お兄ちゃんはおしまい!in IS   作:とんこつラーメン

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今回、遂に物語が本格的に動き出します。

プロローグはここまでです。








第12話 まひろと動き出す運命

「よっしゃぁぁぁぁぁっ! 遂に念願の『国家代表クラス(ヴァルキリー)』を撃破したぞー!」

「え? マジで?」

 

 オレが女になってから約一年ほどが経過した。

 これまで通りの生活をしながらも、時々は外出(主に買い物目的)したり、束が作ってくれたISシミュレーターで運動をしたりしている。

 そして今日…やっとオレは熟達した国家代表クラスを超えたのだ!

 残るはあと一つなんだけど…。

 

「流石にエアリアルのままじゃ厳しかったから、途中でエアリアル改修型に変えたけど、なんとかなったな」

 

 本当はキャリバーンにしようかとも思ったけど、ここは順当に行くことにした。

 オタクってこんなもんだから覚えておこうね。

 いつの日かテストにも出るよ。

 

「んじゃ、裏ボスであるちーちゃんにも挑戦する?」

「うっ…どうしようかな…」

 

 これに搭載されてる千冬のデータって確か、現役バリバリの頃のデータだったよな…?

 世界の頂点に立った相手が最も強かった頃のデータ…か。

 

「いやいやいや。ここで臆してどうするオレ! そんなんじゃゲーマーの名折れ! でも、改修型のままじゃヤバそうだし…いっそのこと、ここはキャリバーンに乗って挑戦してみて…」

 

 なんてことを考えていたら、急に研究室の扉が開かれてクロエちゃんが慌てた様子で入ってきた。

 

「た…たたたたた束さま! 真尋さま! た…たたたたたた大変です!!」

「どったのクーちゃん? もしかしてGでも出た?」

「それはそれで由々しき事態だな。一刻も早くテラフォーマーを駆逐しなくては」

「そうじゃありません!」

「「じゃあ何?」」

 

 いつもは冷静なクロエちゃんが、こんなにも慌てているのは本当に珍しい。

 マジで何があったんだ?

 

「実は、先程までテレビでニュースを見ていたのですが、途中で緊急速報が流れたんですよ」

「ニュース…」

 

 ニュースなんて、今までの人生で一体何回見た事やら。

 マジで数えるほどしかないんじゃないか?

 

「その緊急速報がどうかしたの?」

「えぇ…そのニュースで言っていたのですが…」

「「うんうん」」

 

 ここまで勿体ぶるとは…オレもなんだか緊張してきた。

 思わず唾を飲んじゃったよ。

 

「……男性がISを動かしてしまったそうです」

 

 …………ホワイ?

 

「「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!??」」

 

 お…男がISを動かしたぁぁぁぁぁぁっ!?

 え? ちょ…なしてっ!?

 

「それって…オレみたいに性転換したとかじゃなくて…?」

「いえ…生粋の男性です。ついでに言うと、学生さんです…」

「未成年…」

 

 なんて可哀想に…。

 学生の時にそんな事をしてしまったら、もう進路は確定しているも同然じゃないか。

 

「因みに…そのISを動かした男の子の名前って…分かる?」

 

 そうだ。それ重要ジャン。

 ま、名前なんて聞いてもオレには意味無いだろうけど。

 

「…………織斑一夏さん…と仰るそうです」

「「…………え?」」

 

 えっと…今、なんつった?

 ISを動かしたのが…あの…?

 

「一夏――――――――――――っ!?」

「いっく――――――――――んっ!?」

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 場所は変わって居間。

 オレと束とクロエちゃんは、互いに向かい合う形でテーブルに座っていた。

 

「えー…それでは、篠ノ之家緊急家族会議を始めます」

 

 因みに司会はオレ。

 異論は認める。

 

「まず、どうして一夏がISを動かしてしまったのか。その経緯って分かる?」

「確か、それもニュースで言ってました。なんでも、一夏さまが受験をしようとしていた高校と、IS学園の受験会場が同じ施設内にあったらしく、彼は建物の中で迷ってしまい、IS学園側の受験会場に間違って入ってしまい、そこに鎮座してあった試験用のISに触れてしまった結果…」

「動かしちゃった…ってわけだね」

 

 うーん…なんてツッコミ所満載な状況。

 取り敢えず、一つずつツッコんでいこうか。

 

「まず、他の学校とIS学園の受験会場を一緒にしちゃダメでしょ」

「それに、試験用とはいえ貴重なISを稼働準備状態で、しかも誰にでも触れられるような状態で置いておくのはどうかと思います」

「つーか、それ以前の問題として中に案内板とか無かったのか? それとも、ありはしたけど一夏の奴が普通に見過ごしたとか。…そっちの方が可能性としては高そうな気がする。あの一夏だしな…」

 

 天然ジゴロ鈍感野郎の一夏ならば、どんなドジを起こしても『またお前か』の一言で納得出来てしまう自分がいる。

 

「ところで、一夏がISを動かした原因って分かるか? 開発者の我が妹よ」

「うーん…今のところは推測の域しか出ないけど…それでもいいなら」

「別にいいでしょ。何かの指針になれば」

「ですね」

 

 今はまず、何かを知ることが大切なのです。

 

「恐らくだけど、IS側がいっくんの事を誤認したのが原因かと思う」

「誤認?」

「そ。知っての通り、いっくんはちーちゃんの弟。んでもって、ちーちゃんはかなり長期に渡ってISに乗り続けてる。つまり、ISのコアのネットワーク上にはちーちゃんの色んなデータがインプットされているワケ」

「あー…つまり、姉弟だからIS側が一夏を千冬と間違えた…と。でも、幾ら姉弟だからって、そんな事があり得るのか? 遺伝子情報だって、そこまで酷似している訳じゃないだろうに」

「それに関しては、実際に調査してみないとなんとも…」

 

 まぁ…そうだろうな。

 流石の束も、何も調べない状態じゃ結論なんて出したくても出せないか。

 

「これから彼はどうなるのでしょうか…」

「まず間違いなく、IS学園に放りこまれるだろうな」

「だね。じゃないと、いっくんのことを研究材料にしようと企むアホな連中が群れで押し寄せてくるだろうし」

 

 どうしてIS学園に入れば安全なのかは知らないけど、あそこには千冬もいるから大丈夫だろ。

 本気で困ったときほど、身内が傍にいるだけで安心するもんだ。

 

「今頃、ちーちゃんは大変だろうなぁ…」

「あ…そっか。千冬はIS学園の教員だから…」

「きっと、学園では質問の電話などが鳴り響いているでしょうね」

 

 次会った時に千冬の目の下に隈とか有ったらどうしよう。

 その時は割とマジで本気で労ってやろうかな。

 

「けど…ちーちゃんやいっくんには申し訳ないけど…これはチャンスかもしれないね」

「チャンスって何の?」

「お兄ちゃんの社会復帰」

「どーして一夏がISを動かした事とオレの社会復帰が関係する?」

 

 全く因果関係が見えないんですが?

 お兄ちゃんにも分かるように説明しなさい。

 

「まず、このままだとまず間違いなく、いっくんはIS学園に入学することになる。ここまではOK?」

「うん。それで?」

「ISは基本的に女しか動かせない。って事は必然的にIS学園の生徒は女子しかいないって事になる。つまり…?」

「あ…そっか。実質的にIS学園は女子高。そこに男一人放り込まれるのか…」

 

 もしもこれがラノベとかだったら、ここから色んなイベントを繰り返しながらハーレムを築いていくんだろうが…生憎とこれは現実だ。

 そしてオレは知っている。

 現実とは、どこまでも残酷で非情で容赦がないって事を。

 オレはこの身で直に体験してきている。

 

「そうなれば当然のように、お目付け役のようにちーちゃんの担当するクラスにいっくんが配属させられるだろうね。普通なら兄弟姉妹を同じクラスにするなんて有り得ないけど、そこら辺は委員会の連中がゴリ押しそうだし」

 

 権力を持つってイヤねー。

 心が貧相になっていくワー。

 

「ちーちゃんの負担だって今までの比じゃないだろうし。もしかしたら過労で倒れちゃうかも」

「うっ…」

 

 知り合いが過労で倒れるのは流石に嫌だ…。

 見ているだけで鬱になる。

 

「けど、似たような境遇のお兄ちゃんがいれば、いっくんも安心するかもしれない。勿論、いっくんにだけ諸々の事情を話すことが条件になるけど、その辺に関しては別に大丈夫だと思う。別に知らない仲じゃないんだし」

「うん…まぁ…確かに」

 

 ある意味じゃ、オレも似たり寄ったりかもだけど…。

 けど、だからって…ねぇ?

 

「ちーちゃんだって、お兄ちゃんが来てくれたら安心するだろうし、喜んでいっくんのことを任せてくれると思う」

 

 あの千冬に頼られる…か。

 それはそれで気分は良いけど…ちょっと複雑。

 

「あ、当然だけどお兄ちゃんだけを行かせたりはしないから安心して!」

「え? まさか、お前も来る気か?」

「私だけじゃなくて、クーちゃんもね」

「私もですか?」

「そーだよ。いつかクーちゃんにも学校体験をさせてあげたいと思ってたし」

「束さま…」

 

 そこでクロエちゃんを引き合いに出してきますかー。

 それを言われたらオレも強気になれないじゃないのよー。

 

「けど束。入学手続きとかはどうする気だ? あと、お前って教員免許なんて持ってたっけ?」

「入学に関しては、二人とも私からの推薦って事にすれば一発だと思う。んでもって、別に私は教師をするつもりなんて無いよ?」

「それじゃ、一体何をする気だよ?」

「ISの技術に関する顧問…的な?」

「顧問…」

 

 開発者本人だしな…ある意味、最も適任ではあるか。

 千冬も親友である束も一緒なら心の余裕が生まれるかもだし。

 

「あと、いっくんの事も調べないといけないし。割と私に関して言えばIS学園に行く正当な理由があるんだよね」

 

 珍しく束が頑張ろうとしている。

 ならば兄としてオレも頑張らないといけないのではないか?

 このまま妹におんぶに抱っこと言うのは、流石に辛うじて残されているなけなしの兄としてのプライドが許さない。

 

「それに、お兄ちゃんの制服姿も見てみたいし」

「おいこらそこ。本心が漏れてるぞ」

「おっと」

 

 おっとじゃねぇわ。

 まさかとは思うが、それこそが大本命じゃなかろうな?

 

「はぁ…でも、そこまで言われてNOとは言えんわな…。半分ぐらい自業自得な部分があるとはいえ、一夏や千冬にも十分に同情できるし…。少しでもあいつ等の負担を減らせるなら…オレも…」

 

 偶には本気で頑張ろうかな…なんて言おうとした瞬間、束が目をキラキラさせながら俺の両手をガシッと摑んできた。痛い。

 

「その言葉を待ってました! IS学園は全寮制らしいから、皆でお引越しだね!」

「はい!」

「え? そうなの?」

 

 その話はちょっと聞いてないんだけど?

 全寮制? マジで?

 

「いや~…今から忙しくなるぞ~! まずはちーちゃんに連絡をして、それから~…」

「持っていくものが沢山あって大変ですけど、いざとなれば量子化すれば問題無いですよね!」

「うーん…二人揃ってやる気満々侍」

 

 こうして、天才の妹に半ば論破されるような形で、オレは二度目の高校生活をする羽目になるのでした。

 勉強…大丈夫かな…?

 敢えて話題には出さなかったけど、個人的にはそれが一番の心配案件なんだよね…。

 基本五教科はともかくとして、問題はISに関する勉強なんだよな…。

 これはあれか?

 入学までに勉強しなくちゃいけないフラグが立ちましたか?

 

 

 

 




次回、まひろちゃんIS学園に入学…?

もしかしたら、その前に何か話を挟むかもしれません。




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