初めて少しだけISっぽい話になります。
今日も今日とてオレは自分の部屋で悠々自適なゲームライフを満喫中。
やっぱ、これこそが至福の一時だよなぁ~…。
「ふはははははははは! そーんな動きで、このまひろサマが魔改造したギャンに勝てると思っているのかぁ~!?」
今、オレがしているのは『ガンダム・バトルオペレーション2』。
ガンダム好きなら大半の奴がやっていると思う大人気ゲームだ。
勿論、オレもガンダムが大好きなのでいつものようにやっている。
「むっ! 甘い! そこっ!」
画面の中でオレのギャンが回避をしながら、相手チームの機体であるフルアーマーガンダムをビームサーベルで斬り裂く。
ふふん! そんな鈍重なMSでオレが捉えられると本気で思っているのか?
「よし! 一機撃破! この調子でどんどんいくぞ~!」
次に狙うのは…そこで背中を見せているジム・キャノンだ!
強力な後方支援機は少しでも早く倒すに限る!
「流石は真尋さま…お上手ですね」
「はっはっはっ!」
傍でクロエちゃんがゲーム画面を興味深そうに見ている。
この研究所にはゲームとか置いて無さそうだしな。
この子にとっては、かなり新鮮に見えるのかもしれない。
「ここ最近はまたゲーム三昧か…」
「ん~? なんか言ったか~?」
「何も~?」
自分の部屋で自分が何をしようが、そんなにオレの勝手だろう?
流石にそこまでとやかく言われる筋合いはないぞ?
「にしても、お兄ちゃんは相変わらずガンダムが好きなんだねぇ~」
「当たり前だ。ガンダムはリアルロボットアニメの原点にして頂点だからな。男女問わずに人気は高いし、その人気は今や、日本国内に留まらない」
時々ネットニュースなどで外国人がガンダムの事を絶賛しているのを見ると、自分の事のように嬉しくなってしまうんだよな~。
こーゆーのって、分かる人には分かる真理だと思う。
「けど、お兄ちゃんってさっきから近接戦っていうか…剣一本で戦ってない?」
「まぁ…ギャンはそう言う機体だからな。そういう家系に生まれたせいかもしれないが、なんか使い易いんだよな」
それとは別に、単純にギャンが好きってのもある。
一年戦争時の機体なのに、ここまで思い切ったMSは良いと思う。
ま、ゲルググもちゃんと好きだけどね。
「別に剣一辺倒ってわけじゃないぞ? 個人的にはやっぱり、バランスが良いのが一番だと思う」
「と言うと?」
「遠・中・近の武器が程良く揃っていて、どんな環境下でも一定以上の性能が発揮出来て、パーツ換装とかで性能変化できれば最高」
ストライクやインパルス、後はガンダムF90辺りが該当するのかな?
特にF90は本当に凄いよな~。
アルファベットの数だけ換装パーツがあるって反則だろ。
汎用性が異次元過ぎるんだよ。
「成る程…バランス型がいい…ねぇ…」
なんか束がニヤニヤしながら頷いている。
またぞろ変な事を考えてるのか?
何かをするのは構わんが、オレやクロエちゃんを巻き込むような事だけは止めろよな…?
「あ! 真尋さま! どこからか敵機が狙撃をしてきてます!」
「ホントだ! どこだっ!?」
…見つけた! あの小さな丘の所にザクⅠスナイパータイプが隠れ潜んでいる!
オレを狙撃したのはアイツだなっ!?
「よし! 周囲の敵は仲間に任せて、オレは素早く狙撃手を撃破だ!」
もう時間も少なくなってきてる!
一刻も早く仕留めなくては!
このままブースト吹かせてダッシュだ~!
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
数日後。
オレはいきなり束に呼び出された。
傍にはいつものようにクロエちゃんもいる。
「急にどうしたんだ?」
「ん~…ちょっとね」
まさか、このオレが束の自室とも言うべき研究室に入るとは…。
しっかし…想像以上に散らかってるな…。
あんましオレの事は言えないのでは?
特に足元。めっちゃ色んなコードがあるんですけど。
もうこれ『タコ足配線』なんて可愛いレベルじゃないだろ。
完全に『クラゲ配線』って感じだよ。
「お兄ちゃん。ISに乗ってみたいと思わない?」
「……はい? IS?」
なんでまた急にそんなことを…?
そりゃまぁ…オレだって男の子ですし?
乗ってみたいと思ったり、憧れたりはしたことあるけど…。
「あのなぁ…オレは男だぞ? 男はISに乗れない。それは開発者である、お前が誰よりも一番よく分かっている事なんじゃあないのか?」
「確かに。今の所、男でISを動かせた人間は一人もいない。私もその謎を解明しようと頑張ってるけど、あんまり進展が無いのが現状だったりする」
「そうなのか」
自分で開発した物なのに分からないとは、これいかに?
いや、だからこそ…なのか?
「だからこそ、お兄ちゃんに協力してほしいんだよ」
「協力ぅ~?」
こんなオレに一体何を手伝えと?
ぶっちゃけ、本当に何も出来ないぞ?
「忘れたの? 今のお兄ちゃんは『女の子』なんだよ?」
「あ」
そうだった。
精神はともかく、体の方は立派な女になっているんだった。
「いい機会だから、『元男の女の子』でもISを動かす事が出来るのか…。それを調べる手伝いをして欲しいんだよ~」
「あぁ~…」
確かに、ISの開発者としては気になることなのかもな。
ん? ちょっと待てよ?
「まさかとは思うが…それを調べる為にオレを女にしたんじゃ…」
「いやいやいや。流石に私もそこまで鬼畜じゃないから。この事はついこの間、思い付いたことなんだよ~」
「ふーん…」
それもそっか…。
幾ら束とはいえ、やってはいけない事の区別ぐらいはあるよな…。
「と言っても、流石にすぐに用意できるISはこの場には無いんだけどね~」
「なんじゃそりゃ」
「でも大丈夫。その代わりに面白い物を用意しておいたから」
「「面白い物?」」
あら。クロエちゃんとハモった。
「それが…こちらです!」
「「おぉ~…」」
束が腕を翳した場所にあるのは、なにやらゲームセンターとかにありそうな筐体。
違う所があるとすれば、なんかVRゲームみたいなゴーグルと、両手を入れられる籠手みたいなパーツと、両足を入れられそうなブーツのようなパーツが設置してる事か。
まるで、前にネットの映像で見たISみたいだな…。
「実はこれ…私が作った束さん特製のVR型ISシミュレーションマシーンなのでーす!」
「「VR型ISシミュレーションマシーン?」」
なんだろう…さっきからオレとクロエちゃんの反応が、まるで教育テレビに出てくる子供みたいになってる…。
「そ! ここに両手足を入れて、このVRゴーグルを着ければ…まるでISを操縦しているような気分を味わえちゃうのでーす!」
「「おぉー…」」
思わず二人で小さくパチパチパチ。
「因みに、このマシンにはちゃんとISコアが内蔵されているから、女性しか使えないようになっているのです」
「なんちゅー贅沢な使い方を…」
ISコアってすんごい激レアなんだろ?
いや…それは束が一定数しか世界にばら撒かなかったからであって、こいつ自身は自分の手で幾らでもコアを作れるんだった。
だったら全く勿体無くは無い…のか?
「つまり、このマシンが使えれば、お兄ちゃんもISが使えるって事になるんだよ」
「成る程…」
しっかし…オレがISを動かすか…。
なんだろう…束に踊らされていると自覚していても…こう…ドキドキワクワクしてしまいますな…。
「どう? やってみてくれる? 大丈夫! 体に害とかは一切無いし、私が逐一、ここでモニタリングしてるから!」
「そ…そーだなー…」
ぶっちゃけ…めっちゃやってみたい!
最近は碌にゲーセンとかも行ってないし、凄く興味があります!
「妹の為に一肌脱ぐのも兄としての立派な役目だしなー…仕方がないなー…」
「やってくれるの!?」
「し…仕方がなくだからな!?」
「分かってますって! んじゃ、早速準備開始だー! クーちゃんも手伝ってー!」
「了解しました! 束さま!」
なんで急に生き生きし始めるかな…クロエちゃんまで一緒に。
本当にこれ目的でオレを女にしたんじゃないんだよな…?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「はい。後はこのVRゴーグルを着けて~」
「う…うん」
ISシミュレーターに両手足を装着し、束の手で顔にゴーグルをつけられる。
これでいい…のか?
「それでは…スイッチオン! ポチっとな」
起動したと同時に、オレの目の前に電子映像の青空が広がる。
眼下にはビル街が見えていた。
PS5もビックリなぐらいにメッチャ鮮明な映像なんだが…。
「お…おぉ…おぉぉぉぉっ!?」
なんて冷静に考えてるけど、本当は凄いビビってます!
サイヤ人っていっつもこんな感覚を体験してたのかッ!?
これが『空を飛ぶ』って事なのかッ!?
「うんうん。ちゃんと動いてるね。よしよし」
「と言うことは…」
「そ。お兄ちゃんもISが動かせるって証明されたんだよ。ま、体は女の子だから『史上初の男性IS操縦者』にはならないけどね」
なんかクロエちゃんと束が納得したように話してるけど、こっちは色々と大変なんですが~!?
「ちょ…束!? これはどうやって動かせばいいんだ!?」
「適当で大丈夫だよ。適当で。お兄ちゃんだって、ゲームをする時はいつも説明書を軽く読んで基本的な操作方法を学んで、その後は殆どがフィーリングでやってるでしょ?」
「確かにそうだけど…なんで知ってるの?」
「お兄ちゃんの事はな~んでも知ってるんだよ♡」
地味に怖い事を言うなよ…。
「手を動かせば手を。足を動かせば足が動くようになってるよ」
「そ…そっか…って、そりゃそうだろ!」
当たり前の事を言われて普通に納得しそうになった自分がいるー!
「別に敵キャラとかはまだ設定してないし、まずは好きなように動いてみてよ」
「わ…分かった…」
そうだよ…これはシミュレーター…実機じゃないんだ。
怪我とかの心配は無いんだし…それなら…!
「うぅぅ~…コノヤロー!」
頭の中でブースターを吹かすようなイメージをしたら、いきなり速度が速くなった!
え? ちょ…ISってこんなにも速いのかッ!?
「わわわわわ~! なんか普通に怖いぃ~! 止まれオレの身体よ~!!」
必死に両足でブレーキを踏むようにすると、なんとか止まってくれた。
はぁ…はぁ…バーチャルとはいえ、本当に驚いたぞ…。
「へぇ~…お兄ちゃん…これは中々…」
なんかまた束が言ってる…。
ここから変な事にならないだろうな…?
次回、まひろもやっぱり『篠ノ之』でしたってオチ。