ラブライブ! 〜IF STORY〜   作:たるさん

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すみません、遅れました。

い、いや!
睡魔が悪いんですよ! あいつ等どんなにどんなに寝ても自然と襲ってくるんですよ!? しかもめっちゃ強い。あ、これ詰んだわー、ってなりますよ絶対!

前置きと言い訳はさておき、今回はダンス部門ですね。

それでは、ごゆっくり。

今回、後書きを休みます。
(トークV.Sのネタがないなんて言えない)


二十四話 第一回!にこにこセンター争奪戦! 〜ダンス部門〜

 

 

 

 

 

「さぁ、次はここよっ!!」

 

数時間前のカラオケでの悔しさもあってか、にこさんは苛立たしげに声をはりあげた。目の前の自動ドアが開き、みんながぞろぞろと入って行く。

 

「くる度に思うけど……うるさいな」

 

入ると同時に鳴り響くけたたましいほどの電子音や音楽。そして、目にはいる様々なゲーム筐体。少し向こうでは若いカップルがクレーンゲームできゃいきゃい盛り上がっている。爆発すればいい。

 

「ここ、ゲームセンターだよね?ボク来たことないんだよね」

 

そう、ここはゲームセンター"ナイトーステーション"。一説によると、内藤さんという苗字の人が作ったゲームセンターだとか、夜に出来たから"ナイト"だとか。どちらにしても、俺達はこのゲームセンターを略して"ナイトー"と読んでいる。

 

「あ、凛ちゃんもう少し右!」

 

「違う、左よ!」

 

「二人ともちょっと静かにするにゃー!」

 

入るや否や、花陽達一年生陣がクレーンゲームのコーナーへと直行していた。凛の両隣で花陽と真姫があーだこーだとクレーンの位置を指図している。

お、アームが某蜂蜜好きな黄色いクマさんの人形を挟んだな。クマさんを挟んだアームがゆっくりと持ち上がり…………あ、落ちた。

 

「にゃぁ!?」

 

猫が尻尾をぴんと張るように驚く凛。

 

「もう少しだったのに……」

 

「次は私がやるわ!」

 

がっくりと肩を落とす花陽を押しのけ、右手に百円玉を五枚くらい握りしめた真姫がクレーンゲームの筐体前に構える。

このお金を無駄につぎ込んじゃうのは、クレーンゲームの嫌な魔法だよな。でも、"ここで諦めたら、消えていった百円玉達に示しがつかない!"なんて思っちゃって余計につぎ込んじゃうんだよね……ほんと、恐ろしいや。

 

「こら、あんたたち!勝手に行動しなーー」

 

「葵君、朱美ちゃん!こっち来てプリクラ撮ろうよ〜!」

 

穂乃果が朱美と俺に向かって手招きしている。どうやら、あのプリクラを一緒に撮ろうとしているらしい。海未とことりも隣にいる。

 

「プリ……クラ?なんだい?それは」

 

「俺に聞くなよ……俺もよく知らんし」

 

頭にはてなを浮かばせて首を傾ける朱美。

……まぁ、こいつゲームセンターなんて来たことないからなぁ……だってずいぶんなお嬢様な訳だし……。

 

「ま、面白そうだから行ってみるよ!」

 

そう言って、朱美は穂乃果達のところへ軽く駆け出す。

 

「あ、ちょい待て!」

 

俺はこの好奇心旺盛な親友の後を駆け足で追いかける。

 

……そういえば、昔。

俺が捻くれっ子の頃だ。よく朱美に強引に遊びに連れていかれたっけなぁ……遊びに行く場所も場所で、川だったり林だったり……いろんな所に連れていかれた。そこで朱美は我先にと竹林の奥に進んでいったり、川の上流へと登っていったり……散々振り回された。

……だけど、不思議と後悔はしてないんだよな。いつも文句をぶつぶつ言いながら朱美について行くも、決まって最後には"感動"で終わるんだ。

 

「ほら、葵も早く来なよ!」

 

屈託のない笑みでこちらを振り向く。

朱美はいつもクールに見えるけど、実はかなり好奇心旺盛。知らないものをとことん"知ろう"とする。そんな性格の持ち主……危なっかしくて危なっかしくて、本当に困ったものである。そんな朱美も俺は嫌ではない。

……でも稀に、"それが朱美らしくない"と思う時もある……。

 

「え!?朱美ちゃんプリクラ初めてなの!?」

 

「あぁ、生まれてから一度もゲームセンターなんて行った事ないからね」

 

「それはもったいないよぉ〜」

 

「わ、私もプリクラは初めてでして……」

 

四人が楽しそうに話している。いかにもその光景は"イマドキの女子高生"みたいな感じで、俺の目には充実してるように見えた。……よくよく考えてみれば、朱美が友達と仲良く話しているなんて初めて見たな。見たのは……朱美が出会って間もない頃、だったかな……。

 

……ま、朱美の幼少期はあまり詳しく覚えてないんだよな。初めて会ったのだって十歳ごろだし……あまり彼女の素性は知らないんだよなぁ……。親友なのに、なさけない……。

でも、なんか……朱美との記憶が、こう、なんというか……"スプーンですくわれた"みたいに一部分だけぽっかり穴が空いている、気がする……ただの思い過ごしかな……?

 

「ほら、葵君も一緒に!」

 

プリクラの機械に入った穂乃果が、一度出てきて俺の腕を引っ張ってきた。

 

「わ、分かった!分かったから離してっ!」

 

穂乃果に引っ張られるまま、プリクラの中えと引き込まれてしまった。中には、いつも通りに穏和な笑みをしていることり、どこか恥ずかしそうにもじもじしている海未、ワクワクで目を輝かせている朱美、俺の腕を掴みながらプリクラの設定画面をピコピコいじっている穂乃果……いつもの四人がいた。

 

『では〜、カメラに顏を向けて〜』

 

頭上にあるスピーカーらしきものからアニメ声な女性の声がエスコートをしてくれる。……最近のプリクラって音声も入っているのか、お兄さんびっくりだ。

 

『準備は大丈夫かな?それでは、いっくよ〜!』

 

「ほら、みんなピースピース!」

 

穂乃果のその言葉に合わせ、みんながカメラの前で思い思いのポーズをとった……まぁ、俺を含めの五人ともピースをしたのだが。

 

『1、2、3ーーーー』

 

 

パシャリ

 

 

カウントダウンの後に、眩しいフラッシュが狭いプリクラ機内で焚かれた。それは一瞬にして強烈な光、その光に俺は思わず目を瞑ってしまう。

 

「じゃ、アレンジしよっか!」

 

そう言って穂乃果は備え付けのペンを手に取り、プリクラの画面に向かって何かを描きはじめた。

 

「〜♪」

 

機嫌が良いのか、鼻歌を歌いながら笑顔で作業する穂乃果。スラスラとペンをはしらせている。

 

「ほ〜……最近のプリクラは凄いな……」

 

いや、ほんと凄いよ。プリクラって。

女子の悩みである目の大きさを自由に設定できるし、肌の色だって明るくしたりできる。背景もいろいろあって、もうプリクラって一種の最先端機械なんじゃないんだろうか。技術では米国に負けてないぞ日の丸日本。

 

「はいっ、出来た!!」

 

お、どうやら完成したらしい。

どれどれ……。

 

「あ!見ちゃだめぇ!!」

 

覗き込んで見ようと思ったら、穂乃果が見せまいと画面を隠してきた。

 

「現像出来るまでのお楽しみだよ〜!」

 

現像出来るまで、か……ま、いいか。帰りに楽しみができたし!

 

 

 

 

…………あれ?

なにしにゲームセンター(ここ)に来たんだっけ?

 

 

 

 

 

「あんたたちィ…………!」

 

「ひっ……!?」

 

 

 

 

 

ーープリクラのカーテン向こうに、ツインテの鬼がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、目的はこれよ!」

 

二年生陣がこってりと絞られたあと、俺たちはリズムゲーム……通称"音ゲー"のコーナーにやってきた。てか、連れてこられた。

 

「えっと、これって……?」

 

俺らの前にある二台のゲーム筐体、名前は……"エレガントダンサーズ"?

 

「最新のモーション認識機能を搭載したダンス型のリズムゲーム!その名も、エレガントダンサーズよ!」

 

意気揚々にツインテの鬼がーー。

 

「……(ギロッ)」

 

……にこさんが説明する。なんでも、プレイヤーの動きに反応して、その動きがあっているかどうかで点数化される最新のダンス型リズムゲームらしい。ダンサー"ズ"とだけあって、最高二人一緒にプレイができるらしくて、収録されている曲の中には二人専用の曲がある……うん、なんだか楽しそうだ。

 

「なんだか面白そうだな……朱美、一緒にやんないか?」

 

「いいね、OK。やろう」

 

俺の提案に朱美は乗り気な笑みで答えた。

 

「よし、じゃあ……なにやる?」

 

さっそく中へ入り、百円玉をいれてプレイする曲を選ぶ。朱美もいる事だし、せっかくだから二人でできる曲を選曲するか。

 

「ん〜……あ!」

 

選曲するために、画面をスライドさせていると、良い曲を見つけた。

 

「この曲でどうだ!」

 

俺はその曲を選択し、朱美の方をみる。

大きな液晶に映し出される曲名は"Spring!!"。

そう、あの"天野 春風"こと"ハルさん"の持ち歌、Spring!! だ。

 

「……振り付け覚えてるかな?」

 

「大丈夫だよ、きっと。見れば思い出すから」

 

そう朱美は言うと、スカートの下にスパッツをはきはじめる。

 

「あ……」

 

「葵君見ちゃダメ!」

 

「けふっ」

 

く、首が……穂乃果に首を、首を曲げられた……。

 

「あ、ごめん……」

 

「い、いいんだ……理由はわかってるから……」

 

ダンスする前に、人として大事な首を損傷しちゃったよ……。

 

 

 

 

数十秒後……。

 

 

 

 

 

朱美も準備出来たみたいなので、開始ボタンを押す。

 

「じゃ、いくぞ!」

 

「OK、ぱーっといこうか!」

 

気持ちが高揚しているのか、朱美は少し興奮している……なんだか、"らしくない"感じがしたが……気のせい、だよな……?

 

出だしの伴奏が流れはじめた。アイドルの曲らしい、ポップでキュートで……まさにアイドルというにふさわしい伴奏だ。

そして、メロディー。跳ねるようなリズムで、キュートな歌詞を歌う。はたからみれば凄く恥ずかしいような台詞を言ってるようだが、こう表現するしかないくらい、"アイドル"な曲なのだ。

 

ーーーー朱美との、久しぶりのダンス……時間があっという間に過ぎていきそうなくらい、充実した時間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当にあっという間に時間は過ぎ、気づけば曲が終わっていた。久しぶりに踊ったせいか、俺と朱美はかなり息を切らせてしまっていた。

 

「はぁ、はぁ……体力、おちたな〜……」

 

「まぁ、久々に踊ったから無理もないよ……はぁ、はぁ……」

 

「朱美、お前も体力落ちてるじゃないかよ……」

 

二人して肩で息をしているようじゃあ……話にならないな。ダンスをやってきて体力と柔軟さは身につけたつもりだったけど……あくまでつもりは"つもり"か。『日々の鍛錬、怠るべからず』だな。毎日の練習が実り、やっとステージや舞台で花開くことができるんだな……次回の練習から本気でやろう。

 

「あ、にこさん。すみません、先に遊んじゃって……?」

 

にこさん及びみんなに先走ってしまったのを謝ろうとして、俺は振り返る。だが、みんなの顏が唖然としていた。なぜか周りに人溜まりもできていた。

 

「……すごい」

 

穂乃果が、小さくつぶやく。

 

「すごい、すごいよ二人とも!」

 

「えぇ!流石です!」

 

「凄くかっこよかったよ〜!」

 

「あ、葵さんかっこいい……!」

 

「先輩すごいにゃー!」

 

「……ま、まぁ……流石ね」

 

「悔しいけど、本業だものね」

 

穂乃果の絶賛する声から始まり、次々とメンバー達が俺らを賞賛する。穂乃果達のまわりにいた人達からも拍手が贈られる。……少し、恥ずかしいかな……。

 

「そ、そういえば、にこさん達はやらないんですか?」

 

俺は恥ずかしさのあまり、話を逸らした。もともとは、にこさん達がやるためにゲームセンターに寄ったのに、なんだかこんな事になっちゃって……。

 

「いやぁ……そのつもり、だったんだけど……あの後にやると、ねぇ?」

 

口ごもり、そっぽを向くにこさん。どうやら、俺らの後にはやりたくないみたいだ。

 

「……あーもう!次にいくわよ!」

 

「え?でも……」

 

「……あんなの見せられた後に、やりたいと思うわけ?」

 

「そ、それは……」

 

穂乃果とにこさんが、俺には聞こえない声で話していた。内容は勿論、本当に話しているかどうかも分からなかったが、口が動いていたので、どうにか話していたというのが分かった。

 

 

結局、にこさんが無理矢理に店の外へと連れ出したため、本来やるはずだったμ'sのメンバー達は、次の場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーゲームセンター内にて。

 

「へぇ……あの二人が元"V.S"か……」

 

「やはりダンスは達者なようだな」

 

「そうだねぇ〜、流石は本業さん」

 

「あぁ、やはり本業と私等じゃキレがちが……どうした?」

 

サングラスに深々とキャップを被った、短髪の少女は少し笑った。

 

 

 

 

 

 

「ーーーー面白くなりそうじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

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