人類最後のマスターには好きな人がいる    作:永久冬眠

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いざ、書く側になるとわかる。

評価のありがたさが身にしみて分かる。

本当にやる気に繋がりますね、コレ。

評価、感想をして頂いた皆様に改めて感謝します。

まだしていない方も、ぜひ。


第14話

「…ーい……てー……てってば!起きて真純!」

 

「んあ?」

 

 初めて体験したレイシフトの感覚に、慣れない真純は気を失っていた様だ。立香に叩き起こされ目が覚めた真純の目に映ったのは

 

「!…何だ……此処……アイルランド?此処が?」

 

 西岸海洋性気候のために、大西洋を流れる暖流や偏西風の影響により年間の気温は大きく変動しないアイルランド。本来レイシフトした先には緑の草原と渓流に青空が一面に広がる豊かな土地であるはずだった。

 

 だが真純の目に飛び込んできたのは草木は生えているが、そのどれもが灰暗く、地面も空も、全てが薄暗い暗黒の大地だった。

 

「お、目ぇ覚めたか、ボウズ(マスター)

 

 付近を探索していたであろうクーフーリンがこちらにやってくる、メリュジーヌ以外からのマスターという呼び掛けに萎縮しそうになった真純はふと気づく。

 

「ん?メリュジーヌ……?」

 

 

 真純は自身の右手の甲に刻まれた何かの翼の様に見える、一画(・・)しか存在しない令呪を見つめる。

 

 

 

ーーー起源

 魔術師に限らず、有生、無生問わずあらゆる存在が持つ、原初の始まりの際に与えられた方向付け、または絶対命令。あらかじめ定められた物事の本質。

 

 本人は詳しく知らないが、真純のそれは増殖と阻害。増殖によって彼は無限に等しい魔力を持ち、発せられるそれがその他のあらゆる魔力を阻害する。それがたとえ自身の魔術であっても、彼の魔力を使って起こされるありとあらゆる事象はその成否に関わらず、阻害され、変質する。

 

 その効果は母の召喚術にも作用したと思われる。サーヴァントを召喚したマスターに与えられる絶対命令権。本来三画あるはずのそれは、真純の手には一画しか刻まれていない。

 

 

 それはひとえに、真純に刻まれた阻害という起源によるものである。三画あるはずの令呪が一画しかないのも、礼装から発動するガンドの効果が変質したのも、

魔術によって生きながらえていた(・・・・・・・・・・・・・・・)母の魔術を阻害したのも……全て

 

 

 

 その一画しかない令呪を見つめる真純はそこから確かにメリュジーヌが近くにいる事を感じていた。ダヴィンチの話ではアイルランド近郊のこの土地に特段深い繋がりのないメリュジーヌはレイシフトに同行できないはずであるのだが……

 

「おはよう!マスター!君が起きるのを待っていたよ!」

 

 そう言いながら、クーフーリンと同じく周辺の探索に飛び回っていたメリュジーヌが降りてくる。

 

「…何でいるのかって顔だね」

 

「そいつは、俺から説明してやる」

 

 何か知った様子のクーフーリンはこう語る。

 

「此処はスカサハ(あの女)が統治する人外魔境、世界の裏側にある影の国……その門の前だ……」

 

 そう言った彼の背後の濃い霧の向こうに巨大な門があった。

 

 世界の裏側にあるとされる影の国、神代の終わりを理解した幻想種たちが地上を譲渡し移動したこの場所は、幻想種たちが闊歩していた時代に等しく、また時の流れも曖昧である。メリュジーヌが今回のレイシフトについて来られたのは、彼女がかつて、世界の裏側を目指した境界の竜であったからだと推察される。

 

「この門の付近なら、魔獣どもも易々と襲っては来ねえ。しばらくゆっくりさせてもらおうぜ」

 

 カルデアと連絡がつかない真純達一行は、クーフーリンの言葉を信じ、連絡が取れるまでこの場に止まることに決めた。

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