ラブライブ! 〜IF STORY〜   作:たるさん

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どもども、たるさんです!

執筆活動復活と言っておきながら、更新が遅れてすみませんでした。

さて、今回は……ライブとは少し離れた物語かも。

では、ごゆっくり。

あとがきはお休みします。



五十四話 路上ライブ日和です! 当日 Part1

 

 

 

 

 

 

 

「はい! こちら当店特別の『μ'sメニュー』になります!」

 

「ご主人様方はこの中からどれかひとつのお飲物をお選びください」

 

「6番テーブルの料理まだですか!」

 

「今やってる! ほら、その前に8番テーブルの料理できたよ!」

 

 

 

ーー大盛況。

 

今日は一段に客通りが半端ない。一人なお客が出ていけば二人の客が来るってな比率である。それも、今日やる『μ's路上ライブ』のおかげだろう。

開催場所のメイド喫茶『らぶどっきゅん』では、普段から来てくれる常連さん他、明らかにμ'sファンの人達、たまたま通りかかってライブに興味を持ったであろう人達、普通に家族でご飯を食べに来た人達など色々な人達が来てくれた。

厨房も大忙し。俺と朱美、そしてことりと海未の四人で回してはいるものの、やはりその客の流れについていくので精一杯である。もう休みたい……。

 

「はいできた! 穂乃果、これ6番テーブルね!」

 

「了解っ!」

 

メイド服を翻し、軽やかに駆けていく穂乃果。ライブの事もあってか、ウキウキしているのだろうか。てか、穂乃果のメイド服から見える綺麗な白いスネがチラチラ見えてるのぐっじょぶ!! やっぱ太ももとかスネは最高でしょ!

 

「……あーおーいー?」

 

……あの、朱美さん。こっちを怖い目で見ないで下さい。ほら仕事して仕事ってすみません包丁で勢いよく魚の頭を叩き切るのやめてください。

 

「んんっ! ほら、そろそろライブの時間じゃないか!?」

 

ワザとらしいくぐもった咳払いをし、流し台で洗い物をしていることりに言う。

 

「あ、うん! そうだね! そろそろ準備しなきゃ!」

 

ことりは残っていたお皿をせっせと洗い終えると、海未の手を引いて更衣室の方へと厨房をあとにした。

……更衣室から「あ!? ちょっ!? ことり! そこはやめひゃん!?」「やっぱり海未ちゃん感度良いね♪」なんて会話は聞こえてない。聞こえてないんだ。

 

「……ねぇ、葵」

 

ことりと海未がいなくなって、厨房には俺と朱美が残った。フライパンで食べ物を焼く音がするだけで、割と静かな厨房。そんな中に、二人きりになってしまった。

 

「……なに?」

 

ーーナニをされるか。

 

そんなのは朱美の、色を帯びた一声で直ぐに分かった。

 

……後ろから朱美の近づく足音が聞こえる。その足音は俺の真後ろでぴったり止んだ。

 

 

「……ごめん、葵」

 

 

朱美がそう優しく囁くと、腰に腕をまわされた。つまりは、後ろから抱きついていたのだ。

 

「あ、朱美……?」

 

いつもとは違うしおらしい彼女の姿に軽く驚いた。てか、どうしんたんだ朱美……。いつかやられたアレをされるんだと身を強張らせていたんだが……一気に力が抜けてしまった。

 

「この前、あんなコトをしてごめん……」

 

背中に朱美の体温を感じる。ほんのり暖かくて、柔らかくて……何だか、冷たい。朱美が元から低体温なのは知っているが、こんなに冷たく感じるなんて……。

 

「別にいいさ。もう過ぎたコトだし」

 

気持ちは動揺していたが、なるべく冷静に振舞った。……てかさ、この雰囲気で興奮しちゃったらそれこそ変態じゃねぇかよ。

 

「……そう」

 

朱美はそう呟くと、抱きつく力を少し強めた。……体温が上がったのか、先ほどの冷たさは感じない。

 

 

 

「でも……この気持ちは本物。"私"は君が……」

 

「なぁ、朱美」

 

 

 

朱美が震わせた唇から何かを紡ごうとした。……俺はそれに無理やり割り込み、腕をはらい、朱美の方を向いた。

 

 

 

 

 

「……俺たち、ずっと"親友"でいような」

 

「っ!?」

 

 

 

 

 

……何も知らない第三者からみれば、この一言は輝かしい友情のセリフだろう。青春を謳歌している一言ともとれよう。

 

ーーだが、今の俺と朱美には……この一言の意味は違ってとられられた。

俺は、よくある難聴系主人公でもないし、鈍感系主人公でもない。むしろよく頭はキレる方だと思う。

 

だから、朱美の気持ちにも気づいていた。

 

はっきりと気付いたのは、朱美にキスされた時だ。むしろキスされて気づかない訳がない。……あの時はすごくビックリしたけど。

 

「そう……だね。そうだよね……うん! "ボク"はずっと、葵の"親友"さ!」

 

そう顔を上げた朱美の目には、涙が溜まっていた。

 

「……ライブの準備、手伝ってくるよ」

 

そう気丈に言い、小走りで出て行った。……涙を、拭いながら。

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめん、朱美」

 

 

 

 

 

 

 

そう呟くも……この何とも言えないモヤモヤは晴れる事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー迎えたライブの時間。

 

店の外の即席ライブ会場は、μ'sのライブを聞きつけたお客さんでいっぱいだった。

その間でも、このモヤモヤは取れなかった。むしろ、このモヤモヤは一生背負っていくとまで思うほどにモヤモヤしていたのだ。

 

「……葵くん? どうしたの?」

 

「えっ? あ、穂乃果……」

 

ひょこ、とフレーム外からメイド衣装を着込んだ穂乃果がフレームインしてきた。

可愛い王道のメイド衣装に、いつもとは違うリボンで結ばれたサイドテール。ちょこちょこと動くたびに軽くめくれるロングスカート……って、こんな気分なに真面目に感想言おうとしてるんだ俺。

 

「ライブの準備は?」

 

「今ね、丁度一区切りついたとこなんだ〜。だから休憩! ぶれぃくたいむ、だよ!」

 

「発音よく話そうとして逆に変になってんぞ……」

 

「えー、そんな事ないよっ!」

 

ぷくーっ、とリスみたいに頬を膨らませる穂乃果。二人で軽く笑いあい……急に真面目な顔つきになった。

 

 

「……朱美ちゃんと喧嘩したでしょ?」

 

「っ……!?」

 

 

いきなり図星を言われ、思わず後ずさりしてしまう。なんで……? なんで穂乃果が知っているんだ……?

 

「……何で分かるんだー、って顔してるね。分かるよ。葵くん、顔に出やすいから」

 

……そんなに? そんな分かりやすい顔してるかな、俺。

 

「実は……涙を流しながら外に出て行く朱美ちゃんをみちゃったんだよね」

 

穂乃果はステージ前に集まったお客さん達を見ながら、目を細めて話し始める。

 

「……泣いている朱美ちゃんを見て、直ぐに分かったんだ。……めったに泣きそうにない朱美ちゃんが涙を流すのは……葵くんが関係しているんだ、って」

 

そう、ステージに向かっていく穂乃果。ふと、腕時計を見る。

……あ、そうか。もうライブの時間か。

 

さて、俺もライブに……。

 

「あ、そうだ葵くん」

 

ーー行こうとした時、目の前にいた穂乃果がスカートをなびかせてこちらを向いた。

 

 

 

 

「……朱美ちゃん、今いないの。どこにも」

 

「!!」

 

 

 

 

な、朱美が居ない!? 確か俺となんやかんやあった後、ライブの準備を手伝ってくるって!?

 

「……朱美ちゃん、あっちの路地に行ったのを見たけ……」

 

「穂乃果、ゴメンッ! みんなに話つけといてッ!」

 

穂乃果が人の少ない路地裏を指指すと、俺はその後の話は聞かずに全力で地面を蹴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで、良かったのかな」

 

一人きりになった穂乃果が、暗く呟いた。

 

 

 

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