大怪獣バトル 〜運命に導かれし者たち〜   作:ウルトラジャンボ

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第10話 宇宙忍者からの挑戦状

「今日はまぁまぁの引きだったなぁ…」

「何がまぁまぁだよ…一発で最高レア引き当てた癖に」

久しぶりにショッピングモールでアーケードの大怪獣バトルをやったカズマとツヨシの2人は公園で戦果を見せ合っていた。

「最高レアなのは嬉しいけど俺はゴモラを当てたいの!」

「物欲センサー発動してんじゃないの?こういう時は一旦頭の中空っぽにするんだよ」

「そういうもんかね…まぁいいや、ツヨシなんか欲しいカードある?」

「う〜ん、じゃあこのガラモンのカードくれよ」

「はいよ。ところでお母さん大丈夫?」

「あぁなんとかな。来週ぐらいには退院出来るかもって。迷惑かけて悪かったって母ちゃん言ってた」

「別に気にしてないって」

ふとカズマが空を見上げると一つの赤い流れ星が落ちてくるのが見えた。

「どうしたカズマ?」

「ん?いや流れ星ってこんな真っ昼間でも見えるんだって」

「えっ?本当だ…って街に向かってないかあれ!?」

ツヨシの言う通りその流れ星は街に向かっていきそしてそれは落下した。

「カズマ!見に行ってみようぜ!」

「はぁっ!?ちょっと待てよツヨシ!」

落ちてきた流れ星に興味深々のツヨシはその流れ星が落ちてきた場所に向かって行ってしまう。

置いてかれたカズマにバッグから出てきたモコが問いかけてくる。

「どうするモコ?」

「行くに決まってるだろ。それにバトルナイザーのこの反応も気になるし」

ポケットからバトルナイザーを取り出しそれを見つめるカズマ。

バトルナイザーはまるであの流れ星に反応するかのように激しく輝いていたのだ。

(一体あの流れ星はなんなんだ?この反応を見るにただの流れ星じゃ無さそうだけど)

カズマはバトルナイザーを再びポケットに入れるとカードファイルをバッグに入れモコを肩に乗せてツヨシの後を追いかけ出した。

 

「ツヨシ!待ってったら!」

流れ星が落ちてきたであろう街に着いたカズマはツヨシを見つけると側に駆け寄る。

「…カズマ、なんかここの人達おかしくないか?」

ツヨシはそうカズマに聞く。

カズマは周りを見渡しツヨシが言っている事を理解する。

流れ星が落ちてきたというのに街の人達は慌てている様子を見せていない…というよりまるで固められたかのようにその場に立ち尽くしているのだ。

ツヨシが立ち尽くしている人の目の前で手を振るもなんの反応も返ってこない。

「瞬き一つしないぞ。どうなってるんだこれ?」

「どう考えてもさっきの流れ星が原因としか…」

「俺から言っておいてなんだけど帰ったほうが」

ツヨシがそう言いかけたその時、虚空から赤い光線がツヨシに放たれそれを浴びたツヨシも街の人達と同じく立ち尽くしてしまう。

「…ツヨシ…?ツヨシ!どうしたんだ!」

他の人達と同じくその場に立ち尽くしてしまったツヨシを見て慌てた様子で駆け寄るカズマだがツヨシからの反応はない。

するとバトルナイザーがその反応を強くする。

「バトルナイザーの反応が強くなった…」

[宇宙忍者接近中!宇宙忍者接近中!]

「フォッフォッフォッフォッフォッフォッ…」

「カズマあそこモコ!」

バトルナイザーの反応と同時に不気味な笑い声が轟き、まるで蝉のような顔にザリガニを思わせる大きな鋏状の手をした宇宙人がテレポートしながら姿を現した。

「お前は“バルタン星人”…!」

「如何にもこの俺がバルタン星のレイオニクス!貴様が地球のレイオニクスだな?」

「レイオニクス?」

かつてヒッポリト星人にそう言われたがあの時は逃げられてしまい結局その意味を知ることが出来ずにいたカズマは首を傾げていた。

そんなカズマの様子を見たバルタン星人は驚いてしまう。

「まさか貴様、レイオニクスだという自覚が無いというのか…!」

そう聞くバルタン星人にカズマは正直に頷くと、バルタン星人は懐からある物を取り出す。

「それは…バトルナイザー!?」

「その通り!レイオニクスの意味知らぬというのならば俺が示してやろう!さぁ来い俺の僕よ!」

[バトルナイザー、モンスロード!]

バルタン星人がバトルナイザーを掲げると光と共に1体の怪獣が召喚された。

左右非対称な大きさの鋏状の手に蟹とも海老ともとれる甲殻類のような姿をした“宇宙海獣レイキュバス”である。

「ギエエェェエン!!!」

「あいつも怪獣を…!」

「さぁ俺と戦うのだ!そうすれば俺が固めた連中を解放してやろう!」

「ツヨシ達はお前が!?何のために!?」

「決まっているであろう。貴様と戦う為だよ」

「そんなことの為に…!」

「俺達レイオニクスは戦い合う宿命にある!貴様もバトルナイザーを持っているのだろう!早く怪獣を出すのだ!」

バルタン星人に促されカズマはバトルナイザーを握り締める。

「分かった、戦ってやる!だけど俺が勝ったらここにいる人達を元に戻してもらうからな!」

「それで俺と戦ってくれるというのならば安い条件だな。いいだろう!」

「約束だからな…!行けゴモラ!」

[バトルナイザー、モンスロード!]

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

召喚されたゴモラはレイキュバスを睨みつけると雄叫びをあげて威嚇する。

「ゴモラか…俺のレイキュバスの相手では無いな。捻り潰せレイキュバス!」

「ギエエェェエン!!!」

バルタン星人の指示を受けレイキュバスは鋏状の手をかち鳴らしながらゴモラに向かっていった。

 

ゴモラは突進してきたレイキュバスを受け止めるとそのまま腕で殴りつけて攻撃するが、硬い甲羅に覆われたレイキュバスには大したダメージになってない様子で逆に全身から高熱を発してゴモラを攻撃する。

南極の氷を溶かす程の高熱にゴモラは思わずレイキュバスを手放し、レイキュバスは右手の巨大な鋏をゴモラに叩きつけて攻撃するがその一撃を回避され逆に尻尾による一撃を受け怯んでしまう。

すかさず追い討ちをかけるようにゴモラは両足でのドロップキックを繰り出しレイキュバスを押し倒す。

「流石カズマのゴモラだモコ!」

「俺のレイキュバスと渡り合えるとは…!」

「いいぞゴモラ!」

ゴモラは倒れたレイキュバスの両足を掴むと一気に持ち上げ後ろに倒れ込んで地面に叩きつける。

続けてレイキュバスの左腕を掴むとそこに噛みついてダメージを与えていく。

「何をしている!そんな怪獣、お前の敵では無いはずだ!」

レイキュバスは左腕に噛みついてきたゴモラを振り解き、右手の巨大な鋏でゴモラの身体を挟み込んで締め上げるとそのまま投げ飛ばしてしまう。

そして口から火炎弾を連続で放ちゴモラを爆撃する。

連続して放たれる火炎弾の嵐にゴモラは立ち上がる隙すら見つけられずついに辺りは激しい炎と煙に包まれてしまう。

「フォッフォッフォッフォッ…ゴモラはもう逃げられまい…レイキュバス!トドメだ!」

バルタン星人の指示に従うようにレイキュバスは口内に熱エネルギーを溜めると、それを特大の火炎弾にしてゴモラ目掛けて撃ち出す。

火炎弾はゴモラに炸裂、あまりの威力に地面が抉れる程の大爆発を起こしその場にいたゴモラは姿を消してしまっていた。

「フォッフォッフォッフォッ!地球人など俺の相手では無かったということだな!」

「そいつはどうかな?俺のゴモラはまだやられちゃないぜ」

カズマはニヤリと笑いながらバルタン星人を見つめる。

「何を言うかと思えば…」

「ゴモラ!反撃だ!」

すると地面が揺れレイキュバスは周囲を見渡す。

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

その瞬間、地中からゴモラが飛び出すように現れレイキュバスを殴り飛ばす。

続けて殴り飛ばしたレイキュバスの尻尾を掴むと振り回した後、投げ飛ばして攻撃する。

「ギエエェェエン!!!」

起き上がったレイキュバスは右手の鋏に熱エネルギーを集中させてそれを勢いよく地面に向かって振り下ろす。

放たれた熱エネルギーは地面を勢いよく突き進んでいき、ゴモラの足元で爆発を起こす。

爆発を受けたゴモラは後ずさりするがその隙をついたレイキュバスの火炎弾を受け吹っ飛ばされてしまう。

「ここで決める!ゴモラ、超振動波だ!」

ゴモラは起き上がると角から超振動波を放ちレイキュバスを攻撃する…がレイキュバスは背中を向けて硬い甲羅部分で超振動波を受け切ってしまう。

「超振動波が…!」

「俺のレイキュバスをここまで追い詰めるとは…だが貴様の負けは決まったこと!レイキュバス、やれ!」

バルタン星人の合図と共にレイキュバスは目を赤から青色に変化させ、ゴモラに対して振り向きながら口から冷凍ガスを浴びせて攻撃する。

「ゴモラ!」

不意打ち気味に放たれた冷凍ガスに対応出来なかったゴモラはあっという間に氷漬けにされてしまった。

「ゴモラが氷漬けになっちゃったモコ!」

「これで俺の勝ちは決まったなぁ〜?地球人如きが俺に勝てる訳無かったのだ!」

レイキュバスは右手の鋏で氷漬けになったゴモラを殴り地面に叩きつけ、さらに何度も足蹴にして攻撃を続ける。

そして勝ち誇ったかのように鋏を鳴らすのであった。

「カズマ!このままだとゴモラが…!」

「分かってる!ゴモラはそう簡単に負けはしない!」

「レイキュバスの氷を溶かした奴は今までに一匹たりともいなかった!貴様は俺とのレイオニクスバトルに負けたのだ!」

「いいや!ゴモラは負けてない!ゴモラ、お前の中で燃えている力呼び起こすんだ!」

そう言いカズマは自身のバトルナイザーを掲げる。

「…グルルルルルゥゥオォゥ…!」

すると氷漬けにされたゴモラは低い声で唸り身体から熱を放出し始めた。

その熱はゴモラを覆っていた氷を徐々に溶かしていき、あまりの熱量に思わずレイキュバスもたじろいでしまう。

「まさか…!?いやレイキュバスの氷を溶かせる訳が…!」

バルタン星人が驚きを隠せない中、自らの身体を覆っていた氷を全て溶かしたゴモラは立ち上がり全身から炎のオーラを放ちレイキュバスを吹っ飛ばす。

「あれは“ブレイブバースト”!?力あるレイオニクスだけが使える力を何故地球人如きが…」

「ゴモラ、行くぞ!」

カズマの指示を受けたゴモラは尻尾を地面に叩きつけて勢いよくジャンプすると、空中で一回転して尻尾をレイキュバスの頭に叩きつける。

続けてレイキュバスの頭を掴むと何度も何度も殴りつけた後、尻尾を振り回してレイキュバスの身体を打ち据えその攻撃に怯んだ瞬間を狙って肩からの突進でレイキュバスを吹っ飛ばしてしまう。

「レイキュバス!反撃するんだ!」

フラフラになりながらも起き上がったレイキュバスは目を赤色にすると口から火炎弾を連発して反撃を試みるが、ゴモラはそれに動じず地面を勢いよく滑ってスライディングキックをレイキュバスに喰らわせる。

「ゴモラ!トドメだ!」

「でもアイツの甲羅は超振動波もダメだったモコ!どうするつもりだモコ?」

「甲羅が硬いってんなら腹だ!ゴモラ、レイキュバスの腹に突っ込んで超振動波を喰らわせてやれ!」

「キシャアァァァァァアアァッ!!!」

ゴモラはカズマの指示を受け起き上がったレイキュバスの腹部に角を突き刺し、そこから超振動波をレイキュバスの体内に流し込み始める。

「ギエエェェエン!!!」

レイキュバスの身体からは火花が散り、雄叫びを上げるレイキュバスだったが最後の力を振り絞って自身も身体から高熱を放って抵抗する。

「アイツ…最後の最後まで…!」

「カズマ、伏せるモコ!」

超振動波とレイキュバスから放出される熱は限界を超え遂に大爆発を起こし、ゴモラとレイキュバスは互いに吹っ飛ばされてしまう。

「ゴモラ!大丈夫か!」

その場で咄嗟に伏せたカズマは顔を上げるとゴモラに呼びかける。

爆発によって生じた煙の中からゴモラがよろめきながらも姿を現した一方でレイキュバスは最早起き上がることも出来ない状態になっていた。

「…レイキュバスはもう戦えない…俺の勝ちだ…皆を元に戻してもらうぞ」

「確かにレイキュバスはもう戦えん…だが!」

そう言うとバルタン星人はバトルナイザーを構える。

[バトルナイザー、モンスロード!]

「なっ!?」

バルタン星人の持つバトルナイザーから新たな怪獣が姿を現したのである。

鋭利な鼻先を持つ顔立ちに赤茶色の甲殻、後頭部から伸びる細長い2本の触角とレイキュバスと同じく甲殻類のような特徴を持った“宇宙甲殻怪獣バザンガ”である。

「グガァァァッ…キリリリリリッ!!!」

「バザンガ!使えなくなった奴にトドメを刺せ!」

バルタン星人の無情な指示と共にバザンガは両腕から青白い棘状の光弾をレイキュバスに撃ち込み、レイキュバスは大爆発を起こして消滅してしまうのだった。

「お前、レイキュバスは仲間じゃなかったのかよ!」

「仲間?笑わせるな、使えなくなった奴は切り捨てるまで…これも俺が“レイブラッド”の力を手に入れるために必要なことよ」

「レイブラッド?」

「そう!かつてこの宇宙を支配していたと言われる“レイブラッド星人”!俺達レイオニクスはそのレイブラッドの血を継ぐ者なのだ。戦いを勝ち抜き最強のレイオニクスとなった時、レイブラッドの後継者として認められ宇宙を支配する力を得ることが出来るのだ!」

「宇宙を支配する力…」

「今回は貴様に勝ちを譲ってやる…だが勝負は一回の表だ!次は貴様に勝ちは無い…フォッフォッフォッフォッ…!」

そう言うとバルタン星人はバザンガをバトルナイザーに戻し、テレポートをしながらその場から姿を消すのであった。

バルタン星人がいなくなったことで戦う理由も無くなったため、カズマはバトルナイザーにゴモラを戻す。

「逃げちゃったモコ!」

「レイブラッド星人の血を継ぐ…俺は地球人じゃないのか…?」

バルタン星人に言われた事に対して考え込むカズマだったが、背後から人々の声が聞こえたことで我に返る。

どうやら固められてた人達は元に戻ったようで煙が上がっていたり、ビルが壊されている街の様子を見てその場から離れ出していく。

そして同じように固められてたツヨシがカズマの元に駆け寄ってくる。

「カズマ、何があったんだ?赤い光が見えたと思ったら今は煙とか出てるし…」

「あぁ〜実は俺も気失ってたからよく分かって無いんだよね」

カズマは目を逸らしながらそう答えることにした。

カズマのその答えにツヨシもそうかと納得し、2人は他の人達と共にその場から離れていった。

(バルタン星人の言ってたことが本当ならリコ達を巻き込む訳には行かないよな…でも俺はこの力をこの星の平和のために使う。…これは俺にしか出来ないことなんだ)

ツヨシと共に街を離れるカズマがそう決心する中、ポケットにしまったバトルナイザーは妖しく光っていた…




・宇宙忍者バルタン星人(RB)
かつてウルトラ戦士と幾度となく戦ったバルタン星人のレイオニクス。性格はレイオニクスらしく好戦的かつ冷酷で“命”というものに理解を示していない…というより関心が薄く、大勢の無関係な地球人を赤色凍結光線で固めたのもカズマを誘い出すためにやったことで地球人にはそれだけの価値しか見出してない。仲間の怪獣にもそうした扱いをしており使えなくなった怪獣はとっとと切り捨てている。地球人のレイオニクスの噂を知り地球へ来訪、レイキュバスを従えてカズマのゴモラと戦うが、レイキュバスが敗北するとバザンガを召喚しレイキュバスを切り捨て再戦を仄めかしながら姿を消す。

・宇宙海獣レイキュバス
バルタン星人が使役する怪獣の一体で甲殻類のような特徴を持っている。目が赤い時は口から火炎弾を吐き、青い時は冷凍ガスと2つの属性を扱うことが出来る他、右手の鋏や全身から放出する熱に加えて超振動波すら防ぐ甲羅と攻防共に隙のない怪獣である。ゴモラとの戦いではこれらを駆使して互角に渡り合うも敗北、その後バザンガのソーンファランクスを受け処分される。

・宇宙甲殻怪獣バザンガ
レイキュバスと同じくバルタン星人が使役する怪獣でこちらも甲殻類のような特徴を持っている。今回は敗北したレイキュバスの処分を担当し、腕から放つ棘状の光弾「ソーンファランクス」でレイキュバスを処分している。実は出自に謎がある怪獣でそんな怪獣を何故バルタン星人が使役してるのかは現時点では不明である。
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