ラブライブ! 〜IF STORY〜   作:たるさん

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ども、たるさんです。

復活とか言っときながら長らく投稿しなくてすみませんでした。

引越しの準備とか手続きとか、書類書いてました。

……スランプにもなっています。ネタが思いつかなかったんや……。

では、本編へどうぞ。

あとがきはなしです。すみません。


五十五話 路上ライブ日和です! 当日 Part2

 

 

 

 

 

人がいない、暗い路地。

細く入り組んだ都会の迷路を、駆け抜ける。

 

「はぁ、はぁっ……! どこ行った! 朱美のやつ……っわ!?」

 

青いゴミ箱を蹴飛ばし黒いゴミ袋を吹っ飛ばす。それに足がつっかえ、盛大に転んだ。普段なら足が引っかかるようなヘマはしないのだが、この状況だけに転んでしまう。もうこれで三度目だ。

 

「いつつ……くそっ!」

 

倒れたゴミ箱を直しつつ、先を急ぐ。

……てかさ、何でこの服装(メイド服)で飛びたして来ちゃったかなぁ俺。お陰で裾にひっかかって転ぶわ、走りづらいわってもう邪魔でしかない。しかも三度転んだせいで白フリルエプロンに泥がついているし、スカートにもついているし……あーもうっ!! このメイド服は自分で洗わなきゃいけないのに! メイド服洗うのすっげぇメンドイのにィ!!

 

……って、今はこんなことでイライラしてる場合じゃない。

早いとこ、路地に走っていった朱美を見つけなきゃ。

 

「朱美ッ……どこだよ……!?」

 

そう呟きながら、また暗い路地を駈けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※穂乃果目線です。

 

 

「……穂乃果? どうしたのですか?」

 

「ーーぅえ?」

 

あわわ……変な声でちゃった。

いや、まぁ……そうなるのも無理はないのかな? 私じゃよくわからないよ。

 

「別に大丈夫だよ海未ちゃん! ライブがんばろっ!」

 

無理矢理テンションを上げるように言ってはみたものの……やっぱり何かモヤァッ、てする。

 

「……無理、してますね」

 

「うぐっ……」

 

何かあったのですか? と海未ちゃんは私の顔を心底心配そうに見つめてきた。それは、私が幾度となく見てきたであろう、厳しくも優しい、幼馴染の見知った顔。

 

ーーでも、何故だか。

 

「……ほんとに何でもないよ海未ちゃん。さ、ライブがんばろー! おー!」

 

……何故だか、言いたくなかった。別に海未ちゃんが嫌いだとかそんな理由じゃない。じゃないけど……。

私の本能が何かが『言ってはいけない』と叫んでいる気がした。

 

……何か、引っかかってる。

 

モヤァッ、とした気持ちも、葵くんがいないという事にも……朱美ちゃんが泣いていた事にも……そんな事を『妙』ととらえている私がいる。この『妙』な気持ちは……なんなんだろう。

 

「そうですか……無理はしないでくださいね、穂乃果」

 

「うんっ!」

 

私はライブ会場の確認をしてきます、と心配そうな顔つきのまま海未ちゃんはお店の外へと出て行った。

 

「……はぁ」

 

海未ちゃんが行ったのを見送り、私は深いため息をつく。ため息をついちゃうと幸せが逃げるなんて言われているけど、確かにそうかもしれない。だってするたびになんか、気持ちが深く沈んでいく感じがする。

 

……早く帰ってこないかな、葵くん。

 

そうしたら、この沈んだ気持ちも浮上するかもしれない。なんの根拠もないけど……そう思えちゃう。

 

葵くんの声を聞いただけで……いや、葵くんがいるだけでμ'sのみんなのやる気が上がっている気がする。もちろん、わたしも葵くんのいると断然やる気が入る。

もうそれくらい、葵くんはμ'sに不可欠な存在になっているんだ。

 

「早く帰ってこーい……」

 

なるべくおちゃらけた感じで呟いてみたんだけど……全然、力入んないや。

 

 

「あ、ライブいかなきゃ……」

 

 

……ほんと、早く帰ってきてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※視点が葵に戻ります。

 

 

ーーあれから10分くらい走って探した。

 

「……ッチ! どこだよ朱美のやつ!」

 

割とマジで舌打ちを鳴らした。

だって全然居ないんだもん! 朱美が!

これだけ探していないって事は……もう遠くに行ったのか? 路地から通じている大通りからはμ'sのライブであろう曲が微かに聞こえてくる……かなり遠くに来たようだ。早いとこ朱美を連れて帰んなきゃな。

 

「あーもう……!?」

 

……今、なんか声が?

 

 

 

 

「……て……さい……!」

 

「せ……! お……ろ!」

 

 

 

 

この声、朱美!? しかも男の声も聞こえたな!?

 

「まさか……! こっちか!」

 

最悪の事態になる前に……!

 

 

ーー俺は、声のする方へと急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめてください!」

 

「うっせぇな! おとなしくしろ!」

 

「兄貴、どうしますか? この女」

 

「そうだなァ……」

 

「へへ、こいつ。胸は小さいですが、なかなかの上物ですよ」

 

「しかもきわどいメイド服を着てますぜ? 誘っているんじゃないですか?」

 

 

 

 

……案の定、こうなってたか。

朱美は穴の空いたコンクリ壁に、両手を縛られ動けなくなっていた。その周りに、見た感じ凄く小物感満載な輩5人。おそらく不意でもついかれてこうなってしまったんだろう。

 

「離して! これを解いて!」

 

朱美は必死に抵抗をしているが、強く結ばれた紐は切れそうにもない。

 

……しかし、あの朱美がこんな強く抵抗するなんて。普通なら、冷静に対処しているはずなんだけど……。

 

「黙れっての! 聞こえたらどうすんだ!」

 

「大丈夫ですよ兄貴。ここ路地のまた路地っすよ? こんなとこの声なんて聞こえるはずーー」

 

……さて、暴れるか。

 

 

 

「聞こえているんですね、それがっ」

 

「なん……がぁっ!?」

 

挨拶代わりに、一番近くにいたやつを蹴りで吹っ飛ばした。顎に一撃、見事に失神。

 

「な、なんだお前!?」

 

「その子の仕事仲間ですけど?」

 

……へ? 上段蹴りでスカートからパンツが見えたって? なんのご冗談を。俺は下にジャージ履いてるんですよ? 勝手なこと言ったらダメですよ?

 

……こほん。少しキャラぶれしたな。

 

「てめぇよくも……がはっ!?」

 

「はい二人目」

 

次はミドルキック、脇腹にクリーンヒット。サッカーボールみたいに吹っ飛ぶなこいつ。お前前世ボールだな。

 

「わたくしの友達が失礼をしました」

 

「そ、そうだ! こいつ、兄貴に肩にぶつか……ヒィ!?」

 

 

「うっせぇな……黙れよ小物」

 

 

顔すれすれに上段蹴りを放つ。振り上げられた足は音をたてて空を切った。それをくらった小物は、その場にへたれこむ。小物の頬に、刃物みたいな切り傷ができていた。

 

「な、なな……!」

 

なんだよ、頭蹴っ飛ばさないだけでもよかったと思えよ。あと、そんな顔すんなよ。頭、蹴りたくなってくる。

 

「……あんたか? 兄貴ってのは?」

 

先ほどみたいな仕事の声とはうってかわり、低い声でそいつを睨んだ。

 

「ひっ……!?」

 

「朱美に……なにした?」

 

一歩、一歩とそいつに近づく。なるべく威圧感たっぷりに。威嚇するように。

 

「お、おおおおぼえてろぉっ!!」

 

悪役の去り際みたいにセリフを吐いて、そいつは逃げ出した。他のやつも、うごけない奴を背負ってそいつの後を追った。

 

「ふう……さて」

 

俺は縛られている朱美のもとへ向かう。朱美はホッとしたのか、微動もしなかった。

……それだけ、怖い思いをしたんだな。悪かった、朱美。

 

「えーと、ハサミ……あった」

 

メイド服のポケットからハサミを取り出し、紐を切る。これで、大丈夫。

 

「と……ごめんな朱美。遅くなっ!?」

 

「怖かった……怖かったよ葵ぃ……」

 

解けるや否や、抱きついてきた。しかも泣いてる。

 

「ごめん……助けんの、遅くて」

 

「ううん……助けてくれるって……”私”、信じてたよ」

 

泣いている朱美の背中を優しく撫でる。朱美かこんな怖がるなんて……。

 

ん? まて。朱美、今自分のこと”私”って言わなかったか?

 

「……あ、ごめん。急に抱きついて。もう、”ボク”は大丈夫」

 

そう言って、朱美は離れた。抱きつかれていた温もりが、不意に寒くなる。

 

「嬉しかったよ、助けてくれて」

 

朱美は、普段通りの笑顔で振り向いた。目が真っ赤になっている以外、なんら変わりようのない笑顔で。

 

「戻ろうか。ライブしてるみたいだし」

 

「あ、ああ……」

 

俺は、路地先から入る光に向かって行く朱美の後ろ姿を……複雑な気持ちで見つめていた。

 

 

 

 

「……ありがとね、もう”私”は……」

 

 

 

 

朱美が呟いたその一言は、ライブ終わりの歓声にかき消され……聞こえる事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




※12/26 21:53 作品タイトルを変更いたしました。
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