お兄ちゃんはおしまい!in IS   作:とんこつラーメン

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第33話 まひろと部活

 次の日、なんか教室前で例のチャイナっ子が待ち構えていた。

 

「ちょっと一夏! なんで昨日の放課後、部屋にいなかったのよ!」

「は? 朝っぱなからいきなり何言ってんだ?」

「まさか、まだ寝ぼけてるのか?」

「まだ来たばかりですし、無理も無いですわ」

「朝から無駄に元気ですね」

「ガム食べる~?」

「何故にガム?」

「全員言ってる事がバラバラ過ぎて反応に困るんだけどッ!?」

 

 いやマジで朝から元気だな…。

 これが女子高生パワーなのか。

 いや、今はオレも女子高生か。

 

「つーか、今の話から察するに、昨日の放課後に俺の部屋に行ったのか?」

「そうよ!」

「なんで?」

「な…なんでって…それは…その…ごにょごにょ…」

 

 ここで急にヘタれるんかい。

 緩急の激しい女の子だなぁ…。

 

「もしかして、一夏が一人部屋なのを良いことに一緒の部屋になろうとか考えてたりする?」

「ちょ…真尋! なんでアンタが知ってるのよ!?」

 

 やっぱりかい。

 こんなにも分かり易いキャラ、オレが今までプレイしてきたギャルゲーやエロゲーにもいなかったぞ?

 ゲームのキャラよりもチョロいのは流石にどうかと思う。

 

「今のは真尋姉さんでなくても分かる」

「そうですわね。モロに顔に出てましたもの」

「駆け引きも何もあったもんじゃないですね」

「クッキー食べる~?」

「そこ! うっさいから! あと、何で本音はアタシに何かを食べさせようとすんのよッ!?」

 

 なんとなくじゃない? 知らんけど。

 

「というか、普通に部屋替えは不可能だと思う」

「なんでよ」

「だって、部屋割りは学園側が決めた事だし、もし変えたいって思うのなら、IS学園に直談判しないといけないんじゃないかな?」

「うっ…」

 

 流石の候補生も、学園相手には太刀打ちできんわなぁ…。

 自分で言っておいてなんだけど。

 

「ま、それ以前に勝手な部屋替えなんて一年寮の『寮長』が絶対に許さないと思うけど」

「誰よ。その一年寮の『寮長』って」

「「「「「「後ろに立ってる人」」」」」」

「え?」

 

 凰さんが恐る恐る振り向くと、そこには良い笑顔をして出席簿を持っている千冬が眉間に皺を寄せながら立っていた。

 

「ほぉ…? 凰…今の話は本当か? 留守状態の織斑の部屋に無断で侵入した挙句、私に何も言わずに勝手に部屋を変えようとしていたと…?」

「い…いや…これは…その…何と言いますか…」

「問答無用!!」

 

 バチコ――――ンッ!!!

 

「い…いたた…」

「生徒の勝手な判断での部屋替えなど論外だ。部屋替えの必要があるかどうかは学園側で判断する。分かったか?」

「ばい…ずびばぜんでじだ…」

「分かったなら、とっとと自分の教室に行け。二日連続で入り口を塞ぐな」

「ひゃい…」

 

 痛そうに頭を抱えながら、凰さんはヨロヨロとした足取りで二組の教室目と戻って行った。

 なんつーか…哀れとしか言いようがない。

 

「お前達も早く教室に入れ。朝のHRを始めるぞ」

「「「「「「はーい」」」」」」

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 お昼。

 またもや彼女は食堂の前で待ち構えていた。

 

「遅い! 一体何をやってたのよ!」

「それ、昨日もやってなかったか?」

「う…うっさいわね!」

 

 言われてら。

 

「やることのバリエーションが無さすぎだろ」

「普通に隣のクラスなんですから、呼びに来ればいいと思うんですけれど」

「なんでわざわざ先に来て食堂の前で仁王立ちして待ってるんでしょうか?」

「リンリンは足が速いんだね~」

「またなんか言ってるし! あとリンリン言うな!」

 

 言われるだけの事を自分がしているって自覚しましょう。

 つーか、これじゃあ昨日と殆ど同じ状況じゃないか。

 

「今回はちゃんとあんた達を待って注文をしてないんだから。ほら、とっとと食券を買って来なさいよ」

「言われなくても買いに行くよ。真尋さん、行こうぜ」

「おー」

 

 一夏が先頭になって道を開けてくれた。

 こんな時、男がいるといいですなー。

 …元男としては微妙だけど。

 

「何にします?」

「偶には揚げ物を。ってことで、このロースカツ定食を」

「お。いいですねー。やっぱ肉ですよね肉」

 

 一夏って、こんなに肉好きだったっけ?

 いや…気にしたら負けか。

 

 オレ達の後に皆が続いて食券を購入。

 そのタイミングを見計らって凰さんが合流。

 計算高いのか、それとも強引なのかよく分からん。

 

「一夏は何にしたのよ?」

「焼肉定食(大盛り)だけど」

「や…焼肉…平日の昼間から豪勢ね…」

「そうか?」

 

 普通に考えれば確かに豪勢だけど、一夏は絶対にそんな理由で注文してない。

 単に肉が食いたかっただけだと思う。

 あと、大盛りが可能なのが焼肉定食だけだったからだろう。

 

「そう言う鈴は何を注文したんだよ?」

「ラーメンだけど?」

「昨日もそれじゃなかったか?」

「べ…別にいいじゃない! 何を食おうとアタシの勝手でしょ!?」

「誰も文句なんて言ってねーよ。ねぇ真尋さん?」

「なんでそこでこっちに話を振る?」

「いや…なんとなく」

 

 なんとなくで話を振られる方の身にもなれよ。

 普通に反応に困るわ。

 

 そんなこんなしている間にオレ達の番になった。

 今日も変な事を言われないだろうな…。

 

「あら! 今日はロースカツ定食なのね! なら、おまけで一切れ追加してあげちゃおうかしら!」

「いや…別にいいですから」

「そう?」

 

 今の体じゃ一切れ追加は普通にキツいんだよぉ…。

 男の体だったなら遠慮なく貰うんだけど。

 

 そうして全員が注文の品を受け取り、密かに凰さんが確保しておいた席に座ることに。

 うん。これもまた昨日と同じパターンですな。

 これじゃあ犬が卒倒しちゃいますな。

 犬が卒倒…ワン・パターン…なんちゃって。

 

「それじゃあ皆、両手を合わせてー…」

「「「「「「全ての食材に感謝を込めて…いただきます」」」」」」

「え? これってアタシもしなくちゃダメなやつ?」

 

 そりゃそうでしょ。

 食材への感謝を忘れちゃダメよ?

 美食屋四天王に怒られるよ?

 

「と…ところで一夏」

「ん? どうした?」

「アンタってもう部活って決めたりするの?」

「部活?」

 

 おっと。

 一緒の部屋が無理と分かった途端、次の手を打ってきましたな。

 

「そ。IS学園には全ての生徒は部活に入らないといけないって校則があるのよ。知らないの?」

「ふーん…そうだったのか。初めて知ったな」

「なんでアタシよりも先に入学してるアンタが知らないのよ…」

「校則を覚えるよりも体を鍛えてた方が有意義だからな」

「何よソレ…」

 

 なんかシレっと物凄い事を言ってないか一夏?

 字面だけを見ると完全にヤバい奴なんだが。

 

「クロエちゃん。そんな校則が本当にあるの?」

「あるみたいですね。と言っても、そこまで焦る必要は無いようですが。一年生の間に入ればいいみたいです」

「ふーん…」

 

 部活ねー…。

 男だった頃の学生時代は部活なんて一度も入った事は無かったなー。

 基本的に中学、高校ともずっと帰宅部でした。

 

「箒は何か入ってるの?」

「まだですが、剣道部に入ろうと思っています」

 

 そりゃそっか。

 今でも現役で剣道やってるんだもんな。

 入らない理由は無いか。

 

「オルコットさんは?」

「私はテニス部に入ってますわ」

 

 似合いすぎて何も言えない。

 渾名がお蝶夫人になってそう。

 

「本音ちゃんは?」

「私は生徒会だよー」

「「「「「「え?」」」」」」

 

 せ…生徒会?

 生徒会って…あの生徒会ですか?

 

「生徒会って部活なのか?」

「ア…アタシに聞かないでよ…」

「普通は違うんじゃないのか…?」

「そう…ですわよね…?」

 

 本音ちゃんの衝撃発言に全員の食事が止まる。

 やるな…天然っ子…!

 

「IS学園じゃ、生徒会も部活扱いなんだよ~」

「そ…そうなんだ…知らなかった…」

 

 やっぱIS学園って普通じゃないんだなぁ…。

 生徒会が部活だなんて始めて聞いたよ。

 

「なんか話が逸れちゃったけど、部活はどうするの一夏? その…よかったらアタシと同じ部に…」

「ボディビルダー部とか無いかなー」

「へ? ボディビルダー部?」

「そ。あったら入りたいんだけどなー」

 

 あるわけないだろ。

 あったら逆にビックリするわ。

 

「真尋さんは何か入りたい部活ってあるんですか?」

「私ー? そーだなー…」

 

 今まで部活なんかとは無縁の人生だったしなー。

 いきなり部活って言われてもなー。

 

「ゲーム系の部活ってないのかなー…。もしくはパソコン系」

「そんな都合のいい部活なんてある訳がないじゃないのy…」

「ありますよ真尋さま。今スマホで調べましたが、ゲーム研究会と情報処理部と言うのがあるそうです」

「あるんだっ!?」

 

 ダメ元で言ってみただけだったのに、本当に存在したとは…。

 クラス対抗戦が終わったら見学とかしてみようかな…。

 

「因みに、私は真尋さまと一緒の部活がいいです。というか、一緒じゃないと嫌です」

「わー…ストレートだー」

 

 ここまでド直球だと逆に好感が持てる。

 オレもクロエちゃんが一緒だと心強いけどさ。

 

「う…アタシにも、あれだけの勇気があれば…」

 

 どこぞのツインテールチャイナガールが何か言ってますがな。

 妙な所でヘタれるのはどうしてなの?

 

「真尋姉さんなら剣道部でも十分に通用すると思っていたんだがな…仕方あるまい」

 

 いやいや箒さんや…全国トップのお前と一緒にしないでおくれよ。

 お前に比べたらオレなんて、まだまだ嘴の黄色いヒヨコちゃんですがな。

 

「真尋さんのテニスウェア姿…見たかったですわ…」

「「「「確かに」」」」

 

 おいこらそこ。

 邪な欲望を少しは隠しなさいな。

 しれっと一夏も混ざってんじゃないよ。

 

「なんかまた話が逸れてる! それで一夏! 部活はどうすんのよッ!?」

「うーん…まだ保留かなー。まずは、どんな部があるか確かめてみないと。もし本当にボディビルダー部があったら迷わず入部するけど」

「んな部があるわけないでしょ…」

 

 とは言い切れないのがIS学園じゃない?

 世の中には奇抜な部が沢山あるんだし。

 それはそれとして、このロースカツの衣がサックサクで超美味しいんですが。

 

「でも保留てことは、まだ可能性はあるってことよね!」

「何の可能性だよ」

 

 なんだろうねー。

 敢えてここでは指摘しないけど。

 

「因みにアタシはラクロス部に入る予定だから! ちゃんと覚えておきなさいよ!」

「へいへい」

 

 凰さんには申し訳ないけど、また筋トレし出したら忘れてると思う。

 今の一夏にとっての一番の相棒は筋肉だから。

 

(ま…今は兎に角、無事にクラス対抗戦を乗り来ることが先決かな…)

 

 部活の事は、その後に改めてゆっくりと考えよう。

 じゃないと集中出来なさそうだし。

 

 

 

 

 

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