いつも笑ってるやつが一番強いというのは誰の言葉だったか。まぁ、私の言葉だ。現にそうだ。強いやつは常に笑ってる。だから笑ってるやつは強い。そう自分に言い聞かせて鼓舞してきた。
どれだけ恐くても、どれだけ相手が強くても、どんなに悲しいことがあっても、自分は大丈夫だって笑ってた。
友達にも笑って言った。大丈夫だって。
弟子にも笑って言ってやった。大丈夫だって。
なんなら、ヒーローの先輩らしく、師匠らしく、限界だって感じたら思い出せ。なんのために拳を握るのか。原点、オリジンってやつさ……とか。
こういうのを思い出すのっていつもヤバいときで、今回もそうだ。いや、今回が1番やばい。街は真っ平らで人が住んでいた気配もないし、駆けつけてくれた応援も瓦礫の下だ。
「空彦、俊典」
このままじゃ勝てない、どころか全滅だ。そう判断した私は悲鳴をあげる身体を押して2人の前に出た。
「あいつは私が引き受ける。だから2人は逃げて」
「何を言っている!?」
「そうですお師匠!」
私の言葉に2人は案の定反論してくる。
「このまま3人で戦っても勝てない。それは、わかるでしょ」
真顔で声音も殺して、2人に言い放つ。
「俊典が……後継がいればいずれは勝てる。でも、俊典が死んだらそのいつかは永遠に来ない」
それではダメだ。希望の炎を絶やしてはいけない。私や、先代たちが培ってきたものをここで絶やしてはいけない。
「だから、空彦。俊典のことお願いね」
「……ッ! ぐっ……うっ……!」
そう言うと、空彦は歯を食いしばって拳を握って狼狽えて自分の中にある感情を押さえつけてから大きく息を吐いた。
「俊典、いくぞ」
「で、でも!」
「いいからいくぞ!! 2度も言わせるな!」
有無を言わさずに俊典の手を掴んで、ジェットでその場から跳躍する。そんな空彦の動作を今まで沈黙していたあいつが見逃すはずもなかった。
「逃がすわけないよね」
複数の個性を組み合わせた事で生まれた巨腕を振るう。それだけで空気が歪んで、地が裂ける。
「ぐうぅっ!?」
「空彦ッ!」
ヤツの意識を別に、そうだ、私に向けないと。硬くなった唾を飲んで、足に力を入れる。立ってるのもやっとな足でも火事場の馬鹿力ってやつだ。思ったよりも早くあいつの所に近づけた。
「オール・フォー・ワン! こっちを見ろぉッ!」
「へぇ」
私が呼んだからか、空彦が倒れたからか、あいつは私に顔を向けると、再びその手を変形させる。
恐らくは遠距離攻撃。威力や射程は分からないけど、この方向になら、空彦や俊典は巻き込まれない。
「うおおおおぉっっっ!!」
「やかましいねヒーローってのは」
恐怖と疲労、痛みをかき消すために叫びながらやつに向かっていくと、嘲笑うようにあいつは手を一振りした。それだけで私の身体は背後に大きく吹き飛ばされた。
「かはっ!! ……はっ、はー……っ、はーっ……、はぁっ」
地面にたたきつけられ、空になった肺に酸素を取り込む。その間にもやつが俊典たちを狙うんじゃないかと起き上がる。すると、何故か目の前にやつはいた。
「……うん、そうだね。面倒ではあるけど……何も無いというのはつまらないからね」
俊典たちの方を見ながら私の体を掴みあげる。そして、強者の……邪悪な微笑みを浮かべていた。
「さぁ、喜劇をはじめよう」
あぁ、ほんと嫌になる。強いやつは常に笑ってるもんだって言葉は本当なんだ。
「かはっ!」
笑いながら、愉しむようにやつは私の身体をいたぶってくる。個性を使わなくても殺せるからと身体能力強化の個性も切って。
じわじわと嬲り殺すように、俊典たちに見せつけるように私の体に汚い拳や、足を叩きつけてくる。
「うーん、ちょっと拳が痛くなってきたな……」
肋は折れて、腕も足も動かそうとしたら痛いというレベルを通り過ぎて何も無い感覚にまできた頃、ポツリとオール・フォー・ワンが呟いた。
「ハハッ……」
「ん? まだ笑っていられるとは気丈だね」
「いや、なに……私のこんな身体を殴っただけで痛いなんて感想が出るあんたが可笑しくてさ……」
そんなに強いのに、個性がないと大したことないな。まぁ、それは私も同じかぁ……。瞼が重くなってきて、意識も段々薄れてきた。空彦や俊典は逃げれたかなぁ……。
「ふふっ、君こそ私を倒すなんて言ってこのザマとはね、ヒーローが聞いて呆れるね」
何か言ってるけど、よく聞こえない。けど、笑って私を見下してるのは伝わってきた。それでいいんだ。あんたが私に意識を向けているのならそれで。
空彦、俊典、いつかこいつを必ず倒して、孤太朗たちが笑って平和に暮らせる社会を……。
「それでは志村菜奈。素晴らしい喜劇をありが……」
ヤツの声が遠ざかっていく。あぁ、もう、終わりか……でも、悔いはない。後のことは任せたよ…………空彦、俊典……………………。
……? あれ、まだ、生きてる……なんで……?
首から下はもう動かないけど目は開くし、顔も何とか動かせる。耳も……うん、まだ聞こえる。でも、なんでこんな所でバイクのエンジン音が……?
「あぁっ! 君か! 君が! 僕の可愛い子供たちを!」
エンジン音と共に聞こえるのは、あいつが憤る声だ。私も、先代も聞いた事のない。私たちしか出したことの無い怒りの声だ。それをあいつが出している。一体何が……と軋む首周りの筋肉を動かして顔を上げる。
「なんだ! 君は誰だ!? 知らないぞ! 僕は! 君のようなヒーローを!」
「私はヒーローなんていう高尚な存在では無い」
先程まで傷1つついていなかったオール・フォー・ワンが口元から血を垂らし、脇腹を抑えながら憤るその先には、赤く大きな瞳と2本の触角のようなアンテナのついたマスクを被り、赤いマフラーたなびかせる戦士がいた。
「ヴィランの敵。そして、人類の味方」
緑色の手袋とブーツを纏うその姿は勇ましさを覚え、黒を基調としたスーツに白銀の白い線を走らせる勇者は人類の敵へと言い放つ。
「仮面ライダー!」
拳を握り、ポーズを構えるその戦士の後ろ姿は私が見た本物のヒーローだった。
志村菜奈が気を失って間のオール・フォー・ワン
なんか急に変なの来たけど、面白そうだから遊んだろ(わざと一撃もらったらめちゃくちゃ痛かった)▶︎……くっ、思ったよりやるな。しかも足も早いし。よく分からないけどいい個性っぽいからもらお(この時掴んで返しの拳を貰う)▶︎個性が奪えない!? 異形系か? にしてはなんかこう……? え? 無個性? しかも今日で僕の悪事は終わり?(この時仮面ライダーから倒したヴィランの話されて6割くらい部下だった)▶︎ブチ切れ
あと舐めプしてるから2パンでHP3分の1くらい削られてるけど、本気出したらさすがに負けない(勝てるとは言ってない)
仮面ライダー:突如現れた仮面の戦士。腹に響くエンジン音を轟かせながらバイクと共にやってくることから仮面ライダーと呼ばれる(呼ばせてる)。その正体は一体。