お兄ちゃんはおしまい!in IS   作:とんこつラーメン

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ちょっとずつやっていきます。







第35話 まひろと宣戦布告

 トーナメント表が発表されてから、早くも数週間。

 あっと言う間に五月に入り、校内もトーナメントを前にして賑わい始めていた。

 

 学校内のイベントとはいえ、トーナメントに参加するだけでも心臓バクバク状態なのに、あろうことかオレは何故かシード扱い。

 試合回数がたった一回だけでいいというのは有り難いが、それとは引き換えに、最も目立つ立場になってしまった。

 いつの間にか束も知っていて、サムズアップされながら爆笑されたし…。

 更には…。

 

「あ! 真尋ちゃん! トーナメント応援してるからね!」

「う…うん。ありがとー…あはは…」

 

 道行く同級生や二年生や三年生といった学年的な意味での先輩方に応援される始末。

 一体どこで私の事を知ったんだ?

 

「流石は真尋さん。上級生からも注目されてるんですね」

「そういう一夏は気楽そうでいいねぇ…」

「入学初日にあった注目が何故か最近はなくなって、お陰で趣味の筋トレに集中出来てるんです! むん! あ、プロテイン飲みます?」

「結構です」

 

 返事代わりにポージングするのやめい。

 あと、しれっとプロテインを勧めてくるな。

 

「一夏の奴…すっかり筋トレ狂いになったな…」

「別に体を鍛えるなとは言いませんけど、何事にも限度があると思いますわ…」

 

 それには激しく同感。

 制服を破らないように、普段は筋肉を抑え込んでいるみたいで、今は範馬勇次郎みたいに引き締まったボディになっているらしく、ほんの少しでも気を抜けば、あっと言う間にビスケット・オリバみたいになる。

 もしかしたら、一夏はクラス対抗戦よりも、地下闘技場や最大トーナメントとかに出た方がいいかもしれない。

 

「多分だけど、今の俺ならクロエぐらいなら普通に肩に乗せたりできるぞ?」

「しなくていいですし、全力全開で遠慮します」

 

 そりゃクロエちゃんも遠慮するわ。

 オレだって普通に遠慮する。

 

「真尋さん。来週から遂にクラス対抗戦が始まりますわ。アリーナは試合用の設定に調整されるらしいので、ISを使った訓練は今日を最後に暫くは出来ないと思った方がよろしいかと」

「そっか…ま、だからと言って気負いすぎても意味ないけどな。こんな時こそ、平常心が大切ってことで。いつも通りに頑張るだけさ」

 

 なんて言ってますが、オレのハートは震えまくってます。

 このままいけば、燃え尽きる程ヒートするかもしれない。

 ついでに血液のビートまで刻んじゃうか?

 波紋の呼吸法…使ってみたいなぁ…。

 めっちゃカッコいいし…。

 

「あの…真尋さん? もし…もしよろしかったらでいいのですけど…」

「どしたの? オルコットさん」

「トーナメントが終了したら、私にビットの扱い方を教えてくださいませんか?」

「ふぇ? 私に? なんで?」

 

 これまたいきなりだなぁ…。

 ちょっとだけ驚いた。

 

「真尋さんのビット捌きは、もはや芸術の域に達してますわ! しかも、クロエさんが仰るには、真尋さんは僅か一年足らずであの域に達しておられたとか!」

 

 僅か一年と言うか…それはあくまでISの練習をし始めての時間であって、ビット兵器自体は普通に最初から使えたんだよなぁ…何故か。

 それに関しては普通に自分でも分からない。

 束曰く『お兄ちゃんは空間把握能力が超人級だから出来る芸当』らしい。

 オレで超人ならアムロやシャア、ハマーンとかはどうなんねん。

 完全に神の領域になっちゃうぞ。

 

「上手く教えられるかは分からないけど…それでもいいのなら」

「全っ然構いませんわ! よろしくお願いしますわ!!」

「う…うん。よろしく…」

 

 うぅ…グイグイ来るなぁ…。

 出会った当初のお嬢様然としたオルコットさんは一体どこへ…。

 

「因果地平の彼方へと消え去りましたわ」

 

 しれっと心を読まれた!?

 オルコットさんって本当はニュータイプなんじゃないのっ!?

 

「うぅ…同じビット使いと言う共通点があるせいか…私も姉さんに何か教えてほしい…」

「いやいや…私が箒に教えられることなんてないでしょ」

 

 それこそ、マジでパソコンの知識やゲームの技術とかしか思い浮かばないわ。

 でも、そーゆーのは箒の趣味じゃないだろうし…。

 うーん…箒のお姉ちゃん…出来てないなぁ…。

 

「因みに、私は逆に真尋様にお勉強を教えたりしていました。えっへん」

「「はっ!? その手があったかっ!?」」

 

 突然リアル調の顔になって、二人とも驚いてどうした。

 何が『その手』なのか詳しく聞きたい。

 

「勉強かー。トーナメントも大事だけど、そっちも頑張らないとだよなー。体を鍛えるのに夢中で勉強を疎かにして落第とか勘弁だしなー」

「おぉー…一夏にしては、まともなことを言ったー…」

「でしょ? もっと褒めてくれていいんですよ? 真尋さん。俺、真尋さんからの誉め言葉を聞いたら、それだけでフルマラソンを小休止無しの全力疾走で完走出来る自信がありますから」

「私の言葉には、どんなドーピング効果があるんだよ」

 

 そこは普通『『俺にしては』は余計ですよ』的なことを言うべき場面では?

 一体いつから一夏は、こんな全肯定マンになったんだろうか。

 

「そういや、クラス対抗戦で思い出したけど、鈴の奴…最近は絡んでこなくなりましたよね」

「鈴って…あー…あのツインテールの…」

 

 まるで二次元から飛び出してきたかのような、典型的なツンデレツインテールっ子か。

 世が世なら覇権を取っていたであろう属性だよね。

 最近じゃ、逆に溢れすぎて目立たなくなってきたけど。

 

「大方、クラス対抗戦のトーナメント表でも見て、自分と真尋姉さんとの差を思い知ったのだろう」

「きっと、そうに違いありませんわ。なんせ、真尋さんの実力に加えて、専用機のルブリスに死角らしい死角はありませんから」

「遠距離ではビットの包囲網が、中距離ではライフルが、近距離ではビームサーベルがありますから。高い射撃能力を持ち、更には剣の心得まである真尋さま…普通に考えても優勝候補筆頭でしょうね」

 

 ちょっとちょっとちょっと…オレのことを持ち上げすぎだよぉ…。

 まだトーナメントは先なのに、今の時点でプレッシャーががががが…。

 

「千冬姉が言ってたんだけど、今回の対抗戦で賭けをしようとした二年生がいたらしいんだけど、冷静に考えたら真尋さんの一強になるじゃんってことで諦めたらしいぞ?」

「なんじゃそりゃ…」

 

 そんなことを考える奴までいるのか…IS学園。

 そして、どうしてオレ一強なんて話になる?

 

「無理もあるまい。他のトーナメントならばいざ知らず、今回の対抗戦では賭けなど成立しようがないからな」

「誰もが皆、真尋さんに賭けて終了ですわ」

「殆ど八百長に近いですね。真尋さまという絶対強者がいる時点で」

「だよなぁ~…マンモス哀れな奴」

「「「「え?」」」」

 

 い…一夏…お前…どこでそんな超絶古いネタを…?

 お前、本当に現代人か?

 

 なんて話をしている間に、目的地である第三アリーナのAピットに到着。

 ドアの傍にあるセンサーに手を触れてー…っと。

 この未来感あるドア…いいよねぇ~…。

 

「今日は訓練機がレンタル出来なかったので、私とクロエは見学していますね」

「分かった。でも、私の動きなんて参考になるの?」

「「なります!!」」

 

 なるんだ…。

 そんな気合入れて言わなくてもいいのに…。

 

「あら? そんな呑気に談笑なんてしちゃって…随分と余裕なのね? シード選手サマは」

 

 今日はどんな練習をしようかにゃ~。

 ビット制御の方はもう殆ど大丈夫だし、後は~…ん?

 

「「「「「こんにちは~」」」」」

「え? こ…こんにちは…」

 

 なんか先客がいたし。

 けど、当然と言えば当然か。

 だって、ここのアリーナはあくまで学校の施設。

 私たちだけが独占していいわけじゃない。

 ちゃんと皆で仲良く使わないとね。

 

「じゃなくて! なに普通にスルーしようとしてんのよっ!?」

「いや…今から着替えるし…ねぇ?」

「そうですわ。時間は有限。早くしないと今日の使用時間が終わってしまいますもの」

「セシリアの言う通りだ。お前も使いたいのなら、とっとと制服を脱いでISスーツ姿になったらどうだ?」

「そうだぞ鈴。どうせ下に着てるんだろ? なら早くしたほうがいいぞ? むん!」

「なんで一夏が、そんなことを知ってんのよっ!? って、筋肉凄っ!? つか怖っ!?」

「今更なリアクションですね」

 

 わー…扉を開けたら中に凰さんがいたことなんて微塵も関係ないですって感じになってるー。

 時間が無いのは本当だけど、ちょっとだけカワイソー。

 

「トーナメント表…見たわよ。アンタ…代表候補生であるアタシを差し置いてシード枠になってたじゃない…! どういうことよ…アレ…!」

「どういうと言われても…ねぇ?」

「単純に、学園側がお前よりも真尋姉さんの方が強いと判断しただけだろう」

「そうですわね。素人目に見ても、真尋さんの実力が今の一年生の中で圧倒的に突出しているのは明確。もし真尋さんを通常枠になんてしたら…」

「全試合が完全なワンサイドゲーム。真尋さんの無双ゲーになるだけだな。フン!」

「いちいちポーズしなくていいです。でも、皆さんの言う通り、大会全体の事を考えたら真尋さんをシード枠にして、最も盛り上がるであろう決勝戦で戦わせようとするのは当然。まだ転入したての貴女には分からないでしょうが」

 

 おっふ…皆で凰さんに怒涛の言葉攻め…。

 しれっと一夏も加わってたし。

 

「本当に…そんなに強いの…?」

「「「「強い」」」」

 

 遂には皆揃って断言しやがった。

 息ぴったりでお姉さんは嬉しいです。

 

「違うクラスである私たちの言葉が信じられないのなら、同じクラスの者に尋ねてみればいいだろう」

「聞いたわよ…とっくに…」

「なんて言ってましたの?」

「全員揃って『真尋ちゃんが最強』って言ってたわ…! あたしには『準優勝目指して頑張って』だって…」

「「「「「うわぁ…」」」」」

 

 そ…それは…流石にクるな…。

 というか、一体どこまでオレの名前は知れ渡っているのだろう…。

 

「真尋!!!」

「は…はひっ!?」

「今度のクラス対抗戦…アンタにだけは絶対に負けない!! もう一夏とかどうでもいい!! 中国の代表候補生としてのプライドを賭けて、アンタを全力でぶっ飛ばしてやるから!!!」

「おいこら。俺がどうでもいいとか、どういうことだ。聞き捨てならんぞ。ふんぬ!」

「あんたはだぁってなさい!!」

 

 一夏ぁ…いい場面でそれはないわぁ…。

 気持ちは分るけど、今だけは少し自重しよう?

 

「貴様…それは真尋姉さんに対する宣戦布告と受け取っていいんだな…?」

「勿論よ。中国の代表候補生の意地…見せてあげるから」

「いい度胸ですわ。真尋さんの実力を、その身で体験しても、その意地が続けばいいですけど」

「フフ…開催まであと少しですが、今から楽しみになってきましたね…。真尋さまの圧倒的実力を見て、ズタボロにされて地に倒れる彼女の姿が見れると思うと…クスクス…」

 

 ク…クロエちゃん…?

 今すっごい悪役ムーブしてましたよ…?

 あと、箒もオルコットさんも無駄に挑発しないで…。

 

「ふん! その言葉、そのまま返してあげるから!」

 

 言いたいことを言ってから、凰さんは鼻息荒くピットから出て行ってしまった。

 本当に元気な子だなぁ…。

 

「まさかとは思うが、鈴の奴…あれを言う為だけに、ここでずっと待ってたのか…?」

 

 一夏、分かってても言わないであげるのが優しさってやつだよ。

 

 しっかし…宣戦布告ねぇ…。

 あんなのされたの初めてだわ…。

 つーか、宣戦布告なんて言葉を現実で使う機会があるとは…。

 アニメや漫画、ラノベの中だけで使われる言葉じゃなかったんだな…。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回も未定。

期待せずに待っててください。



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