ラブライブ! 〜IF STORY〜   作:たるさん

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どうも、たるさんですたい。

すみません、投稿が遅れました……いやぁ、アニメをみてました。すんません。

さて、今回はついに、えりち回突入です。

それでは、ごゆっくり。

後書きは、例のアンケートの結果発表です。

1/26 サブタイトルを変更しました。


三十七話 金と紫の奇跡

 

 

 

 

 

 

ーー彼女は焦っていた。

 

このままでは、音ノ木坂の廃校は免れない、と。だから彼女は次から次へと企画を考えた。

しかし、その企画が通る事はなく、幾度となくボツをもらう。それを引き金に、彼女の焦りはより速度を増していった。

 

ーー何とかしなくちゃ。

 

その焦りだけが、今の彼女を動かしている。

 

ーー何とかしなくちゃ。それが私の"義務"なんだから。

 

彼女はその"義務感"のもとに、廃校を阻止しようとしている。

 

 

『……本当に、義務なの?』

 

 

誰かが彼女に問いかける。少し独特な喋り方をしている女の子の声だ。

 

ーーえぇ、義務よ! "音ノ木坂生徒会長"としての、義務よっ!

 

彼女は力んでその声に怒鳴り返した。女の子の声は、その怒鳴り声にも動じず、ため息まじりにこう返した。

 

 

『だから、貴女の企画はボツになるのよ』

 

 

女の子の声により、空間が冷たく振動する。まるで……そう、例えるなら、まるで水面に落ちた雫の波紋ーー。

ポツリ、またポツリと女の子は言葉を紡ぐ。

 

 

『それが本当に、貴女のしたい事?』

 

 

ーー本当に……したい事……。

 

蚊の囁くような声で彼女は呟いた。

その呟きが聞こえたか定かではないが、さらに女の子の声はこう言葉を紡ぐ。

 

 

『憧れてるんでしょ? アイドルに、あの子達"μ's"に』

 

 

……彼女はそれに強く反論した。

否、正確には反論したかった。彼女は反論の言葉を紡ぎたかったが、何故か躊躇いを覚えた。

 

ーー何故だろう……。

 

彼女は考えを巡らした。ぐるぐるとジェットコースターのループみたいに、思考が回る。回るにつれ、彼女が見ている世界すらも回りだした。

 

 

『さぁ、起きて。きっと貴女は変われるからーー』

 

 

ぐるぐると回り回る思考と世界の中、その妙な喋り方をする……とってつけたような関西弁を話す女の子の声だけは、しっかりと彼女の耳に残った……。

 

 

途端、世界が暗転。

 

不意に、落下する感覚が身体を襲う。

 

 

 

ーーーーそこで、彼女の"(セカイ)"は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー暑い。

 

いや、まだ夏は本番じゃないけど、かなり暑い。日差しが直接屋上に照りつけてくる。確かに梅雨が終わって夏に向かって真っしぐらだけど……流石にこの時期に最高気温27度は暑過ぎやしないか?

ま、文句を言っていても仕方がない。幸い、夏に向かう時期なので日はまだ高い。練習は前々よりたくさんできる。

 

「よーし、練習だぁー!!」

 

この暑さなんて気にせず、穂乃果はうさぎみたいに屋上を駆け回っている。それに合わせて凛までもがはしゃいでるから、二人共元気だなぁ、とつくづく思う。いったい、その元気はどこから湧いているんだよ。ちょっとばかし分けてほしい。

 

「穂乃果……やけに今日は元気ねぇ〜……」

 

腕を組みながら気だるそうに、我がアイドル研究部、略して"ドル研"の部長にこさんがため息を吐く。

 

「その元気が空回りしなければ良いのですが……」

 

「きっと穂乃果ちゃんなら大丈夫だよ」

 

はしゃいでる二人を心配そうに見つめるのは、海未とことりの二人。心配以外に、なにかが気になるのかそわそわしているように見える。

 

「ねぇ真姫ちゃん、今日は大丈夫だよ、ね……?」

 

「……さぁ」

 

俺は次いで凛以外の一年生、花陽と真姫を見てみるも、こちらもどこか落ち着かない様子だった。

 

……ここまでメンバーが落ち着きがない理由は、やっばあれか〜……いや、実際のところ俺もちょっと心配なんだね。ほら、絢瀬先輩はμ'sを酷く嫌っているわけだし、そんな人が二つ返事でダンス指導役を受けてくれたのだ。……そりゃそわそわとか、身構えちゃうよなあ。

 

 

「……ん、噂をすれば……」

 

 

隣で準備をしていた朱美が徐に屋上のドアの方を振り向いた。奥からはコツッ、コツッと規則正しい革靴の歩く音が聞こえる。

 

……来たか、ついに。

 

靴音はちょうどドア手前でピタリと止み、扉の窓にゆれる一つの影が見えた。

 

 

 

「……入るわよ」

 

 

 

落ち着いた、しかしどこか冷たく刺さるような声が聞こえた。数秒たった後、ドアノブが回され、扉が開く。

 

……全員がその金髪碧眼をした美少女を見つめ、押し黙る。

 

 

 

ーー絢瀬 絵里先輩。

 

 

 

ロシア人のクォーターにして、音ノ木坂の現生徒会長。

鋭くなる澄んだブルーの瞳が、氷柱(つらら)ような冷たさと鋭利さを感じさせる。気温としては暑いのに、この屋上の雰囲気だけ刺すような寒さを感じさせていた。

 

「ダンスを教えてほしいって事で良かったのよね?」

 

「はい! 今日はよろしくお願いします!」

 

そんな圧倒的な威圧を受けながらも、穂乃果は穂乃果らしく、元気にハキハキと挨拶をする。

 

「じゃあ、さっそく」

 

絢瀬先輩はそう言うと辺りを見渡し、メンバーの顔を流れるように見ていく。その中で、ピタリと目線がとどまる。見つめたのは凛だ。

 

「貴女、ちょっと座って」

 

「は、はいっ」

 

指示を促すと、凛はその場に体育座りをする。その状態の凛に絢瀬先輩は「足を開いて」とさらに指示を出す。どうやら体を前に倒させようとしてるみたいだ。

 

「そのまま体を倒して」

 

「は、はいぃぃ〜……」

 

凛は体を倒そうとはしてるものの、少ししか倒れてない。

……て事は、絢瀬先輩は見ただけで凛の体のかたさを見抜いたって事か……。

 

「も、もうこれ以上はぁ……」

 

「……駄目ね。これくらいできなきゃ」

 

凛の後ろにまわった絢瀬先輩は、力を込めて凛の背中を押す。

 

「ぎにゃぁぁぁー!? い、痛いですぅぅ〜〜!?」

 

うわ、痛そ……。

 

「……ダンスの基本は柔軟とバランスよ。そうね……南さん、やってみて」

 

「は、はいっ」

 

ことりは、先程凛がやっていたみたいに足を開き、体を前に倒れさせる。

 

「ほっ」

 

「おお! ことりちゃん凄い!!」

 

「えへへ〜♪」

 

凛と違って、ことりは体が柔らかいらしく、屋上のタイル床と胸がぺたん、とくっついた。そのさい、ことりのその豊満で育ちの良い胸が床に押し付けられて、形が変わる。もちろん、俺はそれから目を離そうとは努力したのだが……うん、やっぱり見ちゃうよね、男だもん。

 

「……ことりは凛よりも"二つの意味"で凄いな」

 

「"二つの意味"ってなんなのにゃ! 何だかわからないけどその二つ目の理由が凄く失礼気がするにゃぁっ!! 先輩の馬鹿ァァ!!」

 

思った事を口に出しただけなのに、思いっきり馬鹿呼ばわりされた。なんでだろー?

 

「ちなみに、どちらか一つの理由はどう頑張っても改善できる可能性が0%に近い」

 

「余計なお世話にゃぁぁぁぁー!!」

 

あれあれー? また思ってた事を言っただけなのに怒鳴られたぞー? あれれー?

 

……んんっ、凛をおちょくるのはこれくらいにして。

この中で絢瀬先輩が認める基準を持つメンバーは少ないってわけか……先輩は前にも言ったが、バレエをやっていて、実力もかなり高いほう。そんな絢瀬先輩が認める水準って言ったら……そんなの高いに決まってる。

 

「次は、水平バランスを十分よ」

 

「じゅ、十分!?」

 

にこさんが予想外といった感じに叫び声をあげる。十分……俺や朱美、それに弓道をやっている海未辺りならきっとやれるはず、だが……まだそれ以外のメンバーには十分は厳しい時間だ。

 

「えぇ、当然よ。それくらいできなきゃ、話にならないわ」

 

平然と、冷たく切り離すように淡々と喋る絢瀬先輩。その態度を見ていると、やはりμ'sを解散させに来ていると実感する。

 

「今から十分、はじめ!」

 

急かすように絢瀬先輩は渇いた音を鳴らす。その合図と共に、並んでいた穂乃果達はその場で水平バランスをとりはじめる。

 

ーー水平バランス。

片足と胴体を真っ直ぐ水平に保ちながら、もう一つの片足でバランスを保つ。体の軸がしっかりしてればしてるほど、何分間もその体型を維持できる。ただ、軸がぶれている人にはかなり難しく、早ければものの数秒でバランスを維持できなくなってしまう。

 

「くぅ……あぅぅ〜……」

 

……こう考えている間にも、すでに花陽が左右へふらつきはじめている。というか、海未を除いた他のメンバーでさえもふらつきが見える。辛そうだとは思う……でも、これをクリアしないと……絢瀬先輩には認めてもらうどころか、見向きむされなくなってしまう。

 

「くぁっ……も、もう無理ぃ………ッあ!?」

 

「きゃあぁぁ!?」

 

「花陽! 凛!」

 

限界近い花陽が大きくふらついたのをきっかけに、隣に居た凛にぶつかり、二人がドミノ倒しみたいに倒れてしまった。俺はその様子に思わず二人の名前を叫んでいた。

 

「大丈夫か、二人共?」

 

俺はメンバーの方へ急いで駆け寄った。

……うん、大丈夫みたいだ。足を捻った様子もないし、花陽の下にいる凛にも怪我がないみたい。

 

「わ、私は大丈夫です……凛ちゃんは大丈夫?」

 

「うん、大丈夫だよかよちん!」

 

そうやり取りをする花陽と凛に、俺は軽く微笑む。

良かった……本当に怪我がなくて。練習をするのはいいけど、し過ぎるってのも考えものだな。

 

「よーし! 花陽ちゃんも凛ちゃんも大丈夫ならもう一回ーー」

 

 

 

 

「ーーそれまでよ」

 

 

 

 

唐突に、低い威圧じみた声が穂乃果の言葉は断ち切る。その声を発したのは絢瀬先輩、みんなが先輩の方を振り向くと、先輩が鋭い目で睨んでいた。

 

「え……でも、私達はまだやれまーー」

 

「無駄よ。どれだけ出来ない事を練習しても、すぐにはうまくならない。オープンキャンパスまでには無理よ」

 

そして絢瀬先輩は一つ間をおいて、突きつけるようにその一言を言い放った。

 

 

 

 

「ーーこれで分かった? 貴方達なんて所詮"この程度"なのよ。そんな実力で音ノ木坂の運命を背負わないでくれる?」

 

 

 

 

……この程度、そんな実力。

 

その言葉を聞いた瞬間に、俺は怒りの感情が湧き出す。同時に、いつか見た昔の出来事も思い出した。

 

 

『君らは所詮、この程度だ』

 

『天野 春風の衣を借る狐のくせに、粋がってんじゃねぇよ!』

 

『そんな実力でバックダンサーやってんの? マジウケるんだけど!』

 

 

怒りが大きくなるにつれ、昔言われた罵倒の数々が、頭の中をかき回す。乱れるように出てきてきては、次々に。

 

「この程度!? ちょっとアンタ、ふざけんじゃなーー」

 

 

 

 

「ふざけんじゃねぇぞッ!!」

 

 

 

 

俺は気づいたら、にこさんを押し切って叫んでいた。そのらしからね俺の叫びに、ここにいる人全てが俺の方をふりむいた。

 

「さっきから黙って聞いてりゃあ……実力がどうだの、この程度だの……アンタはそれでも音ノ木坂の生徒会長かよッ!?」

 

何かのストッパーが切れたみたいに、俺は罵詈雑言を口から吐き出していた。もう正直、どんな内容を口走っているのか分からない。

 

「生徒会長なら! 自分の学校の生徒の目標は応援するもんじゃねぇのか!?」

 

「ッ!」

 

言葉により熱と勢いが籠る。

 

「アンタは過去に挫折だかなんだかしたかもしんねぇが、穂乃果達は違う!!」

 

もう頭が真っ白だ。何を言っているか分からない。

でも、そんな思考のなかでも、これだけは言っておきたかった。

 

「ーーこいつ等は、挫折しねぇ! もしそうなりそうになっても、俺が挫折させねぇ!! 」

 

こいつ等だけは、絶対に絶望なんかさせない。こんなに頑張っているのに、それが報われないなんてありえない。

 

 

「ーーそして、覚えとけ……」

 

 

あぁ、体が熱い。

俺はそうとう頭に血が上っているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー俺はμ'sのマネージャーであり、世界で一番のμ'sのファンだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




結果発表

1…1票

2…1票

3…2票

よって、結果は3番の内容になりました!
アンケートに答えて下さった皆さん、ありがとうございました!!
これからも、末長くお願いします!
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