たるさんです!
皆様は風邪など引いていないでしょうか?最近、テング熱がニュースになっています。外を出歩くときは、なるべく蚊に刺されないように長袖の着用と虫除けスプレーの準備を怠らないよう、気をつけてください。
はてさて、今回は朱美ちゃんが音ノ木坂に来ちゃう話です。
それでは、ごゆっくり。
五月の半ばに入り、梅雨にむけ暑さと湿気がどんどん増していく今日。朝はまだ涼しいほうだが、音ノ木坂へ向かう途中、夏用の制服に衣替えした生徒もちやほや見かけるようになってきた。もちろん、俺は男子なので女子高生が多いこの通学路でひとりズボンを履いている俺は場違いにも思える。
「……取り戻しに、か……」
しかし、そんな注目の目線はお構いなく、俺は考え事……先週の土曜に朱美と会った事を思い出していた。
朱美は、俺がまだ金髪で
その後はお互いの行方も知らず、連絡も取れなかった。
先週、久しぶりに会ったとき、朱美は
『君を"取り戻し"に来たよ』
と言っていた。
多分……俺とまたダンスがしたい、ということだろう。確かに、ユニット活動中は楽しかった。それなりにユニットの名も売れて、いろんな所でダンスを踊った。それは簡易ステージだったり、路上だったり……ちゃんとしたステージだったり、いろんな場所でダンスをした。その当時はちゃんと事務所にも所属していて、プロデューサーなんかもちゃんといた。
……それでも、俺はダンスを……やめてしまった……。
「おっはよー!葵君!」
後ろから響く、元気いっぱいのこの声。底抜けの明るさをもつ、このこの声の持ち主。
誰か、なんて振り向かなくてもわかる。
「おはよう穂乃果。今日は珍しく早起きだね」
振り向きざまに答えた俺の返事に穂乃果は、不満気に顔を膨らませた。そして、俺のとなりに並ぶ。
「む〜……なんかそれっていつも寝坊してるように聞こえるんだけど?」
「現にほぼ毎日寝坊してるじゃありませんか」
穂乃果の後ろから深い青色のロングヘアを優雅になびかせながら、海未が呆れたように言った。
「うぇーん、葵君と海未ちゃんがいじめるよぉー」
「ふふっ、よしよし♪」
海未と同じく、後ろにいたことりに慰めをもとめて頭を撫でてもらっている穂乃果。その様子がなんだか飼い主に甘えている猫みたいだった。
「こ、ことりはいつもズルいです!」
「えへへ〜♪」
何か悔しそうに頬を赤くして怒る海未。羨ましそうに穂乃果をなでることりを見ている。
「わ、私だって……撫でたいです……」
「ふふ〜♪」
海未が小さな声でそう呟くと、それを聞いていたのか、穂乃果がことりから離れて目を輝かせて海未を見つめていた。
「な、なんですか……っ!?」
「う〜みちゃ〜ん!穂乃果を撫でて撫でて〜♪」
がばっ、と猫なで声で穂乃果は海未に抱きついた。そして海未の自己主張のあまりしてこないスレンダーな胸に頬ずりをした。
「うみちゃんうみちゃ〜ん♪」
すりすりと本当に猫みたいに海未にすりよる穂乃果。海未も嫌がっているように見えるが、まんざらでもないらしく、頬を赤くして穂乃果を撫でている。ことりはそれを見て、いつか見たあの恍惚そうな笑顔で二人を見つめていた。
……そんな三人を横目に俺はまた朱美の事を思い出していた。
あの後、朱美は時間がなかったのかすぐに去ってしまった。その際にこんなことも言っていた。
『……今日は時間がないから仕方ないけど……まぁ、近いうちにまた会えるよ』
そう言い残し、黒色のキャップをかぶり直して去っていった。……朱美は俺に何を言いたかったんだろうか?
……なんだろう、少し胸騒ぎがする。
「どうしたの?遅刻しちゃうよ?」
いつの間にか、海未から離れたのか穂乃果が真正面から俺の顔を覗いていた。
「う、ううん。なんでもない!さ、行こうか」
穂乃果の顔が案外近かったことに照れながら、俺は早足で歩く。
「あ、ちょっと待ってよ〜!」
差を縮めようと穂乃果が小走りで俺に追いついてくる。それに合わせて、海未、ことりも穂乃果のあとを追いかけた。
……そのとき、風が吹いた。
葉桜をバッサバッサと騒がしく揺らしながら。
…………そのとき、油断していた穂乃果のスカートがめくれ「葵君のエッチ!!」ふゴッ!?
……風に乗った穂乃果のスクールバックが俺の顔面に勢い良く衝突した。
「いって!!……あのさぁ、もう少し優しくやってよことり……いてっ!?」
「……だって、穂乃果ちゃんのパンt……スカートの中見たよねぇ?」
「だから、あれは不可抗力だっていってんだ「お仕置き」いってぇぇ!?」
例のごとく、俺は保険委員のことりにスクールバックって負傷した鼻を"荒々しく"応急処置してもらっていた。なんで鼻を負傷したかは……言うまでもない。
「はい、絆創膏貼って終了〜!」
「いてっ!?……だからさぁ、もうちょい優しくやってよ……」
乱雑に絆創膏を鼻の擦り傷に貼られた。その痛みに鼻を抑えながら、涙目にしてことりにうったえた。
「お仕置きはお仕置きなんだよ〜……まぁ、反省してるみたいだし、ことりは許してあげる♪」
痛くしてごめんね、と笑顔で謝ることり。全然謝っている気がしません。
まぁ、なんにせよ。
ことりが怒るのをやめてくれたみたいだ。……なんで怒ってたんだ?理由が気になる。
「ぼ〜っとしないで。ほら、教室に戻ろ?」
ことりに手を引かれ、俺達は教室へと向かった。
教室に戻ると、穂乃果が席についていた。天真爛漫な穂乃果としては朝のこの時間に座っているというのは、たいへん珍しかった。
……通学路での事を怒っているのだろう。俺は謝ろうと穂乃果の座る席まで歩いていった。
「ほ、穂乃果……」
「あ、葵君……」
あぁ……やっぱり怒ってる……。
ここは素直に謝らなきゃ。
俺は一度深く深呼吸をして、気持ちを整えた。そして、頭を下げると同時に謝罪の言葉を言う。
「「ごめん、穂乃果(葵君)!!」」
二人が同時に紡いだ言葉は、同じ意味を持った言葉だった。
「え……あ、いや、その……本当にさっきはごめん」
「ううん!こっちこそ!……スクールバック投げちゃってごめんなさい」
そして、数秒の空白が俺ら二人を支配する。その空白に耐えきれず、俺と穂乃果は笑い出してしまった。
「じゃあ……お互い様、かな?」
「うん!お互い様だね!」
お互い様、と笑い合う穂乃果と俺。なんとなくだが、穂乃果とこうして笑い合ったり、話したりしていると、何だか落ち着く。
こう穂乃果ことを想っているって事は、俺はやっぱり穂乃果のことを……穂乃果に"恋"をしているのかな……?
「みんな、早く席についたついたー」
そんなことを考えていたら、朝のホームルームの時間がきた。教室に先生の声が響き、出歩いていた生徒がそそくさと自分の席につく。
「みんな居るなー?今からホームルームをはじめるぞー……っと、その前にみんなに伝える事があるんだった」
先生の言葉に、生徒達がザワザワとする。「なになに?」「何でも、また転校生らしいよ?」「えー?それ本当?」
転校生?俺に続いて、また?
「実は、また我がクラスに転校生がやってきた。その転校生に自己紹介をしてもらおうーーー入っていいぞ、目黒」
「え……?」
小さな驚きの声を発したのは俺だった。
……目黒?ま、まさか……!
そこに、革靴の音をコツコツと鳴らして、黒髪長髪に赤みを帯びた黒色の瞳の女の子が入ってきた。女の子は教卓の隣まで来て、自己紹介をはじめた。
「どうも、ボクは"目黒 朱美"。趣味は……ダンスかな?よろしくね」
そこにいたのは、紛れもなく。
ーーー音ノ木坂の制服に身を包んだ、朱美だった。
「よろしく、葵?」
学校が楽しい(白目)。
テストが近いんです。
私は特に数学が苦手でございまして……計算には苦悩しております。しかし、暗記系の科目はいささか得意でありまして、頑張っています。
それはさておき、オリキャラがもう一人でましたね。主人公以外に。この後の展開はどうなるか……今後をお楽しみにしていてください。
次作は三日〜四日後に投稿予定であります。
読んでいただき、ありがとうございました。