お兄ちゃんはおしまい!in IS   作:とんこつラーメン

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本当にお待たせしました。

その他の作品も徐々に復帰していきます。







第28話 まひろと授業

 完全に巻き込まれる形となったクラス代表戦から少しだけ時間が経過し、今は四月下旬。

 オレたち一年一組の生徒達は、今日も今日とて我等が担任の千冬先生の元でグラウンドで授業を受けていた。

 別に実技ってわけじゃないみたいで、今回のは謂わば、前回の試合に触発された形でISの実物を近くで見て貰うのが目的っぽい。知らんけど。

 

「それでは今から、ISの基本的な飛行操縦を実際にやって貰う。織斑」

「はい」

「オルコット」

「はい!」

「そして…真尋さん」

「はーい」

 

 なんでオレだけ『さん』づけなんだよ…。

 他の皆もツッコまないし…。

 

「専用機を展開後、試しに飛行をしてみて欲しい」

「「「分かりました」」」

 

 専用機を展開ね。

 もうすっかり慣れたから、これぐらいは楽勝ですたい。

 

「はい終わり」

 

 文字通り、あっという間に専用機である『ガンダム・ルブリス』を展開完了。

 やっぱ専用機が良く知ってる機体だと、脳内で想像もし易いからいいやね~。

 

「流石は真尋さんですわね。お見事ですわ」

「それ程でも~」

 

 なんて言ってるオルコットさんも、とっくの昔に展開を完了してる。

 流石は代表候補生だね。

 

 そういや、あの試合以降、妙に彼女に懐かれてる感じがするんだよな~。

 なんでだろ? うーん…分からん。

 

「で…出来た」

「遅い。熟練した操縦者は展開まで一秒もかからないぞ。真尋さんを見てみろ」

「あの人は次元が違うッつーか…」

「言い訳をするな。今回は特別に許すが、ちゃんと練習をして次回以降は一秒未満で展開できるようにしろ。いいな?」

「わ…分かりました…」

 

 一夏…哀れな奴。

 どれだけマッチョになっても、姉には敵わないってか。

 因みに、今の一夏はマッチョモードじゃなくて細マッチョモードになってる。

 流石に授業中は自重しろって釘を刺されたみたい。

 それでもプライベートじゃ普通にトレーニングルームでダンベルとかを持ち上げて爽やかな汗を掻いてるとか。

 

「では、飛行開始」

 

 千冬の合図でオレ達はそれぞれに上空に向かって飛び始める。

 先行したのはオレのルブリスで、その次がオルコットさんのブルー・ティアーズ。

 最後が一夏の白式だ。

 

『一体何をしている。真尋さんのルブリスはともかく、スペック上では白式はブルー・ティアーズよりも速度は上の筈だぞ』

「んなこと言われてもな…」

 

 試合の時はアドレナリンを分泌していたせいなのか、まるで機体を自分の手足のように操っていたけど、そうじゃない時は思うようにいかないってことか。

 昔からそうだけど、一夏って本番に強いタイプなんだよな。

 なんて言ってる間に目標高度に到達し、オレ達は揃って静止する。

 

「一夏さん。僭越ながらアドバイスをしますと、教科書などでは『自分の前方に角錐を展開させるイメージ』などと書いてありますけど、所詮はイメージ。ご自分が最もやり易い方法を模索するのが建設的だと思いますわ。そうですわよね? 真尋さん?」

「ん? ん~…確かにそうかもな~。教科書はあくまで『お手本』に過ぎないんだし、そこから自分なりの工夫をするってのは大事だと思う」

「二人が言う事も分かるんだけど…未だにどんな仕組みで飛んでるのかがイマイチよく理解出来てないんだよな~。因みに、真尋さんはどんなイメージで飛んでるんですか?」

「私? 私はね~…」

 

 改めて言われると普通に困る。

 一番最初は束お手製のシミュレーターだったし…。

 

「やっぱ、モビルスーツで空を飛んでるイメージ? ほら、水星の魔女系のガンダムは基本的に飛行可能だし。他にもF91やV2、フリーダムやダブルオーとか」

「あぁ~…成る程。それなら分かり易いかも。んじゃ、俺も同じ感じでやってみるか」

「何を言ってるのか全く分かりませんわ…」

 

 おっと。

 思わずオタク系の話になってしまった。

 これは普通に申し訳ないですな。

 

『無事に目標高度に達したようだな。では、次は急降下からの完全停止をやって貰おうか。目標は地表から10センチとする』

 

 おっふ。

 地上から千冬の通信が来たですよ。

 急降下と完全停止…しかも地表から10センチて。

 中々に難しいことを仰るでゴザルな。

 

「了解ですわ。では、真尋さん。一夏さん。まずは私から行きますわ」

「ん。いってらー」

「気を付けろよ」

 

 コクリと頷いた後、オルコットさんは凄い勢いで降りていき、ギリギリの所で停止して見事に着地。

 

「すっげー…俺に出来るかな…」

「無理そうなら、少し速度を落とすとかすればいいんじゃない? 流石にそれぐらいは許容してくれるでしょ。地面に落下して大穴を開けるよりはマシって事で」

「まんま千冬姉が言いそうなセリフだな…」

「ってことで、次はオレが行くから」

「え? ちょ…まっ…!」

「待ちませーん。んじゃ!」

 

 手を伸ばす一夏を無視して、オレはオルコットさんの真似をして急降下。

 物凄い速度で景色が流れていき、あっという間に地面が迫る。

 

「ここ!」

 

 自分で10センチだと思った地点で全身を使って急ブレーキ。

 少しだけ地面に風が行って土煙が波打ったけど、後は何ともない。

 

「着地…っと。記録は?」

「10センチジャスト。お見事です」

「おぉ~…」

 

 体内時計ならぬ体内メジャーが見事に働きましたな。

 これは自分で自分を褒めてあげたい。

 

「流石は真尋姉さん! 素晴らしい着地でした!」

「矢張り、真尋さまは素晴らしい才能を持ちですね!」

「まひろ~ん! かっこい~!」

 

 んで、箒とクロエちゃんと布仏さんからの声援のおまけ付き…と。

 自分でも凄いとは思うけど、あくまで授業なんだからさ…。

 

「最後はー…一夏か。どれどれ~?」

 

 皆と一緒に上を向くと、一夏は急降下の体勢を取って、今から落ちてくるようだ。

 危ないのでその場から移動して、千冬たちの傍に行くことに。

 なんか千冬が嬉しそうにしてたけど。

 

「うぅぅぅぅ……やっぱ無理!」

「「あ」」

 

 オレのアドバイス通りに途中で減速したな。

 地表からも余裕で10センチ以上離れてるし。

 ま、こればっかりはしゃーないか。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…無駄に緊張した…」

「織斑」

「は…はい!」

「最後…ビビったな?」

「うぐ…はい…」

「はぁ…まぁいい。下手に失敗して、グラウンドに大穴を開けられるよりはずっとマシだ。今回は特別に許してやる」

「おぉ~…真尋さんと全く同じことを言った…」

「なに?」

 

 まさか、本当に同じことを言うとは。

 オレと千冬は以心伝心なのかもしれない。なんちゃって。

 

「そ…そうか…真尋さんが私と同じことを…そうか…」

 

 なんでまた嬉しそうにする?

 一瞬だけ教師じゃなくて乙女の顔になってたんだが?

 

「あのー…織斑先生?」

「はっ! こほんこほん…失礼した」

 

 山田先生に言われて我に返った。

 咳をする振りをしても誤魔化しきれてないから。

 

「では、次は武装を展開して貰おうか」

「武装かー…」

 

 ルブリスの武装はねー…なんと言いますかー。

 

「最初から固定されてる場合はどうしたら?」

「なに? 最初から固定?」

「うん。私のルブリスの主武装であるレシーバーガンはバックパックに懸架してあるし、ビームサーベルもバックパックに装着してある。シールドに至ってはビット・ステイヴが合体する形で構成されてるし…」

「そ…そうなのか。なら、真尋さんは別に展開しなくても大丈夫か。因みに、今すぐに武装をバックパックから外すことは可能ですか?」

「出来るよー。ほら」

 

 一瞬だけ量子化して、レシーバーガンを右手に、ビームサーベルを左手に持った。

 勿論、ビームの刃は出してない。

 

「このままの状態でビットも展開できるよ?」

「え?」

 

 シールドがバラバラになってから、七基のビット・ステイヴがオレの周囲をフヨフヨと浮遊しながら展開される。

 

「これで全部」

「「「「おぉ~…」」」」

 

 言われた通りに武装を展開したら、なんか小さな拍手と一緒に驚かれた。

 ちょっと照れる。

 

「すっげー…真尋さんって、どんだけ器用なんだよ…」

「やっぱり真尋さんは凄いですわ…。七つもあるビットを自分の手足のように扱えるだなんて…」

 

 なんか横で同じことを命じられた二人も、こっちの事を見てるんですが?

 お前達はお前達でちゃんと武装を展開した方がいいと思うよ?

 

「ふふ…こんなのはまだまだ序の口。私は知っていますから。真尋さまの真の実力を」

「そ…そうなのか?」

「えぇ。シミュレーションとはいえ、本気中の本気になった真尋さまは、まさしく一騎当千。束さま曰く『その気になれば本気で世界の頂点も狙えるかもしれない』とのことです」

「あの姉さんがそこまで言うとは…矢張り、真尋姉さんの実力は本物なのか…!」

 

 え? 束の奴、オレが知らない所でそんな事を言ってたの?

 因みに、クロエちゃんが言ってるオレの『本気中の本気』ってのは、シミュレーション内でオレが『ガンダム・キャリバーン』に乗ってた時だと思う。

 あれはもう色んな意味で規格外だからね。

 こっちもマジにならないと乗りこなせないから。

 

「真尋さんの…本気…!」

「一体…どれ程の強さなんですの…!?」

 

 そこ。無駄に戦慄しなくていいから。

 別に驚くような事じゃないよ。

 

「真尋さんの本気か…IS操縦者として見てみたい気もするが…そう簡単に本気は引き出せないだろうな…」

 

 ちょっとー?

 千冬の顔が現役時代の時みたいになってるんですけどー?

 授業中に闘争本能に火を着けないでくれますかー?

 ここは山田先生がブレーキになってくれて…。

 

「篠ノ之さんの本気…私もちょっとだけ見てみたいかも…」

 

 あ…ダメだこりゃ。

 この人も中身は千冬と同類だった。

 オレの周りにいる女はどいつもこいつもが血の気が多すぎやしないか?

 大人しいのはクロエちゃんと布仏さんぐらいか…。

 

「やっぱ…真尋ちゃんって凄いんだ…」

「そんな子が私達の代表になってくれたんなら…」

「話題の中心はいただきね! ついでに今度のクラス対抗戦も…」

 

 ん? クラス対抗戦?

 何それ始めて聞いた。

 IS学園じゃ、そんなイベントがあるの?

 やっぱ普通の学校とは色々と違うんだな~。

 

「ん? 時間か」

 

 なんてことをやってたら授業終了のチャイムが鳴った。

 結局、色々とやってたのはオレ達だけじゃん。

 これってちゃんと授業としての体裁を保ってるのか?

 

 なんか変に疲れたし、今日はゆっくりと休もうかな…。

 

 

 

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