生しなかったソレは自身に魔術を放ってきた真純に向かって攻撃するも。

 

 「許すわけないでしょう」

 

 きらきらと黄金に輝くその剛腕は、哀れメリュジーヌに瞬く間に細切れにされ、その生涯?に幕を閉じる。

 

 

 その様子見ていたメディアはその優れた魔術的知見から一つの考察をする。

 

 「…ねぇ、ちょっと。アナタが今撃ったソレ、私に向けて撃ってご覧なさいな」

 

 「…大丈夫なの?それ」

 

 立香は不安そうに尋ねるが

 

 「私の予想が正しければ問題はないはずよ…それに、ボウヤの魔術を受けたくらいで私がどうにかなるとでも?」

 

 「うーん、そこまで言うならいいけど…怪我しないでね」

 

 自身のマスターの許可を得たメディアは改めて真純は向き直り

 

 「さぁ、撃ってきなさいな」

 

 「…じゃあ遠慮なく……ガンド…ッ!」

 

 その名称を唱え魔術を放つ。男の子なら一度は想像するシチュエーションだが、いざ現実となるとやっぱり恥ずかしい。意味のない羞恥心で顔を赤くしながらもメディアに向けて先程と同じやり方で魔術を放つ。

 

 「……ふぅむ……やっぱり……これは…」

 

 「何かわかった?」

 

 真純の放ったガンド(仮)が直撃したメディアはやはり、何事もなく行動している様に見える。だが、メディアは確かな効果を感じていた。

 

 「コレ…魔術が使えなくなっているわね」

 

 「え!?それメディアもう戦えないの!?」

 

 「馬鹿おっしゃい。効果はもう切れてるわよ」

 

 「なーんだ。良かった」

 

 立香はそう言って胸を撫で下ろす。

 

 メディアによる説明はこうだ。真純がその気になれば他人の魔術行使を阻害する効果を持つ彼の魔力によって放たれたガンドは、その魔力の特異性故に変質を起こし、着弾した対象の魔術、スキル、果ては一部宝具までも、発動を阻害する効果を持つことになった。

 

 ただし、その効果が現れるのはガンドに込められた真純の魔力よりも少ない魔力で持って行使されるものに限る。ガンドに込められた魔力以上の魔力で発動されるスキルや魔術や宝具、魔力を必要としない行動には一切の効果は見込めない。

 

 真純は確かに無尽蔵の魔力を持つが、それを放つ真純自身の身体には限界がある。全ての敵に対して効果を出すのは現実的では無いが、それでも一部神霊級サーヴァントを除き、その効果は期待できるだろうとの事。

 

 

 「はえー、成程…すっごいじゃん!真純!」

 

 「ふふん、そうでしょう、凄いでしょう」

 

 「何でメリュジーヌちゃんが偉そうなのさー」

 

 メディアの説明を受けて、真純に立香は賛辞の言葉を送る。それに対し何故かメリュジーヌが誇らしげに胸を張る。真純を取り合う二人はなんだかんだで仲良くやっていけそうである。

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