ペルソナァ!って無性に叫びたくなるよね え?ならないですかそうですか 作:みもざ
クマを引き連れ更に進む裕也ご一行は禍々しいオーラを発する巨大な扉を発見した。
怪しい、とても怪しい。絶対ここに山野 真由美がいると言う雰囲気を発して居た。
「ムムム! 匂う! 匂いますぞぉ!! クマのプリチーノウズがビンビン反応してますぞぉ!!!」
クマが鼻をピクピクさせながら、謎の踊りを踊るほどこの扉の向こうは怪しいらしい。
「人の匂いと……これは、シャドウの匂いクマ。ま、まずいクマぁ! マユミチャンとシャドウが同じ部屋に居るクマよ!」
すると、突然クマが慌て始める。
「今日は霧の日じゃ無いのに、どうしてこんなに気が立ってるクマ?」
とにかく、騒ぐクマをほって置いて裕也は禍々しい扉を開いた。
「あっ、ちょっ、まつクマぁ!」
◇◆ ◆◇
部屋の中は至って普通だった。殺風景な部屋。その真ん中に山野 真由美と、山野 真由美にそっくりな誰かが向かい合って其処に居た。
どうやら二人は口論をして居るようである。
『えぇ、そうよねぇ。愛なんて無かったわ……生田目に近づいたのも、彼に抱かれたのも全部金のため! 金のためならなんでもするものねぇ……うふふ、汚い女』
「ち、違う……私はそんなために生田目さんに……私は……」
いや、口論とは違う。山野が一方的に言い囃されているようだ。
山野はその場にへたり込み、掌で顔を隠して駄々を捏ねる子供のようにいやよいやよと身をよじる。
『出世のために何度抱かれたことやらねぇ……そんな汚い身体、本気で好きに成ってくれる
「ち、ちが」
『現に、あの人は浮気がバレたらすぐにワタシを捨てたじゃない!』
「違う……あの人はそんなのじゃ……」
『ふふ、まだ否定するの? 叫んじゃなさいよ、拒絶しちゃいなさいよ、ワタシはいつもそうして来たじゃない。ムカつく、イライラする、ほら何時ものことよ?』
「! ……貴女なんか──」
なんだろう、嫌な予感がする。これ以上山野に喋らせてはいけないと言う予感が。
「だ、ダメクマ! それ以上言っちゃダメクマぁ!」
クマも必死に止めようとしている。山野が言おうとしている言葉を、拒絶の言葉を。
「──あんたなんか、
クマの制止虚しく、山野は彼女の甘味な誘いに乗ってしまった。其れが地獄への導きだと知らずに。
『くっふふふふ……あはは……アーハハハハッ!!! そう、もうワタシはワタシ。アナタなんかじゃない! ワタシはワタシの好きなようにする……』
真由美にそっくりな女性は、まるで舞台女優のように大袈裟な動作でくるりとまわる。
『だから、アナタも、アナタの大切なモノも全部! 全部、ぶっ壊してあ・げ・る♡』
真由美(偽)は最後にウインクをすると、メキメキと音を立てて化け物へと変貌した。
「す、すごいエネルギークマ……! ほら! マユミチャンもユウヤも早く逃げるクマ!」
クマは真由美を連れてなんとか、この部屋から逃げ出そうとしている。
『ふふ! だぁめ、逃がさないんだからァ!』
クマ達を逃がすまいと、触手の生えたマネキンのような姿になった真由美(偽)が触手を伸ばす。
「──ッ!!!」
「ユウヤッ!?」
「裕也君!?」
咄嗟に裕也はクマと真由美(偽)の間に滑り込む。
触手が裕也の身体を貫く未来を誰もが予想した瞬間──
『……ペ……ル……ソ……ナ……!』
裕也の身体から突如現れた、巨大な少女が、真由美(偽)の触手を叩き切った。
「クマ!?」
「え!?」
『なんなのよぉ!?』
「…………ファ!?」
裕也が1番ビックしていたりしなかったり。
◇
正直言うとあっけなかった。
裕也から現れた、巨人の少女はものの数秒で真由美(偽)を木っ端微塵にし、バラバラになった真由美(偽)の身体は光となって真由美の身体へ帰って行った。クマ曰く、アレは真由美の抑制された心の声、即ち真由美のシャドウらしい。
そして、真由美のシャドウを撃破した少女はお察しの通り裕也のペルソナであり、名前はイザナミ。
ブレザータイプの制服のようなモノを来て居り、青い帽子を深く被った少女。少女と言っても、性別(?)を確認できるものが体の丸みだけであり、顔や服から露出している部分はどうみても人のものではない。
そんなイザナミは小刀の一振りで真由美のシャドウを切り裂いたのだ。
プロローグに登場する敵を、Level99の勇者が相手にするような戦いと言えるものでは無かった。
「……なんだか、わからないけど助けられたみたいだから一応お礼を言っておくわ。ありがとう裕也君」
「いや……」
真由美は今だに納得が出来ないと言うような表情で裕也に礼を述べる。
そんな二人の間を、何故かテンションの高いクマが自己主張するようにピョンピョン跳ねていた。
「すごいクマ! さっすがししょークマね!」
クマの突然の科白に裕也は「ししょー?」と返す。
「せんせーより上の存在! 其れがししょークマ!」
胸を張ってトンデモ理論で答えるクマに裕也と真由美は苦笑いしか返せなかった。
その後、真由美が倒れると言う一騒動があったが、クマのお陰でなんとか元の──テレビの外に出れた裕也は、真由美を警察に預け、天城屋旅館に帰って行った。
後日、再度真由美からのお礼を受け取り、裕也は日常へと帰って行くのだった。
『ペルソナァ!って無性に叫びたくなるよね え?ならないですかそうですか』完。
まだ主人公が「ペルソナァ!」と言っていないので、次回から蛇足と言う本編開始。