お兄ちゃんはおしまい!in IS   作:とんこつラーメン

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今回は一夏&箒への真尋の正体をバラす話。

二人はどんな反応をしてくれるのやら。







第15話 まひろとネタバレ

 遂に始まってしまったオレの人生二回目の高校生活。

 いや…正確にはIS学園って高校ってよりは専門学校に近いのか?

 ま、別にどっちでもいいか。

 

 入学初日だと言うにも拘らず、早くも今日から授業が開始された。

 この理由も千冬から予め聞かされている。

 なんでも、このIS学園は基本五教科に加えてISの勉強や実技訓練などもしないといけないので、一年間の授業計画を立てていくと、どうしても日数がギリギリのギリギリになってしまい、結果として本来ならば午前中で終わる筈の入学初日から授業をしていかないといけない…らしい。

 

 そんなIS学園最初の授業は『ISの基礎理論』。

 ぶっちゃけ、予習をしていなかったら本気で危なかった…。

 顔では誤魔化してるけど、内心はめっちゃ冷や冷やしてました。

 そして今は、一時間目と二時間目の間の休み時間。

 

「真尋さま。授業の方はどうでしたか?」

「なんとかなった…って感じ? クロエちゃんは?」

「私の方は特に問題はありませんでした」

「流石~」

 

 伊達に、あの束の助手はやってないってことか。

 こりゃ、いざって時にはクロエちゃんに頼ることになりそうだ。

 

「それよりも問題なのは…」

「あっちの方か…」

 

 オレ達の視線の先では、一夏が机に突っ伏しながら頭から煙を出していた。

 多分、あれは知恵熱だな。

 

「何もかもがいきなりだったもんなぁ…。ああなるのも無理はないっつーか…」

「これから大丈夫なんでしょうか…」

「さぁね。そこら辺は補習とかして、どうにかするんじゃないの?」

 

 学園側としても、貴重な男性IS操縦者である一夏を留年させたいとは思っては無いだろうし、そこら辺の温情はある…と思う。多分。

 

 なんてことを考えていたら、我が妹が一夏に近づいて行った。

 今思えば、アイツ等もまたここでいきなり再会したんだよな。

 そりゃ、色々と聞きたい事もあるか。

 

「ん?」

 

 今、チラッとだけ箒がこっちを見たような気が…。

 そりゃそっか。

 アイツ的にも、実の兄と同じ名前の女の子が目の前にいたら気になるか。

 

「ねぇねぇ、まひろーん」

「「まひろん?」」

 

 それって…まさかオレの事を言ってる?

 無駄に袖が長い制服を着た、ツーサイドアップな髪形の女の子にいきなり話しかけられたし。

 

「ま…まひろんって…私の事?」

「そーだよー。真尋だから『まひろん』。可愛いでしょ~?」

「そ…そーだねー…あはは…」

 

 入学初日から初対面の相手に渾名を付けるとか…何だこの子はコミュ力の塊かっ!?

 

「私は『布仏本音』っていうんだよ~。よろしくね~」

「よ…よろしく…私は篠ノ之真尋…デス」

「クロエ・クロニクルと申します」

「お~…クロりんだね~」

「クロりん…」

 

 そして、クロエちゃんにも秒で渾名が付けられましたとさ。

 本人はちょっと嬉しそうだけど。

 

「休み時間中に済まない」

「「「ん?」」」

 

 え? 千冬? まだ授業には少しだけ早いぞ?

 それとも、まさかのフライングか?

 極稀に先生の都合で授業がフライングすることがあるけど、まさか初日からそれを見れるとは。

 

「篠ノ之。それから織斑。ちょっと来てくれ」

「お…俺?」

「私も…?」

「そうだ。そして…」

 

 あぁ…そういう事ね。

 千冬が何をする気か理解した。

 

「クロエちゃん」

「はい。承知しました」

「ん~? 二人とも、いきなりどーしたの~?」

「我等が担任さまからのお呼び出しみたい。ちょっと行って来るね」

「失礼します」

「ん~。いってらっしゃ~い」

 

 席を立ってから、そのまま入口の所にいる千冬がいる場所へと向かう。

 一夏と箒の方が距離が近かったせいか、先に合流していた。

 

「いきなりで悪いな。次の授業の方は少し遅れることになるかもしれん。その辺の事はちゃんと山田先生に言ってあるので、授業の事で気になることがあったら彼女に聞いてくれ」

「「はーい」」

 

 返事をしたのはオレとクロエちゃんだけ。

 一夏たちは事態を上手く飲み込めていないのか、未だに困惑していた。

 

「こっちだ。私に付いて来い」

 

 さーて…どこに連れて行かれるのかね~。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「着いたぞ」

 

 やって来たのは、謎の部屋のドアの前。

 途中で職員室を横切ったけど…こーゆー時って普通は生徒指導室とか使うんじゃないのか?

 ここは明らかに違うよね?

 だって、何の札も立てられてないし。

 

「ここは?」

「『アイツ』の受け持つ予定の部屋です」

「あぁ…そゆことね」

 

 確かに、そっちの方が色々と話が早くて助かるわ。

 

「え? 千冬姉がこの子に敬語…?」

「な…なんで…」

「学園内では『織斑先生』と呼べ。それと、敬語の理由はすぐに分かる」

「「はぁ…」」

 

 まぁ…普通は分からんよな。

 お前達の反応は何も間違ってないよ。

 

「失礼するぞ」

 

 軽く二回ノックした後にドアを開ける。

 すると、中はオレ達がよーく知っている、あの『研究室』にそっくりな部屋に変貌していた。

 

「はいはーい。ようこそ『篠ノ之研究所IS学園支部』へ~」

 

 支部って…ここを除けば他には一ヵ所しかないだろうに。

 

「ね…姉さんっ!?」

「束さんっ!?」

「「なんでここにっ!?」」

 

 うーん…予想通りのリアクション、ありがとうございます。

 

「それは~…」

「束の奴が今日から、IS学園付きの技術顧問に就任したからだ。正式な発表は後日になる予定だがな」

「「ぎじゅつこもん!?」」

 

 驚きの余り、ひらがなになってるぞ御両人。

 

「な…なんで、いきなりそんなことに…」

「その理由は、二人の後ろにいる子達が関係してるんだよ。ね~?」

「「え?」」

 

 さっきから疑問符ばかりだな。

 二人からしたら意味不明な事ばかりだから当然か。

 

「あはは…やっほー」

「この子って…あの真尋さんと同じ名前の…」

「同じ名前…じゃなくて、正真正銘の本人なんだけど」

「「……………………ハイ?」」

 

 見事に目が点になっちょります。

 はぁ…もしかしたら、オレはずっと、この反応をする人間を待っていたのかもしれない。

 

「「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!??」」

 

 うぉっ!?

 流石に超至近距離からの大声はダメージが凄いな…。

 クロエちゃんや千冬は咄嗟に耳を塞いでガードしてたけど。

 

「いやいやいや! 本人って…この女の子が、あの『真尋さん』だって言うんですかッ!? そんな馬鹿なッ!?」

「一夏の言う通りです! 幾ら姉さんでも、言って良い冗談と悪い冗談があります!!」

「嘘でも冗談でもないんだけどな~」

 

 そうだよそうだよ…これこそが常識的な反応って奴なんだよ…。

 ちょっと寂しい気もするけど、幾多のTS系ラノベや漫画を読んできたオレには分かる。

 束の説明があったとはいえ、出会ってすぐに今のオレが『篠ノ之真尋』だって信じた千冬の方が普通じゃなかったんだって。

 

「だってよ。お兄ちゃん」

「「お兄ちゃんッ!?」」

「一々のリアクションが面白いなー」

 

 流石は幼馴染。息ピッタリじゃないのさ。

 

「ま…まさか…本当に…真尋兄さん…なのですか…?」

「信じられないかもしれないけど…お前のお兄ちゃんなのだよ、箒」

 

 すっごい全身がプルプルしてる。

 箒ってこんな反応も出来たんだなー。

 

「い…いや! まだ信じられん! 確かに姉さんならば性別を変えられる気もするが、だからと言って…」

「なら、どうしたら信じてくれる? その子がお兄ちゃんだって」

「わ…私と真尋兄さんしか知らない事を言ってみて貰おう! それが出来れば私も信じてやる!」

「オレと箒だけが知ってる事ねぇ…」

 

 何かあったかな~…あ。あったかも。

 

「んじゃー…これとかはどうよ? 小さい頃の話なんだけど、箒は小学3年生までよくオレと一緒にお風呂にh…」

「良く分かりました。確かにあなたは私の真尋兄さんです」

「即座に認めたッ!?」

 

 あの事はマジでオレと箒しか知らない事だからな~。

 恥ずかしがって、他には誰にも話してない筈だ。

 

「えっ!? お兄ちゃんと箒ちゃんって、そんな事をやってたのッ!? うぅ~…私も一緒に入らせてよ~!」

「その頃はもうお前は普通に体が立派になってただろうが。もしやってたら色んな意味でやばいわ」

 

 それこそ本当に父さんから折檻されてたに違いないわ。

 あの人、その辺の事に関してはマジで厳しいから。

 

「一応、他にもあるぞ? 例えば、小さい頃、雷が鳴ってる雨の日の夜とかは『怖くて一人じゃ眠れない』って言って、よくオレの部屋まで来て一緒に寝てた」

「良く分かったって言ったじゃないですか! どうして追い打ちをかけるんですかッ!?」

「いや…念の為と思って」

「なんか兄さん…少し会わない内に姉さんに性格が似てきてませんか?」

「それはそれでなんかショックっ!」

「なんで、そこでショックを受けるのッ!?」

 

 いや、普通に受けるだろそりゃ。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「……と言う訳で、お兄ちゃんは今の美少女姿になっているんだよ」

「父さんと母さんから頼まれて、社会復帰の為に兄さんを少女に変えたって…どうしてそうなるんですか?」

「そこまでしないと難しいと思ったからだよ」

 

 改めて言われると地味に辛い。

 

「千冬姉は知ってたのか?」

「あぁ。私は少し前に直接会ってから教えられた。丁度、お前が外出している時にな」

「そうだったのか…」

 

 あの時の千冬も中々に面白かったけどな。

 恐ろしく自然な動作でオレを膝の上に乗せやがったし。

 

「っていうか、真尋さん。前に俺と街中で会ってますよね? なんで、その時に教えてくれなかったんですか?」

「仮に教えたとして、お前は素直に信じたか?」

「いや…信じなかったと思います…」

「だろ?」

 

 基本的に一夏は素直な性格をしているけど、だからと言って疑う事を知らないってわけじゃない。

 そこら辺は割と常識的な感性を持ってるから、普通は信じないだろう。

 幼馴染の実の兄が、いつの間にか女の子になってました…とか。

 

「そして、この少女が姉さんの助手をしていると…」

「はい。真尋さまともその時に出会いました」

「こんな素直で清楚そうな子が姉さんと一緒に生活を…確実に何か迷惑をかけてる気がすると思うと、ストレスで胃が痛く…」

「箒ちゃんの中で私ってそんな認識になってるのかなっ!?」

「迷惑の化身?」

「化身となっ!?」

 

 割と的確な表現じゃないか?

 間違っては無いと思うぞ。

 

「でも、どうして兄さんとクロエと姉さんが揃ってIS学園に来ることになったのですか?」

「いっくんがISを動かしたからだよ」

「俺が?」

「そ。IS学園と言う女所帯の中で男一人ってのは、どう考えてもストレスが溜まる空間だ。それを少しでも緩和する為に、お兄ちゃんをIS学園に入学させようって思ったの。同時に、集団生活をさせてお兄ちゃんの社会復帰に少しでも役立てようって別の目的もあったけど」

「俺の為に真尋さんが…」

 

 過ぎてしまった事とはいえ、一夏の境遇には同情の余地はあるからな。

 こんなオレでも、こいつの不安を和らげられたら幸いだ。

 

「あと、単純にお兄ちゃんが心配だからってのもあるし、どうしていっくんがISを動かせたのかを直に調べるって目的もある。私達がIS学園にいた方が色んな意味で都合が良いんだよ。お互いにね」

「「成る程…」」

 

 何気にこいつ等を軽く論破できるのは素直に凄いと言わざるを得ない。

 天才は伊達じゃないってことか。

 

「これで千冬姉が敬語を使っている理由も分かったよ。相手が真尋さんじゃ仕方がねぇか」

「そういう事だ。とはいえ、ここを一歩出たら、いつも通りに戻させて貰うがな」

 

 こいつらは兎も角、オレ的には千冬からタメ口で話されるのはなんだか新鮮だな~。

 ほら、こう見えても中身は千冬よりも年上だし。

 敢えて詳しい年齢は言わないけど。

 

「一応、お兄ちゃんは『箒ちゃんの双子(二卵性双生児)の姉』って事にしてあるから。学園内では箒ちゃんも『お姉ちゃん』って呼ぶようにしてあげてね」

「分かりました。名前呼びするよりはずっとマシですし、言い訳もし易いです。こうして性別が『女』になった以上、この人が私の『姉さん』であると言うのは紛れもない事実ですし」

 

 受け入れ早。

 この姉にして、この妹アリってか?

 

「いっくんの場合は今まで通りで大丈夫だから」

「でしょうね。真尋さん、改めて、これからよろしくお願いします」

「ん…よろしくー」

 

 図体は一夏の方が上だけど、年齢&知識なんかはこっちの方が上なんだから、色々とフォローしてやんないとな。

 偶には年上としての威厳も見せておかないと。

 

「では、そろそろ授業に戻るぞ。束、時間を取らせたな」

「別に大丈夫だよ~。それじゃ~ね~」

 

 こうして、オレの素性を一夏と箒に教えた事で、事情を知る者は合計で五人になった。

 身内ばかりな気がするが、こーゆーのはこれぐらいで丁度いい。

 

 それじゃ、ここからまた女子高生をやりますか。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はセシリアが登場する…かも?




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