そのついでに、別作品のキャラもクロスオーバーで登場。
少し前に考えていた二次創作の構想を基にした設定なんですけどね。
まさか、こんな形で活かされるとは思いませんでした。
千冬や一夏と意外な形で再会をして、暫く経ったある日。
オレはいつものように研究所のリビングにてのんびりとしていたのだが…。
「う~む…」
「お兄ちゃん? ソファに座って自分の髪と睨めっこなんかして、一体どうしたの?」
「あ…束にクロエちゃん。いや、これ…」
「「あ。枝毛」」
「そーなんだよー…。なんか最近になって急に増えてきちゃってさぁ~…」
まだオレが男だった頃は、こんな悩みとは無縁だったんだけどなぁ~。
こうも髪が長いと、否が応でもこーゆーのが目立ってくると言いますか…。
「あらあら。意外と沢山。ちゃんと髪の手入れとかしないから~」
「真尋さま。髪のお手入れとかはしておられるのですか?」
「そ…それは~…」
手入れとかって言われても、そんなのやり方とか全然知らないし~…。
ネットとかで調べれば一発なんだろうけど、面倒くさいしな~…。
「っていうか、お兄ちゃん…遂に年頃の女の子のように髪の毛の事が気になるようになってきたんだね…束さん、ちょっぴり感動」
「ち…違うから! そんなんじゃないから~!」
お…恐ろしい…これが『女体化』なのか…!
自分でも完全無意識の内に精神までもが『女』になっていってる…。
「そ…そもそも! この髪が長すぎるのがいけないんだよ~! 髪を洗うのだって一苦労だし! もういっそのこと、バッサリとぶった切ってくれ~!」
「何を言ってるの、お兄ちゃん!」
「そうですよ! そんなの絶対にダメです!」
「えぇ~…」
二人で揃って畳み掛けなくても良いじゃんかよ~…。
「そこまで髪を伸ばすのが、どれだけ大変だと思ってるの!?」
「んなことを言われても…」
オレの場合は一晩で伸びちゃったし…。
「とはいえ、確かにお兄ちゃんの髪はちょっと長いかもだね。私も人の事は言えないけど」
そういや、束や箒も昔からずっと髪を伸ばしてたっけ。
そうなると、篠ノ之家の子供は全員が長髪って事になってしまうのか?
うーん…凄い目立つな。
「それに束さま。この枝毛はちゃんと切らないといけませんよね」
「だよねー…よし!」
この束の『よし!』が出た時は大半が碌な事じゃない。
主にオレに対して。
「今から『美容院』に行こうか!」
「美容院となっ!?」
「そ! 実は、私とクーちゃんの行きつけの美容院があるんだよね~。その名も『ヘアサロンYAMADA』!」
「行きつけとかあったのかよ…」
もしや、束ってオレよりもコミュ力ある感じ…?
少し前まではオレと同類かもと思ってたけど…それはオレの勘違いだったのか…?
「と言う訳で…」
「早速…」
「「レッツゴー!」」
「なんでだぁ~!?」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「いらっしゃいませー」
き…来てしまった…ヘアサロンYAMADA…!
こんな所、入ったの初めてだ…当たり前だけど。
「あれ? 束ちゃん? 来たのって一週間振りぐらいだっけ?」
「おひさー幽香さん」
ゆ…ゆーかさん?
もしかして、この緑の髪の美女とお知り合い?
「この人は『山田幽香』さんって言って、このヘアサロンで美容師をやってる人だよ」
「山田幽香よ。よろしく」
「篠ノ之真尋…です。よ…よろしく…」
うわぁ…凄い美人だ…。
ちょっと、怒らせると怖そうだけど…。
「ところで、この子は? もしかして、束ちゃんの妹?」
「そんなところかなー」
「ってことは、今日は束ちゃんでもクロエちゃんでもなくて、この真尋ちゃんを?」
「そ。この子の毛先とかを整えて、綺麗にしてあげてくれる? なんか最近、枝毛が増えてきちゃったみたいでー」
「あぁー…成る程ね。分かったわ。任せておいて」
なんか勝手に任されちゃったんですけど!?
本人の意思は無視ですかっ!?
「んじゃ真尋ちゃん。こっちに来てくれる?」
「わ…分かりました…」
オレは…これからどうなってしまうのだろうか…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
床屋と同じように鏡の前の椅子に座らされたオレ。
背後にはカット用のハサミを持った幽香さんが立っている。
こんな美人に髪を切られるとか…流石にドキドキするな…。
「それじゃ、髪を5センチぐらいカットしますねー」
「ひゃ…ひゃい!」
噛んだ。はずかちー…。
それは、普段から常にお洒落に気を使う、選ばれし紳士淑女のみが訪れる事が許された至高の社交場!
故に、真尋のような普段から自宅警備員を生業としている人間には最も縁が遠く、同時に決して相容れない魔窟なのである!
民名書房刊【ニートだってお洒落をしたい】より抜粋。
「へぇ~…お姉さんと同じで、真尋ちゃんも綺麗な髪をしてるのね」
「そ…そうですかね…」
「そうよ。だから、何も手入れをしないってのは勿体無いわ」
「あはは…」
はい出た。
こーゆー所特有の親しげな美容師トーク。
これが苦手だから、オレはコレ系の場所は行きたくないんだよ~。
「趣味は何? 普段は何をしているの?」
「え…えっと…」
束~! クロエちゃ~ん! 頼むから助けてくれ~!
「あ。これなんか、おに…じゃなくて、真尋ちゃんに似合いそう」
「真尋さまは髪が長いから、色んな髪型に出来ますからね~」
なんか二人揃って雑誌を見ながら盛り上がってるし!
全然全く頼りになりそうにない!
「お姉ちゃん。タオルの洗濯、終わったでー。今、干してる最中や」
「ありがと、日影。休んでていいわよ」
「はいよー」
え? 今の子…なに?
お姉ちゃんって言ってなかった?
同じ緑の髪に、似たような髪型だったけど…。
「あの子は、私の妹の『山田日影』。17歳の現役女子高生よ」
「へぇ~…」
現役JKですか…。
表情筋が全く仕事をしていなかったけど、かなりの美少女だったな。
体のスタイルもお姉さん譲りだ。
「ところで『真耶』はどうしてる?」
「まだ寝てるでー。相当に疲れが溜まってるみたいやな」
「なら、そのまま寝かしといてあげて。偶の休みぐらい、ゆっくりさせてあげましょ」
「へーい」
まだ姉妹がいるのか…?
なんかウチみたいだな。
微妙なシンパシーを感じる…かも?
「あぁ…『真耶』ってのも私の妹で、日影の姉ね。うちは三姉妹なの」
「成る程…」
そういや、今はオレが女になってるから『篠ノ之三姉妹』になるのか?
オレが長女で、束が次女、箒が三女…的な?
「はい。次はこっちをカットするわね」
喋りながらも、ちゃんと手は動かしてたのかッ!?
スゲー…これがプロの技なのか…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「こんなもんでどうかしら?」
お…終わった…。
幽香さんが鏡を使って出来を見せてくれてるけど、生憎とオレにはどこがどんな風に変わったのかさっぱり分からない。
「次は、軽くシャンプーをするわね」
そこまでするのか!
もう終わりだと思って完全に油断してたわ!
てなわけで、シャンプー台まで移動しました。
「苦しかったりしたら、遠慮なく言ってくれて構わないからね」
「は…はい…」
程よく暖められたタオルで目元を覆われて、何とも言えない心地よさ…。
今の時点で中々にヤバいかもしれない…。
「それじゃ、洗っていくからね」
何も見えないからよく分からないけど、この感じはシャンプーで頭を洗ってる?
うわぁ…自分でするのとは段違いで気持ちが良い…。
これは極楽だわ~…♡
(おや? なにやら顔に柔らかい感触が…もしやこれはっ!?)
あ……この匂いや姿勢的にも間違いないわ…。
マジか…こんな事って有り得るんだ…。
事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもんだ…。
「痒い所とかありませんかー?」
「だ…大丈夫…です…」
「こうも髪が長いと、洗うのだけでも一苦労でしょ」
「ま…まぁ…それなりに…」
美容院…だいちゅき…♡
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「はふぅ~…♡」
スッキリしたぁ~…。
身も心もサッパリしていい気分だわ…。
「最後は、トリートメントね」
「まだあるんかいっ!?」
「あるわよ~」
おっふ…これが美容院…!
終わったと思っても、まだ終わらず…。
「でね、ウチのお父さんがもうね~」
こ…これ以上は流石にもう無理だ~!
こうなったら…奥の手を使うしかない!
さっきの髪洗いの際にやって来た眠気を最大限に活かして…。
(…寝よ)
てなわけで、おやすみなさ~い。
むにゃむにゃ…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「……ろちゃん」
「…ひ…さま」
んん~…?
我が眠りを妨げるのは誰じゃ~?
「真尋ちゃん! 起きて~!」
「真尋さま~」
「ふぇ…?」
ふわぁ…やっと終わったのか…って、あれ?
なんか髪に妙な違和感が…。
具体的には、フワフワしてる感じがする…。
「いや、気のせいじゃない! 実際に髪が全体的にフワフワしてるっ!? なんでっ!?」
「全く起きる気配が無いから、お試しにパーマでもと思って」
「凄くお似合いですよ真尋さま!」
「うん。まるでお姫様みたいに可愛いわよ」
「ほんまやな。めっちゃ可愛いやん」
「お…お姫様って…」
なんか皆がべた褒めしてくる…。
そんなにいいのかな…この髪型…。
「おぉ~…?」
このモコモコ具合…ちょっと癖になるかも…。
「もしかしてー…気に入っちゃった?」
「ち…違うし! そんなんじゃないしッ!?」
でも…悪くは無いかもしれないな…。
「ありがとうございましたー」
「ましたー」
結局、髪を切るだけでは終わらなかったか…。
束やクロエちゃんと一緒に来た時点で、なんとなく想像はしてたけどさ…。
「よかったね、お兄ちゃん。すっごく可愛くなって」
「え? まぁ…うん」
可愛い…可愛い…ね。
今のオレって、そんなに可愛いのかな…。
「なぁ…これってずっとフワフワしてるのか?」
「うーん…今回のはあくまで軽めのやつだしねー。約一ヶ月ぐらいで取れちゃうかもだね。やろうと思えば自分でも出来なくはないけど、色々と手間がかかるし、なにより…」
「なにより?」
「維持費が普通にかかる。これ、さっきのレシート」
「うげ」
ま…マジか…。
これ、普通に切るだけで良かったんじゃ…。
「因みに、さっきのお店だけど、実はあそこの次女って、ちーちゃんの現役時代の後輩ちゃんだったりするんだよね。今はIS学園で教師をしてて、ちーちゃんのクラスの副担任をしてるって聞いた」
まさかの因果関係発覚。
もしかして、千冬もあそこの常連だったりしないよな…?
「世間って…思ってるよりも狭いんだな…」
「そうかもしれないねー。ついでだし、このまま、お夕飯の買い出しにでも行きますか。お兄ちゃんとクーちゃんは何が食べたい?」
「そーだなー…オレはー…」
「私は、真尋さまと同じで大丈夫です」
「そう? なら決め易くていいねー」
そうして、スーパーまで歩いていく道中で夕飯を決める話し合いをするオレ達だった。
こんな日がいつまでも続けばいいな…。
なんて言ったら、次回ぐらいにシリアスな話になりそうなんで止めておく。
『山田幽香』
山田家長女。
植物をこよなく愛する美女。
原作とは違って喧嘩っ早くは無い。
けど、腕力はめっちゃ強い。
『山田真耶』
毎度お馴染みの一組副担任にして山田家次女。
元日本の候補生で、千冬が認めるほどの実力者。
けど、性格はのんびりとしている。
『山田日影』
クールで無表情な、何故か関西弁を話す山田家三女。
無関心そうに見えて、実は二人の姉大好きっ子。
足も速いし、手も速い。
ついでに言うと、何故か刃物の扱いが上手。