お兄ちゃんはおしまい!in IS   作:とんこつラーメン

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ヴァンパイアサバイバーが面白すぎて、思わず更新し忘れそうになった今日この頃。

人気なのも頷けますわ…いやマジで。








第17話 まひろとクラス代表

 謎のイギリス人お嬢様の乱入があった後の三時間目。

 この身に染みた懐かしの習慣故に、チャイムが鳴ったと同時に自然と机の上に教科書やら参考書やら筆箱やらを用意してしまう。

 時間が経つにつれて、この工程はもう殆どルーチンワークになってくるよな…。

 特に三年生になった辺りは。

 

 教室に入ってきた千冬と山田先生を見るや否や、全員が即座に席に着く。

 まだ出会って数時間しか経過して無いにも拘らず、本能的な部分で千冬を怒らせてはいけないと理解してるんだろうな。

 

「全員揃っているな」

 

 教壇に立った千冬が教室を見渡すように全員の顔を確認していく。

 流石に初日からサボるような猛者はこのクラスにはいないだろう…と思う。

 

「三時間目は、実戦で使用する各種装備の特性などについて授業していこうと思う」

 

 おぉ…さっきまでとは違って、今回は千冬が授業をするのかー。

 昔からの知り合いがする授業を受けるってのも、なんだか不思議な感覚だなー。

 

「織斑先生。その前に『あれ』を決めた方がよろしいかと…」

「あれ? あぁ…そうだったな。確かに山田先生の言う通りだ。今の内にちゃんと決めておいた方が良いだろうな」

 

 ん? なにやら意味深な会話。

 『あれ』とは何ぞや?

 

「授業の前に、再来週に執り行われる予定の『クラス対抗戦』に出場する『クラス代表』を決めておこう」

 

 クラス…代表?

 それはもしかしてアレか?

 学級委員長やクラス委員的なアレですか?

 うん。オレとは最も縁が無い単語ですな。

 

「簡単に説明をすれば、『クラス代表』とは呼んで字の如くの意味だ」

 

 説明端折り過ぎワロタ。

 

「先程言った『クラス対抗戦』にクラスの代表として出場するだけでなく、生徒会が定期的に開催している会議や委員会への出席などの仕事をして貰う」

 

 オレには全く関係が無いと分かっていても、聞くだけで面倒くさいって分かる。

 特に会議や委員会への出席のくだり。

 貴重な自由時間を削られるのはイヤなんじゃ~!

 

「因みに、『クラス対抗戦』とは、入学時点での各クラスの実力の推移を計測する為に行われるイベントだ。現時点では大した差は無いだろうが、それでも競争心と言うのは同時に向上心を生む。一度決まったクラス代表は、余程の事情が無い限りは一年間変更しない」

 

 競争心は向上心を生む…ね。

 言いたい事は理解出来るけど、世の中には向上心を生み出せずに心が折れて挫折をしてしまう人間も一定数いるって事も分かっていてほしい。

 その実例が目の前にいるんだからさ。

 

「では、誰か候補はいないか? 別にこれに関しては自薦でも他薦でも構わない」

 

 おっと。ここは自薦だけにしておいた方がいいんじゃない?

 じゃないと、余計な事が起きてしまうかもですよ?

 

「それじゃあ…はい! 私は織斑君を推薦します!」

 

 ほらね?

 案の定な事が起きましたよ?

 

「私も、それが良いと思います!」

 

 はい早くも二票獲得。

 凄いね一夏。人気者だ。

 

 しかし…妙だな。

 

(このパターンだと、てっきりクロエちゃん辺りが手を上げて『真尋さまが良いと思います!』的な事を言うかと思って身構えてたのに…その気配は無し。どゆことかしらん?)

 

 チラっとクロエちゃんの方を見てみると、なにやら別の方向を見ている御様子。

 視線の先にいるのは…さっきのイギリスのお嬢様?

 

「って、俺かよッ!?」

 

 なんて考え事をしている間に一夏がついにツッコんだ。

 

「いきなり立ち上がってどうした。やる気があるのは良いことだが、仮にも今は授業中だ。とっとと席に着け」

「いやでも!」

「席に…座れ」

「ハ…ハイ…スミマセンデシタ…」

 

 一夏撃沈。

 流石にこれは不憫だな…。

 

「現在、候補者は織斑一夏のみか。他にはいないか? いないのならば、このまま無投票当選と言う事になるが…」

 

 このまま一夏がクラス代表になってしまうのかッ!?

 それとも、何かアクションが起きて現状が覆されるのかッ!?

 次回の一夏君の活躍にこうご期待!

 

「ちょっと待ってくださいまし! このまま決定だなんて納得がいきませんわ!」

 

 あらら。

 次回に行く前にアクションが起きてしまった。

 しかも、そのアクションを起こしたのは例のイギリスお嬢様。

 何をそんなに怒っているんだろうか?

 カルシウム不足? 煮干しでも食べなさい。

 もしくは牛乳飲め。

 

「このような選出…絶対に認められませんわ!」

 

 どうしてそーなる?

 一夏がクラス代表になるのが認められないのなら、自薦でもすればよかったじゃん。

 

「そもそも、男がクラス代表だなんて恥晒しも良い所ですわ! このセシリア・オルコットにそのような恥辱を一年間も味わえと!? 冗談じゃありませんわ!」

 

 おっとー?

 この発言はいただけませんぞー?

 オレは特に気にしないけど、他の子達は…。

 

「「「…………」」」

 

 やっぱり…めっちゃ眉間に皺が寄ってるね。

 主に日本出身の子達が。

 

「実力から言えば、イギリスの代表候補生でもあるこの私がクラス代表になるのが必然。よろしいこと? クラス代表とは最も実力のある者こそがなるべき役職。だと言うにも拘らず、ISの事を何も知らないど素人の男にクラス代表を任せようとするなどと…貴方達の程度が知れるというものですわね! 本当に嘆かわしい!」

 

 あー…これはマジでヤバい。

 クラス全体が嫌な空気になってきてる。

 千冬はそうだが、一夏も体を震わせて今にもマジ切れしそうな勢いだ。

 はぁ…どうして初日からこんな事になっちゃうんだよぉー…。

 

「『クラス代表とは最も実力のある者こそがなるべき役職』…その言葉に二言はありませんか?」

「…なんですって?」

 

 おお? 千冬や一夏が何か言うよりも前に、なんかクロエちゃんが不敵な笑みを浮かべながら立ち上がったんですけど?

 まさか…最初からこのタイミングを狙ってた?

 

「それならば…織斑先生」

「どうしたクロニクル」

「私は真尋さまをクラス代表に推薦します」

「ほぅ…?」

 

 やっぱり、ここでオレの名前を出すんかーい!!

 急に皆の視線がこっちに集まってきたしー!

 

「ちょっとアナタ! どうしてそうなるんですの!?」

「決まってます。真尋さまこそがこのクラスで…いや、間違いなく一年生最強だからです」

「な…何の根拠が合ってそんな戯言を!」

「根拠ならばあります。私は知っている…真尋さまの実力を。ずっとお傍で見続けてきましたから」

 

 そーいやそーですなー…。

 束と一緒にずーっと見てましたなー。

 

「アナタはイギリスの代表候補生らしいですが…私から言わせて貰えば、その程度で粋がっている時点で程度が知れますよ?」

「なんですって…!?」

 

 ちょ…思いっ切り煽ってどーすんねん!

 ここはもうちょっと穏便に解決するのが吉なんじゃ!?

 

「貴方が今立っている『代表候補生』と言う場所…真尋さまは今から一年前…ISに初めて触れてから約一週間ぐらいに通過しましたから」

 

 うおーい!! いきなり何を言っちょるですかー!?

 

「真尋さまにはIS操縦者としての天賦の才能があった。その才能はISに触れた事で異常なまでの急成長を遂げ…一夏さまがISを動かしてニュースになっていた頃には、真尋さまの実力は『部門受賞者(ヴァルキリー)(クラス)』に到達しています」

「「「「「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーっ!?」」」」」

 

 言っちゃったー!

 この状況で最も言ってはいけない事を言っちゃったー!

 お蔭で、教室の皆が驚愕の余りに顎が外れそうになってるよー!

 あと純粋に五月蠅い。

 

「そ…そんなこと有り得ませんわ!! もしそうならば、世界中の国家やら企業などが放置しておく筈がございませんもの!」

「はぁ…貴方は馬鹿ですか?」

「なんですってッ!?」

「真尋さまの名字を言ってみてください」

「それは『篠ノ之』…あ…」

 

 まぁ…そうだわな。

 今の世の中、『篠ノ之』のネームバリューは効果絶大だわな。

 本当に皮肉としか言いようがないけど。

 

「幾ら視野が狭すぎる代表候補生サマでも、この名前が何を意味するかはご存知ですよね?」

「そ…それは…」

 

 世界中の人間達にとって『篠ノ之束』とは脅威以外の何者でもない。

 その気になれば本当に、どんな状況でも簡単に覆せるほどの実力を持っているから質が悪いんだけど。

 それでも、家族であり素顔を知っているオレ達からすれば、どこにでもいる普通の女なんだけどな。

 ちょっと頭が良すぎる事を除けば…だけど。

 

「それに、真尋さまの実力は、そこの織斑先生もよーくご存知です。ですよね?」

 

 ここで証人として千冬に話を振りますか。

 つーか、話題の中心はさっきからオレなのに、全く会話に参加していないとはこれいかに。

 一夏に至っては完全に話題から逸らされたし。

 本人はホッとしてるっぽいけど。

 

「クロニクルの言う通りだ。私はまh…篠ノ之姉の実力を知っている。この目で見たからな」

 

 束が言うには、千冬には映像越しで見せたらしい。

 それでも見た事には変わりはないけど。

 

「オルコット」

「なんですの…」

「この際だからハッキリと言ってやる。お前の実力では、彼女の足元にも及ばん」

「は…はぁっ!?」

「もし仮にクラス代表の選考基準がお前の言う通りISの実力になるのならば、篠ノ之姉がいる時点でお前は候補にすら挙がらない。余りにも実力が違い過ぎるからだ」

 

 あぁぁ…千冬からの発言なんていう説得力超絶大な一撃が炸裂してしまった…。

 これはヤバいで…ヤバいで工藤ー!!

 

「じゃ…じゃあ、私も篠ノ之さん…いや、真尋ちゃんを推薦します!」

「えっ!?」

 

 思わず声を出しちゃったよ!

 遂にはクロエちゃん以外の子からの推薦が!?

 

「私もまひろんがいいと思いま~す」

 

 本音ちゃんまで~っ!?

 いや…あの子はなんとなく言うような気がしてたわ…うん。

 

「織斑と篠ノ之姉の二人が候補か。オルコット…貴様はどうする気だ?」

「も…勿論、私も自薦しますわ!!」

「いいだろう。これで候補が三人になったな」

 

 やばいよやばいよー…!

 いきなり猛烈に嫌な予感が全身を駆け巡ってるよ~!

 うぐ…ストレスで胃が…!

 

「では…どうやって三人の中から代表を決めるかだが…」

「決闘ですわ!!」

 

 …にゃんですと?

 

「決闘だと?」

「そうですわ! あそこまで言われて引き下がっていてはオルコット家の名折れ! 篠ノ之真尋さん!」

「ひゃ…ひゃいっ!?」

「アナタの実力…この身で確かめて差し上げますわ!! 覚悟することですわね!!」

「えぇ~…」

 

 なんでそーなるのー…。

 

「いいでしょう…そちらこそ、真尋さまの実力の前に慄いてひれ伏す心の準備をしておいてくださいね!」

「なんですってっ!?」

「「うぐぐぐぐぐ…!」」

 

 完全にオルコットさんとやらとクロエちゃんとの間に火花が散ってますがな…。

 もう二人が勝負すればいいんじゃないの?

 

「話は纏まったな」

 

 どこが?

 

「では、試合は今から一週間後の月曜日の放課後。場所は第三アリーナとする。試合は三つ巴方式で、それぞれ一回ずつ試合を行い、最も勝利数が多い者が最終的な勝者とする」

 

 流石にバトロワ方式じゃないのね…そりゃそっか。

 フォートナイトのし過ぎだな…。

 

「篠ノ之姉。オルコット。そして織斑。三人はそれぞれに準備をしておくこと」

「はい!」

「は…はーい…」

「いや俺もっ!?」

 

 ここでちょっと遅れてのノリツッコミ。

 うーん…キレが悪いな。

 

「当たり前だ。今更、何を言っている。もう既に決定したことだ。覚悟を決めるんだな」

「マジかよ…」

 

 ちょっち横暴な気もするけど、ここまで来て『やっぱ嫌です』とは言い出せないわな…。

 これはもう…こっちも覚悟を決めなくちゃダメですか…?

 はぅ~…ど~してこんなことにぃ~…。

 あっちゃけぶりえな~い…トホホ…。

 

 

 

 




セシリアの台詞…マジでどうしようか悩みましたが、それなりに抑えておきました。
 
原作を準拠し過ぎたら、流石にアレかと思ったので。



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