大会が終わってやっと安定して小説が書けるようになりました。
今回の話はファーストライブ前日の話です。
楽しんでいただけたら、幸いです。
それでは、ごゆっくり。
「ワン、トゥ、スリー、フォー!」
静かな神社の境内に乾いた拍手の音と俺の声が響く。
ここは"神田大明神"。音ノ木坂からも俺の家からも、さほど遠くはない距離にある神社だ。石畳の上で俺と穂乃果、海未、ことりがリズムの良いステップを刻みながら踊っていた。 今日は新入生歓迎会のライブの前日だからか、三人も気合いがはいっていた。
「はい、終わり!……三人とも凄いね〜!短期間で凄く上手になったよ!」
三人は疲れたようで、ヘナヘナと地べたに腰をついた。三人とも息が上がっている。……やっぱ汗かいた女の子ってなんだかエロいわー……って、俺は変態か。
「そんなことないよ〜♪葵君の教え方が上手なんだよ♪」
そう言って、ことりは白タオルで汗を拭う。
「あー?見惚れないでね♪」
「み、見惚れてなんかないしっ!」
見透かされたように言われ、俺は思わずそっぽを向いてしまった。
「赤くなっているのが怪しいんだー♪」
「……っ!?」
いつの間にかことりは俺の顔の真ん前まで、顔を近づけていた。ことりからは、女の子特有のいい匂いと、微弱だが汗の匂いがした。その匂いを嗅ぐだけで、俺はことりに魅了されそうになった。
「ち、近いって!」
「ふふ♪ごめんねぇ♪」
ことりは悪戯に、妖艶に微笑んだ。唇に人差し指を軽く当て片目をウインクして、シー、のポーズをとることり。すこしかがんだ姿勢なので、練習着のシャツの間から見事な二つの山がーーー。
「……何を、見ているのですか?葵」
「ひゃいっ!?」
後ろから海未が凄く黒いオーラを出しながら、優雅に微笑んでいた。その顔は笑っていても、目は笑っていなかった。
「や、がんばってるねぇ」
後ろから聞き覚えのある声がきこえた。俺はその声の方を向いた。
「え?東條先輩?」
声の主は三年の東條 希先輩だった。いつもの制服とは違って、紅白の巫女衣装は東條先輩の髪の色に良くあっていた。
「希先輩!おはようございます!」
「うん、おはよう」
穂乃果と東條先輩は親しげに挨拶をかわした。
「穂乃果、東條先輩と知り合いだったの?」
「うん!神社で練習してるときに良く占ってくれたんだ!」
なんと、東條先輩はこの神社で巫女さんだったのか。まあ、確かにそんなミステリアスな感じは初対面の時にも感じたような気がする。
「ミステリアスやないよ?スピリチュアルや」
「俺、まだ口に出してないんですが?」
「カードがウチにそう告げるんや♪」
そう言って、東條先輩は何処からかタロットカードを取り出した。……あくまで"何処からか"だ。何処からかはあえて指摘しない。だって、海未の黒いオーラを感じるんだもん。巫女衣装の胸元から取り出したなんて口がすべっても言えなーーー。
「あらあら、男の子やねぇ♪」
東條先輩はニヤニヤしながら俺に言った。後ろから「葵……」と恐ろしく低い海未の声が聞こえたのは幻聴だ。うん、そうに違いない。
「と、東條先輩もからかわないで下さいっ!」
「ふふっ、ごめんなぁ。葵君が可愛いからつい♪」
「なっ……!?東條先輩!!」
「だからごめんて。あと、ウチの事は希でええよ?」
悪戯な笑顔を見せる東條せんぱ……希先輩。その笑顔には先程のことりと同じ魔性があった。
「あ、そろそろ学校に行かないと。ウチ、先に行くね」
そう言って、希先輩は神社の奥へと姿を消した。
「私達はもうちょっと練習しよっか?」
穂乃果がそう切り出した。
「そうですね。まだ時間にも少しありますし」
ありますし、って……走らなきゃ間に合わないぞ?だって希先輩も学校行っちゃうし、大丈夫なのか?
「時間、大丈夫なの?」
「大丈夫です、ことり。走ればいいんです」
うわー、やっぱ考えていたよこの人。
「よし!じゃあ葵君!ダンス指導をよろしく!!」
……。
そんな目をキラキラさせて頼まれたら断れるわけないじゃないか、穂乃果。
「じゃ、あともう一回ダンスの流れを確認しよう!!」
三人は手拍子に合わせて踊りだす。今の俺には、そのダンスのステップひとつひとつが未来へ繋がる"
その後、俺たち四人が遅刻してしまったのは言うまでもない。
「はぁ……散々な目にあったなぁ……」
その後、何故か俺だけ職員室に呼ばれ、遅れた
「疲れた……早く昼飯食べよ……」
そう思いながら、俺の教室までの道のりを早足で歩いていた。
「きゃっ!?」
丁度、廊下の曲がり角にさしかかった時に誰かと肩をぶつけてしまった。同時にその人が持っていたプリントもぶつかった衝撃でぶちまけてしまった。
「す、すみません!今、拾いますね」
「別にいいのよ……あら、葵君じゃない」
聞いたことのある声が聞こえた。この低い凛とした女性らしい声は……。
「絢瀬先輩、こんにちは。先程は本当にすみませんでした」
綺麗なアイスブルーの瞳に見事な金色の髪のポニーテール。そして、バツグンのプロポーション。俺の前には音ノ木坂の生徒会長、絢瀬 絵里先輩がいた。
「大丈夫よ。廊下では早足にならないでね?」
集め終わったプリントを持って絢瀬先輩は歩いて行ってしまったーーー。
と、思った。
「葵君、放課後に生徒会室にきて。話があるの」
唐突に、真剣な顔つきで絢瀬先輩は言った。
「は、はい。分かりました」
な、なんだろ?俺、また何かしたかな……?そんなことはやらかしてないはずなんだが……。
「じゃあ、放課後。生徒会室で待ってるから」
そう言い残して、絢瀬先輩は職員室の方へ歩いて行った。
「……う〜ん……何かしたかなぁ?」
そう考えながらも、昼休みがそろそろ終わってしまうので、俺はそそくさと教室に向かう事にした。
「葵くーん、一緒に帰ろー!今日は神社で練習するから付き合ってよー!」
学校終了のチャイムが鳴ると同時に穂乃果が俺の机にきた。てか、毎回早いな。どうやったらそんな早く帰りの身支度ができるんだよ。
「あ〜……悪い。今から生徒会室行かなきゃいけないんだ」
「えぇ〜……」
そうガッカリしないでくれよ穂乃果。何か俺が悪者みたいじゃねえかよ。
「用事があるなら仕方ありませんね」
「そうだね、穂乃果ちゃん。私達で練習しよ?」
海未、ことりが俺達のいる机のほうへやってきた。
「うぅ……明日、私達のファーストライブなのにぃ……でもまぁ、仕方ないか!」
そう言うと穂乃果達は教室を出て行った。
「さて……俺も行くか」
今日は何故だか腰が重かった。その重い腰をあげ、俺は生徒会室へ向かった。
いつきても、
「すぅ……はぁ……良し」
呼吸を整え、焦りに似た気持ちを落ち着かせる。
俺は意を決して扉をノックする。
ーーーコンコン。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
扉をあけ、生徒会室へ入る。
中にはいつも通り、生徒会長の絢瀬先輩と副生徒会長の希先輩がいた。心なしか絢瀬先輩の顔が凄く真剣に見える。
「待っていたわ。葵君」
絢瀬先輩のその一言には、とてつもない威圧感があった。その絢瀬先輩を見守る希先輩も真剣な表情だ。
「……話とは、なんでしょうか?」
迫る威圧感になんとか耐え、話題を持ち出す。その話題を切り出した途端、絢瀬先輩の顔つきがより真剣なものへと変わった。
「……貴方、ここのスクールアイドル"μ's"のマネージャーをしているそうね?」
「ッ!……はい」
何処からそれを聞いたのか。噂か、何かは分からない。でも確かに、穂乃果達"μ's"は校内では少し噂にはなっていた。
「このまえ、穂乃果ちゃん達が講堂の使用許可を申請しに来たんよ」
今まで口を閉じていた希先輩が口を開いた。いつものまったりした感じではなく、声色も真剣になっていた。
「単刀直入に言うわ……葵君。"μ's"の講堂でのライブを辞めさせて」
冷たく言い放つ絢瀬先輩のアイスブルーの瞳は、本来あるはずの輝きを失っていた。
えーと、皆様。
まずは謝罪を。本当にすみませんでした。大会のせいで投稿が遅れたこと、申し訳ありませんでした。
大会は負けてしまいました……三回戦まで進んだんですがねぇ…。
今日からは一日一話を目標として頑張っていきます。
それでは、また会う日まで。