collage または劣化したユリシーズ 作:sumisode
5月に修学旅行がある
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修学旅行の班決めを行うことになる
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生徒同士で自由にメンバーを選ぶことになる
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自分の同じ班になりたい人へ声をかけるという例の時間が行われる
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あれは陰キャにとって地獄の時間である
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AさんはBさんに声をかけられる
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「Aさんさ、同じ班なろうよ」「別にいいけど…でも私と同じ班になりたくない人がいるかもしれないから、私のせいでBさんが他の友達と同じ班になれないかもしれないしそれが心配かも」「いないよそんな人、少なくとも私の友達の中にはいないよ、変な心配しなくていいって」「どうかな」「だからさ、もっとこう…自分に自信を持ちなよ、別にAさんさ、そこまで嫌われてないから、だから自分をこう、もっと認めてあげてほしい、っていうかAさんは私と同じ班になりたいの?」「私はなりたいけど」「じゃあなればいいじゃん、人のことなんて気にしなくていいから、自分の主観的事実に生きなよ、じゃあ同じ班ね、決定」「私は嬉しいけど…でもこれって男女それぞれ3人ずついなきゃいけないんでしょ?他の班員をどうするかが問題なんじゃないの」「まあそれはね、女子はさ、もう一人なんか適当に引っ張ってくればいいけど、でも男子どうするかな」「Bさんが決めていいよ。私は別に誰でも構わないから」「うーん…じゃあさ、C君とか呼ぶ?ほらちょうどC君が班のメンバー決まってなくて一人でうろついてるし」「…私はそれでもいいけど」「じゃあそうするね、ねえC君、同じ班なろうよ」「…別にいいですよ」「じゃあ決まりね、あと女子は私の友達の中から適当に漁ってこようか、男子はなんかもう誰でもいいや」
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そして紆余曲折あり班のメンバーが決まる
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「そういえばAさんってさ、C君とまともに会話したことないんじゃないの」「ないね」「この機会になんか話しかけてみれば」「別に」「ええ、でもC君さ、『ヰタ・セクスアリス』はもうすぐ読み終わるらしいよ、そうだよね?」「まあ読み終わりますね」「私あれ一回だけ読んだんだけどさ、どんなんだっけ最後の方」「今はあの新聞社に分からない人が寄ってるところまで読みました」「えっ何?」「新聞社には分からない人ばかり寄ってるところです」「どこそれ」「…あれでしょ、金井君が新聞社のあいつに頼まれて書いたものを新聞に載せてもらったあたりのことでしょ」「ああそんなのあったね、じゃあ割と終わりの方だね」「そうですね」「でもさ、やっぱり朝読書で読むもんじゃないよあれ、いやまあ言うほどそういう描写ないけどさ」「一回発禁食らってますからね」「そう発禁食らってるんだよね、あれ」「発禁食らってる割にはそんな大して過激じゃないですけどね」「いやどうかな、でも痴人の愛の方がヤバいよね朝読書としては」「はい」「痴人の愛も一回読んだけどさ、なんかあれかなって、谷崎変態かなってなるよね」「でもああいうのも好きですけどね俺は」「いやでも変態性が強いよね、あれ男子目線だったらどうなのか知らないけど女子目線で見ると『私』がクソ気持ち悪いよ」「男子目線でもクソ気持ち悪いです」「そうだよねやっぱり、ヤバいよあの主人公、『痴人の愛』の『私』と『舞姫』の豊太郎と『新生』の岸本は私の中で三大ヤバい主人公だから」「でもよく言われてるようなクズではないですね」「いやまあ割とクズだと思うけどただのクズってわけではないね」「あともっとヤバい主人公とか内容の作品もありますよ」「まあそれはそうだね、自然主義とかにもいるよね、というか自然主義ってあんなんばっかりになってったよねだんだん」
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二人は会話を続けているが、Aさんはその間ずっと沈黙している
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「Aさんもさ、もっと喋りなよ」「いやなんか…邪魔しちゃ悪いかなって」「別にAさんも喋っていいよ、だって文学関連で話合う人あんまりいないでしょこの学校に」「まあ…」「っていうかAさんって最近何読んでるんだっけ」「斜陽」「斜陽かぁ、斜陽私読んだことないんだけどさ、どんなの?」「斜陽は貴族の娘が道徳革命とか言い出して庶民出身の作家と不倫する作品ですね」「あっC君知ってるんだ」「一回読みました」「そっかぁ」「…道徳革命のくだりはね、個人的にどうでもいいから、あれはお母様絡みの描写を見るために読んでるから」「道徳革命が現代の価値観からすると古いのは事実ですね」「っていうかあれ純粋に生まれてくる子供が可哀想だし」「私生児ですからね」「うん、っていうかあの…上原って冷静に考えたらクソ野郎じゃないの」「そうですね」「ねえねえ斜陽ってさ、あれ面白いの?」「人によるけど私は面白いよ」「自分はもう随分前に読んだだけなんで覚えてないですね」「そっか、どんな内容なの」「お母様と一緒に引っ越す→戦争に出てた弟が帰ってくる→お母様が死ぬ→不倫する→弟が死ぬ→不倫相手に捨てられるですね」「死にすぎじゃないキャラが」「あと上原も近く死ぬ人のような顔してるらしいんでそのうち死にます」「主人公以外誰も生き残ってないじゃん」「主人公も30超えてる癖に現実見れてない人なんであのまま生き残れるかは怪しいですね」「マジ?」「いや、かず子はまだギリギリ30行ってないから」「そうでしたっけ」「29だから」「まあアラサーではありますね」「はい」
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そこからの会話はAさんは参加していないし記憶から抹消していたので覚えておらず、ただいつになくC君に対して激しい嫉妬を抱いている自分に気がついている。その理由は自分でもわからないでいる