ラブライブ! 〜IF STORY〜   作:たるさん

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どうも、たるさんです。

本当すいませんっ!!
iPhoneのメモ帳のデータが消えてしまい、完成間際だった小説も消えてしまい……一からまた小説を執筆してました。そして今、完成して投稿できると言うわけです!

今回は番外編で、葵君の過去にまつわる話です。

それでは、ごゆっくり。


番外編 葵の過去

 

 

それは、太陽がジリジリと肌を焦がす真夏の話。俺と明美の、出会いの話。ある一人のアイドルさんと出会った話。

 

俺の"運命"が変わりだした時の話……。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は幼い時……と言っても小学四年くらいの頃、その頃から俺はダンススクールに通っていた。このロシア人ゆずりの金髪と青い瞳、そして男の子なのに女の子じみた容姿のせいで、学校の一部の生徒からはいたずらされ、友と呼べる存在がいなかった。おかげで俺はいつも一人ぼっち、クラスメイト一緒に居る事自体が嫌で、いつもその小学校の中庭の隅っこでお昼を食べていた。

 

そして、いつも通りの嫌な学校生活が終わり、唯一俺の気持ちが落ち着くダンススクールへと向かう。家には帰らないで直でダンススクールに行くのだ。……家に帰っても、この時間は母さんが働きに行ってる時間で、どうせ家には誰もいない。……父さんは、俺が産まれた時からいない。俺の父さん……いや、母さんに子種を残していった遊び人は母さんのお腹に俺の命を宿した後、すぐに居なくなりやがった。

 

そう、俺には父さんがいない。

 

産まれた時からシングルマザーで、俺は母さんに育てられた。母さんはロシア人と日本人のハーフで、ロシア人の祖父の血を多く引き継いだ。

そして俺も、母さんのロシアの血を引き継いで金髪青眼になった。まぁ、青眼と言っても日本人の血も入っているため青の瞳の中に少し黒目が入っているため、綺麗な青眼ではなく、少しくすんだ感じの瞳だった。

 

そして、いつも通りダンススクールに通い、体育館みたいな広い部屋の隅っこにランドセルと着替えをおき、準備をはじめる。まずは柔軟体操からだ。ダンスをするにあたって、身体の柔らかさはとてつもなく大事で、運動神経や体力と同じくらいに大切だ。

俺は三ヶ月くらい前に入った新人で、まだこのダンススクールの生徒達と馴染めてはいなかった。むしろ、この頃の俺は周りに馴染もうとはしなかった。

 

それくらい、俺は捻くれた子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……」

 

一通りの準備体操を終わらせ、次はいよいよダンスの練習に入る。ダンスの練習とは言うものの、実際やるのはダンスの初歩的なステップだ。入って三ヶ月の俺はステージで踊るなんて事はなかった。

 

「ワン、ツー、スリー、フォー……っと」

 

ステップを淡々と刻んでいく。先生……このダンススクールの校長さんから俺は目を付けられており、なんでも"スジが良い"とのことだ。正直、こんな単純なステップなんて誰でも出来るだろうと思っていた。

 

「っはぁ……はぁ……」

 

初歩的なステップを一通りこなした俺は、次は課題となっている曲の練習へとうつる。曲といっても歌詞はなくメロディだけの曲である。まぁ、ダンスで行う曲に歌詞があったら、まさしくアイドルみたいになるだろう。歌って踊れて、キラキラした存在……俺はアイドルが嫌いではなかった。誰からも愛されて、輝ける存在……その意味では、俺はアイドルというものに惹かれていた。

 

「はーい、みんな集まってー!」

 

遠くで校長さんが生徒達に集合の号令をかけた。どやどやと生徒達が校長さんの周りに集まっていく。このダンススクールは割と小さなスクールで現生徒数も十人程である。何故、俺がこのダンススクールに入ったと言うと……逃げ場が欲しかったのだ。学校でも、家でも、俺は基本一人ぼっちだった。そのうえ学校ではクラスメイトにいたずらはされ、家にも週に一度は借金取りが来る毎日……正直もううんざりしていた。俺は小学四年生、ほんの十歳程度で人生に嫌気がさしていたのだ。

 

「今日はこのスクールの卒業生に来てもらっています」

 

鬱になりかけている俺の気持ちも知らずに、校長さんは話し続ける。なんでも、三年前にこのダンススクールを卒業し、アイドル業界に入った人だとかなんとか。その人はアイドル界の荒波にもみくちゃにされても挫けずに、頑張ってなんとかそこそこの人気を得ていて、噂では"将来が有望視"すらもされているアイドルさんらしい。

 

「では、こちらへどうぞ」

 

校長さんに呼ばれ部屋の扉から出てきたのは、綺麗な女の人だった。初めて見たイメージでは"綺麗で可愛い女性"だった。ミディアムくらいの黒髪をふんわり盛っている髪型にぱっちりとした瞳、女性らしい胸の膨らみにスラリと伸びた脚。"アイドル"という響きよりも"ダンサー"という響きが似合っている感じの人だった。

 

「はじめまして!私は天野 春風。言っておくけど、これは私の芸名だよ!本名は秘密!年齢も非公開だよっ!」

 

その女性らしい見た目とは裏腹にかなり少女らしい口調だった。歳的には、見た目大学生くらい……二十歳くらいだろうか。高校生、と言われてもおかしくないくらいに若い女性だった。

 

「はい、今日は春風さんにダンスの指導係をしてもらいます。それでは、よろしくお願いします」

 

そう言うと校長さんは部屋の裏側へと通じる扉へと入っていった。この部屋の裏にはダンスするときに使う曲をながすためのスピーカーや様々な音響器具を操作する部屋があるのだ。小さなダンススクールの割にはこういう設備はしっかりしていてダンスや歌を歌うには最適な環境になっている。

 

「じゃ、これから私が挨拶のかわりに持ち歌の"Spring!!"を披露するねっ。着替えてくるからみんな待っててねー!」

 

入り口に置いてあった大きなショルダーバックを担いで、春風さんは部屋の外へと出て行ってしまった。多分、トイレにでも向かったのであろう。このダンススクールには更衣室はなく、シャワールームもない。校長さん曰く、本当は欲しいとのこと。このダンススクールに更衣室とシャワールームが増設される日もそう遠くはなさそうである。

 

「楽しみだね?アイドルさんのダンス」

 

突然、横から話しかけられた。見てみると、そこには長い綺麗な黒髪に若干赤色が入った黒目をした女の子がいた。

 

「……別に、そうでもないよ。えーと……」

 

俺はその女の子の名前は愚か、面識すらもなかった。まぁ他人を避けてきた俺としては当然の事なんだが。

 

「ボクは朱美。目黒 朱美。君は?」

 

年相応の無邪気な笑顔で、しかし何処かしら大人びた笑みで朱美は俺の名前をきいてきた。他人から笑顔で話しかけられたことなんてもちろんない俺は、どう答えて良いか分からずいつも通りのぶっきらぼうな返事で返してしまった。

 

「……白崎 葵。小学四年だよ……」

 

 

 

「そっか!ボクと一緒だ!」

 

 

 

……俺は小さい時の朱美が見せた無邪気な笑顔を、今になっても忘れていない。そう、この時初めて俺は他人に"見惚れた"のだ。言ってしまえば、朱美が俺の"初恋の相手"だった。初めて会ったのに、もっと朱美と一緒に居たい、もっと朱美を知りたい……そんな感情が幼い頃の俺の小さな胸に、幼いながらも湧いてきたのだ。

 

「どうした?君、顔赤いよ?」

 

何分……いや、時間としては数秒くらいだろうが、その時に感じた体感時間は数分間に感じた。そのくらい、俺は朱美の笑顔に見惚れてしまっていた。

 

「っ……!?な、なんでもないよっ!」

 

見惚れていたのが恥ずかしくなって、思わず朱美から顔そらしてしまった。他人に惚れるなんてことはなかったからどう反応していいかわからないし、女の子から話しかけられたのは初めてだし……とにかく、その頃の俺は他人との関わりが全くと言って良いほど無かったのだ。

 

「おお、良いねぇ!青春してるねぇ、君たち!」

 

「のわぁ!?」

 

いつの間に戻って来たのだろうか、声がした方を振り向くとフリッフリな衣装に着替えた春風さんがなにやらニヤニヤしながらこちらを見ていた。……てか、小学四年は青春の内に入るのかよ……。

 

「なんなんですかいきなりっ!?」

 

俺は恥ずかしさあまり、大声で怒鳴ってしまった。その怒鳴り声を聞いて悪いと思ったのか、苦笑いしならがら春風さんは謝ってきた。

 

「いやぁ、悪い悪い。君らがラブラブしてたからねぇ、ちょっとからかいたくなったのさ♪」

 

「ら、らぶら!?」

 

となりで素っ頓狂な声を上げたのは、朱美だった。なにやら顔カァーと赤くして顔を伏せてしまった。

 

「おぉ?そっちの女の子は満更でもないようだねぇ?」

 

先ほどよりニヤニヤがさらにまして、こちらを見てきた。

 

「い、良い加減にしてください!朱美が困ってるじゃありませんかっ!!」

 

またも俺は怒鳴っていた。この時、俺は少し……こうなんと言うか、違和感があったのだ。それまで他人に関わりもしなければ気にもしなかった俺が、他人を"朱美"を気にかけたのだ。それが違和感として感じたのだ。

 

「あ、そうだ!君たち、相性良さそうだよね!いっそのユニットを組んじゃえ!」

 

なんだそのノリは。

 

おっといけない、あんなだけど俺よりはるかに歳上だ。

 

「そ、そんないきなり言われても「そうだねぇ、ユニット名は"V.S"で!」人の話を聞けよっ!?」

 

無邪気に笑いながら勝手に物事を進めていく春風さん。人を楽しませる職業(アイドル)のくせになんで人を困らせるんだよ!

 

「君もそれでいい?」

 

春風さんは朱美に向かって凛とした笑みで話しかけた。先ほどとは違う雰囲気を一瞬で纏ったのだ。それに関してはさすがアイドルさんだと思った。

 

「急に言われてもはい、って言うわけが「うん、わかったよ!」言っちゃうんだ!?」

 

なんで朱美は二つ返事で了承しちゃうかな!?

 

「まぁ楽しそうだし……あと」

 

不意にこちらを見て、恥ずかしそうに顔を赤くする朱美。

 

 

 

「葵と……もっと一緒にいたいし……」

 

 

 

ぼそりと呟いた朱美の言葉は、声が小さすぎて聞こえなかった。

 

 

 

 

 

「だって私……葵のことがーーー」

 

 

 

 

 

 

 

幼い朱美が何かを言おうとしたとき、何故か目の前が真っ白に染まっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ……?」

 

何処からか光を感じて、目をうっすらとひらく。どうやら俺は自分の家のベッドの上に寝ているらしく、窓から太陽の光が差し込んでする。

 

「ん?起きたのかい?」

 

奥から黒いエプロンを着た、私服姿の朱美が出てきた。右手には何故か俺ん家のおたまが握られていた。意識が覚醒してきたのでわかったのだが、キッチンの方から味噌汁の良い香りがだだよってくるのがわかった。

 

「……何で家にいるんだよ朱美?」

 

ベッドから体を起こして、眠い瞼をこする。

 

「何でって、君がちゃんとご飯食べてるか確かめるためさ。それにもう十時だよ?いくら休みだからって寝すぎだよ」

 

そう笑顔で言って、朱美はキッチンの方へと戻っていった。……いったい何処から家の住所を聞きつけたんだ?朱美には言ってないはずだぞ?

 

「あぁ、何でボクが君の家を知ってるかは、テーブルの上にあるプリントを届けるためさ」

 

キッチンから少し大きめの声で話す朱美。その言葉通りテーブルを見てみると、音ノ木坂のプリントが数枚置いてあった。なるほど、プリントを届けるために担任から家の住所を聞いたのだろう。

 

「君が金曜に風邪引いて休むからさ、ボクがプリント置きにきたんだよ」

 

そう言ってキッチンから出てきた朱美はお盆をもって現れた。お盆の上には白米、なめこの味噌汁、キュウリとオクラの浅漬け、鮭の西京焼きが乗ってあった。

 

「君、ネバネバした野菜とかきのこが好きだったよね?」

 

そう言ってテーブルに朱美の作った朝食が置かれていった。反対側に朱美も座り、二人分の朝食がテーブルに並んだ。

 

「……わざわざごめんな。プリント置きに来てくれただけでなく、朝食も作ってくれて」

 

「そんなことないよ。本当は金曜の放課後に行きたかったんだけど、μ'sの練習を見ていてね。時間が遅くなって来れなかったんだよ」

 

少し複雑な笑みを見せた朱美は、冷蔵庫からお茶を取り出し、持ってきたコップに注ぐ。

 

 

「はい、召し上がれ」

 

 

にっこりと笑う朱美。その笑みは、なんだか小さい時に見た朱美の笑顔と全く一緒だった。

 

「ん?顔、赤いよ?……あ、もしかしてまだ熱があるとか?」

 

「う、ううんっ。何でもない」

 

俺はそう言って首を振った。

 

 

 

 

「いただきますっ!」

 

 

 

 

手を合わせ、ご飯を食べる。

 

 

 

ーーーこの瞬間が、何故かとても幸福だと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あむっ……美味しい」

 

「それは良かった」

 

「むぐっ……ん、朱美って料理出来たんだね」

 

「なに、君の方がもっと上手に作れるだろう?」

 

「そんなことはないさ……はむっ」

 

「(何か……新婚みたいで良いな……)」

 

「ん?ふぁにふぁふぃっふぁ(何か言った)?」

 

「食べながら話さないっ!」

 




本当に投稿が遅れてすみません。今後は本当にこんなことはないように、頑張っていきますのでよろしくお願いします。

次回は四〜五日後に投稿予定です。

それでは、その時まで。
さようなら。
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