キヴォトスに赴任する殺せんせー   作:名無しの毛玉

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恩知らずの血戦

 

 

 

Vo1『アビドス対策委員会』

 

 

 

傭兵(バイト)。ヘルメット団に並ぶ、キヴォトスの組織。ヘルメット団とは違い、能力的な差はあまりない

 

キヴォトスの生徒たちは身に着けたアクセサリー(鞄やバッジにお守り)服装(靴や手袋)によって、身に纏う神秘も変わる。オシャレに実利が伴う、女子高生に嬉しい、世界の仕様(システム)だった

 

傭兵(バイト)はみな、その仕様を利用し、特定の安全帽を被る事で、ただでさえ頑丈なキヴォトス人に更なる耐久性を与えていた。なお、代わりに個人の強みは余程素で強くないと消し飛ぶので、戦闘においては完全に壁役(タンク)としてしか役に立たない。あとは崩落に巻き込まれても問題なく作業を続けられる工事現場とか。傭兵(バイト)の需要は割とあるが、誰でもできるし大体痛いのでやる気が無い。そんな集団である

 

 

「待たせたわね」

 

 

アルが精一杯に格好つけながら傭兵(バイト)に話しかける

 

 

「なんだよー、遅かったじゃん」

 

「少し野暮用よ。準備は出来てるわね?」

 

「もちろん。なんでもいいけど残業はナシでね。時給も値切られてるし」

 

「細かいことは置いておいて、さあ!行きましょう!アビドスを襲撃するわよ!」

 

「…細かくないんだけどなー。まぁ、いいや。みんなー行くよー」

 

 

傭兵(バイト)がワラワラと前に進む。総勢30名。便利屋68の全財産を投入した、最大戦力だった

 

 

「アルちゃんも元気になったことだしー♪出動ー!」

 

「まぁ…今は何も考えてないだけだと思うけど…。でも、良かった」

 

「アル様!わ、私!がんばりますから!ひとり残らず、ぶっ潰しちゃいます!」

 

 

 

 

 

「校舎より南15km地点付近で大規模な兵力を確認!」

 

 

アヤネが敵を捕捉していた

 

 

「ヘルメット団?」

 

「い、いえ!ヘルメット団ではありません!この装備は…傭兵(ようへい)です!日雇いの傭兵(ようへい)!」

 

「へぇー、傭兵(バイト)かあ。あれ結構高い筈なんだけどなぁ」

 

「ホシノさんも利用経験が?」

 

「うへぇ、まさかぁ。カタログ見たことあるだけだよー。アビドス(うち)にバイト代払えるようなお金ないしねー」

 

「これ以上接近されると危険です!耐久力に物を言わせて、無理矢理校舎まで押し入ってくる可能性があります!こちらから迎撃しましょう!」

 

「そうだねぇ。まー、あいつら耐久力はあるけど、それ以外は全然だから、先生の戦術指揮(アレ)があれば校舎を離れて全員で行っても良さそうだねー。アヤネちゃん、もしもの時の防衛よろしくー。殺せんせー?」

 

「ヌルフフフ…いつも最後を任せてくれて、ありがとうございます、ホシノさん。では…アビドス対策委員会!出動です!」

 

 

おー!と、今日も元気よく声が響く

 

 

 

 

 

「前方に傭兵部隊を確認!…あれっ、あの姿は」

 

「あれって柴関ラーメンの時の…アルちゃんですよね?」

 

「ん。流石についさっき見たから忘れない。…なんでここに?」

 

「…まさかあいつら。ラーメン奢ってあげたのに…!」

 

「うへぇ。まぁ、別にやることは変わんないし、そうカリカリしないでー、セリカちゃん」

 

「取り敢えず連絡繋いでみましたけど、必要ですか?」

 

「要る!絶対文句言ってやる!」

 

 

 

「社長。向こうから連絡が来た」

 

「うぐっ…。つ、繋げなさい?堂々としてこそアウトローだもの…」

 

「あはは!アルちゃん肩震えてるよー?」

 

「うるさい!」

 

 

ホログラムが浮かぶ。激昂するセリカだった

 

 

「あんたたちぃ!」

 

「ひえっ」

 

 

アルは小さく声が漏れ出ていた。顔はギリギリアウトローを保っていた

 

 

「ラーメン無料で特盛にしてあげたのに!この恩知らず!」

 

「あはは!それについてはありがとね!バイトちゃん!でもそれはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさー」

 

「残念だけど公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はキッチリこなす。それが便利屋68のモットー…でしょ?社長」

 

「うふふ…そうよ。それが私たちのモットー!よくわかってるじゃないカヨコ!」

 

「…そこでそんな嬉しそうな顔されても」

 

 

ホログラムが浮かぶ。ぷんすこ!という効果音がついていそうな怒り方をしているノノミだった

 

 

「もう!学生なら、他にもっと健全なアルバイトがあるでしょう?それなのに便利屋だなんて!」

 

「ちょっ!アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネス!肩書だってあるもの!」

 

 

胸を張りながらアルが自身を指差す

 

 

「私が社長!」

 

 

ムツキを指差し「あっちが室長!」

カヨコを指差し「こっちが課長!」

ハルカを指指し「この子は平社員!」

 

とても楽しそうに、自慢気に、各々の役職を満面の笑みでアルは話していた

 

ムツキはニヤニヤ、ハルカはアルにキラキラな視線、カヨコはまた溜息を吐いている

 

ホログラムが浮かぶ。特に感情の見えない、戦闘態勢の、ニュートラルなシロコだった

 

 

「誰の差し金?…いや、答えるわけないか。…力尽くで口を割らせる」

 

「ふふふ…。勿論、企業秘密よ、シロコ。口を割らせる…ねぇ。出来るかしらね?」

 

 

アルが傭兵(バイト)に指令を出す

 

 

「総員!攻撃!」

 

 

ダダダダダダダダ

 

 

豆鉄砲もいいとこな傭兵(バイト)の弾幕。安い弾を使っているので威力は低い。が、目眩ましには充分な性能だった

 

 

「それじゃー開幕いってみよー。ノノミちゃーん」

 

「はーい♪ノノミー、いきまーす!」

 

 

ノノミのマシンガン(リトル)が対策委員会の最初の攻撃だった。銃弾は正確に敵の頭部、脚部、そして敵の銃を撃ち抜いていく。が

 

 

「まったく…。いつもの事とはいえ、痛いなぁ。…というかマシンガンで銃を狙い撃ってんの?やばくない?」

 

 

と、弾き落とされた銃を拾い直しながら、ぶつくさと文句を言いながら、少しずつ、傭兵(バイト)が前に進む

 

 

「うーん…やっぱり足止めにしかなんないかー。ノノミちゃん。オーバーヒートには気を付けてねー」

 

「わかってますよーホシノ先輩」

 

「んじゃ、シロコちゃんは右の方から。セリカちゃんとアヤネちゃんは左の方よろしくー。おじさん前に出るねー」

 

 

そう言って、ホシノは傭兵(バイト)に接近すると、思いっきり遠くに投げた。倒す事は最初から考えていない遅延戦術だった

 

 

「ん。じゃあ、セリカ、気を付けて。アヤネ、フォローよろしく」

 

「了解です!」

 

「なんか…私の信頼度、低くなってない?気を付けるけどさ…」

 

「…?」

 

「あ、私の杞憂か。ごめんなさい」

 

「…よくわかんないけど、大丈夫。セリカは強い子」

 

「うっ…正面から褒められた…。…あーもう!行ってきます!」

 

「いってらっしゃい」

 

 

 

 

 

右。シロコの戦闘区域。此処に相手の主力…便利屋のひとりがいることは殺せんせー(シッテムの箱)からの情報で分かっていた。傭兵(バイト)を無視してポイントに向かう

 

 

「…見つけた」

 

 

そこに、ショットガンの、最初に柴関ラーメンに入ってきた、ハルカがいた

 

 

「…」

 

「…」

 

 

お互いに無言の時間が生まれた。シロコは油断なく敵を見ている。ハルカは、震えることもなく、静かにシロコを見つめている

 

ハルカが歩きだす。自然に、便利屋の面々と歩くように、ゆっくりと

 

シロコはそれを見ている。見ている、のに。何もしなかった

 

ゆっくり、ゆっくり、近付いていく。実際の所、そんなにゆっくりでもない。だが、戦場という、1秒で大きな差が生まれる場所に於いては、ゆっくりとしか言えない速さで、ハルカがシロコに近付いていき

 

シロコの眼の前で、ハルカが止まった

 

 

「死んでください」

 

「…!?」

 

 

ショットガンの銃口が、シロコの眼前に突き付けられていた。引き金が引かれる

 

シロコの耳元で、銃声が響く。辛うじて、回避は間に合った

 

ハルカがショットガンを連射する

 

 

「死んでください死んでください死んでください死んでください死んでください死んでください!」

 

「ぐっ!うぅ…!」

 

 

シロコにホシノ程の耐久力は無い。ハルカの攻撃は、シロコに少なくないダメージを与えていた

 

 

「…なに、今の」

 

 

ハルカに対する問い、ではなかった。只々、シロコは疑問に思っていた。確かに視界に映っていた。警戒もしていた。なのに、眼の前に銃口が突き付けられるまで、なんの疑問も抱けずにいた。正面からの奇襲だった

 

 

「…取り敢えず下がろう」

 

 

自分の知らない戦い方を知ることができた。収穫はあった。シロコは手榴弾のピンを抜き、ハルカに投げ、ドローンでミサイルも撃ちつつ、撤退した

 

シロコの攻撃を、避ける事なく全て受けたハルカは

 

 

「…逃げられましたか。…アル様になんて報告すれば」

 

 

と、痛がる事もなく、平然と。見た目はボロボロになっていたが、しっかりと、その場に立っていた

 

 

 

 

 

左。セリカの戦闘区域。セリカは激怒していた

 

 

「さっっっきっから、…さぁ!ドカン、ドカンと、うるさいのよ…!ムツキィ!あんたねぇーっ!!」

 

「あはは!バイトちゃん元気だねー。あ、ほらそこ、爆発するよー」

 

「あんたが今設置したんでしょうが!」

 

 

ムツキが持つ鞄からは大量の地雷がポロポロと溢れ落ちていた

 

既に設置されている地雷は、殺せんせーからの情報で通知されている。が、リアルタイムでの設置は判断が間に合わず、それを踏んでしまい、周囲の地雷が連鎖爆発する。アヤネからの回復物資でなんとか立っているものの、先日の負傷もあり、セリカは割と限界だった

 

 

「セリカちゃん!撤退を!シロコ先輩も戻ってくるそうです!」

 

「シロコ先輩が!?…そう。強いのね、便利屋って」

 

「そりゃーねー。アルちゃん自慢の社員が弱い訳ないじゃーん。あはは!」

 

「…しれっと自画自賛したわね。…撤退って許してくれたりする?」

 

「いいよー」

 

「えっ!?聞いといてなんだけどいいの!?」

 

「だって私の仕事はバイトちゃんを、というかアビドスをアルちゃんに近付かせない事だしー。そんなバイトちゃんが離れてくれるなら別にーって感じー?」

 

「なら、お言葉に甘えて!アヤネちゃん!」

 

「はい!煙幕!投下します!」

 

 

ドローンから煙幕弾が降下する。殺せんせー(シッテムの箱)の支援により、煙の中でも視界に支障は出ない。地雷を避けながら、セリカは撤退した

 

 

「ふーん、やるじゃん。背中撃とうと思ってたのになー。…あのドローンはー。…メガネっ娘ちゃんかー。良い連携だね、慣れてるのかなー。…そろそろカヨコちゃんとアルちゃんの銃声が聞こえる頃かな?うふふ♪ドキドキだね♡」

 

 

ニコニコと、ムツキは戦場を眺めていた

 

 

 

 

 

正面。ホシノの戦闘区域。傭兵(バイト)を只管に投げまくっているホシノを見て、アルはビビっていた

 

 

「人間って、あんなポンポン飛ぶのね…」

 

「…小鳥遊ホシノ、か」

 

「あら、カヨコ。何か知ってるの?」

 

「…別に、大した事は何も。ただ、強いってことだけ。アビドスに今もいるとは思ってなかった。それだけ。…傭兵、連れてきて正解だったかもね」

 

「そうね…この数じゃないと直ぐに私たちの所まで辿り着かれてたかもしれないわ。…というか、決着を急がないと、今でもこっちに来そう」

 

「そうだね…。じゃあ社長。やる?」

 

「ええ。おねがいね、カヨコ」

 

「了解、ボス」

 

 

カヨコがハンドガンを手に取り、サイレンサーを外す。銃口を上に、弾は誰にも当てる必要はない。ただ己の神秘を込めて、銃声を、恐怖(フィアー)を、戦場に撃ち込む

 

カヨコの愛銃(デモンズロア)が轟音を響かせる。戦場に混乱が伝搬する

 

シロコも、セリカも、ノノミも、校舎内のアヤネも、便利屋の味方であるはずの傭兵(バイト)も。区別なく、悪魔の声は、戦場の生徒たちの心臓を掴んだ。恐怖で足が竦む。今すぐにでも逃げ出したい。その思いを、勇気で止めようとして

 

結果として、時が止まったように、誰も動かなくなる。静かになった戦場で、動けるのは、聞き慣れている便利屋くらいだった

 

 

「仕上げおねがい、社長」

 

「任せなさい、カヨコ」

 

 

アルの得物はスナイパーライフル(PSG-1)だ。名称を『ワインレッド・アドマイアー』

 

この銃をアルが使う理由はシンプル。格好良いからだった。そんな理由で使う武器を、視力の低いアルがまともに使えるのか、というと

 

答えとしては、使えるから戦場(ここ)にいる

 

アルが標的を狙う。目の前にいるホシノ、ではなく。その奥。傭兵の大半を足止めしているノノミがターゲットだった

 

正直よく見えない。色くらいしかわからない。距離がどれくらいなのかなんてわからないし、風速なんかも気にしていない。それでもなお、アルは自信に満ちている。そうして撃つ方が格好良いから。それに…

 

 

「これくらい、片手でも命中させられるわ」

 

 

動いていない的なんて、撃てば()たるのだから

 

本当に片手で銃を構えたアルが引き金を引く。弾は一切の誤差なくノノミへと向かう。誰も動かない空白の時間を、弾だけが進んでいく

 

そして、着弾し…アルの込めた神秘が爆発する

 

ドカーーーーーン!!!

 

爆風が、アルまで届く。標的に命中した証であるその爆発を見て

 

アルはもう2度、引き金を引いた

 

 

「…?社長…?」

 

「カヨコ、遮蔽に隠れなさい」

 

 

勘でしかなかった。最初に引き金を引いたアルの目に、ピンクが一瞬映った。理由はそれだけ。実際、その勘は正しかった

 

爆炎の向こうから、マシンガン(リトル)がアルを狙い撃った

 

 

「ひえっ」

 

 

遮蔽に銃弾の当たるガガガガガガガという音を至近距離で耳にして、アルはビビっていた

 

 

「…なるほど、先生か」

 

「…あとホシノね」

 

 

爆炎の向こう、視界が塞がれた状態で、ノノミがアルを狙い撃てる理由は殺せんせーだった

 

アルの狙撃を、ノノミが耐えることが出来たのは、ホシノが防いだからだった

 

 

「…まぁ、社長の銃弾が当たったんなら、これでひとりダウンか」

 

「…いいえ。ホシノはそんなヤワじゃないわ」

 

「…敵なのに随分評価してるね」

 

「当然よ。あのラーメン屋で過ごした時間は、確かなんだから。それくらい分かるわ」

 

「…はぁ。この人は本当に…」

 

「?」

 

 

爆炎が晴れる。そこには、健在のホシノと、合流したシロコとセリカ。笑顔でマシンガン(リトル)を連射しているノノミの姿があった

 

 

「…どうする、あれ」

 

「…ふふ、うふふふ。あっはははは!これよ、これ。これこそ、私たち便利屋68の敵として、求められる格の高さってものよ!」

 

「あぁ…。うん…。取り敢えず、社長が元気そうで良かった…。はぁ…」

 

 

アルは日曜にワクワクしながらアニメを見る子供のような目をしていた。そんな時だった

 

キーンコーンカーンコーン。と、キヴォトス全域に聞こえるチャイムが鳴った

 

その音を聞いた瞬間、傭兵(バイト)が一斉に武装を解いた

 

 

「あ、定時だ」「んじゃ帰るべ」「なんか帰り飯寄る?」「ちくわ大明神」「蕎麦の気分だなー」「誰だ今の」

 

 

各々が帰路につきはじめる

 

 

「ちょ、はぁ!?ちょっと待ちなさいよ!今いいところだったじゃない!」

 

「いや、今日の日当だとここまでだから。あとは自分たちでどうにかしてね。それじゃ」

 

「こらー!待ちなさーい!ちょっと!?本当に帰るの!?か、帰っちゃダメだって!あぁっ!?」

 

 

引き止めようとしたアルは転んだ。ものすごく悲しい姿だった

 

 

「あちゃー。アルちゃん値切り過ぎたねー。それでも時間足りると私も思ってたけど、まさか決着がつかないとは」

 

「どうする?社長。逃げる?ルートは用意してるけど」

 

「い、いざというときは私が散ります!」

 

「散らなくていいから!?う、うう…」

 

 

アルが涙目で対策委員会を見る。ホシノは思わぬ展開に目を丸くしていたし、ノノミは可愛いものを見る目で見ていたし、シロコは残念なものを見る目で見ていたし、セリカは呆れた目で見ていた

 

殺せんせーとアヤネは部屋で顔を見合わせて、苦笑いしていた

 

 

「こ、これで終わったと思わないことね!アビドス!」

 

 

アルはダッシュで逃げていった

 

 

「あはは、アルちゃんそれ三流悪役の台詞じゃーん。じゃあねー、アビドスのみんなー♪」

 

 

ムツキが笑顔でアルを追いかける

 

 

「ま、待ってください!アル様!」

 

「…じゃあ、おつかれ」

 

 

ハルカとカヨコも、アルを追いかける

 

アビドス対策委員会は脅威を退けた

 

 

「…うへー、逃げ足はやいねーあの子たち」

 

「あはは…。詳しいことはわかりませんが、敵戦力の退勤…いえ、退却を確認。戦闘終了です。おつかれさまでした」

 

「まあ、取り敢えずアヤネちゃん。調べ物ついでにアルちゃんの事でも調べてみたら?なんか出てくると思うよー」

 

「あ、はい!そうですね、調べてみます」

 

 

便利屋68とアビドス対策委員会の縁は、ここから始まった

 

 

 

 

 

翌日、早朝。アヤネは、何故かシロコを背負っている殺せんせーと、ばったり出会した

 

 

「…どういう状況ですか?」

 

「いえその…先生が担当した生徒の中で一番の生徒は誰か、という話から流れでこう…」

 

「流れでシロコ先輩寝たんですか…?」

 

「寝たというか先生がやったことが思いの外効いて気絶したというか」

 

「何やったんですか先生!?」

 

「ちょっと先生今両手塞がってるので出来ない事ですねぇ、ヌルフフフ…」

 

「本当に何やったんですか先生…」

 

「何やったのー?先生?」

 

「まぁ簡単に言うと猫騙しですね。…そういえばお名前を聞いてませんでしたね。私は、先生。殺せんせーです」

 

「よろしくねー、殺せんせー?私は浅黄(あさぎ)ムツキだよ!ムツキちゃん!って呼んでくれてもいいよー?」

 

「アイドルになったらちゃん付けで応援しますね、ムツキさん」

 

「うーん、アルちゃんがアイドルやりたいって言ったらやるんだけどなー。残念」

 

 

アヤネはぷるぷる震えていた。しれっと会話に入ってきて殺せんせーと談笑する昨日の敵が横にいた

 

 

「な、なんでここにいるんですか!?」

 

「なんでって、別にアビドス自治区から出ていった訳じゃないしー。普通に散歩っていうかー。あ、そういや挨拶してないや。ふたりともおはよー!」

 

「おはようございます、ムツキさん」

 

「お、おはようございます…。じゃなくて!先生もなんでそんな直ぐに馴染んでるんですか!?」

 

「まぁムツキさんも私の生徒ですし…」

 

「そうそう!シャーレの先生は別にアビドスだけのものじゃないもん。ねー?殺せんせー?」

 

 

ムツキはすりすりと殺せんせーの腹部に頭を擦り付けている

 

 

「おぉ…生徒がこんなにも先生に懐いて…先生泣きそう…」

 

「むふふ…殺せんせーこういうの好きなのー?」

 

「こういうのが好きというよりも生徒が身を預けてくれる事が嬉しいですねぇ」

 

「なるほどねー」

 

「な、な、な、な、なぁ!?」

 

 

アヤネは顔を真っ赤にしていた

 

 

「は、離れてください!何してるんですか!?」

 

「もー、引っ張らないでよー」

 

「ちょ!ムツキさん手を離して!落としちゃう!先生シロコさんを落としちゃう!」

 

「あ、ごめんごめん。流石にそれはダメだね」

 

 

ムツキが殺せんせーから離れた。シロコが起きる様子は無い。相当深い眠りについているようだ

 

 

「もうなんなんですか!急に馴れ馴れしく振る舞って!昨日戦ったばかりじゃないですか!?」

 

「だって私たち別にメガネっ娘ちゃんもアビドスも嫌いじゃないしー」

 

「メガネっ娘じゃなくてアヤネです!」

 

「あはは、ごめんねーアヤネちゃん。それにまー部活で請け負ってる仕事だし?公私はちゃんと分けようっていうかー。別に仕事以外なら仲良くしてもいいでしょ?」

 

「い、いいんですか…?いいんでしょうか…。ゲヘナってそういう感じなんですか…?」

 

「そうだねー。危害加える事と仲良くなる事は両立しちゃうかな、割と」

 

「そうなんですか…なんか、もういいです…朝から色々ありすぎて…」

 

「疲れちゃったねー。ま、時間が出来たら便利屋に遊びに来なよ。きっとアルちゃん喜ぶからさー!じゃあねー!」

 

 

ムツキは屋根に跳び乗って去っていった

 

 

「…私が出来なかったことを…」

 

「安全対策が出来たら練習しましょうね、アヤネさん」

 

「はい…」

 

「ところでこんな早朝から何か用事でも?」

 

「あ、はい。今日は利息の返済日なんです。…それと、先生」

 

「はい?」

 

「便利屋と、違法認定された部品について調べていたところ、ひとつの共通点が見つかりました」

 

「…流石ですね、アヤネさん。この短期間にそれを調べ上げるとは。それで、一体どのような?」

 

「それは…ブラックマーケットです」

 

 

 

to be continued in 『ブラックマーケット』

 

 

 




ゲーム的な装備システムの言語化

普通にくっそ強い便利屋68

人が良いアルちゃん

ちくわ大明神

アルちゃんが外してしまった眼鏡をアヤネで補充するムツキ


今話の欲望リストです

4/10/14:00 予約投稿ぽちー

戦闘が主な話は全部オリジナルで埋めることになるので大変
と言いつつハルカの渚vs鷹岡テイストだったりアルちゃんの弓使い衛宮士郎テイストだったりで私は満足している
ブルアカくんの「私は!これが!好き!」マインドを大事にしていきたい

キヴォトスは割と感覚派スナイパーがいるからアルちゃんもそんな感じかなって思ってる(弾道予測とかせずになんとなくで撃ったら完璧って感じの)

ハルカに関してはステルス性能渚くんクラスだろうなーって思って書いてる。ちょっと先の話だけど包囲網を突破してあの子の背後を取って奇襲に成功してるからねこの子。その上で耐久力を盛りに盛ってるのでヤバい子になってる。そして内面もヤバいから困る
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