人類最後のマスターには好きな人がいる    作:永久冬眠

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第9話

 「あー…いやー何と言うか…」

 

 メリュジーヌとカルデアのサーヴァント3名との勝負(蹂躙)から数分。

 

 万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチはカルデアに召喚されてから5本の指に入る程の衝撃を受け、言葉に詰まっていた。

 

 メリュジーヌと戦った3名は別にカルデアにとって最高戦力というわけでは決してない。もっと強力な霊基を持つサーヴァントだっているし、サーヴァント自体の数も、100名を超えている。

 

 しかし、藤丸立香が想いを寄せる真純の護衛として抜擢された3名は、立香の旅が始まった冬木の特異点で召喚され、カルデアでも特に信頼を置かれるサーヴァント達。数々の特異点にも同行し、歴戦の勇士というに恥じない活躍を見せていた。

 

 ダヴィンチは正直にいってしまえば当初、この勝負に負ける可能性は全く考えてなどいなかった。

 

 

 無論ダヴィンチも何も考えずに勝負を吹っ掛けたわけではない。3名の霊基は現状可能な限り(1部攻略時点基準で)最大限の強化をしていたし、古谷真純というマスターの特異性も協会にサンプルとして狙われる理由含めて理解していた。

 

 ダヴィンチにとって盲点だったのは、可愛らしい少女の姿をしたメリュジーヌが幻想種の頂点たる竜であり、しかも竜の中でも特別な冠位(グランド)と呼ばれる境界の竜 アルビオンのその一部であったと言うこと。そして、彼女の唯一つの欠点を埋めるパーツとして、古谷真純はこれ以上ない逸材だったことである。

 

 様々な要素が絡み合った末に生み出された最強コンビ(メリュジーヌ談)に対して万能の天才が示した答えは。

 

 

 「うわー!強い!何その翼!?カッコいい!!」

 

 「ふふん、そうでしょう?そうでしょうとも」

 

 天才は思考放棄の全肯定botと化した。

戦闘機×ドラゴン×美少女=男のロマンである。ダヴィンチはそう言うのは勿論大好きだ。そう言った個人的側面もありつつ、カルデアの指揮を取るものとしては、

 

 (何はともあれ、メリュジーヌ…境界の竜 アルビオンのその末端…彼女の…いや、彼等(メリュジーヌと古谷真純)の力は強大だ…あの魔神王ゲーティアをも単独で倒しうる実力を持っている……無いとは信じたいが、もし…もしもカルデアと何らかの原因で袂を分つ時が来た場合、カルデアに勝ち目は無いとまでは言わずとも、修復不可能な損害を被る可能性は高い。そうならない為にも、今のうちから仲良くしておく他、手はないだろうね……それに)

 

 圧倒的な力を個として所有するメリュジーヌと真純に対し、カルデアを指揮し、守る立場にあるダヴィンチは2人が敵に回ることを想定しないわけにはいかなかった。とはいえ……

 

 (彼女のデザインには何だか惹かれるモノがある……今後の発明のインスピレーションになりそうだ!)

 

 「うぇぇぇん!!強すぎるでしょぉぉ!礼装の支援魔術使えなかったんだけど(・・・・・・・・・・・・・・・・・)!?何で!?」

 

 「おい!揺らすな!!離せ!脳が…ッ!震える…ッ!」

 

 「マスター、魔力ダダ漏れだったからマスターの魔力に魔術が発動前に掻き消されたんだろうね……魔力放出の調整ができるように後で手取り足取り、教えてあげるね、マスター」

 

 そう言ってメリュジーヌは真純の身体に自身の肢体を絡みつかせる。

 

 「ずぅぅぅるぅぅいぃぃぃ!!」

 

 そのずるいは何に対してか、藤丸立香はメリュジーヌに可愛らしい嫉妬心を抱き、真純の肩を持ち前後へ揺らす。真純は離せと言いつつも本気で嫌がる素振りはなく、久方ぶりの感覚を噛み締めていた。その様子を見ていたダヴィンチは

 

 (立香ちゃんがいる限り、少なくとも真純くんが敵対する可能性はないと思うし……メリュジーヌも……多分、真純くんの言うことなら聞くだろうから……まぁ、いっか!)

 

 敵対さえしなければ最強の味方を得たカルデア。ダヴィンチはこれからメリュジーヌのご機嫌取りにひたすら苦労することになるのだが、その話はまた今度。今は新たな仲間の加入を祝う事にした。願わくば、立香の想いが届くようにとも思って。

 

 

 「さあ!お次は部屋割りだ!メリュジーヌは勿論真純くんの隣部屋がいいよね?」

 

 「同じ部屋に決まっているでしょう?」

 

 「エッ…」

 

 「ダメですけど!?幼馴染である私が許しませんよ!?」

 

 (うーん、胃が痛い…)

 

 さっそく苦労の香りを感じたダヴィンチであった。

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