キヴォトスに赴任する殺せんせー 作:名無しの毛玉
Vo1『アビドス対策委員会』
アビドス校門前。そこに1台の現金輸送車が止まっていた。今日は利息の返済日。全身義体のドライバーが、返済額の確認をしている
「…お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息は788万3250円ですね。すべて現金でお支払いいただきました、以上となります。カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくおねがいいたします」
義務的に、事務的に、話すべきことを話したドライバーは車に乗り、アビドスを去っていった
「はぁ…今月もなんとか乗りきったねー」
腰に手を当てて「いたたたた…」と戯けるホシノ
「…完済まであとどれくらい?」
「309年返済だよセリカちゃん…」
「アヤネちゃんよくパッと数字出るね…」
「ところでカイザーローンはなんで現金オンリーなんでしょうね。アビドスにも口座はある筈では?」
「わかりません…。口座振替オッケーなら私のカードで支払っちゃうんですけど…」
「ノノミちゃんダメだって。おじさん怒るよー?」
「…ホシノ先輩も使わせてくれません…」
「まぁ、先生としても個人の負担が大きすぎるその案は、賛成出来ませんね…」
「………」
シロコは殺せんせーの背中で、まだぽやぽやしている
「シロコ先輩?大丈夫?」
「…ん。夢を、見たんだけど。思い出せない。…取り敢えず先生の背中、落ち着く。…あったかい」
「まぁ、夢ってそんなもんだよねー。起きた瞬間なに見てたかわかんなくなるんだからさー」
「取り敢えず、教室に戻りましょうか。色々と、話すこともありますし」
いつもの部屋。ホシノとシロコがノノミの肩に頭を預けてうとうとしている、ノノミは楽しそうだ。セリカは数学の教科書を睨んでいる、問11が解けないらしい。殺せんせーはセリカの国語問題の採点をしている、予想よりも点数取れてて嬉しくなっていた
アヤネが咳払いをする
「んっんん。では、報告をはじめます。ひとつめ、昨晩の襲撃。便利屋68についてです」
「おー、アルちゃんの話ー?」
ホシノの目が開いた。シロコは完全に閉じている
「はい。リーダーの
「まぁ、アルも、あとカヨコも、角生えてたし。なんとなくゲヘナなんだろなー、とは思ってたけど」
「…因みにだけどハルカさん以外全員年上だよセリカちゃん」
「うぇっ…。…まぁ、呼び捨てでいいでしょ、別に」
「えっと、続けます。メンバーは
「社長って自分で言ってたねー。学園の校則無視して起業とか、かなり問題児だねぇ」
「実際、ゲヘナでは指名手配も受けているそうです」
「そんな悪い子には見えなかったんですけどねぇ…」
「そして次の報告です」
アヤネが違法部品を机に並べる
「セリカちゃん襲撃事件の黒幕、カタカタヘルメット団を雇っていたと思われる人物は、既に取引がされていない型番である違法部品を使っていました。生産が終わっている装備を入手する方法は、表立ったものは存在しません。…つまり、ブラックマーケットから仕入れたものと認定しました」
「ブラックマーケット…。キヴォトスにもあるんですねぇ、そういう後ろ暗い場所」
「まぁ掃き溜めだよねー。中退、休学、退学、色んな理由で学校を辞めた、或いは辞めざるを得なかった連中が集まって、連邦生徒会非認可組織を形成する、一種のブラックボックス。大体のものはあそこに流れ着くんじゃないかなー」
「それは便利屋もって訳ね」
「はい。実際ブラックマーケットでも、便利屋68は騒ぎを起こしているそうです」
「つまりその共通点を探ってみよう!という話ですね?アヤネちゃん」
「はい。現状、他に有効な選択肢がないので、ひとまずの目標をそれに設定するのがいいと思ったんですが…どうでしょう、ホシノ先輩」
「いいんじゃなーい?んじゃ、シロコちゃんの眠気覚ましも兼ねて、早速行ってみようかー」
「買い物袋とか用意した方がいいですかね」
「いやショッピングに行くわけじゃないから…」
ブラックマーケット。キヴォトスの闇が集う場所。学園を問わず生徒が集まるその場所は、表で広く名の知られる有名企業や医療機関にとって、後ろ暗い試験や実験を行う場所としても重宝される、危険な領域
規模は『市場』を越えて『街』と言える規模まで拡大しており、現在もなお、その広さを増している
連邦生徒会の目も届かない、悪党たちの楽園。そんな場所に、アビドス対策委員会と殺せんせーは足を踏み入れた
「うーん、この殺気立った雰囲気。先生なんか不思議な安心感湧いてきました」
「うへぇ…殺せんせーやっぱ変わってるねー。…うわぁ、違法弾薬が出店で売られてる…」
「
「でもホビーショップもあるわね。ほら見て見てセリカちゃん。このストラップ。だいぶ前のアニメのやつじゃない?」
「わぁ…これ懐かしいね、セリカちゃん。あ、あっちにもある」
「…ここどこ」
シロコは未だに寝惚けていた
「こういう方向性じゃなくていいからアビドスにもなんか名所欲しいよねー」
「例えば?」
「んー。近場がカラカラしてるからー、逆に水いっぱい使ったのとか?」
「水族館とかですかね」
「そうそれー!なんて言ったっけ?アクアリウム?とかいうのも付けてさー!うへー…行ってみたいんだよねー。お魚ー…お刺身ー…」
「いや、水族館はそういう場所じゃ…」
「まぁ魚料理を出すレストラン付き水族館はありますよ。サメバーガーとか」
「鯨はー?」
「鯨は貴重ですからねぇ。キヴォトスの海がどうなってるか知りませんけど、水族館までの運搬が大変そうです」
「まぁ確かにねー。美食研究会だっけ?あいつらにも襲われそうだしねー。あれもゲヘナだったっけな」
「…ゲヘナって本当にそういう気質なんですね…」
と、和やかに談笑しながら歩いていると
ダダダダダダダ
と、キヴォトスではよく聞く銃声が響いた
「…銃声」
「あ、シロコちゃん起きました?」
「んにゃ、これはまだ覚醒してないね。反射だよ反射」
奥から生徒が走ってくる。その後ろからは大量の不良に追われている
「こ、ここ、来ないでくださーい!わわわ、まずいです…内緒で此処に来たのであまり騒ぎを起こしたく無いのにー!」
「あの制服は…トリニティの…」
リュックサックを背負ったその生徒は全力で走っている。後ろを確認しながら走るそのルートの上には、シロコが立っていた
「うう…全然引き剥がせない…。…あっ!?ど、どいてくださーい!」
「ん…?」
どんっ、とシロコにその生徒が突進した。寝惚けていたシロコだったが、普通に受け止めた。ついでに目の焦点も合ってきた
「あ、あれ…?痛くない…?」
「ん…。ん…?…よくわかんないけど、大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございます。…あ、いえ、ごめんなさい!私今追われてまして!」
「…うん。見えるね」
既に周りをチンピラ集団に囲まれていた
「なんだぁ?おまえらは!どけよ!あたしらはそのトリニティの生徒に用があんだよ!」
「わ、私の方には用は無いんですけど…」
「だろうなぁ!あたしらはおまえ拉致って、トリニティから身代金たーんまり貰ってやろうと思ってるだけだしな?良い財テクだろ?」
と対策委員会を見るチンピラ
ホシノは「ほんとよくいるよねーこういうの」と思っている
ノノミは「取り敢えずギュッてやっちゃえばいいですかね」と静かに〆る方法を考えていた
シロコは「バスジャックは却下されたからこれもダメ」と過去を思い出していた
セリカは「トリニティってそんなお金あるんだ…」と財力の差に慄いていた
アヤネは「取り敢えず煙幕用意しておいた方がよさそうですね…」と逃走の準備をしていた
「…取り敢えず、そこの生徒さん。お名前は?」
「あ、
「では阿慈谷さん。この場所ではこういう時どういう対処がオススメですか?先生、この場所ははじめてなので」
「と、逃走1択です!…騒ぎを起こすとマーケットガードがやってきて
「ではそうしましょう。…守月さん、お借りします」
対策委員会とヒフミの耳に通信が入る。その声は周囲のチンピラには聞こえない
「全員目と耳を閉じ、指示に従って離脱してください」
『周辺情報の把握、完了しました!これより生徒のみなさんにナビゲート情報を送信します!』
殺せんせーの手から、閃光弾が投擲された
まともに喰らったチンピラ集団はぎゃあぎゃあ騒いでいる。対策委員会とヒフミと殺せんせーは、静かにその場を後にした
ブラックマーケット、歓楽街。食品系の出店が並ぶ。殺せんせーは逃走ついでにタコ焼きとたい焼きと焼き芋と焼きそばを買っていた
「この辺りならいいでしょう。みなさんもどうぞ」
「おー、ありがとねー先生」
「あ、ありがとうございます…。…久々に食べましたね、焼き芋」
「いつの間に買ったのよこれ…。んで、えっと。ヒフミさん…だっけ。なんでこんなところに?」
「えっと、探しものがありまして。ペロロ様はみなさんご存知ですか?」
「ペロロ…?」
「あ、殺せんせー。射的あるよ」「ふむ、常に祭りみたいな感じなんですかね此処」「どーおー?遊んでかなーい?」「ヌルフフフ…先生こういうの強いですよー」
「あー!知ってますよ♪モモフレンズ!ペロロちゃん可愛いですよねぇ!私、ミスター・ニコライが好きなんです!」
「そう!そうなんです!モモフレンズ!私大好きで!ニコライさんも良いですよね!私、最近出たニコライさんの本!『善悪の彼方』!買えたんですよー、それも初版で!」
「テンションたっか…」
「おー殺せんせー本当にやるじゃーん」「ヌルフフフ…射的の弾道計算は以前行いましたからねぇ…」「うへぇ、先生マジすぎなーい?」「お菓子の射的は死活問題だったので…」
「それで今回はペロロ様の限定グッズが此処に出回ってるって情報が手に入ったので来たんです!それがこれです!」
「うわぁ…口にアイス突っ込まれてる…」
「これ限定生産100個分しかなくって!当時コラボしたアイスメーカーさんが事業縮小しちゃってて再販も望めなくって諦めてたんですが…ようやっと手に入れました!ね?可愛いでしょう?」
「可愛いです♪」
「そうかなぁ…」
「ホシノさんもお上手ですね」「うへぇ、まぁなんやかんやいつも撃ってるしねー。私のはショットガンだけど」「いえいえ。どうやら基本的な銃の撃ち方は大半履修済みと見ましたね」「…わかっちゃう?」「努力が見えました」「…恥ずかしいなー」
「…あーもう!ホシノ先輩と殺せんせーはなにやってるのよ!参加しなさいよこっちの話に!」
「いやー。最近の若者の趣味は、おじさんよくわかんなくてさー」
「先生、自分以外のマスコットの話はあんまり…」
「大して年齢変わんないし…先生はマスコットって感じじゃないでしょ…」
「あはは…。まぁ、そんな感じでグッズを集めに来たんですけど、先程みたいに絡まれてしまってて。みなさんがいなかったら今頃どうなっていたことか…。」
「ん。ヒフミは実際どうなってたと思う?あの時逃げなかったら」
「へ?えっと、そうですね…。…まず、ブラックマーケットに集まる生徒は大きな群れを形成します。そうしないと身を守れませんから。ですので、あの場にいた生徒だけが敵戦力の全てである筈がありません。必ず次から次へと増援が来る筈。そうなってくると戦闘が長引いて、騒ぎが大きくなり、騒ぎが大きくなれば、ブラックマーケットの治安機関がやってきます。マーケットガードは違法武装で身を固めているので、普通勝てません。きっとそこで捕まってしまい…と、いう感じですかね。質問の答えになりましたか…?」
「ん。参考になった。…この場所を、随分危険な場所と認識してるんだね」
「へ?それは、まあ。連邦生徒会も簡単には手出し出来ない場所のひとつですし…。ブラックマーケットだけでも、学園数個分の規模がありますから、その危険性は無視出来ません。企業も色々利権争いしてるらしいですし…専用の金融機関や治安機関まである、一種の自治区ですからね。全部非認可ですけど」
「…ホシノ先輩」
「そうだねー。ねー、ヒフミちゃん」
「は、はい…?」
ホシノはヒフミの手を掴んだ
「ブラックマーケット案内して♪」
「…えっ!?」
「わー♪ナイスアイデアですね!」
「ん。ヒフミを誘拐する」
「はい!?」
「誘拐じゃなくて案内でしょ、シロコ先輩。アヤネちゃんがブラックマーケットの地図制作中だけど、ドローン迎撃されちゃって難航中みたいだし…。頼めるなら頼みたいんだけど、どう?ヒフミさん。良ければでいいんだけど」
「うう…まあ、アビドスのみなさんにはお世話になりましたし…私なんかで良ければ…はい。喜んで引き受けます」
「では、暫くよろしくお願いしますね、阿慈谷さん」
「あ、その。先生。ヒフミでいいですよ。普段からそう呼ばれる事の方が多いので、名字呼びだと反応が遅れそうですし…」
「そうですか?ではヒフミさんと。改めて自己紹介もしておきましょうか。私は先生、殺せんせーです。よろしくおねがいしますね、ヒフミさん」
「はい!殺せんせー!…所で殺せんせーはモモフレンズは…?」
「先生は一身上の都合で黄色いタコのマスコット教に入ってまして…」
一方その頃。便利屋68の事務所に一本の電話がかかっていた
「………」
受話器に手を伸ばし、引っ込め、また伸ばし、引っ込めを繰り返すアル
「アルちゃん、何してんの?電話出ないの?」
「…顔からしてクライアントからだろうね」
「うわ、それはあんな顔になるよね。失敗したって報告しなきゃだし」
「アル様…」
「…くっ…!」
受話器を手に取る
「…はい。便利屋68です」
「首尾はどうだね、便利屋」
「…申し訳ありません、襲撃は失敗しました」
「ふむ…。おかしいな。なんでもやるのが君たち便利屋ではなかったかね?」
「………」
「まあいい。で?本番はいつだね?」
「…へっ!?」
「あの程度練習だろう。実戦ならあんな少数しか生徒のいない学校程度、一捻りだ。そうだろう?」
「え、ええっと。あれが本番…」
「そうだろう…?」
「うっ…そ、そうよ!すぐにでも実戦に、移れるわ!…その、い、一週間以内にね!」
「…まぁいいだろう。期待してるぞ、便利屋」
電話は切れた
「…ど、どうしよう…!?」
アルは頭を抱えていた
「アルちゃんはさぁ…」
「はぁ…。断れないの?社長」
「…超大物なのよ、今回のクライアントは」
「えっと…結局全部消し飛ばしちゃえばいいんですよね…?」
「て言ってもなー。殺せんせーもいるしー、なんならアビドスのやつら強かったしー。…お金ないと無理じゃない?」
「…というか今月のオフィス代どうするの?報酬はあてにできそうに無いけど」
「わ、私がバイトしてきましょうか…!?」
「あはは!そんなの1年かかっちゃうよ、ハルカちゃん。でぇ?どうするのー、アルちゃん」
「…そうね。融資を受けるわ」
「…は?アルちゃんブラックリスト入りしてるでしょ?」
「違うわよ!?指名手配されて口座が凍結されただけよ!」
「あー。風紀委員にやられたやつね」
「くっ…あそこまで徹底的に傷めつけられるとは…」
「その有り様じゃ中央金庫も門前払いだろうね…」
「ほ、他にもっと手はあるのよ!見てなさい!便利屋はここからよ!」
「さ、流石です!アル様!」
キヴォトス某所、高層オフィスビル、最上階
全身義体の大人は、便利屋との連絡を終え、椅子に体を預けていた
「…アビドスの生徒と便利屋。やつらのデータ自体は正確だったはず。この2つがぶつかれば便利屋の勝利だと計算していたが…どこかにミスが?しかしあの力は明らかに…」
「…お困りのようですね」
部屋の隅。闇から人影が現れる。その顔は炎のような、影のような、ヒビ割れたナニカのような。怪しい大人がそこに現れた
「…いや、困ってはいない。このエラーは、単にアビドスの連中のデータ不足によるものだ。現在の強さに合わせて再演算する」
「…データの不備ではありませんよ」
「…なに?」
「アビドスに現れた外的要因。それを変数に加えた方が良いかと。クックックッ…。では、今回の要件はそれだけです。次の商談の機会に、また」
影は消える。最初からそんなもの無かったように
「…チッ。厄介なものだな、黒服」
ブラックマーケット。アビドス対策委員会とヒフミと殺せんせーは数時間は歩いていた
「はぁ…しんど」
「おかしいですね…ここまで何も情報が出ないなんて…」
「そんなにおかしいの?」
「はい…。普通、ここに商品を卸すような企業は逆に開き直っているので、変に隠したりしないんです」
ヒフミがあるビルを指差す
「例えばあのビル。あそこは闇銀行です。キヴォトスの犯罪の15%の盗品はあそこに流れているそうで、それを財貨に、武器を仕入れ、その武器で強盗や誘拐をし、またここに流す。この悪循環が、彼処では繰り広げられているそうです」
「ひえー…世も末だねぇ」
「…銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか…」
「はい。ブラックマーケットにおける銀行、というのは、まさに犯罪組織。その上、先程説明した治安組織もこの闇銀行を支援しているので…。下手な戦力では返り討ちになってしまうため、生徒会も安易に手が出せない領域になっています…」
「…アビドスの外では、こんな事になってたんだね」
「だからこそおかしいんです、ブラックマーケットでここまで情報が出ないことは。販売ルート、保管記録、それらが全く見つけられない。それらの情報を統制出来るということは、闇銀行や治安組織、その更に上の権力を持った企業が…」
「お取り込み中失礼します!先生!」
「えぇ、届きましたよ。みなさん此方に。先程から話題に出ているマーケットガードと思われる集団が、此処を通過しようとしています」
「わわっ…!か、隠れましょう!進路妨害と受け取られると大変です!」
「…大名行列みたいな扱いなんですね」
全員で隠れて様子を伺う。たい焼きのいい匂いがする
「…先生なに。さっきのたい焼き買い直したの?」
「美味しかったのでつい…」
「隠れてるのにいい匂いがする…」
「殺せんせー、おじさんにも1個ちょーだーい?」
「もう食べてしまいました…」
「じゃあ後で奢ってー」
「しょうがないですねぇ…」
「あの…そろそろマーケットガードが通るので…静かに…」
異様な程の武器を、ゴテゴテと装着した巨大なオートマタが車を護送していた
「…ゴリアテですね。アレが護送…。一体なにを…?…あれは…現金輸送車ですね…?」
対策委員会にとって、見覚えのある車だった
「…あの車って」
「…闇銀行に入ってったね」
「…ドライバーはいつもの奴だった」
「…つまり、私たちが返済した利息は…」
「犯罪組織に使われていた、と。…そうですか」
「…先生?」
全員、一瞬、背筋に氷が刺されたような、痛みと冷たさを感じていた。殺せんせーを、全員で見る
笑顔だった。笑顔と形容するしかなかった。口角が上がっているから。それでも、誰が見てもわかる。殺せんせーは、本気で、キレていた
「…私の生徒が、自分の時間を、その青春の時間を費やしたお金を。汚い手で、我が物顔で、消費していった大人がいると。そうですか…そうですか…それは、随分、手入れのしがいがあることで…」
何かを服の内側から取り出そうとしていた。
「殺せんせー」
「ホシノさん…?」
「怒ってくれたのは、嬉しい。でもさ。任せてほしいなー、うちの子たちにさ」
笑っていた。一番、悪意を受けてきたであろう生徒が。だから、任せることにした
「…責任は、先生が取ります。好きにやりなさい」
「…ありがとね、殺せんせー。…よーし。ねぇ、ヒフミちゃん」
「へ、あ、はい!?なんでしょう!」
「あぁいうのってさ。どう証拠掴むのがいいかな」
「えっと、そうですね。…闇銀行の仕様はわかりませんが。恐らく集金確認の書類を、中で書いている筈です。それを確保出来れば証拠にはなると思いますが…」
「ふーん、なるほどねー。…だってさー、シロコちゃん」
「…ホシノ先輩…?………!…いいの?」
「まぁ、いいんじゃない?必要な分だけならねー」
「…ん、わかった」
シロコが鞄をゴソゴソし始めた
「…ねぇ、まさかアレじゃないよね」
「わぁ!アレですか!私ワクワクしてきました!」
「えっ!アレをやるんですか!?ダメだって決まりましたよね!?…いや、でも、この手が確実…なんでしょうか…?」
「…責任取るって言っちゃいましたねぇ…。アレですかー。アレを生徒に…
「あの…アレってなんですか?」
何も知らない阿慈谷ヒフミ(16)は、イヤな予感がしながらシロコに聞いた
「ん、銀行を襲う」
既に覆面を被ったシロコがそこにいた
「…はい!?」
「あ、ヒフミさんは覆面なさそうなのでこれでどうぞ」
たい焼きの紙袋を覆面代わりにされたヒフミが硬直していた
「先生、それじゃ足りない」
シロコが紙袋…覆面に5と書き足す
「これでヨシ」
「え、え、え、あの、私もやるんですか!?私もやる流れですよね!?え、なんで!?」
「だって案内してくれるって」
「闇銀行の中まで案内する気はありませんでしたよ!?」
「…ダメ?」
「うっ…。…や、やりますよ!うう…生徒会の人たちに合わせる顔がありません…」
「まぁ…その…何かあったら先生がんばりますから…ヒフミさんもどうかそれで…」
「…取り敢えず後でペロロ様グッズ買ってください」
「…はい」
因みにこの後べらぼうに高いペロログッズを強請られて泣くことになる。ユウカに土下座してお菓子代を確保する殺せんせーの姿が!なお許可は出た。ユウカはチョロかった
「先生。号令を」
「では。おほん…。…名前どうします?」
「覆面水着団で!」
「ノノミさん…。…ええいこういうのは勢いです。行きますよ!覆面水着団!銀行を襲います!出動です!」
「おー!」と、元気の良い対策委員会と「お、おー!」と、困惑気味に、それでもしっかり手を上げ答えるヒフミがいた
to be continued in 『出動!覆面水着団』
先生のあったかい背中を感じるシロコ
美食研究会書きてぇ…
戦闘カットの為にブラックマーケット専門家、阿慈谷ヒフミさんにお越しいただきました
閃光弾!投擲!(初心者の頃すげぇお世話になった)
ゲーム内の歓楽街背景が祭りの出店っぽい商品ラインナップだったから射的をいつの間にか書いてた
ちゃんと指名手配犯なアウトロー陸八魔アル
黒殺せんせー(人間の姿)
こう、シロコとヒフミの組み合わせに新しい可能性を感じるんですよ
今話の欲望リストです
2023/4/11/16:10。予約投稿ぽちー
初心者の頃にゴリアテの砲撃の爆発で全員が消し飛んだの今となっては懐かしいですね…
銀行強盗はします(割と殺せんせー『やられたらやり返す、倍返しだ!』マインド持ってるし…)
あとブルアカにおいて絶対に外せない作品の根幹に関わる部分なんで…(暗殺教室から暗殺を取り除くくらい根幹に関わるので…)
カホちゃんが思ってた以上に愉快な子でニッコニコしてる不忍未通過先生が私です(もう一度、を読んだのがきっかけでブルアカを2022/9/20とかそんくらいに始めた人。ギリギリヒナ委員長の夏休みの冒頭だけ見た)