「はじめまして、真純くん。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。此処カルデアで現在指揮をとっているサーヴァントだ」
「え…?女性…?」
仮に目の前の人物が英霊なのは認めるとして、このモナリザそっくりの美人さんが、あのレオナルド・ダ・ヴィンチ?だったらあの歴史書のおじいちゃんは一体何だと言うのか。真純の頭は疑問符で埋め尽くされる。
「あー、ダヴィンチちゃんは自分で描いたモナリザに惚れ込んで、自分をモナリザにしちゃったアブナイ人なだけだから、気にしないで」
「あっ、はい」
立香から説明を受けるも全く意味がわからなかったので真純は考えるのをやめた。
「その様子だと、メリュジーヌからもう既に事情は聞いてるみたいだね」
「ええ、色々と世話になったみたいで、ありがとうございます」
「ああ、気にしないでくれたまえ。こちらも利益あっての話だからね」
そう言うとダヴィンチは雇用契約書と書かれた紙を取り出して真澄に差し出す。
「寝ている間に色々と君の体を調べさせてもらったよ。君にはマスターとしての才能だけじゃなくてレイシフトの適正も備わっているようだ」
「レイシフト?」
「まぁ簡単に言えば時空間移動みたいなものだね」
成程と納得する真純を横目にダヴィンチは更に続ける
「この二つの才能はカルデアのマスターとして働くための最低条件、君はそれを満たしている。更に言えば君はカルデアの外では追われる身になってしまっているから、追手を振り払う隠れ蓑、欲しいんじゃない?」
最早このカルデア以外で安全な場所など無いというのは言い過ぎな気もするが、外界との交流の機会がほぼ無いカルデアは確かに他のどこよりも安全ではありそうだ。
「更に更にカルデアは今深刻な人材不足だ。猫の手も借りたいとはまさにこの事、是非とも君には我が社で働いていただきたい」
わざとらしく胡散臭い喋り方をするダヴィンチを立香は苦笑いしながら見つめていた。対人関係は良好らしい。
「君は安全な衣食住を提供されて、私達は労働力を得る。お互いwin-winな取引だ……どうだい?この紙にサイン?したくなったんじゃない?」
「うーん、もう一声」
「今なら、先輩マスター藤丸立香ちゃんがついてきまーす」
ダヴィンチに両肩を掴まれた立香が真純の前にポンと置かれる。
「早くペンくださいサイン書けないでしょ」
「ぇうえぇぇえ!」
思わぬ追加報酬に条件反射でつい反応してしまった。顔を赤くして奇声を発した立香を横目に、ペンを受け取り2秒も掛からずに自身の名前を書き上げ、無事契約が結ばれた。
「ようし!マスターになったらやる事は山積みだぁ。まずは護衛戦力増強のためにも、あと何人かサーヴァントと契約して欲しいんだ。何人かリストアップしてあるから……」
今度はタブレットのような端末を取り出したダヴィンチにメリュジーヌがぴしゃりと一言声をかける。
「必要ないよ」
「……アラ?」
「マスターに僕以外のサーヴァントは必要無い」
「…ほほーう、言うじゃないか君〜」
メリュジーヌの毅然とした態度に呆気に取られていたダヴィンチは直ぐにいつもの調子を取り戻し、にへらと笑いながらある提案をする。
「よし!じゃあこうしよう!」