「はぁぁぁぁ!!」
目にも止まらぬ速さで空を駆け抜けるメリュジーヌは3人のサーヴァントを相手取り、その全てを蹂躙していた。
「ぬわぁぁぁあ!」
「うぉっ!、ちょいちょいちょい!」
「なんとぉぉ!」
メリュジーヌの攻撃で次々と薙ぎ倒される歴戦の英霊たちをマスター、藤丸立香は信じられないと言った表情で見つめていた。
「……うっそぉ」
数々の特異点修復の戦いで、あれ程までに頼りなった彼らは今、一人の少女?に面白いくらいコテンパンにやられていた。
時は2時間前に遡る。
ダヴィンチから受けた提案はこうだ。
カルデア側から護衛要員としてあげていた3人のサーヴァントとメリュジーヌを勝負させると言うもの。
カルデア側が勝てば、ダヴィンチの提案通り、護衛のサーヴァントと契約。
メリュジーヌが勝てば、メリュジーヌの要求通り真純のサーヴァントはメリュジーヌ1人のみとなる。
真純は不公平なのではと思いつつも、自信満々に条件を呑んだメリュジーヌの圧に何か言う気は起きなかった。
一面の草原と青空が広がるシュミレーションルームにて戦いが始まろうとしていた。
カルデア側のサーヴァントは3人、クー・フーリン、牛若丸、そしてロビンフットである。
「なぁ嬢ちゃん」
「何?クーちゃん」
「クーちゃん言うな……マジで3対1なのかよ」
「うん、マジ」
クー・フーリンは、はぁぁと大きなため息をついたのち苦い顔しながらこう語る。
「相手のサーヴァント、見てくれはちっこいガキだったしなぁ……力を隠してる可能性もあるが、どうも気がのらねぇ」
「とは言えこの戦、我らカルデア、ひいては主殿のお力を主殿の想い人に示す良い機会なのでは?」
「いやいやいや、力を示されてときめくタイプの男じゃないでしょうよ」
「私がいる前で想い人とか言うの恥ずかしいからやめてもらっていいかなあ!?」
カルデアメンバーがコントをしていた一方でメリュジーヌと真純の方はというと
「なぁ、本当に大丈夫なのか?」
「酷いなぁ、少しは信じてくれてもいいのに」
いじけたように目を伏せ唇を尖らせるメリュジーヌに若干の申し訳なさを感じた真純は彼女のためにできる事がないか尋ねる。
「…悪い…その…俺にできる事は?」
「…大丈夫。
そう言うとメリュジーヌは今までのドレスのような姿から一変して、戦闘機の翼のようなものを背中につけて、身体の一部が黒く染まり角が生えて、
「だいぶ際どい格好だな」
「この格好寒いから、後でベッドで暖まりながらゆっくりお話ししましょう」
真純との会話もそこそこにメリュジーヌはジェットエンジン顔負けの轟音を轟かせカルデアチームの方へ飛び立っていった。
「…さぁ、マスターを待たせているもの……速攻で終わらせましょう」
突然現れたメリュジーヌにカルデアチームは驚愕する。
今まで感じた事もないような膨大な魔力。かの魔神王など比ではない。
根本的に種としての存在密度が違う。これまでのどんな敵よりも強大な相手になるとサーヴァント達は一瞬で悟った。
カルデアのサーヴァント達はそのほとんどが霊基の強化を受けているため、召喚された当時よりその力は何倍にも跳ね上がっている。ゲーム風に言うのなら、レベルは70〜90といったところ。
本来であればそんな強化済みのサーヴァントと、召喚されて数日程度のメリュジーヌでは善戦はできたとしても、勝利、ましてや圧勝などあり得なかっただろう。
メリュジーヌは自身を指して戦闘機と呼ぶ。その言葉に欺瞞はなく、火力、そして速度ともに境界を翔ぶ竜のその一部たる彼女に相応しい称号と言える。
しかし彼女は良くも悪くも戦闘機。かなりの
マスターとしての古谷真純は全くの素人である。サーヴァントを補助するような魔術など一切使う事は出来ないし、戦況を見て指示を出せる程の経験もない。しかしただ一つ、魔力リソースという一点においてのみ古谷真純は世界最高のマスターと言える。
燃費の悪さ以外は最強の戦闘機、メリュジーヌは
更に言えば魔術界における最高の魔力炉心である聖杯を、鼻で笑うレベルの魔力を保有する真純のサーヴァントであるメリュジーヌはその潤沢な魔力で持って自身の霊基を限界まで強化していた。
カルデアにならって同じ表記をするならそう、