永久に君を刻んで~スピンオフ~ 零れ落ちる砂   作:アテル

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覚醒

「!?…クウガ」

 

 渋谷の街に突如現れたシンムグルン率いるインベス軍団。圧倒的物量を前に仮面ライダーナイトことスパイラルウインドも歯が立たずその場に崩れ落ちる。

 その時金色のバイクを駆り1人の青年がやって来た。青年は伝説の仮面ライダー、仮面ライダークウガに変身しシンムグルンへ立ち向かう。

 

「ハアッ!」

 

 初撃。紅に燃ゆる拳が放たれる。だがシンムグルンはそれを払い退け返しの斬撃を浴びせた。

 肩から腹にかけ斜めに切り裂かれる。熱い、苦しい。そんな思いが走るがそれも束の間、彼はこの反撃を狙っていたのだ。

 

「クフッ…ダアァ!」

 

 切られた事による反動を活かし空中で回転。一回転の後渾身のマイティキックをシンムグルンの右手めがけて叩き込んだ。

 思わず斧を零し後退するシンムグルン。そんな敵を睨みつけるクウガ。達人と達人の緊迫した空気が流れる。

 

「フンッ!」

「ハッ!」

 

 両者の拳が交わる。殴り殴られ、肉と肉がぶつかり合う生々しい肉弾戦が展開される。悲惨で、苛烈で、シリアスな攻防が続く。実力は拮抗状態、一進一退の戦闘。このままじゃ埒が明かない。

 そんな均衡を破ったのは外野だった。

 

「ぐっ…」

 

 突然クウガの肩に蒼炎が立ち込める。予期せぬ衝撃に動きが鈍ったクウガにシンムグルンの拳が突き刺さった。クウガは大きく吹っ飛び地面に転げる。彼の口元に赤い血が滴る。

 

「まだ…いやがるか…」

 

 少し目線を別の所に向ければ、口から青白い炎を零しながらこちらを睨むシカインベスがいた。恐らく先程の衝撃はアイツの仕業だろう。

 

「くっ…超っ…変身!」

 

 フォームチェンジのイメージをする。悪を打ち負かす雄大な剣士のイメージを。クウガのベルト、アークルもそれに応え霊石の色を紫に変える。するとエネルギーが全身へ流れてゆき紫の大地の騎士、仮面ライダークウガタイタンフォームへの変身を完了させた。

 すぐに立ち上がり彼の愛車、ビートチェイサーのハンドルを引く抜く。鍵兼警棒の特注アイテムトラクセラーシステムだ。引き抜いたハンドルはクウガのイメージを受けモーフィング。愛刀、タイタンソードに変形する。

 

「紫なら…きっと!」

「グギャッ!」

 

 堂々とした足取りでシカインベスに近づいていく。威圧感に気圧され焦りがシカインベスに生まれた。咄嗟の判断で蒼炎を吐き出すもタイタンフォームの装甲に傷1つ付けられない。攻撃をものともせずクウガは進む。シカインベスを前に剣を振り下ろす。

 たった一撃で切り伏せられてしまった。シカインベスが小爆発を起こしながらその場に倒れる。

 

「…やるな」

「…」

 

 たった数秒でインベスを蹴散らす光景を目にしシンムグルンは称賛の声を出す。正直、舐めていた。所詮人間、そう侮っていた。さっきの奴より、骨がありそうだ。昂る気持ちを前面に出し愛斧を拾い上げる。

 

「ふんっ!はあっ!」

 

 流れるような二撃の斬撃。それをシンムグルンは的確に受け止める反撃の斧を突き立てる。

 しかしクウガも手練、斧を受け止め膠着状態に陥った。

 

「ア…アタシも…!」

 

 その状況を目にしてスパイラルウインドが力なく立ち上がる。もう満身創痍なのに、立ち上がる。彼女の眼は諦めていない。弱くても勝ち目がなくても、命を投げうってでも戦い続ける。そんな蛮勇じみた闘志が沸き立っている。

 

「お前…まだ居たのか。早く逃げろ」

 

 クウガが避難を促す。どこか遠い目で冷静でありながらも、その言葉の芯には確かな怒りが籠っていた。

 いつの間にか膠着状態は変わっていた。クウガが攻めればシンムグルンの頑強な体が受け止め、シンムグルンが攻撃をすればクウガの巨大な体(タイタン)がいなす。実力も何もかも互角、極限の戦いであった。

 

「でもっ…誰かが戦ってるのに、それを見るだけなんてできない!変身!!!」

 

 気力で腕を振るいナイトに変身。ウイングランサーを手に戦闘へ参加する。

 二者の斬撃が交互に振るわれ隙のない連撃が生み出される。ナイトの斬撃の威力は決して重くない。しかし反撃する暇は絶対に与えない。真船との鍛錬の成果だった。

 一進一退だった戦況は一気に好転する…かに思われた。クウガやシンムグルンとナイトの戦力差は圧倒的だ。それこそ、地球と月の距離ほどある。当然だ。一生のうち大半を戦いに捧げてきた二者と、いくらウマ娘といえど戦いを初めてひと月しか経っていない小娘では戦いの勘も、技量も何もかもが違いすぎる。そんな彼女がクウガと息を合わせて戦えるのは間違いなくクウガのお陰だった。

 

「やああああああ!!!」

 

 ナイトが果敢に突進を行う。ウイングランサーを突き立て、敵の腹部めがけて飛び込んだのだ。切っ先は腹部に突き刺さる。彼女の手に、柔らかく押し返すような感覚が伝わってきた。内臓に届いたのだろう。シンムグルンから苦悶の声が漏れ出る。

 

「ぬおっ!?ぐぬっ…」

 

 さらにランサーを押し込む。体内が抉られ続けるような感触に悶え苦しむ様子が声から分かった。覚悟を決めさらなる攻撃に移る。ただひたすらに剣を押し込むのだ。ただ、怒りと使命感を込めて。

 

「ぐっ…原人めがぁっ!」

 

 流れに任されてはまずい。シンムグルンも反撃に転ずる。斧を振りかぶりナイトの首に狙いを定めた。このまま一気に振り下ろせば間違いなく首をはねることは可能だ。大山の様な力で斧が振り下ろされる、その瞬間…

 

「バカっ!」

 

 横からの衝撃がナイトを襲う。

 

「キャッ!?」

「ぐうっ…」

 

 衝撃の正体はクウガのタックルだった。ナイトの身代わりとしてシンムグルンの攻撃を受け止めたクウガは彼女に語り掛ける。

 

「戦って死ぬなんてバカのすることだ!戦うなら…生きるために戦え!生きて戻るために守れ!それが仮面ライダーだ」

 

 すっとクウガの言葉が頭に入っていく。友を救うため、力を欲した。町を守るために力を振るった。この命を投げうっても救いたい。そう思って戦ってきた。だが彼の言葉は…思いは違う。戦った先を彼は考えている。救う本質を彼は見ているのだ。

 

「生きるために…」

 

 ふと、このまま死ぬことを想像した。このまま死んだら…皆とバイバイだ。そしてみんなを今度は誰が守るのだろう。誰が手を伸ばし続けたらいいのだろう。

 

「はぁっ!くっ…たあぁ!」

 

 向こうでクウガが戦っている。体はいつの間にか赤いマイティフォームに戻り、荒々しいケンカ地味た戦闘を行っている。

 

「…守るんだ、皆を…アタシを!」

 

 その時、彼女の周囲の空間が鏡のように割れた。割れた空間には何もなく、ただ真っ暗が無限に続いているだけだった。やがてそこに黄金の風が吹きすさぶ。風の中心には、一人の仮面ライダー…金色の不死鳥仮面ライダーオーディンが立っていた。

 

「…力が欲しいか?」

 

 ナイトに歩み寄りながらオーディンが問う。

 

「欲しい。アタシ含めた皆を守れる力を!」

 

 彼女は迷わず答える。返事を考える時間なんて必要ない。今彼女の心の中にある決意、それこそが答えだから。

 

「後戻りは…できないぞ」

 

 力は戦いを呼ぶ。力が強ければ強いほど戦いは熾烈になり厳しい世界に身を投じ続けることになる。力を持つ者の運命だ。

 それでも…

 

「後戻りが必要ない未来のための力よ」

 

 彼女の言葉を受け取り、オーディンは愛用の召喚機、ゴルドバイザーの翼部分を展開する。中には()()()()()()2枚で構成された不死鳥のアドベントカードが収められていた。オーディンはそこから左翼部分のカード(疾風のサバイブ)を取りナイトに投げ渡す。

 彼女がカードを受け取った瞬間、周囲の空気が変わる。オーディンの放つ黄金の風ではない。彼女自身が放つ、紺碧の風で空間が満たされていく。

 

「はっ!」

 

 ダークバイザーを抜き取り前に掲げる。すると風を纏いバイザーが変化。ダークバイザーツバイとして腕に装着された。そしてサバイブのカードをバイザーの盾部分にあるスロットに入れ、剣を引き抜く。すると風が彼女を包み鎧を変化させていく。より強固に、より尊大に、より絢爛に、そしてより誠実に。友を守る装備は姿を変え、彼女の意思を貫く鎧として身を包む。

 

Survive(生き残れ)

 

 そして風は一対の翼(ナイトウイング)となり大きくたなびく。ここに仮面ライダーナイトの新たな姿、ナイトサバイブが誕生した。

 空間は元に戻り一陣の風が戦場に吹き荒れる。

 

『blastvent』

 

 風は二本の竜巻に姿を変えクウガとシンムグルンの間を駆け抜ける。距離が開き戦闘が一度仕切り直しになった。竜巻の出所を二人は探るが、原因はすぐそこにいる。

 

「その姿…一歩先に進んだか」

 

 クウガが不敵に笑う。そう…ナイトは進化した。生きるため、守るため、その為に黄金を纏ったのだ。

 

「はあぁっ!」

 

 竜巻の中に入りマントを広げ、風を受けながらの高速移動をする。爆発的な移動速度の恩恵を受けた斬撃は、洗練された剣の鋭さも相まってこれまでとは比較にならない威力を発揮し、シンムグルンの装甲に音を立ててヒビが入る。

 

「ぐっ…鎧が…!?」

「私は生きる!生きてアンタを倒して、アタシの場所に帰る!」

「上出来だ!…っ、はぁあああああああ!」

 

 クウガが全神経を研ぎ澄ましエネルギーを貯める。すると彼の周りでプラズマがパリパリと弾け出した。プラズマはやがてクウガの体を覆い、その色を青白から黄金へと変化させる。

 プラズマが一瞬、強く輝いた。膨大なエネルギーが彼の中で反応し、それが全身に表れていく。ベルト、アークルには金色のカバーが装着されライジングアークルへ。そして肩に、足に、黄金の雷電アーマーを纏い強化していく。

 こうして金の赤…ライジングマイティフォームへフォームチェンジを果たした。

 

「金の力は長く持たない!一気に決めるぞ!」

「はい!」

 

 長い間封印していた金の力。強力すぎるが故多くの物を破壊し、傷つけ、そして()()()()()()()()()()()()()()()代物。そんな強大な力を彼は自戒で封じていた。しかしナイトを見て、彼女の頑強な意思に当てられ封印を解くことにしたのだ。

 制限時間は1分間。長いブランクのせいでかつては無制限だった力にも制限がついてしまった。しかし問題はない。今の二人なら間違いなく倒せる。そう彼は確信していた。

 

「はっ!」

「だあぁっ!」

 

 馬鹿力のナイトサバイブ、力技量ともに最高峰のライジングマイティ、この二人の連撃を捌ききれる猛者はほとんどこの世に存在していない。流石のシンムグルンもあえなく、自慢の鎧を傷だらけにしながら地べたに這いつくばることになった。

 

『Final Vent』

 

 その隙を見て必殺技に移行する。バイザーにカードを挿入するとダークレイダーがミラーワールドから出現、必殺技用に変形を開始する。

 両翼には大きなタイヤが出現し頭部がハンドルに変化。そして頭部を中心に体をひねり瞬時にバイク形態へのフォームチェンジをする。

 

「来い!ゴウラム!」

 

 クウガは予め呼んでいた自身の眷属、ゴウラムをこの場に呼び寄せる。

 ゴウラムは前後に分離し、それぞれクウガの愛車ビートチェイサーのフロント部分、リア部分へ接合。細身で金色に輝くバイクは瞬く間に、どっしりとし黒光りするゴウラム形態へ変化し、バイクに命が宿る。

 

「行くぞ!金のゴウラム合体ビートチェイサー+ダークレイダーバイクモードボディアタック!!!」

 

 クウガの声を合図に両者エンジンを吹かし発車する。

 まずゴウラムがシンムグルンをツノで捕らえる。いくらオーバーロードといえど満身創痍の状態では成す術なく、時速300㎞の風圧に負けビートチェイサーのフロントに押さえつけられる。

 それでもどうにか反撃しようと強く睨み続けていると、ふと違和感を感じた。体内で未知のエネルギーが蠢いているように感じられたのだ。即座にエネルギーの出所がゴウラムであると悟ったシンムグルン。しかしゴ集団でさえあっという間に爆発してしまうほどの膨大な封印エネルギーの力に負け何もできずただ耐えることしかできない。

 その時、突如急ブレーキがかかる。慣性に従いシンムグルンはそのまま渋谷の大通りに放り投げられた。

 

「ムワアアア!!くっ…こんな猿共に…我ら栄光の…っ!」

 

 制御の効かない体の行き先にはもう一人の戦士が待ち構えていた。ダークレイダーのエンジンをMAXにし、最高速を出す。風を受けたなびくマントは前方に集約されバイクを包み、まるで一本の弾丸のようになった。弾丸はシンムグルンめがけて突っ込んでいく。

 

「支配することしか知らないあなたに…私たちは負けない!」

 

 ナイトはシンムグルンの体を貫通。2人の必殺技を受け、街のインベスを巻き込みながら大爆発を起こした。

 こうして、2人の仮面ライダーの手によって平和は守られた。




お久しブリブリブリタニア。サボってた訳じゃ…ないよ?

戦闘が長い!楽しい反面もっと人間ドラマ動かしたくなっちゃうわ

最近の若者は別に渋谷に集まらないことを最近知りました。都会分かんね~

追記(2026/02/08) 誤字修正

次回予告

「…久々に、アイツらに会いに行くか」

「みんな、ありがとう!」


次回『未来』
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