ラブライブ! 〜IF STORY〜   作:たるさん

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はいどうも。たるさん及び樽さんです。

今回はシリアス多めの話となっております。
そして、凛ちゃんとかよちんの話にもなります。

楽しんでいただければ、幸いです。

それでは、ごゆっくり。


四話 りんぱな

授業中の静かな教室に甲高いチャイムが沈黙を破る。それと同時に教室の生徒たちは伸びをしたり、弁当の準備をはじめる。

 

「んぅ〜、やっと昼だぁ〜!」

 

時刻は昼。この時間になるとみんなわいわいガヤガヤするのはどこの学校でも同じらしい。女子高と言っても、俺の高校とさほど変わらない。変わったのはこの音ノ木坂に男子高校生は俺のみ、というところくらいか。

今日は穂乃果に、

 

『葵君ごめんね!私達用事があるから、先にご飯食べちゃってて!』

 

と、言われてしまった。多分、用事というのは……おおよそ講堂の使用許可だろう。穂乃果達は新入生歓迎会で初ライブをするのだ。そのためにも、今から予約をとっておかないとまずいのだろう。

 

「しゃーない、中庭にでも行きますか」

 

俺は、ピンクの包みに包まれた弁当を持って中庭へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

外で食べる弁当はやっぱり、美味しい。自分の作った弁当だが、胸をはれるほどの美味しさである。……はれる胸なんてないんだけどね、男だから。

 

「あー!先に取られていたにゃー……」

 

「本当だ……凛ちゃん、どこで食べようか?」

 

近くからそんな会話が聞こえた。声のする方をみると、女の子が二人いた。

リボンからして一年生だということがわかる。一人は明るい茶髪のショートヘアの子。言葉の語尾に、なぜか"にゃー"と猫語を付けて話している。もう一人も明るい茶髪だか、ショートヘアの子とはまた違う色をしていた。黒縁の少し大きめの眼鏡をかけている。

 

「どうしようかにゃー……」

 

「今日はもう、教室で食べよっか?」

 

多分、今俺のいるこのベンチ一年生二人組のお気に入りなのだろう。どことなく二人の顔がしょんぼりしている。

 

「おーい!今どくから使っていーよー!」

 

やっぱり、どんな人でも暗い顔はみたくないし、似合わない。気がつけば俺は席を譲っていた。

 

「本当ですか!?よかったねー、かよちん!」

 

「えぇ!?……いいのかなぁ?」

 

ベンチを立つと、二人はこちらに歩いてきた。楽しそうに喋りながら。

やがて、俺のいる所へくると、

 

「ありがとうございます!……えっと……」

 

「あ、ごめんごめん。俺は白崎 葵。昨日転校してきた二年生だよ」

 

俺の名前がわからなかったらしく自己紹介をしたら、一年生二人組も自己紹介をしてくれた。

 

「星空 凛!今年入学した一年生です!」

 

「あの、えと……小泉 花陽、です……凛ちゃんと同じ、一年生です」

 

凛は元気よく、答えてくれた。しかし、花陽はそうとう引っ込み思案らしく、俺と目を合わそうとはしなかった。

 

「じゃ、かよちん座ろ!あ、白崎先輩も一緒にどうですか?」

 

「えぇえ!?凛ちゃん、いくらなんでもそれは……」

 

やっぱりこの学園の子達は優しいんだな。少し、涙がでてくる。

 

「二人が迷惑じゃなかったら」

 

そう答えると凛はぱぁっ、と笑顔をみせた。

 

「よしっ!じゃあ決まりにゃー!」

 

そう言って凛はベンチに一人分が座れるくらいの隙間をつくった。

 

「……え?」

 

「先輩!隣どうぞにゃ!」

 

屈託のない笑顔で隣の隙間をポンポン、と叩く。

これは、座るしかないかな……。

 

「あ、あの……先輩」

 

「ん?何、花陽ちゃん?」

 

凛の隣に座っていた花陽が小さな声で話しかけてきた。

 

「その、何で……スカート、履いてないんですか?」

 

……おぉう。その質問ですか。また、女の子と勘違いされているんだろうか。

 

「……それは、俺が"男子生徒"だから」

 

「え!?」

 

「にゃ!?」

 

ですよねー。こんな女の子らしい男の子が男の子に見えるわけないよねー。……何で会う人会う人に性別を間違われるんだろう。ちゃんと男口調で喋っているのに……。

 

俺はしばらく、中庭に生えていたイチョウの木の幹に額をくっつけていた。凛と花陽のフォローを聞きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

気も落ち着き、俺と一年生二人はご飯を食べた。

凛の弁当は……何故か茶色系の食べ物ばっかり。そして、猫語を使うのにアジの甘酢和えだけが残っている。魚嫌いなのかよ、猫語使うのに。大事だから二回言いました。一方、花陽の弁当は、おかずの面積よりも圧倒的に白米の面積が多かった。ご飯が好きらしい。

 

「白崎先輩って、何か部活してるんですかにゃ?」

 

不意に凛が俺に聞いてきた。

 

「うーん……部活って言えるかどうかわかんないけど、今μ'sっていうここのスクールアイドルのマネージャーをやっているかな」

 

「それっ!!本当ですかっ!?」

 

いきなり花陽が身を乗り出して迫ってきた。それは手前にいた凛を押しのけるほどの勢いだった。

 

「え、あ、うん……ほんと」

 

俺はたじろぎながら答えた。

 

「あ!えと……ごめんなさい。あと、凛ちゃんも」

 

「うん、凛は大丈夫にゃ!」

 

「俺も、大丈夫だよ」

 

花陽は少ししゅんとしてしてしまった。

 

「……好きなの?スクールアイドル?」

 

そう俺が聞くと、花陽はちょっとキリッとした目なって身を乗り出し、熱く話しはじめた。

 

「はい!好きです!!いやむしろアイドルが大好きです!今、人気のスクールアイドルと言えばUTXのA-RISEですよねっ!!人気スクールアイドル順位でも今一位を独占してるんです!それこそプロのアイドルに並ぶーーー」

 

あ、やばい。

なんか花陽ちゃんのスイッチが入った。

 

「凛はこっちのかよちんも好きだにゃー♪」

 

いやいやいやいや!?落ち着いてないで助けてよ凛ちゃん!!多分これ俺じゃ止められないよ!?

 

「はっ!?……あわ、す、すみません……」

 

正気が戻ったように、さっきの引っ込み思案な性格へ戻った。この子はアイドルが絡むとそうとう熱くなるらしい。

 

「こっちのかよちんも好きだにゃー♪」

 

あんたは結局、花陽が大好きなだけじゃないかい。心の中でビシッとつっこむ。

 

「あはは……大丈夫だよ。憧れてるんだね、アイドルに」

 

そう聞くと、花陽ははいっ!と大きな声で返事した。

 

「キラキラしてて、可愛くて……ファンを笑顔に出来て……私の憧れです」

 

そう語る花陽の目は、憧れのキラキラした感じじゃなくて、何か諦めた、そんな感じの目だった。そんな花陽を凛は心配の目で見ている。

 

「大丈夫にゃ、かよちんならアイドルに絶対なれるよ!」

 

凛は花陽の肩を優しく、子供をあやすように叩く。

 

「そんなこと……ないよ。私、声も小さくて、引っ込み思案で、ドジで……」

 

花陽はどんどん自分を卑下していく。その言葉の中に、絶望や諦め、無理というのが浮かんできた。

 

「……花陽ちゃんは、スクールアイドルになってみたいの?」

 

「はぇ……?」

 

俺は思い切って聞いてみた。本当はどうなのか。ただ、憧れや夢というだけでいいのか。自分が輝きたいのか。

 

「やって……みたいです。でも……!私なんかじゃ……!」

 

ついには泣き出してしまった。本当に思いつめていたんだな……。"やりたい"という自分の気持ちに嘘をついて、"私には無理"と鞭をうってきたんだ。こうゆう子を見ていると、何だか昔の俺を見ているようで、胸がつかえる。……やっぱり"やりたい"気持ちには素直にならなきゃいけない。"やらない後悔"より"やった後悔"の方が断然いい。

俺は昔、友達に言われたことを声にだした。

 

「"やりたい"なら"やれ"。"やりたくない"なら"やるな"。無理とか出来ないとかいって自分を否定するんじゃない」

 

「ぇ……?」

 

泣いていた花陽と、それをなだめていた凛が俺の方に顔を向けた。

 

「……昔、俺の友達が言っていた言葉さ。俺もさ、そんな風に思い悩んでいた時期もあったんだ」

 

二人は俺の話を黙って聞いている。

 

「そんな時に、友達が話してくれたんだ。"お前はいつまで自分を否定するんだ"ってね」

 

俺は俺を"肯定"出来ない。でも、"認識"することは出来る。俺は世界中。いや、宇宙中探しても俺は俺しかいない。

 

「お前にしか出来ないことがあるんだ、自信を持て…って言われたんだよね」

 

「自信を……持て……」

 

花陽はいつしか泣くことを忘れて俺の話に集中している。凛も同様に真剣に聞いてくれている。

 

「だからさ、花陽ちゃん。君はもっと自分に自信を持っていいんじゃないのかな?君は、君が思っているほど駄目ではないと思うな……俺は」

 

「そうにゃ、かよちん!!かよちんは料理上手だし、歌うのも上手だし、胸も大きいし……あと、あと……」

 

凛ちゃんよ、最後のはフォローになっているのかい?胸大きいって、気にしてる人はいるんだから。

 

「ぷっ……あははは!」

 

あれこれと花陽の良い所を出そうとアタフタしている凛を見て、花陽は耐えきれずに笑ってしまったみたいだった。

 

「あ、かよちんやっと笑ったにゃ!」

 

花陽の笑った顔は、とても可愛いかった。やっぱり、暗い顔は似合わない。どんな人でも笑って過ごすべきだ。

 

「だって、凛ちゃんが可笑しくて……あはは!」

 

「もう、かよちんいくらなんでも笑い過ぎにゃー!!」

 

そんな二人のやり取りをみて、俺も笑ってしまった。

 

「あー!?先輩までー!」

 

「ふふっ……ごめんごめん。……花陽ちゃん」

 

花陽は俺に呼ばれて、はい?と答えてこっちを向いた。

 

「μ'sに入る決心がついたら、俺の所へおいで。歓迎するからさ」

 

「……!!はいっ!」

 

花陽は元気よく答えた。だいぶ顔が明るくなったかな?

 

「じゃ、俺はこれで……」

 

「し、白崎先輩!!」

 

ベンチから離れようとして、花陽から声をかけられた。

 

「ん?何?」

 

花陽は何故かモジモジしている。話したいことがあるらしい。

 

「そ、その……呼び捨てで呼んで下さい」

 

「え?」

 

「なっ、名前……!花陽、って呼んで下さい!!」

 

「凛も!凛、って先輩に呼んでほしいにゃー!」

 

あ、あぁ。呼び捨てで呼んでほしいってことですか。

 

「……分かった。花陽、凛」

 

「は、はいっ……!」

 

「はいにゃー!」

 

二人は満足げに頷く。

……あいつは、元気だろうか。おれに"自分を否定するな"って言ったあいつは……。

見上げれば、空はどこまでも青く、無限に広がっているようにも思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、弁当箱忘れた……」

 

 

 

 

 




今回はシリアス多めということで、物凄く大変でした。大変なのはいつも通りなのですがwww

今回はここで、このIF STORYの主人公"白崎 葵"君について詳しく紹介しようと思います。

白崎 葵《しらさき あおい》
性別 男(の娘)
髪 セミロングの銀髪
昔、ダンス経験あり
身長 159cm

このぐらいでしょうか。
葵はとても優しい主人公です(てかそうじゃなきゃ主人公やっていけませんねww)。

次作も明日には投稿したいと思います。
……今ちょうど、これでストックがきれたのです。
一日一話を目標に頑張ってはいきますので、よろしくお願いします。

では、次作まで。
さようなら。

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